獣医師の資格がないのに販売した犬に混合ワクチンを注射したとして、警視庁生活環境課は21日、東京都大田区南蒲田1、ペットサロン経営、市村和弘容疑者(59)を獣医師法違反容疑で逮捕したと発表した。2020年2月以降、販売用の犬と猫約30匹にワクチンを接種したとみて調べる。ペットの健康被害は確認されていないという。
逮捕容疑は20年4~7月、経営するサロンで、顧客に販売した犬3匹に5種混合ワクチンを注射したとしている。ワクチンは発熱や下痢などを引き起こすウイルス感染を防ぐものだった。
同課によると、市村容疑者は「ペットのトリミングを学ぶ専門学校に通っていた時に見た獣医師の注射をまねた」と容疑を認めているという。
通常は販売前後にペットショップ側が獣医師に依頼して1回4000~8000円程度でワクチンを接種するが、市村容疑者は「獣医師のところに連れて行くと、時間と金がかかる」と供述している。
このほか、20年2~11月にワクチン18点(計約11万5000円)を市村容疑者に販売したとして、医薬品販売会社「SVフーズ」(港区)の元従業員、岡本耕治容疑者(70)=大田区西糀谷4=を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕した。「(市村容疑者に)哀願され、自分の販売実績になると思った」と容疑を認めているという。また、従業員に適切な管理をさせなかったとして、法人としての同社と男性役員(73)を同容疑で書類送検した。【柿崎誠】