「患者激増に追いつかない」 保健所は飽和状態 入院待機92人 神奈川

新型コロナウイルスに感染し、神奈川県の基準で入院が必要と判断されても、待機を余儀なくされている患者が多数出ている。県によると1月中旬以降は90人台で推移し17日時点で92人だった。症状が急変する懸念があり健康確認が不可欠だが、感染者の急増で保健所の業務も飽和状態。新規感染者との連絡が一度もついていないケースが18日時点で124件あったという。県は「患者が激増する中でなかなか追いつかない」と危機感をあらわにしている。【樋口淳也】
県内では18日、957人の感染が確認された。感染の拡大に歯止めがかからず、県の集計によると6割程度の感染経路が不明という。県内では17日時点で894人が入院しており、即応病床の利用率は、全体が90・67%と逼迫(ひっぱく)。重症患者向けは96・26%、中等症・軽症の患者向けは89・99%と危機的な状況だ。
県は2020年12月から入院の要否を判断するため独自のポイント制度を導入。75歳以上3点▽65~74歳2点▽糖尿病2点▽透析6点――などとリスクに応じてポイントを規定し、合計5点以上であれば入院、5点未満は自宅か宿泊施設で療養とした。制度の導入によって入院比率は半減したとされるが、感染者はそれを上回るペースで増加した。
各地の保健所は業務量が急増し、対応が追いついていない。県内では、軽症と判断された大和市の70代男性について、保健所が療養先を決める前に連絡がつかなくなり死亡するケースが16日に明らかになった。
県独自の医療体制「神奈川モデル」では、軽症と診断された患者は保健所の聞き取り調査を経て自宅や宿泊施設で療養に入る。ただ、大和市を所管する厚木保健所が受ける新型コロナの発生届が急増して業務が逼迫。男性の聞き取り調査は進んでいなかった。
県は、県庁や自治体、厚生労働省からの応援職員で体制を増強している。しかし、発生届が出されているのに連絡がついていないケースは18日時点で124件あったという。黒岩祐治知事は18日の定例記者会見で、保健所の恒常的な人員増強について「容易ではない」と述べ、理由として専門職である職員を確保する難しさを挙げた。
応急処置施設を検討
こうした状況を受け、県は18日夜に県内の医療機関や保健所の関係者らが参加する協議会を開催。自宅や宿泊施設の療養者で血中酸素飽和度が低下し、「入院が必要」と判断された場合に酸素吸入などの応急処置が受けられる施設の設置を検討していると明らかにした。
「神奈川HOTセンター(仮称)」で、入院先が決まるまで半日~1日滞在すると想定。医療機関ではなく、災害時の避難所のイメージという。今後も解消が難しそうな入院待機者に対応したい考えだ。
一方会議では、現在は療養者全員を対象に渡している血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターの配布を、40歳以上の自宅療養者らリスクが高い人に限定する方針が示された。機材を確保できないためという。