若者を冷遇する社会を“ディスる”18歳の高校生ラッパーが伝えたいメッセージ「政治は僕らの生活に直結するもの」

“若者の政治離れ”と言われる一方で、選挙権がない若者たちが政治に声を上げている。彼らはなぜ政治に興味を持ち、今何を主張しているのか。 7月20日投開票の参院選を前に、“真剣10代”の声に耳を傾けよう。 ◆ISSHIN(18)の主張 「若者よ政治に興味を持て」ラップで綴るメッセージ 〈若い者の投票率は 年功序列式の 日本学校が作る どうせ言っても変わらない 言ってるうちはだだ下がり〉 若者を冷遇する社会を“ディスる”自作の楽曲「tohyoken」でこう歌うのは、兵庫県尼崎市の高校生ラッパー・ISSHINさん。 彼が主に訴えたいのは、若者の政治参加の必要性と、被選挙権年齢の引き下げだ。 「若者の政治に対する関心が低いのは、政治の場に同世代がいないことも大きいはず。議会では親よりも年上の大人も多く、そんな人が議論していても僕らは実感が湧かない。若い議員が増えれば、同世代の関心も高まると思います」 公職選挙法では未成年者の選挙運動が禁じられている。彼はその事実に直面し、「18歳未満にも選挙で応援する自由を」訴訟の原告になっている。 「成人前、特定の候補者の応援をしようとして調べてみたら、公職選挙法で禁止されていると知り愕然としました。そんな制度を変えたいという思いで原告になったんです。未成年というだけで応援できないのは変でしょう?」 ◆政治に無関心だったラッパー仲間が投票した 彼が政治に興味を持ったきっかけは、ブラック校則に対する疑問からだった。 「僕の中学校には、ツーブロック禁止、眉毛に髪がかかるのはNG。理不尽な校則だと思って、青少年向けの活動支援施設に出向き、中高生251人に校則についてのアンケートを実施。集めた意見を市に提出した結果、校則見直しに向けたガイドライン策定にがり、政治に興味を持ったきっかけになりました」 今年5月に18歳になったISSHINさん。6月、地元尼崎市の市議会議員選挙で念願の「初投票」を経験した。 「嬉しかったのは、同世代のラッパー仲間も僕の存在をきっかけに投票に行ったと話してくれたこと。僕一人の活動で人が動いたんだから、選挙運動の年齢制限撤廃や立候補年齢引き下げが実現すれば、政治に興味を持つ若者はさらに増えるはず。政治は僕らの生活に直結するものですし訴え続けます」 若きラッパーの反骨精神が、同世代を動かす風になる。 若者世代の当事者の声は、これからも響いていくだろう。