10年前の殺人事件 2度不起訴の暴力団住吉会系元幹部の男を起訴 横浜地検

10年前に神奈川県逗子市で男性らが死傷した事件で、横浜地検は12日、殺人などの罪で、指定暴力団住吉会系元幹部で千葉県松戸市の無職の男(39)を起訴した。男は殺人容疑で逮捕され、これまでに2度不起訴となっている。捜査関係者によると、同じ事件で2度の不起訴から一転して起訴されるのは異例という。地検は新たな証拠を踏まえ、起訴すると判断した。
起訴状などによると、男は2013年7月14日、逗子市新宿の逗子海岸近くの地下道で、指定暴力団稲川会系組員の男性=当時(30)=の胸をナイフで多数回刺すなどして殺害。さらに住吉会系組員の男性=当時(28)=の腹などをナイフで刺して殺害しようとした、とされる。地検は認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、男の事件への関与について、現場にいた関係者らの証言などの新たな証拠が複数得られたという。
事件を巡っては同年、県警が男ら4人を殺人容疑で逮捕。横浜地検は4人を不起訴としたが、15年に横浜第1検察審査会が、男の不起訴のみ「目撃証言から被害者とトラブルになって刺したと認められる」などとして、不起訴不当と議決した。地検は再捜査の結果、16年に2度目の不起訴処分としていた。
県警は今年6月、男を、殺害された稲川会系組員の男性とともに現場で倒れていた、住吉会系の組員の男性への殺人未遂容疑で逮捕。この男性はトラブルの仲裁に入ろうとして刺されたという。