ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、政府によるウクライナ避難民の国内受け入れが始まっている。古川禎久法相は3月8日、参院法務委員会で、3月2日の岸田文雄首相による受け入れ表明後、8人の避難民を日本に入国させたことを明らかにした。 この入国に先立ち、小野田紀美参院議員(自民党)が3月4日、ウクライナ避難民は、「侵略戦争からの一時的な『避難民』であり難民ではありません」とツイッターで投稿し注目を集めた。 ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた日本政府の対応については、首相官邸のホームページで公表されている。そこでは、「ウクライナから日本への避難民の受入れの推進」と書かれている部分について、英文では「evacuees(避難民)」と訳されており、「refugees(難民)」とは異なる表記となっていることがわかる。 ●「難民」は条約で定められている では、「難民(refugees)」と「避難民(evacuees)」はどう違うのか。 「難民」については、日本も加入している「難民の地位に関する条約」(難民条約)で、次のように定められている。 「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する国籍国の外にいる者で、その国籍国の保護を受けることができない、またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」 いわゆる「条約難民」といわれており、日本では難民認定制度のもと、認定判断については法務省(出入国在留管理庁)が所管している。このほか、日本で暮らす難民として、インドシナ難民や第三国定住により受け入れた難民がいる。 「避難民」について定める法令等は見当たらず、文字通り、「災害や紛争などで避難してきた人々」という意味以外は特にもたない。日本政府も主権に基づく裁量で、人道上の配慮として、避難民という形で受け入れるものとみられる。 なお、「国内避難民(Internally Displaced Persons)」と呼ばれる人々もいる。 これは、政治的な迫害、武力紛争、内乱状態、武力による強制立ち退き、さらには大規模な人権侵害などの状況に直面し、他の場所に避難せざるをえなかった人々のうち、国際的に承認された国境を越えていない者を意味する。 法的な定義はないが、国連では一般的に用いられており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は世界の難民・国内避難民に関する統計を公表している。 ●一律「避難民」として扱うことは妥当か?
ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、政府によるウクライナ避難民の国内受け入れが始まっている。古川禎久法相は3月8日、参院法務委員会で、3月2日の岸田文雄首相による受け入れ表明後、8人の避難民を日本に入国させたことを明らかにした。
この入国に先立ち、小野田紀美参院議員(自民党)が3月4日、ウクライナ避難民は、「侵略戦争からの一時的な『避難民』であり難民ではありません」とツイッターで投稿し注目を集めた。
ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた日本政府の対応については、首相官邸のホームページで公表されている。そこでは、「ウクライナから日本への避難民の受入れの推進」と書かれている部分について、英文では「evacuees(避難民)」と訳されており、「refugees(難民)」とは異なる表記となっていることがわかる。
では、「難民(refugees)」と「避難民(evacuees)」はどう違うのか。
「難民」については、日本も加入している「難民の地位に関する条約」(難民条約)で、次のように定められている。
「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する国籍国の外にいる者で、その国籍国の保護を受けることができない、またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」
いわゆる「条約難民」といわれており、日本では難民認定制度のもと、認定判断については法務省(出入国在留管理庁)が所管している。このほか、日本で暮らす難民として、インドシナ難民や第三国定住により受け入れた難民がいる。
「避難民」について定める法令等は見当たらず、文字通り、「災害や紛争などで避難してきた人々」という意味以外は特にもたない。日本政府も主権に基づく裁量で、人道上の配慮として、避難民という形で受け入れるものとみられる。
なお、「国内避難民(Internally Displaced Persons)」と呼ばれる人々もいる。
これは、政治的な迫害、武力紛争、内乱状態、武力による強制立ち退き、さらには大規模な人権侵害などの状況に直面し、他の場所に避難せざるをえなかった人々のうち、国際的に承認された国境を越えていない者を意味する。
法的な定義はないが、国連では一般的に用いられており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は世界の難民・国内避難民に関する統計を公表している。