また問題大臣だ。今度は、柴山昌彦文科相のツイッターが炎上している。コトの発端は、来年4月から導入される「英語民間試験」についての書き込みだ。
現在、実施されているセンター試験に代わる「英語民間試験」には、高校生や保護者、学校関係者から「不公平」や「不透明」など懸念が噴出し、実施団体「TOEIC」まで離脱。「AERA」が実施した教員、保護者、生徒へのアンケートでは、「中止すべき」が72%、「延期すべき」が23%と圧倒的多数が「ノー」だった。
ところが、柴山文科相は、16日付のツイッターで〈サイレントマジョリティは賛成です〉と根拠もなく、異論を一蹴。1人の賛成論者を取り上げて〈エキスパートはこう主張しています〉(17日付)と露骨なつまみ食いをした。
さすがに、〈周りに賛成している人一人もいませんよ〉〈都合のよい声だけを取り上げ、誇張している〉と批判が相次いだ。
そこで、聞く耳を持たない大臣にシビレを切らした慶大生が24日、埼玉県知事選の応援に来た柴山氏の演説中、大宮駅前西口で、「若者の声を聞け」などと記したプラカードを掲げ「柴山辞めろ」「入試改革を白紙撤回しろ」と発言した。すると、スーツ姿の警察官に3人がかりで引っ張られ、排除された。ベルトがちぎれたという。
■高校生の抗議に「業務妨害」
警官が学生を強引に排除するだけでも大問題だが、柴山文科相はこの強制排除に対して、〈少なくともわめき散らす声は鮮明にその場にいた誰の耳にも届きましたけどね〉(26日付)とまるで騒音扱い。怒った高校生が、ツイッターで公開されている文科省の電話番号を記し、抗議を呼びかけると、柴山氏は高校生相手に〈業務妨害罪にならないよう気をつけて下さいね〉(26日付)と半ば脅す始末だ。
ネット上では〈政策に抗議する電話をかけると業務妨害罪に問われる可能性があるのですか?〉と火に油を注いだ。
柴山氏は2004年、自民初の公募で選ばれ、埼玉8区から連続6回当選。東大法卒で弁護士でもある。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「国民の声を聞くために役所は電話番号を公開しています。現職の大臣が、国民からの抗議を業務妨害になり得ると牽制するのは、民主主義の否定です。どうしてメディアは大騒ぎしないのか。大臣辞職に値する問題発言です」
9月の内閣改造を前に、更迭すべきだ。