転落したタンクローリーの運転手を救ったのは、海の男たちだった。和歌山海上保安部は、和歌山市の雑賀崎漁港に転落したタンクローリー内に取り残された男性運転手を協力して救助したとして、同市で船の修理業などを営む池田保さん(81)と知人の水本典一さん(68)に感謝状を贈った。池田さんは、海で働く者には助け合いの精神があることを明かし、「助けたいと思う気持ちはみんな持っている。たまたま私だった」と述べた。
同本部などによると、6月6日午前10時半ごろ、同漁港でタンクローリー車が転落する様子を近くで作業していた池田さんらが発見。転落した付近に急いで向かったところ、タンクローリーの運転席が沈み始めた状態で、車内で運転手が右手を上げているのが見えたという。
池田さんらが海に飛び込んで、車外から窓越しに運転手の頭を支え、呼吸ができるよう水面から顔を引き上げ、「頑張れよ」と声をかけたが、意識を失っているのか反応がなかった。手首から出血があり、ビニールテープを巻いて止血。さらに、体に引っ掛かっていたシートベルトを、漁師らが使う冷凍用の包丁で切って運転手を車外に引き出した。そして、立ち泳ぎをしながら運転手の体を支えつつ、救命胴衣を使うなどして岸へと運んだ。運転手は無事で、その後短期間の入院を経て回復したという。
6月30日に感謝状の贈呈式が和歌山海上保安部であり、同部の川畑照司部長が2人に感謝状を手渡した。池田さんは「たまたま(救助したのが)私だったが、漁師など、海で仕事をする人はみんな助けようとする気持ちを同じように持っている」と毅然(きぜん)と話し、水本さんは「感謝状をもらえるなんてありがたい。助かってよかった」と男性運転手の無事を喜んだ。