高市首相と国民・玉木氏が党首討論…「年収の壁」引き上げ、高市首相「ともに努力してまいりましょう」

高市首相(自民党総裁)と国民・玉木代表の党首討論が26日、行われた。両者の主なやり取りは以下の通り。
玉木氏「『年収の壁』引き上げ、178万の約束は」

玉木氏――国民民主党代表の玉木雄一郎です。まず、冒頭総理にお礼を申し上げたいと思います。ガソリンの暫定税率の廃止。我々が2021年の衆議院選挙から訴えてきていたガソリンの暫定税率の廃止でありますけれども、最後、総理のリーダーシップもあって年内廃止が決まりました。また明日からですね5円下がって、12月11日にさらに5円下がって、25円10銭下がって、12月31日に暫定税率廃止、減税とスイッチするということで、多くの特に地方で車に乗ってる方がですね、望んでいたものでもありますし、軽油も総理の思いもあって廃止になりました。物流コストが下がってですね、物価を引き下げる効果も出てくるということで実現できたことを嬉しいと思いますし、総理を始め、与野党の各党の議員の皆さんのご尽力にも感謝と敬意を申し上げたいと思います。
実はこのガソリンの暫定税率の廃止は、昨年の12月11日、我が党の榛葉幹事長と、当時の自民党森山幹事長、そして公明党西田幹事長の3党の幹事長で合意した3党合意の1項目でありました。私たちは3党合意が実現できるのであれば、政治の安定のための環境作りに協力するということは代表質問で私申し上げたところであります。
ただもう一つ大切な課題が残っています。いわゆる年収の壁の引き上げであります。改めてまず総理に確認をいたします。この3党合意のもう一つの約束である、いわゆる103万の壁を178万円を目指して引き上げる。これしっかり守っていただけるかどうか。確認をいたします。
高市首相「一緒に関所を乗り越えましょう」

高市首相――3党合意でのお約束ですから、様々な工夫をしながらしっかりと一緒に関所を乗り越えてまいりましょう。といいますのは、政治の安定、とても大事でございます。お力もお借りしとうございます。そして、玉木代表がおっしゃっている手取りを増やす。もちろん賛成です。そして今経済を成長させるためにはですね、この働き控え、これは何としても少なくしていかなきゃいけない。そういった政策目的が一緒でございますので、しっかりその目標に向けてともに歩んで参りたいと思っております。
玉木氏――ありがとうございます。一緒に関所を乗り越えていきたいと思います。改めて確認します。この3党合意で書いた178、178というですね、あの根拠について改めて確認したいんですが、総理の認識を伺います。なぜ178、三党で合意したのか。
高市首相――国民民主党さんのビラに基づくとですね、最後に基礎控除が引き上げられたのが平成7年でございます。そのときの課税最低限103万円、これに最低賃金の上昇率。これを掛け合わせて出された数字と承知をいたしております。
玉木氏「働き控え解消に、最低賃金の上昇率も加味した控除額の引き上げを」

玉木氏――正確なご理解ありがとうございます。実はこの年収の壁の引き上げは二つの政策目的あります。一つは、インフレ等に合わせて控除額を引き上げていって、まさに今出費が物価高で増えてますね。ですから控除額を上げることによって、まさに手取りを増やして出費が増えていることに対して、手元に残るお金を増やしていこうという、物価高騰対策としての意味が一つです。
もう一つは、いみじくも今、総理にご言及いただきましたけれども、最低賃金等が上がっていく中で控除額を合わせて引き上げていかないと、いわゆる課税最低限の下で就業調整をして、わかりやすく言うと働き控えをしてその下にですね、年収を抑える方がこれ何百万といらっしゃいます。
私は高市総理のすすめる成長戦略、大賛成です。ただ、これもう率直に申し上げます。ボトルネックがあると思うのは人手不足です。どんなにお金を積んでも、どんなに工場を建てよう、どんなに設備を動かそうとしても、最後動かしたり作るのは人ですから。それが十分働けない、働きたいけど働けない、稼ぎたいけど稼げない。この制約を取ることが、難しい言葉で言うと、労働投入の制約を取ることがですね、成長戦略を実現するための私は必要条件だと思っています。
ただ、総理の答弁を聞いてると、基礎控除はインフレ、物価上昇のみに連動させてあげるということがこの間の答弁でもあります。もし、政策目的としての働き控え解消ということにご理解いただくのであれば、インフレに連動させるのはもちろんのこと、最低賃金を始めとした賃金上昇率も加味して、控除額を上げていかないと、この働き控えは解消されないんではないでしょうか。
ぜひインフレに加えて最低賃金の上昇率も加味した控除額の引き上げ。そして178万目指して引き上げることをぜひ実現していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
高市氏「給与所得控除もあわせてともに目的を達成していく」

高市首相――まず人手不足。これを放置していては経済成長、これがおぼつかないということには大賛成でございます。その上でございますが、まず今日中継も入っておりますのでこの年末には年収の壁160万円に引き上げられるということで、大体お1人、単身でしたら2万円から4万円。これは年末調整で戻ってまいります。対象になるのが約5600万人でございます、概ね8割ぐらいの方に恩恵が生じるということです。
そして、その基礎控除の引き上げなんですけれども、物価連動に私どもがしておりますのは、その基礎控除っていうのはもう全ての納税者に関係のあるものでございます。ですから、これ仮に最低賃金がこう上がったといって、全ての納税者に対して、その引き上げをするということになると、かなり高所得の方にもこの恩恵が及ぶということで、どちらかと言えばその働き控え対策が政策目的であれば、中所得、低所得の方へということにターゲットを絞った方がいいんじゃないかというのが我が党の考え方でございました。
ただ、給与所得控除もあわせてですね、考えながらともに目的を達成していくということであれば、私は大いに賛成をいたします。
玉木氏「178万円目指す総理の決意を」

玉木氏――ありがとうございます。福井県行ったらですね、ある夫婦が来て困ってるって言うんですよね。会社で経理担当してる方で、今回基礎控除に新たに四つの壁ができたんで、年末調整の計算が煩雑でしょうがないと。夜帰りが遅くなって旦那さん怒ってるって夫婦で来てくれたんですね。こういうのはやっぱり税って公平中立簡素なので、やっぱシンプルにすべきだと思います。
そして今、高市総理がおっしゃっていただきましたけれども103万って元々基礎控除+給与所得控除で出来ているので、仮にね、基礎控除はもうインフレだということであっても、給与所得控除は元々年収に合わせて控除額を膨らませていく制度になってますから、ぜひね、これは給与所得控除も含めて178万円まで引き上げていく。
給与所得控除はですね、所得制限なく上げられると私は思ってるので、ぜひ178万円目指して引き上げていく。ともに関所を超えていきたいと思いますんで改めて最後、総理のご決意をお伺いしたいと思います。
高市首相――はい、給与所得控除も含めてということでございますので、ともに努力をしてまいりましょう。ありがとうございます。
玉木氏――あのともに関所を超えていきましょう。ありがとうございます。