安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が25日、奈良地裁(田中伸一裁判長)であり、被告人質問が続いた。被告は2006年ごろから、安倍氏が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関わりがあると考えていたと述べた。
安倍氏は06年に官房長官を務めていた。この頃、被告は教団の関係者から「安倍氏がうちの教義を知っている。我々の味方だ」と聞いたことがあると明らかにした。
インターネット上で調べるうちに、安倍氏の祖父にあたる岸信介元首相と教団の関係が分かるようになったとも述べた。
そのうえで、被告は安倍氏が教団の関連団体に寄せたビデオメッセージを視聴したことも明らかにした。この時の印象について「(教団が)社会的に問題ないと認知されていってしまうのではないか」と思ったという。
被告は「教団による被害を受けた側からすると非常に悔しいと言いますか、受け入れられない状況だと思った」と述べた。その感情について「絶望と危機感かと思います」と語った。【木谷郁佳、根本佳奈】