ドン・ファン元妻逮捕で遺産の行方は? “10億円超”も…殺人有罪確定なら「ゼロ」に

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして元妻の須藤早貴容疑者(25)が殺人などの疑いで逮捕されたことで、注目されるのが13億円超の遺産の行方だ。すでに訴訟沙汰になっているが、今後の捜査も取り分を左右しそうだ。
約13億5000万円とされる遺産について2019年9月、野崎さんが全財産を田辺市に寄付するとした遺言書が見つかったとして、市が受け取る方針を明らかにした。
弁護士の高橋裕樹氏は「相続人ではない第三者に全額を相続するという遺言でも、妻、子供、親には『遺留分侵害請求権』が認められている。野崎さんのケースでは請求権を認められるのは須藤容疑者のみで、田辺市と半分ずつ相続することになる」と解説する。須藤容疑者には6億7500万円が入る計算だ。
これに対し、野崎さんの兄ら親族4人は昨年5月、遺言書の無効確認を求めて提訴。訴状によると遺言はコピー用紙1枚に赤ペンで手書きされたもので、熟慮の末に作成したとは考えにくいとしている。無効が認められた場合、「元の法定相続に従って遺産が分配され、親族側は4分の1、残りの4分の3は須藤容疑者に相続される」と高橋氏。須藤容疑者の相続分は10億円を上回る。
しかし、須藤容疑者の逮捕で状況は一変した。法にのっとり相続人の相続権を剥奪する「相続欠格」という制度があるためだ。前出の高橋氏は「相続欠格の要件の一つに『故意に被相続人を死亡させて刑に処された場合』という項目がある。須藤容疑者が殺人罪で起訴され有罪が確定した場合、相続権を剥奪され、焦点は再び遺言の有効性に移る。遺言が有効なら遺産は全額田辺市に、無効と認められれば親族側が全額を分け合うことになる」と話す。
須藤容疑者が今後起訴された場合、公判の長期化が予想される。「有罪か無罪か決まるまでは遺産の分割に踏み切ることはできないだろう」と高橋氏。
これとは別に、須藤容疑者は野崎さんから引き継いだ会社の資金約3830万円を詐取したとして、野崎さんの知人男性で会社の元監査役から詐欺容疑で告発されている。事件の影に金銭問題が見え隠れしている。