台風15号による甚大な被害に見舞われた千葉県南部の大規模停電はほぼ解消したが、住宅被害はまだまだ深刻な状況だ。災害対策の「初動が遅れた」と批判が噴出する中、安倍政権は千葉県への“手厚すぎる”特例支援を決定。場当たり的な対応の狙いは失態隠し。カネを積んで批判をそらそうというわけだ。
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政府は24日、国の支援制度の枠を外れる「一部損壊」家屋の修理への公的支援を特例的に拡充すると発表。現行法による支援対象は被害割合が「20~40%」の「半壊」以上の住宅に限られており、「20%未満」の一部損壊は対象外だ。
千葉県内の住宅被害は同日時点で約1万2900戸。うち9割近い1万1400戸が一部損壊だ。強風で屋根が吹き飛ばされ生活がままならない市民にとって支援拡充は、復旧の後押しになるに違いないが、ちょっと待ってほしい。今回の特例は不自然なほどの“大盤振る舞い”なのだ。
今年6月、最大震度6強を観測した山形県沖地震でも、政府は今回同様、一部損壊家屋への支援を含む特例措置をとったが、当時は自治体が行う支援の財源のうち「半分」を国が賄ったに過ぎない。一方、今回は財源の「9割」を国が賄う“厚遇”ぶりだ。
■大阪北部地震では「特例」ナシの不公平
最大震度6弱だった昨年6月の大阪北部地震では、住宅被害5万7348戸のうち、ほぼ全てが一部損壊。同年9月の台風21号でも大阪府を中心に住宅被害が拡大したのに、政府は今回のような特例支援は行わなかった。住宅の損壊程度にかかわらず独自支援を打ち出す摂津市では、いまだに強風で吹き飛んだ屋根瓦の代わりにブルーシートを張った住居が目立つ。千葉県と似たような被害状況なのに、「一部損壊住宅に対する国からの特例支援はない」(市建設課)という。
あまりに恣意的な対応に、ネット上では「千葉だけだと不公平」「完全なダブルスタンダード」といった批判が続出。千葉にだけ大枚をはたくのは、今回の台風発生が組閣時期と重なり、「政府の初動対応が遅れた」との批判をはねのける狙いがあるのは明白だ。
赤羽国交相は21日の閣議後会見で、「総理から家屋損壊への対応等について最大限の工夫を行い、国と自治体が協力して支援を進めるよう指示を受けた」と明かした。官邸からせっつかれたからなのか、「突然の特例対応に国交官僚は大慌てでした」(霞が関関係者)という。安倍首相の焦りは相当なものだったのだろう。
「自然災害は年々深刻化していますから、今回、特例支援を決めたこと自体は評価できます。しかし過去、同様の被害に遭った方たちとの対応の差は明白です。特例で対応するなら、可能な限り過去にさかのぼって支援措置を検討すべきでしょう。それができなければ、法の下の平等に反する。結局、初動の遅れへの批判をかわすための“特例中の特例”だったと受け止められても仕方ありません」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)
結局、カネを積んで批判を封じようという薄汚い魂胆。特例支援の裏のドス黒さを見逃してはいけない。