想定を超える「トランプ関税」の公表に、石破政権が大慌てしている。同盟国の日本は関税率を低く抑えてもらえると思っていたそうだが、フタをあけたら24%とEUの20%よりも高水準。石破首相は「極めて残念で不本意」と言い、適用除外を求める考えを示したが、この間、手をこまねいていたのが実態だ。
こうした石破首相の無策に批判の声を上げたのが、「ポスト石破」に色気アリとみられている高市早苗前経済安保相(64)である。3日に自民党本部で開かれた「保守団結の会」に出席。交渉役の武藤容治経産相の訪米が1度だけだったことを念頭に「(武藤は)なんで日本におるんやと。政府は本気の姿勢を見せるべきだった」とチクリ。さらに、「陣頭指揮をとっているのが誰か、よく見えてこない。問題点があり、とても残念だ」と批判を展開した。ここぞとばかりに石破政権をディスってみせたのだ。
保守団結の会には、高市氏をはじめ「右寄り」の自民議員が所属しており、古屋圭司元国家公安委員長、西田昌司参院議員ら約20人が出席したこの日の会合では、石破首相の退陣論も噴出。複数議員から「党の顔を変えるべき」「石破では参院選は勝てない」といった声が上がったという。さながら、“高市総理”誕生に向けた決起集会の様相である。
■安倍元首相を意識
「高市さんが意識しているのは、安倍元首相の存在でしょう。トランプ氏は2日の演説で日本への関税上乗せを説明した際、過去の安倍さんとのやりとりを紹介。第1次政権時のトランプ氏が『日米の貿易は公平じゃない。シンゾー、我々は行動しなければ』と、米国の貿易赤字解消に関する持論を伝えると、安倍さんが『分かっている』と応じたエピソードです。真偽は不明ですが、トランプ氏が安倍さんを評価していることは世界中に伝わった。『安倍後継』を自任する高市さんは、自分ならトランプ氏と渡り合えるとアピールしたのでしょう」(自民関係者)
「石破降ろし」に動くのだろうか。
「裏金事件でボロボロのいま、総理総裁を受けるなんて火中の栗を拾うようなもの。そこは高市さん本人も分かっていて、今すぐに動くことはないでしょう。ノロシを上げるタイミングは参院選後。惨敗すれば、石破さんの退陣論は拡大必至。その時に向けて、存在感や求心力が低下しないよう、計算して発言しているフシがあります」(官邸事情通)
石破首相が無策なのは確かだ。しかし、高市氏が首相だからといって“サナエ、日本は関税ゼロだ”とトランプが態度を変えるだろうか……。