文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、東京医科大に便宜を図った見返りに息子を同大に不正に合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた同省元科学技術・学術政策局長の佐野太被告(60)は6日、東京地裁(西野吾一裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を否認した。佐野元局長は「職務に関し賄賂を受け取った認識はない。私は無実です」と述べた。
贈賄罪に問われた東京医科大前理事長の臼井正彦被告(79)と前学長の鈴木衛被告(71)、受託収賄ほう助罪に問われた元コンサルティング会社役員の谷口浩司被告(49)も同様に起訴内容を否認した。
起訴状によると、佐野元局長は同省官房長だった2017年5月、東京都内の飲食店で臼井前理事長と会食した際、同省の「私立大学研究ブランディング事業」に同大が選定されるよう依頼され、事業計画書の書き方を助言した見返りに、18年2月の同大入試で息子を不正合格させてもらったとされる。
臼井前理事長と鈴木前学長は共謀して佐野元局長の息子を不正合格させ、谷口被告は佐野元局長と臼井前理事長を引き合わせたほか、17年6月には佐野元局長の助言内容を、臼井前理事長らに伝えたとされる。
ブランディング事業は大学を挙げた独自色の強い研究を助成する事業。17年度は188校から申請があり、同大を含む60校が選定され、同大には3500万円が交付された。
佐野元局長と谷口被告は18年7月、東京地検特捜部に逮捕・起訴された。臼井前理事長と鈴木前学長は捜査段階では容疑を認めていたとされ、在宅起訴されたが、その後に否認に転じたとみられる。
谷口被告は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を巡る汚職事件でも、川端和明・同省前国際統括官(59)に接待を繰り返した見返りに便宜を受けたとして贈賄罪で起訴されている。川端前統括官は収賄罪に問われ、東京地裁が19年12月に懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金154万円の有罪判決を言い渡し、確定した。【巽賢司、遠山和宏】