5歳餓死後に「スマホ処分し、証拠消せ」 母、ママ友の指示証言

福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかりしょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件を巡り、翔士郎ちゃんの母親の「ママ友」で保護責任者遺棄致死罪などに問われた赤堀恵美子被告(49)に対する裁判員裁判の公判が2日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。母親の碇利恵被告(40)=同罪で有罪判決を受け控訴中=に対する証人尋問があり、翔士郎ちゃんの死後、赤堀被告から「(スマートフォンを)処分しろ。証拠消せ」と指示されたと証言した。
碇被告は検察側の証人として出廷し、証人尋問は3日目。この日は翔士郎ちゃんが亡くなった20年4月18日の状況などを証言した。
公判での碇被告の証言によると、翔士郎ちゃんは亡くなる直前の午後7時過ぎにうずくまり「ママ、ごめんね」と漏らして目の焦点が合わなくなった。碇被告からの連絡を受け、赤堀被告が様子を見に来たが、翔士郎ちゃんに触るなどしたら反応したため「大丈夫」と言って帰宅した。
その後、翔士郎ちゃんは呼吸しなくなり、碇被告は赤堀被告に再度連絡。駆け付けた赤堀被告の夫が119番したが、翔士郎ちゃんは午後10時ごろ餓死した。
翔士郎ちゃんが亡くなった後、碇被告は警察の聴取を受けるようになった。
赤堀被告は碇被告に聴取の内容を尋ね、自らの背後に暴力団関係者の「ボス」がいるといううそについて「ボスのことは言ったらいかんよ」などと念押し。赤堀被告は自身の携帯電話を変更し、碇被告にもスマホを処分するよう指示した。碇被告はトンカチで画面をたたき割り、赤堀被告の家に持って行ったという。
碇被告は翔士郎ちゃんが亡くなった後の20年6月にも「裁判費用」として12万円を赤堀被告に渡していたが、警察の取り調べの中で赤堀被告のうそに気づき始めた。同7月からは、赤堀被告との面会を隠れて録音するようになった。録音データは全て警察に提出したといい、碇被告は「私が警察に正直に話すと言ったら、赤堀(被告)は必死で『言ったらダメだ』という反応だった」と話した。
一方、赤堀被告の弁護士が碇被告に証言の真偽を尋ねると「ライン(LINE)とか見てもらえれば分かる。どうして私が作り話をしないといけないのか」とやや声を張り上げた。
碇被告への証人尋問は5日も予定されている。赤堀被告は全面的に無罪を主張している。【平塚雄太】