躍進の「チームみらい」 金融・コンサル経営者や若者だけでなく「消費減税反対」に共鳴した地方の高齢者まで…「都市型エリート政党」にとどまらない支持層の広がり

自民党の圧勝、そして立憲民主党・公明党が合流した中道改革連合の惨敗という結果となった先の総選挙にあって、異色の存在感を見せたのが「チームみらい」だ。議席ゼロから11議席を獲得する躍進を見せた新興政党に票を投じたのはどのような人々だったのか。リベラル勢力が消滅の危機を迎えるなか、この党は何をなそうとしているのか。ノンフィクション作家の広野真嗣氏がレポートする。【前後編の前編】
候補者14人中5人が東大卒
「不正選挙だと思ってますよ。みらいのポスターや街宣だってこっちじゃ見なかったんだから」
福島県で暮らす30代の元参政党員の男性に2月8日の衆議院選挙の話を聞いていた時、「チームみらい」の話題になると、電話代を気にしていたそれまでのか細い声から、口調は一変した。
筆者はこの主張に同意できないが、驚きの結果だったことは間違いない。
結党1年に満たない政党が28歳の学校職員・林拓海氏を東北ブロックの比例単独候補として発表したのは公示前日の1月26日で、党首の安野貴博氏(35)は公示後、一度も東北入りしていない。
だが投票日から一夜明けると、林氏は当選。運動員ですら「まさか」の展開だった。
しかも全国でじつに381万票を集めて目標の倍以上の11議席に到達。結党2か月で安野氏の1議席を確保した昨年の参院選の得票(151万票)からしても、2倍以上を得たことになる。
朝日新聞の出口調査によれば無党派層の比例投票先でみらいは自民党(23%)に次ぐ2位(14%)。中道改革連合や国民民主党の13%を上回っていた。
なぜそこまでの集票につながったのか。
他の全党の公約が消費減税に傾くなか、「今は消費減税よりも社会保険料の引き下げを優先すべき」という主張が寄与したと、安野氏は2月19日の記者会見で総括した。外国人や高齢者も恩恵を受ける消費減税より、現役世代の重荷を軽くすることが先だという訴えが響いたというのである。
安野氏は名門・開成中高から東大工学部に入り、学部ではAI研究の第一人者、松尾豊教授の研究室に所属。ボストンコンサルティンググループを経て数社の経営にも携わったほか、東京都の外郭団体のアドバイザーを任され、行政のAI活用やブロードリスニング(多様な声を収集・分析して政策に反映する仕組み)に取り組んだ経験も持つ。
「右でも左でもなく未来」を掲げる安野氏の下に集まった平均39歳の党の候補者14人中5人が東大卒。起業家やコンサルなど経歴は多様だが、イデオロギーを脱臭したようなこのエリート集団が、巨大与党が主導する国会で存在感を高めている。
衰退への危機感が強い地域で高齢者も応援