軽視できない睡眠不足 睡眠6時間以下で死亡リスク2.5倍

OECD(経済協力開発機構)によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟28か国中でも最短レベルである。とりわけ40~50代は短く、平均7時間を割っている(NHK「国民生活時間調査」)。
日々忙しく過ごす現代人にとって、「たかが睡眠不足」と思いがちだが、軽視してはいけない。睡眠時間が1日6時間以下の人は、7~8時間の人と比べて死亡リスクが2.5倍高くなったというデータもあるからだ(自治医科大学の研究チームの追跡調査)。
睡眠障害に詳しい雨晴クリニック副院長で医師の坪田聡さんが解説する。
「睡眠が充分に取れていないと、免疫力が低下して体を壊しやすくなったり、肥満を招いたり、高血圧や糖尿病の原因になることがあります」
では、睡眠時間を長く取ればよいかというと、そういうわけでもない。
「睡眠は長くても短くても死亡リスクが上がります。睡眠時間が6時間半~7時間半が最も死亡リスクが低かったという研究があります。ただ、自分にとって必要な睡眠というのは個人差や年代差もあります。参考として考えましょう」(坪田さん)
◆「朝食を抜く」「座りすぎ」は死亡リスクが上昇
一日のうちいちばん忙しい朝は食事を抜く人も多い。だが、これが思わぬ死亡リスクにつながることも。秋葉原駅クリニック医師の佐々木欧さんが話す。
「鳥取大学の研究によると、朝食を食べない習慣の人は、食べる習慣の人よりも、男性は1.43倍、女性は1.34倍死亡リスクが上昇します。米アイオワ大学の研究でも、朝食抜きにより心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患による死亡リスクが87%高くなることがわかっています」
朝食を食べないと、なぜ死亡リスクが上がるのか。
「朝食を抜いて、長時間空腹状態が続くと、次に食べた時に血糖値が急上昇します。そうすると、血糖値を下げるため『インスリン』というホルモンが出すぎてしまい、メタボリック症候群になりやすくなるのです。
メタボになると体に負荷がかかって脂肪がつきやすくなり、次第に動脈硬化が進行し、心筋梗塞・脳梗塞などの心臓血管疾患を発症するとされています」(佐々木さん)
1日2食の場合でも、朝はなるべく食べて、朝晩の2食摂るのがおすすめという。
「座りすぎ」も注意が必要だ。早稲田大学スポーツ科学学術院教授の岡浩一朗さんが解説する。
「2012年、運動していたとしても、1日に座っている時間が4時間未満の人に比べ、11時間以上座っている人の死亡率は40%も高かったという豪シドニー大学の研究が衝撃を呼びました。
ここで注意したいのは、この死亡率の上昇は、『運動不足』ではなく、あくまで『座りすぎ』によるものであるということ。対策のために運動すればいい、と思いがちですが、それだけでは充分な解決策になりません。30分に1回は立ち上がり、コピーを取ったりトイレに行ったりして、とにかく座り続けず体を動かすことです」
特に日本の高齢女性は、座りすぎで「サルコペニア」という筋肉がどんどん減少する状態になりやすいという。筋肉量は健康寿命にも影響するため、注意しておきたい。
※女性セブン2019年9月12日号