川崎市は14日、神奈川県内外で保育所を運営する「フェイスフルラバーズ」(川崎市宮前区)が、市内4施設に関して運営委託費約5400万円を市から不正に受給していたと発表した。同社は東京都内の施設でも約5500万円の不正受給が明らかになっており、市の監査で問題が発覚した。市は不正受給分の返還を求めるとともに、他の補助金についても調査を進める方針。
発表によると、認可保育所「ピュアリー宮前平保育園」(同区)など4施設では2018~22年度、月80時間の労働時間を同120時間と実態と異なって申告したり、既に退職した職員の人件費を請求したりして、市に対して適正な報告を行わなかった。市の聞き取りに同社は「社内でのチェック体制が働いていなかった」と話しているという。
今後の調査で新たな不正受給が判明した場合、市は追加の返還請求を行う。市こども未来局は「当該法人に対して今後の運営状況を定期的・重点的に確認する」とした。
同社は市内4施設のほか、東京都目黒区と大阪市中央区で保育所を運営している。目黒区によると、不正受給の発覚時に同社は「他の自治体では不正を行っていない」と説明したという。区の担当者は「裏切られた気持ちだ」と憤った。