米国とイスラエルの攻撃を受けたイランの報復攻撃は米軍施設を抱える湾岸諸国にまで広がり、現地で暮らす日本人は不安を募らせる。日本と行き来する航空機の欠航も続き、暮らしやビジネスにも影響が出始めた。
生活やビジネス 影響
「こんなに緊張感が高まったのは初めてだ」
ペルシャ湾を挟んでイランの対岸に位置するアラブ首長国連邦(UAE)。主要都市であるドバイに住んで3年という会社員の金崎柊歩(しゅうほ)さん(27)は2日、読売新聞の取材に応じ、そう声を震わせた。
2月28日夕、ドーンと激しい爆発音が鳴り響いたという。深夜には避難を促す携帯電話の警報音がとどろき、マンション地下駐車場の自家用車の中に逃げ込んだ。その夜は2~3時間しか眠れなかった。爆発音は翌3月1日夜まで断続的に続いた。「今後どうなってしまうのか」と不安を募らせる。
イランによる報復攻撃が始まった直後から、街中からは人影が消え、車の往来もめっきり減った。水や食料の買いだめを控えるよう、テレビ報道で呼びかけがあった。
ドバイ中心部の日本人学校にも大きな爆発音が届き、校舎からは白い煙が立ち上るのが見えたという。同校は生徒の安全に配慮し、2日からオンラインでの授業に切り替えた。教頭を務める近藤聖一さん(54)は「大きな音がするたびに緊張感が走る」と身をこわばらせる。
1週間後に卒業式を控える中、日本での受験のために一時帰国したまま戻ってこられない生徒が数人いることも気がかりだ。国際的なハブ(拠点)空港のドバイ国際空港では航空便の欠航が相次ぎ、日本と現地を結ぶエミレーツ航空がドバイ発着便の運航を取りやめているためで、近藤さんは「早く落ち着いた日常に戻ってほしい」と祈るように言った。
自動車部品の輸出入を手がける日系企業の50歳代の男性会社員は、「日本から製品の輸入が止まることになり、顧客への説明に追われている」と疲れた様子で話した。花火のような爆発音を何度も聞きながら、ドバイの事務所内で仕事を続けてきた。だが、米軍の攻撃が5週間程度続く可能性があることを報道で知って大規模な報復が怖くなり、日本にいったん帰国する考えという。
イランによる報復攻撃はUAEのほか、カタール、バーレーンなども標的となった。陸路でUAEを出た後、航空機で日本に向かう経路を検討しているというが、「無事に移動できる保証はない。仕事も生活もどうなってしまうか分からない」と途方に暮れた様子で話した。