小学校で高学年の男児が、同級生男児から「裸で床に体をこすりつけていた」と言われたことを機に、クラスメートから仲間外れにされた。
学校側は発端となった同級生男児の言動について「いじめ」との認識を示した。だが、担任教諭らはこの発言を機に広がった男児への誤解を解く対応を取らず、「見守り」にとどめた。男児はその後、転校した。
保護者は「教諭らがいじめの被害を拡大させ、転校を余儀なくされた」と訴え、「いじめ重大事態」として第三者委員会による調査が行われている。【町田結子】
愛知県弥富市での事案で、情報提供フォーム「つながる毎日新聞」に情報が寄せられた。
保護者の情報公開請求に学校側が開示した文書などによると、経緯はこうだ。
昨年6月、同級生の一人が男児に対して、複数回にわたり「汚い」と発言。机を拭く際に、「汚いから手を洗うまで触るな」とも言った。学校側はこれらを「いじめに該当する」とした。
「いじめ」の起点となったのは、プール授業を終えた後、着替えの時だった。
複数の児童が裸でふざけて遊んでいる中で、男児はうつぶせで床に寝転んだ。すると、同級生男児は「床に体をこすりつけていた」などと言った。
この説明を否定した男児に対し、担任の女性教諭は「寝転んだだけだったとしても勘違いされる行為だ。嫌な気持ちになる子もいる。社会に出たらわいせつ罪になる」として、床を拭かせた。
男児は帰宅後、「担任教諭から叱られて、雑巾がけを指示された」と泣きながら話した。保護者は、担任教諭の報告と食い違いが大きかったことから学校側に照会。すると、学校側は同級生男児に「相手を傷つける言動はよくない」と言って指導したことを明らかにした。
この後、男児は他の児童からも「(陰部を)こすりつけていたんでしょ」などと言われるようになり、学校での居場所がなくなったという。
保護者は、同級生男児の発言が肯定されたまま、「陰部を床にこすりつけていた」との認識が広まっているとし、担任教諭がクラスメートの前で訂正してほしいと要望。学校側は「それが元で周りから避けられているような事実は見られない」との回答だった。
その後も、保護者と学校側の話し合いは平行線をたどった。学校側は「股間が床につく事実はこすりつけているのと変わらず、そのように見えてしまうのは仕方がない」との見解に終始した。
保護者は、2学期が始まる直前の8月末、「学校に行きたくない」と訴える男児にどう対応すべきかを相談。校長は、これまでと同様に「見守っていく」と述べるだけだったことから、転校を決意。今は別の学校に通っている。
学校側が対応を取らなかったため、いじめの被害が拡大したと考える保護者の申し出を受けた市教委は10月、「いじめ重大事態」として医師や弁護士らによる第三者委員会を設立。関係者へのヒアリングなどが進められている。
保護者は、男児が言葉で説明することを苦手としているとしたうえで、こう話す。
「これまで、理解のある先生方に支えられて学校生活を送ることができていたのに、『汚い』と言われたことで自分を責めるようになってしまった。担任教諭の指導を不適切と認め、報告書には具体的な提言を盛り込んでほしい」
学校の教頭は「第三者委が調査中なのでお話しできない」、第三者委の事務局を担う市教委は「調査は公平中立に進められている。我々もできる限り協力したい」としている。