日本海側で相次いだ木造船の漂着、今季は1件も確認されず…北朝鮮当局が出漁禁止か

青森県内の日本海側で冬季に相次いでいた北朝鮮籍とみられる木造船の漂流・漂着が今季、1件も確認されていない。2019年に発足した青森海上保安部の監視部隊は常駐体制を解除、専門家は北朝鮮当局の新型コロナウイルス感染対策などが背景にあると推測している。(水野一希)
青森海保は2016年分から県内に漂流・漂着した木造船の件数を公表している。18年は過去最多の49件、19年は27件、20年は4件を記録した。19年には深浦沖で男性2人が乗った木造船が見つかっている。
ただ、県内では昨年6月、むつ市脇野沢沖で見つかったのを最後に漂流・漂着が確認されず、冬場に入っても目撃情報が寄せられていない。今年は全国的にもほとんど確認されていないという。

木造船の漂流・漂着の増加を受け、青森海保は19年、全国で初めて北朝鮮籍とみられる木造船を対象に、常駐の監視部隊「青森機動監視隊(MMP)」を組織した。発足した19年は県内27件のうち17件で対応、10件は自ら発見している。
ただ、今季は昨年11月に常駐体制に入り、海岸などを1日2万歩近く歩いてパトロールを実施したが、1か月もたたない昨年12月に常駐を解除した。
漂流・漂着が激減した理由として、青森海保警備救難課の角直樹課長は「日本海側を通過する台風が少なかったので、難破する船も少なかった可能性がある」と話す。
また、北朝鮮情勢に詳しい「宮塚コリア研究所」(甲府市)の宮塚利雄代表は「新型コロナの感染を警戒する当局が出漁を禁止していることや、中国に漁業権を譲り、遠洋に出にくくなったことが背景にある」と推測する。

だが、今後の動向は不透明だ。青森海保は、「木造船を見つけたら近づかずに118番に通報してほしい」と海岸の住民らに呼びかけている。
深浦町町民課の伊藤光彦課長補佐は「町には一人暮らしの高齢者も多い。木造船を早期に発見してくれれば、我々の処理も早くなる」と海保の活動に期待している。