ストーカー被害を訴えていた川崎市川崎区の岡崎彩咲陽(あさひ)さん(当時20歳)が殺害された事件は、遺体発見から30日で1年となる。行方不明になる直前まで一緒に暮らしていた祖母の須江子さん(69)は「守ってあげられなかった」と後悔の念を抱いてきた。(金子祥子)
須江子さん宅の居間には、彩咲陽さんの遺影が飾られ、周囲にはヒマワリの花が置かれている。須江子さんは毎日朝と夜、遺影に手を合わせ、「守ってあげられなくて、助けてあげられなくてごめん」と謝り続けている。
近所の人から、「いつもあいさつしてくれ、人なつこいね」と褒められると、みんなに好かれているのだとうれしかった。生活態度を注意すると舌を出しておどけた時もあったが、「明るくて、ヒマワリのような自慢の孫」だった。
彩咲陽さんが須江子さん宅に身を寄せたのは、2024年12月。元交際相手の白井秀征被告(28)から逃れるためだった。おびえていた彩咲陽さんと一緒に寝ていたが、同20日は別々に寝室に入った。「おやすみ」。それが最後の会話になった。
朝起きると姿が見えず、彩咲陽さんが寝ていた部屋の窓ガラスが割られているのに気づいた。25年4月30日、白井被告の自宅台所の床下から発見された遺体には、燃やされた形跡もあった。「なぜこんなことができるのか」との怒りは決して消えない。だが、「もしも一緒に寝ていたら、何かできたかもしれない」との後悔も残る。
白井被告は殺人罪や死体遺棄罪などで起訴されたが、捜査段階では事件に関してほとんど供述していない。裁判が始まる見通しも立っていない。
須江子さんは29日、父親の鉄也さん(52)ら親族と千葉県内にある彩咲陽さんの墓を訪れ、掃除した後に遺影を立てかけ、好きだった駄菓子や炭酸飲料などを供えた。
須江子さんは「もっと早く見つけてあげられなくてごめんね」と心の中で謝り、「一日も早く真実を知り、彩咲陽に報告したい」と願った。