長崎県の壱岐市沖で転覆した医療搬送用ヘリが見つかり、3人が死亡した事故で、海から回収された機体が10日朝、佐賀県唐津市の港に到着しました。
ヘリを乗せた船は10日午前8時ごろ、着岸しました。機体はシートに覆われています。クレーンで陸揚げされました。
ヘリは9日午前、福岡県の宗像市沖で、民間のサルベージ船に引き揚げられました。
沈没しないよう浮き具が装着されていましたが、福岡方面に流されていました。
ヘリは長崎県の対馬空港から福岡市の福岡和白病院に向かう途中、何らかの理由で海に不時着したとみられています。搭乗していた6人のうち、患者と家族、医師の3人が死亡しました。
緊急時に自動で発信される航空機用救命無線機の救難信号が、海上保安庁などに届いていなかったことから、国土交通省は、無線機が正常に動かなかったことで救助活動が遅れた可能性があるとみています。
この事故をめぐり、唐津海上保安部は9日、ヘリを運航していた「エス・ジー・シー佐賀航空」の本社を家宅捜索しました。
海上保安部はこれまで、ヘリに搭乗していた機長や整備士など生存者3人から事情を聞くなどしていましたが、業務上過失致死傷と航空危険行為処罰法違反の疑いで運航会社への強制捜査に踏み切りました。
海上保安部は今後、押収した資料や機体の状況を調べる方針です。
また、国の運輸安全委員会も事故の調査に着手していて、それぞれの機関での原因究明が本格化する見通しです。