給付金消えた母子家庭、コロナ苦にあえぐ「このままでは潰れてしまう」[課題点検 衆院選]<1>

衆院選が19日、公示された。新型コロナウイルス禍で行われる選挙戦では、待ったなしのコロナ対策だけでなく、長期的に取り組まなければならない課題にもスポットがあたる。この国の政治に求められているものは何なのか。現場から報告する。
「このままでは潰れてしまう。現状をちゃんと見てほしい」。東京都足立区に住む女性(41)は19日、都心のオフィスで、選挙カーが連呼する候補者の名前を聞き、そう思った。10月の給与は手取りで10万円いくかどうか。新型コロナウイルスの感染拡大以降、生活は苦しくなる一方だ。
20歳代の頃から保険外交員としてキャリアを積んできた女性は、長男(5)を一人で育てている。4年前、夫の不倫と暴力が原因で離婚した。「私には顧客との信頼を積み上げてきた仕事がある」。迷いはあったが、当時10か月だった長男と、2人の生活を踏み出した。
緊急事態宣言が最初に出た昨春以降、顧客から面会を断られることが増えた。不慣れなオンラインでの営業はうまくいかず、契約がなかなか取れなくなった。離婚時の引っ越しや弁護士費用などに充てた借金の残額は300万円以上。全ての国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」を長男と合わせ20万円、「ひとり親世帯臨時特別給付金」10万円を受け取ったが、すぐに消えた。長男の英語教室や通信教育を、やむなく解約した。
先月、新規契約数に応じて1年ごとに変わる基本給が、22万円から8万円に下がった。最近は歩合給も数万円しか付かない。月に8万7000円の家賃負担も重くなり、月末、都営住宅への入居を申し込んだ。
女性は「子どもの教育にお金がかかるのは、これから。不安が続くことのないよう、子育て世代への支援策を充実させてほしい」と訴える。

厚生労働省の推計では、全国の母子家庭は約123万世帯。2018年の平均総所得は年間306万円で、全世帯平均の552万円を大きく下回る。