後絶たないあおり運転 滋賀県警、取り締まり強化

茨城県守谷市の常磐自動車道で今月10日に起きたあおり運転殴打事件など、悪質なあおり運転による事件や事故が相次ぐ中、滋賀県警はあおり運転を含めた危険運転の取り締まり強化に乗り出している。県警は「自分ではそのつもりがなくても車間距離が近いと(前の車は)あおられていると感じる。感情のままに運転することは危険な行為ということを忘れず、譲り合いの気持ちを持って運転してほしい」と呼びかけている。
あおり運転に明確な定義はなく、車間距離の不保持▽幅寄せ▽ハイビームやパッシングなどの威嚇-などの悪質運転があげられる。県警交通企画課によると、県内では今年1~7月に高速道路での車間距離の不保持など45件を検挙。件数は昨年同時期よりも減少したものの、「車間距離を詰められた」といった相談が多く寄せられているという。
県警はあおり運転などを防止するため、不定期でヘリコプターを使って上空から高速道路を監視する「鷹の目作戦」を実施しているほか、常磐自動車道でのあおり運転殴打事件などを受け、27日に名神高速道路の草津パーキングエリアで緊急の啓発活動を行い、ドライバーらにチラシを配るなどして注意喚起を行った。
あおり運転は平成29年6月に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停車させられた車の夫婦がトラックに追突され死亡した事故などを契機に社会問題化した。
ただ、あおり行為そのものを取り締まる法律がないため、警察はあらゆる法令を駆使するが、負傷の有無などによって適用できる法律に限界があるのが実情。自民党はあおり運転の規制や罰則強化に向けた法整備の検討を進める方針で、早ければ秋の臨時国会での法改正を目指すが、同課の日高清美総括管理官は「明らかに悪質な運転の場合、強い罰則が必要という声があがるのも理解できるが、現場で瞬時にあおり運転かどうかを判断して取り締まることは難しい」と明かす。
日高総括管理官は「鷹の目作戦などは警察が厳しく目を光らせていることをドライバーらに認知してもらうのが狙い」と強調。「あおり運転による被害から身を守るには追い越し車線を低速で走るなどしないようにすることが大切。危険な車を見つけたら、その車線を空けるなどの対応をとってほしい」と訴えている。