ツイッターで日本棋院の執行部批判を繰り返したなどとして、同院から対局停止6カ月の処分を受けた囲碁の依田紀基(のりもと)九段(56)が、処分の無効確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、「処分は有効」と判断し、請求を棄却した。新谷祐子裁判長は、依田九段の言動が原因でスポンサーが撤退したと認定し、「招いた結果は重大。所属棋士としての責務に反し、日本棋院の秩序を乱した」と指摘した。
判決によると、依田九段は2019年6月、日本棋院の役員が解職されたことに関連して「執行部は情報が閉鎖的。嘘(うそ)もつくし事実も歪(ゆが)める」などと自身の実名を出しての投稿を繰り返した。同院が主催する棋戦の一つに協賛する企業がこれらの投稿を問題視し、19年を最後に協賛を取りやめた。同院の罰則委員会は20年2月、依田九段を対局停止6カ月の処分にした。
依田九段は訴訟で「投稿は正当な意見や論評。協賛終了を理由に棋士を処分することは不当だ」などと主張したが、判決は依田九段が十分な裏付けを取らずに投稿していたと指摘し、「一方的な非難であり、正当化できない」と判断した。
依田九段は今回の訴訟に先立ち仮処分を東京地裁に申し立て、訴訟を起こすことを条件に和解が成立。同院はこれに基づき現在、処分を一時停止している。同院は今回の判決を受け、依田九段の対局を今月15日から23年3月16日まで停止し、その期間は依田九段を不戦敗にすると発表した。
依田九段は、事実と異なる日本棋院の主張を基に判断されたとして控訴する意向を示した。【遠藤浩二】