フジテレビ、元社長の港浩一氏らに50億円の損害賠償求め提訴

フジテレビを巡る一連の問題で同社は28日、元代表取締役社長の港浩一氏と元専務取締役の大多亮氏に対し、50億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表した。
2023年6月に元タレントの中居正広氏と同社元女性アナウンサーとの間で生じた事案について、港氏と大多氏は報告を受けながらも、事実関係の調査や適切な対策の実行などの善管注意義務を怠り、同社に損害を与えたという。
今回の一件では、多くの広告主がCMを差し止める状況が続き、同社は今年6月30日までに約453億円の損害を被っているという。訴えでは、その一部として2人に連帯して50億円を支払うよう求めている。
同社と親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会が3月に公表した調査報告書は、2人が「極めて『思慮の浅い』経営判断の誤りを犯した」と断定。これらを受け、フジテレビは2人に対する訴訟準備を進めていた。大多氏は読売新聞の取材に対し、「まだ訴状が届いておらず、コメントは差し控えさせていただきます」としている。
今回の事案では、人権意識が低い同社の企業風土が問題視されており、同社は「人権とコンプライアンスを最重要とする企業風土を確かなものにしていくためには、今回の事案に係るフジテレビ元取締役の責任を追及することは不可欠」としている。