厚生労働省は21日、生活保護基準を引き下げた国の改定を違法とした6月の最高裁判決を受け、原告に対し、違法とされた引き下げ分を全額支給すると発表した。一方、同基準については当時の消費動向などの新たな指標も加味し、従来の基準と比べ約2.5%減額改定した上で、原告以外も含め一律に適用する。
原告には、改定前の支給水準と今回の改定基準との差額分を特別給付として支給する。支給額は原告が約20万円、原告以外は約10万円となる。事業費は2000億円程度で、2025年度補正予算案と26年度予算案に分けて盛り込む方針。
国は13~15年、物価の下落率(4.78%)を踏まえた「デフレ調整」と、低所得世帯との格差を是正する「ゆがみ調整」に基づき、食費などに充てる生活扶助基準を平均6.5%引き下げた。最高裁判決ではデフレ調整について、厚労相の判断に裁量の逸脱、乱用があったと判断。デフレ調整を違法と結論付け、13~15年の引き下げ措置を取り消した。一方、「ゆがみ調整」は適法とした。 [時事通信社]