牛肉からネクタイまで返礼650品 ふるさと納税6割増の山梨・富士吉田

山梨県富士吉田市へのふるさと納税が好調だ。今年度の寄付額は昨年12月末時点で前年度比6割増の53億円を突破し、5年連続の県内トップが視野に入った。ふるさと納税を巡っては、豪華な返礼品による自治体間の競争が過熱したが、同市は納税者が市とつながりを感じられる返礼品に心を砕いてきた。4月には、ふるさと納税推進室を部に昇格させ、取り組みを強化する考えだ。【山本悟】
同市は2008年度の制度導入とともにふるさと納税のポータルサイトに登録。17年度に同推進室を設置し、財源の確保や地場産品の普及に乗り出した。返礼品は地元産の牛肉や日本酒などをはじめ、地場産業の織物技術を生かしたネクタイや傘など650品をそろえる。
とりわけ同市は、納税者が返礼品を受け取った際に感動や市とのつながりを感じてもらうことを重視している。4年前からは県立富士北稜高の生徒が返礼品の生産者らを取材し、苦労や思いをつづった写真入りカードを返礼品に添えている。
今年度からは、さらに子どもたちが市内の名所や富士山を描いた絵手紙コンクールの入賞作品をデザインしたカードも同封。他にも抽選で選んだ納税者を市内観光や生産者の工場などに招待するツアーも実施している。
こうした工夫が奏功し、15年度に9200万円だった納税額は16年度に7億円を超え、19年度は33億4500万円で県内の自治体では、2位の南アルプス市(12億9200万円)と3位の甲斐市(8億4200万円)を引き離し、県内の納税総額の34%を占めた。20年度は12月末現在で既に53億4900万円。市は寄付金を保育園の玩具購入や小中学校の改修費、富士山登山の安全策などに活用している。
新年度から同推進室を部に格上げし、今後は企業が自治体の地方創生プロジェクトに寄付すると税制上の優遇措置が受けられる「企業版のふるさと納税」にも取り組む。
市によると、数年前から返礼品目当ての納税から、自治体の見どころや姿勢を評価して納税する人が増えているという。担当者は「応援したくなる市になるよう積極的に取り組みたい」と話す。