地方組織からも退陣要求…広がる“石破おろし”の動き 閣僚からは擁護の声も

続投を表明している石破首相に対して、自民党内では、批判の声が強まっています。また、自民党の都道府県連からも辞任を求める“石破おろし”の動きが広がってきています。
参議院選挙で大敗した自民党。石破首相の“続投表明”をめぐり波紋が広がっています。
小泉農水相
「目標を達成できなかったこと。このことを重く受け止めるべきだと思います。国民の皆さんから突きつけられたことに真摯に向き合って、我々に足りないものはなんだったのか、こういうものに向き合った上で前に進まなければいけない」
“ポスト石破”の1人と目される小泉農水相。22日朝、言及したのは“石破首相の進退”について。
小泉農水相
「総理として今回続投するという判断をされた中で、それをご理解をいただけるか、国民の皆さんにそして党内に、こういったもの重く受け止めてよくご理解をいただけるように、しっかり説明を続けていただきたいと思います」
今や衆議院・参議院ともに「少数与党」。自ら“茨の道”と表現しつつも――
石破首相
「政治を停滞させないよう、責任を果たしていかなければならない」
“続投”を表明した石破首相。しかし自民党内にくすぶるのがいわば“不満のマグマ”。“石破おろし”の声が地方から急速に広がっているのです。
自民党・高知県連
「今回の参院選の敗北の責任をとり石破総裁は早期に退陣すべき」
自民党・高知県連が21日、一部の役員が石破首相の早期退陣を申し入れる方針を決めると。
青森県連は。
自民党青森県連・津島淳会長
「当然に石破総理は責任をとって、自らの身を処すということを明らかにすべし。いずれきちんとけじめをつけるべき」
山口県連も。
自民党山口県連・友田有幹事長
「いかにも『比較第一党』と自分が信任を受けたような話をされていましたので、それにはちょっと詭弁を弄しているじゃないか。しっかりと責任をとるべきだと思います」
身内から続々と“厳しい声”が――
自民党山口県連・友田有幹事長
「(Q.責任というと?)石破総理が第一次安倍政権の時に安倍総理に言ったことと同じことです」
実は石破首相、2007年に参院選で大敗した当時の安倍首相に――
石破氏(2007年当時)
「総理は辞めるべきだと思う。みんなで総理を守っていこうというようなことを言ったら自民党は終わるよ」
“辞任を迫るような発言”をしていました。
石破氏(2007年当時)
「『今の自民党は嫌だ』と投票した人たちの気持ちを無視するようなことはあってはならない。総理が何の責任もとらないとしたらそれはもういかんのじゃないの」
さらにその2年後、地方選挙で連敗した当時の麻生首相にも――
石破農水相(当時)
「なぜ自公でなければいけないのときちんと示した上で、やはり早く民意は問うべきなんでしょうね」
当時、現職閣僚でありながら“麻生おろし”に加担。退陣を迫ったことがあったのです。
10年以上が経過した今、自分の発言が“ブーメラン”。石破首相自身に返ってくることになりました。
こうした中、一部の議員の間で注目されているのが自民党の党則にあるいわゆる「リコール規定」。これは国会議員と都道府県連の代表者の“過半数の要求”があれば総裁選ができるというもの。
現在、党所属の国会議員は294人。都道府県連と合わせて要求が171を超えれば総裁選をすることができます。
22日、茨城県連や栃木県連が相次いで石破首相の退陣を求めることを決定。
さらにあるベテラン議員はこう話しています。
ベテラン議員
「総裁選要求に向けた署名集めをするかどうか話し合っている議員もいる」
雨やあられと降り注ぐ退陣要求に対し、擁護の声も――
村上総務相
「総務委員会・予算委員会は朝4時5時起き。石破さんは3時起き。横で見ていてね、本当にね、大変だなと」
石破首相とは、長年の盟友。村上総務相。
村上総務相
「私は一緒にやってきたけど、彼の努力というか苦労を見ているだけに、そう簡単に一刀両断に(首相の責任について)言えることなのか、正直私だったら体がもたない。確かに選挙の結果がこうなると皆さんの不満は本当によくわかる。だけど今までの負の遺産を背負いながらここまでやってきたことに対して、私は石破さんだからここまでやってこられたと心底思っている。私はできる限り一生懸命支えていきたい」
石破内閣の面々、いわば“チーム石破”からは擁護の声もあがっています。
中谷防衛相
「石破内閣を支えていく。当然のこと」
中谷防衛相。石破首相の早期退陣を求める方針を決めた、自民党・高知県連の会長も務めていますが。
中谷防衛相
「(高知県連の“首相退陣要求”について)会長の私への報告・了承もないままに行われたもの。正式な要求ではない。内容については知らされていないまま。どういうことなのか疑問に思った。今後も内閣の一員として石破内閣を支えていく立場。(自民党高知)県連の一部の役員の意見とは異にするもの」
“チーム石破”の“ナンバー2”、林官房長官も。
林官房長官
「引き続き石破総理をお支えして参りたい」
「支えていく」。そう語る一方で、ポスト石破の1人とも言われています。
21日は、自らに近い議員と会合を行い――
記者
「林官房長官の陣営が今後の政権について打ち合わせしているものとみられます」
石破首相を「変な形で辞めさせてはいけない」などと、今後の対応を協議したといいます。
揺れる自民党。行く末のカギを握るのは、今月31日です。この日、参院選の総括を行う両院議員懇談会が開かれる見通しとなっていて、「石破おろし」を目論む多くの議員が、「この日までに決着をつけなくては」と話しているといいます。
“石破おろし”は、どこまで加速するのでしょうか。