高市政権は21日(金)にも経済対策を閣議決定する予定だ。対策の規模は17兆円を超える見通し。“目玉政策”は、地方自治体が自由に使い道を決められる「重点支援地方交付金」の拡充だ。予算規模は約6兆円に上るという。
高市政権は、この「重点支援地方交付金」を物価高対策として使うつもりだ。わざわざ食料品の価格高騰対策にあてる「特別枠」を設け、原則としてすべての自治体に何らかの食料品対策に取り組んでもらう。しかも、どんな対策がお薦めなのか、国が「推奨メニュー」を定め、各自治体にメニューを決めてもらうシステムにするという。
しかし、この方式には早くもブーイングが起こっている。「重点支援地方交付金」は、自治体が自由に使えるといえば聞こえはいいが、実態は「物価高対策」を自治体に丸投げするようなものだからだ。ただでさえ、これからの時期は「ふるさと納税」などで自治体の事務作業は大変になるのに、さらに負担が増すことになる。
それに、自治体によってメニューが変わるから、どれだけ家計の負担が緩和されるか、自治体間で差が生じかねず、不公平になる恐れがあるという。
とくに評判を悪くしているのは、政府がお薦めする「推奨メニュー」に、現金、プレミアム商品券、マイナポイント発行などと並べて「おこめ券」を入れることだ。ネット上では、批判が殺到している。
<正直、おこめ券はあまり嬉しくありません。それよりも一時的に社会保険料を下げる、ボーナスから保険料を取らないなど目に見えて実感できるものにして欲しいです>
<お米が高いから困っているけど、だからと言ってお米券はいらないと思う。せめて商品券にして欲しい>
<お米券は国民の物価高対策じゃなくて、ここまで米の価格を引き上げたJAと卸売業が儲ける為のお粗末な対策です>
<安倍のマスクに匹敵する愚策>
1万円の「おこめ券」で実際に使えるのは8800円
プレミアム商品券は、1万円で券を買うと1万2000円分の買い物ができるなど“上乗せ分”があるが、逆に「おこめ券」は、1万円の「おこめ券」をもらったとしても、実際に使えるのは8800円に過ぎないことも不評のようだ。「おこめ券」は1枚500円だが、印刷費や流通費などで60円が引かれ、実際に使えるのは440円分となっている。
そもそも、総額17兆円が想定されている景気対策が、物価高対策になるのかどうか、疑問視する声もある。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「カネをばらまく、いわゆるサナエノミクスは、本来、デフレの時に行う政策です。インフレの時に大幅な財政出動をしたら、余計にインフレを加速させてしまう。円安を招き、輸入物価も押し上げてしまいます。物価高を抑えたいなら、財政出動よりも、金利の引き上げでしょう」
サナエノミクスによって、庶民生活はますます苦しくなる。
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