加藤勝信厚生労働相(64)は16日、新型コロナウイルスの抗体保有率調査を3都府県で実施した結果、東京で0・1%、大阪で0・17%、宮城で0・03%だったと発表した。海外の流行地域と比べると極端に低い割合で、国内の大半の人が抗体を持っていない実態が明らかに。感染症学を専門とする日本医科大学の北村義浩特任教授は「流行の第2波に向けて危険な数値だと思います」と警鐘を鳴らす。
99・9%の日本人は新型コロナウイルスの抗体を持っていない―。流行の第2波に備える上で気掛かりな調査結果が明らかになった。
調査は今月1~7日に東京、大阪、宮城の3都府県で無作為に抽出した20歳以上の住民計7950人に対して実施した。2社の試薬をそれぞれ使用し、どちらも「抗体あり」となった場合のみカウントする高精度検査だったが、結果は東京0・1%、大阪0・17%、宮城で0・03%だった。
抗体保有率は米ニューヨーク州で20%、スウェーデン・ストックホルムで7・3%、スペインで5%という報告がある。簡易キットを用いた場合などは数値が変わるため単純比較は難しいものの、いずれにしても国内の保有率は極めて低い水準となる。
検査によって抗体が検出されれば、症状が出ない場合や病院に行かないまま回復した例を含めて、過去に感染したことを意味する。厚労省はこれまでの感染の広がりを把握し、次の流行で感染する可能性がある人数の推計や、ワクチン接種が必要な人数の試算に役立てるために調査を実施した。
実際に報告された感染者数に基づいて計算した感染率は東京0・038%、大阪0・02%、宮城0・004%。抗体保有率はいずれの地域でも3~9倍高かったことになり、報告された以上に無症状の感染者がいると考えられる。
東邦大の舘田一博教授は「水面下で感染が広がっていたらもっと高い割合が出ただろうが、結構低い数値。何とか第1波を乗り越えたけれど、多くの人は感染しやすいままだ」と分析した。
抗体は一度できると同じ感染症にはかかりにくくなる場合が多いが、新型コロナウイルスに関してはまだ不明点ばかりで、国立感染症研究所などで研究を続ける方針。検査の活用方法にも課題が残っており、厚労省は今後、どのように診断や疫学調査で活用できるかを見極めていく。
◆抗体検査 感染から一定期間たった後に体内にできるタンパク質(抗体)を少量の血液から調べる検査。抗体は免疫システムがウイルスと戦った痕跡。個人の過去の感染履歴を調べたり、集団の中に免疫を持つ人がどれくらいいるかを調べたりする目的で実施。ソフトバンクグループ(SBG)が社員など約4万4000人を対象に行った新型コロナウイルスの抗体検査では陽性率は0・43%だった。そのほかにも企業や、相撲協会などのスポーツの分野でも検査が広がっている。