ベトナム人の間で賭博を巡るトラブルが相次いでいる。技能実習生や留学生が、友人やSNS(ネット交流サービス)で知り合った人物による誘いで賭博を始めて重い借金を負い、借金が返せなければベトナム人グループによって拉致されたり、暴行されたりするケースもあった。賭博の違法性と危険性を伝えるため、埼玉県警は啓発活動を始めた。【中川友希、成澤隼人】
「負けを取り戻したいと思った。(賭博を主催するグループが)お金をすぐに貸してくれるので、きりがなかった」。毎日新聞の取材に応じたベトナム国籍の外国人技能実習生の30代男性は、賭博のため、約8カ月間で総額3000万円もの借金をしたことを明かした。
男性はベトナム式の丁半ばくちとも呼ばれる「ソックディア」というトランプカードを使う賭博にのめり込んだ。会場になった賭博仲間の自宅アパート一室には、失踪した技能実習生や元留学生などベトナム人約30人が集まった。室内には1万円札の束が1000万円分以上あったという。会場は毎回のように変わり、SNSで告知された。警察の摘発を逃れる狙いがあったとみられる。
賭博をしたきっかけは、同僚のベトナム人に誘われたこと。勤務先の月給は12万5000円で「もっとお金がほしい」と思った。だが、実際には借金がどんどん積み重なっていった。それでも家族の援助などで返してきたが、ある日、1日で800万円の借金をつくってしまったため、身の危険を感じ、警察に保護を求めた。
賭博グループが賭博を巡って参加者に因縁をつけ、拉致・監禁してけがをさせたり、家族に金銭を要求したりする事件も発生している。男性は「今はとても後悔している。家族の身も危ない。家族をただ心配している」と話す。
日越ともいき支援会(東京都港区)の吉水慈豊(じほう)・代表理事によると、新型コロナウイルスの影響が深刻化した昨秋以降、賭博など犯罪に巻き込まれたベトナム人からの相談が増えたという。在留期限が切れても帰国ができないベトナム人が増え、一時的に入管施設での収容を解く「仮放免」の状態では就労が許されないため、犯罪に手を染めるケースが目立つ。吉水理事は「帰国できないベトナム人も就労できるように環境を整えた上で、警察など公的な機関がベトナム人に対して啓発活動を積極的に行ってほしい」と話す。
県警は2月から、ベトナム人に対する出前授業の中で賭博の違法性と危険性を伝えている。ベトナム人が多く通うさいたま市浦和区の浦和専門学校では同25日、27人が受講した。県警の担当者はベトナム語の啓発チラシを示しながら「日本で賭博は犯罪。多額の借金を抱えて大きな事件に巻き込まれることもあるので、絶対やらないで」と呼び掛けた。
ベトナム出身のチャン・バン・リンさん(21)は「絶対にやらないよう気を付けたい」と話していた。県警国際捜査課は「勝っても負けてもトラブルや犯罪に巻き込まれる可能性がある。賭博は違法という認識を強く持ってもらいたい」としている。
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日本、北朝鮮への制裁を2年延長 輸出入全面禁止を継続
政府は6日午前の閣議で、13日に期限を迎える北朝鮮への独自制裁を2年間延長すると決定した。北朝鮮を相手とする輸出入の全面禁止と、北朝鮮籍や北朝鮮に寄港歴がある船舶の入港を認めない措置を継続する。北朝鮮の非核化や弾道ミサイルの廃棄が具体化せず、日本人拉致問題も解決していない現状を踏まえ、圧力を維持する。
菅義偉首相は拉致問題解決のため、条件を付けずに金正恩朝鮮労働党総書記との直接会談を目指すと表明しているが、実現は見通せていない。
政府は、北朝鮮からの輸入と関係船舶の入港禁止措置を2006年から実施。輸出禁止を09年に加え、措置の延長を繰り返してきた。
最終予選3大会中止で東京五輪に暗雲…そして菅首相に突き付けられる「4.16土下座訪米」
菅首相は15~18日の日程で訪米し、16日にバイデン米大統領と首脳会談を行う。バイデン大統領が迎える初の外国首脳だ。政府は「米国が日本を極めて重要視している証し」(加藤官房長官)と胸を張るが、手放しで喜んでいる場合ではない。東京五輪の開催を“人質”に取られ、米国から足元を見られて、ムリな要求を突き付けられかねないからだ。
日米首脳会談のメインテーマは「気候変動」だが、菅首相は東京五輪の開催支持も取り付けるつもりだ。しかし、いくら開催を強調しても、国内の新型コロナウイルスの感染拡大を抑えられていない。
ボロボロの感染状況での聖火リレー強行には、国際社会も冷ややかだ。とうとう、国際水泳連盟(FINA)は、東京と福岡で開かれる予定だった五輪最終予選の3大会を中止にしてしまった。
FINAは2日、飛び込み、アーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)、オープンウオーター(マラソンスイミング)の3種目の最終予選中止を発表。英BBC(電子版)によると、FINAは関係者への文書で、日本政府を「(競技の)公平さを担保するために必要な措置が講じられていない」と批判したという。感染対策や費用負担で折り合いがつかなかったとみられている。
感染拡大が続けば、他の競技でも中止論が広がる可能性がある。大会本番を迎えられるか、さらに暗雲が立ち込める。そんなムードを払拭するためにも、菅首相はバイデン大統領から五輪支持の言質を何が何でも取り付けたいはずだ。
しかし、そう簡単に思惑通りにいくのかは疑問である。
中途半端な外交姿勢
そもそも、バイデン大統領は五輪開催について「科学に基づくべき」と明言している。そこで、いま懸念されているのは、バイデン大統領が日本の足元を見て過度な要求をしてくるのではないか、ということだ。
対中強硬派のバイデン大統領は、中国による少数民族への人権侵害や、台湾防衛のための安全保障、サプライチェーンの見直しを掲げ、対中政策の「踏み絵」を日本に迫ろうとしている。
政権維持のために、どうしても五輪を開催したい菅首相は、バイデン大統領が「アメリカの選手団を派遣する!」と言ってくれれば万々歳だから、それと引き換えに、米国の要求をのみかねない、とみられている。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「本来、日本は、中国になびいて欲しくない米国と強気に駆け引きできる立場のはず。五輪開催を保証してもらうのは当然として、日米安保における日本の裁量権や、極東有事における米国の防衛義務についても交渉できるのです。しかし、現状は米国に従わざるを得ず、中国の反発を受け止める覚悟もない。あまりにも中途半端です。米国に強気に出られない以上、足元を見られて当然です」
五輪ありきだから、コロナ対策も外交も中途半端なのである。最悪の首脳会談となりかねない。
「サイレンの音で目が覚めたら、外は黒煙」住宅火災で男性死亡
5日午前4時15分頃、札幌市北区篠路4の6、無職西田憲治さん(81)方から出火、木造3階住宅の約105平方メートルを焼き、約5時間半後に消し止められた。室内から西田さんが意識不明の状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
札幌北署によると、西田さんは一人暮らしで、2階の台所付近で倒れていたという。2階の居間にあった灯油ストーブ周辺が激しく燃えており、同署が出火原因を調べている。
隣に住む70歳代の無職男性は「サイレンの音で目が覚め、外に出ると真っ黒な煙が出ていた。窓から炎が激しい勢いで出ていたので怖かった」と語った。
「ワクチンはいつ届くのか」医療現場の悲痛な声 世界の中でなぜ日本は遅れをとっているのか
ワクチンが医療従事者に届かない。4月半ばには高齢者への接種開始も予定されているというのに、本当に間に合うのか。それが今の日本の医療現場の素朴な、しかし切実な疑問だ。 厚労省の発表によれば、国内では4月2日までに109万6698回の接種が行われたという。医療従事者だけでも480万人いるというのに、単純計算でもいまだ4分の1しかカバーできていない(2回接種なので実際にはもっと少ない)。 ナビタスクリニックも順番待ちをしている医療機関の1つだ。新型コロナワクチン接種の実施機関として手を挙げ、PCR検査も行っており、スタッフへの接種は必須だ。だが行政からの連絡はまだない。皆丸腰で、日々診療を続けている。 ■世界中でワクチンの争奪戦が起きている 早くから懸念されていた通り、世界中で新型コロナワクチンの争奪戦が起きている。 英国NPOの統計サイト「Our World in Data」のデータ(3月27日付)によれば、世界全体ではこれまでに累計約5億4105万回の接種が行われた。内訳では上位からアメリカが約1.4億回、中国が約1億回、英国が約3302万回(3月26日時点)、ブラジル約1752万回、インドネシア約1043万回となっている。 世界に先駆けて英国で接種が開始されたのが昨年12月のこと。世界累計で2億回を超えたと報じられたのが、約2カ月半後の2月20日だった(AFP通信)。そこから1カ月余りで1.7倍以上の3.4億回が上乗せされたが、よくよく見れば米中英の3カ国で世界全体の半分のワクチンを打っていたというわけだ。 とはいえ、国によって人口も大きく違う。各国のワクチン確保の実情は、人口100人当たりの累計接種回数で見るほうががわかりやすい。実際、順位も大きく変わってくる。 断トツはイスラエルで、100人当たり約115回。2位はアラブ首長国連邦(UAE)の約80回、3位がチリで約50回。ようやく4位が英国で約49回(3月26日時点)、5位にアメリカの約41回となっている。続くブラジル、ロシア、中国は100人当たり10回以下となり、ここまでが世界平均の6.9回をかろうじて上回っている。 日本はどうかといえば、人口100人当たりわずか0.65回だ。 昨年夏からワクチン確保に奔走してきたはずの日本と、決して大国とは言えないイスラエル、UAE、チリの上位3カ国と、何が違っていたのだろうか。それぞれの勝因が知りたくなった。
ワクチンが医療従事者に届かない。4月半ばには高齢者への接種開始も予定されているというのに、本当に間に合うのか。それが今の日本の医療現場の素朴な、しかし切実な疑問だ。
厚労省の発表によれば、国内では4月2日までに109万6698回の接種が行われたという。医療従事者だけでも480万人いるというのに、単純計算でもいまだ4分の1しかカバーできていない(2回接種なので実際にはもっと少ない)。
ナビタスクリニックも順番待ちをしている医療機関の1つだ。新型コロナワクチン接種の実施機関として手を挙げ、PCR検査も行っており、スタッフへの接種は必須だ。だが行政からの連絡はまだない。皆丸腰で、日々診療を続けている。
■世界中でワクチンの争奪戦が起きている
早くから懸念されていた通り、世界中で新型コロナワクチンの争奪戦が起きている。
英国NPOの統計サイト「Our World in Data」のデータ(3月27日付)によれば、世界全体ではこれまでに累計約5億4105万回の接種が行われた。内訳では上位からアメリカが約1.4億回、中国が約1億回、英国が約3302万回(3月26日時点)、ブラジル約1752万回、インドネシア約1043万回となっている。
世界に先駆けて英国で接種が開始されたのが昨年12月のこと。世界累計で2億回を超えたと報じられたのが、約2カ月半後の2月20日だった(AFP通信)。そこから1カ月余りで1.7倍以上の3.4億回が上乗せされたが、よくよく見れば米中英の3カ国で世界全体の半分のワクチンを打っていたというわけだ。
とはいえ、国によって人口も大きく違う。各国のワクチン確保の実情は、人口100人当たりの累計接種回数で見るほうががわかりやすい。実際、順位も大きく変わってくる。
断トツはイスラエルで、100人当たり約115回。2位はアラブ首長国連邦(UAE)の約80回、3位がチリで約50回。ようやく4位が英国で約49回(3月26日時点)、5位にアメリカの約41回となっている。続くブラジル、ロシア、中国は100人当たり10回以下となり、ここまでが世界平均の6.9回をかろうじて上回っている。
日本はどうかといえば、人口100人当たりわずか0.65回だ。
昨年夏からワクチン確保に奔走してきたはずの日本と、決して大国とは言えないイスラエル、UAE、チリの上位3カ国と、何が違っていたのだろうか。それぞれの勝因が知りたくなった。
「母を殺したと弟から電話」室内で女性死亡、現場に30代の息子
5日午後8時半頃、大分市明野北の市営住宅で、通報で駆けつけた大分県警大分中央署員が、室内で死亡している女性を見つけた。同署の調べでは、女性は住人の職業不詳三浦
賢子
( よしこ ) さん(66)で、現場には30歳代の息子がいた。同署は、殺人事件とみて詳しく事情を聞いている。
発表によると、同日午後8時15分頃、三浦さんの娘の40歳代の女性から、「弟から母親を刺し殺したと電話があった」と110番が寄せられた。
仙台「まん延防止」初日 広がるコロナ疲れ、「協力するしか」
新型コロナウイルスの感染が再び広がる中、「まん延防止等重点措置」の適用が5日、仙台市で始まった。飲食店での感染防止策の強化と違反した店舗への行政罰(過料)が柱で、期間は大型連休を含む5月5日までの1カ月間。「コロナ疲れ」も広がり、実効性のある対策をとれるのかが問われる。【藤田花、面川美栄】
JR仙台駅周辺では5日朝、大勢の通勤客が行き交う普段通りの光景がみられた。
通勤途中だった塩釜市の会社員、熊谷ありすさん(18)は「感染防止対策をしている人はたくさんいる一方で、気にしない人は気にしない。感染拡大は収まらないのでは」と話し、職場へ向かった。多賀城市の会社員、伊藤稜さん(22)も「すでに対策は徹底されている。店に過料を科しても、本当に効果が出るのか」と重点措置の実効性を疑問視した。
飲食店などを対象とした時短要請は県全域に拡大され、仙台市内にあるすべての飲食店に午後8時以降の営業自粛を要請。客側も飛沫(ひまつ)感染を防ぐための「マスク会食」などが求められ、大崎市の男性会社員(69)は「マスクをしないで飲食する一部の人から感染が広がるリスクは低くなるのではないか」と効果に期待した。
閉店時間を告知
正午過ぎ、仙台市青葉区一番町の商店街では、サラリーマンが昼食を取る店を探していた。
壱弐参(いろは)横丁の居酒屋「ゆきむら」では、4人がけのテーブルに仕切りを設置。店長の木村幸宏さん(55)は「客が店の前を通る1秒が勝負」と話し、ガラス越しに店内の様子が見えるように隙間(すきま)を開けて閉店時間の変更などを伝える張り紙をしていた。
ランチタイムには客が来るが、夜は「全くダメ」と木村さん。さらに1カ月間延長された時短については「協力する以外にない」と要請に応じるが、歓迎会の時期に重なるのは大きな痛手で「2カ月前にやった方が良かった」とこぼした。
県が見回り実施
県は5日夕、飲食店への見回りを報道陣に公開。青葉区のホテルメトロポリタン仙台にある日本料理店「はや瀬」を県と市の職員5人が訪れ、アクリル板が設置されているかや、換気が徹底されているかなどを確認した。同ホテルの林健一・総支配人は「一刻も早く収束するように要請を守っていきたい」と話した。
6日以降は計80人体制で見回りを実施。県環境生活総務課の佐藤隆史・総括課長補佐は「民間企業の力も借りながら、できるだけ早期に見回りを完了させたい」と語った。
「収束に全力」知事
村井嘉浩知事は5日の定例会見で、「まん延防止等重点措置」が始まったことを受けて、「全国で初めての事例だ。仙台市では厳しい措置となるが、(政府の)緊急事態宣言になれば県内全域に影響が及ぶ。一日も早い収束に向けて全力をあげたい」と語った。
仙台市内の飲食店で、営業時間短縮や感染予防策の実施状況などを確認する見回りも実施するとしたが、「初めての試みで十分な体制が整っていない。『走りながらやる』という大変な状況だ」と述べた。新型コロナ対応で職員が不足しており、今後は民間に委託して実態を調べる。
プロ野球・楽天の本拠地「楽天生命パーク宮城」などの運動施設にも午後8時までの時短を要請することについては、「試合状況によっては延びる可能性は十分にあると思う。感染予防に留意し、無理のない範囲で協力をお願いしたい」と語った。【神内亜実】
「75年かけて8.4%から9.9%へ」政治家の女性比率がまったく上がらない理由
バイデン大統領は、昨年2020年12月のCNNとのインタビューで、“I’m going to keep my commitment that the administration, both in the White House and outside in the Cabinet, is going to look like the country.”と言って、ホワイトハウスの閣僚もそれ以外の人事も、アメリカという国の姿を反映させるものにすると約束した。
その結果、アメリカの政治におけるダイバーシティは、今、その歴史上例をみないぐらいに進み始めている。15人の閣僚のうち半分が女性であり、黒人、ヒスパニック、ネイティブインディアンのルーツを持つ人など、さまざまな顔ぶれが政権の中枢にいる。財務長官のジャネット・イエレンをはじめ、内務長官には、ラグナ・プエブロ族の一員で、ネイティブ・アメリカンの女性として初めて米国の国会議員になったデブラ・ハーランド、商務長官にはジーナ・レモンドなどがいる。ホワイトハウスの幹部スタッフもその6割が女性だ。
また、アメリカの調査機関、ピュー・リーサーチ・センターによると、1月から始まった連邦議会は、アメリカ史上始まって以来の多様性がある議会だという。黒人、ヒスパニック系、アジア系、アメリカ原住民のルーツを持つ議員が124人。議会全体の23%を占める。女性議員の数も、アメリカ史上初の女性議員のジャネット・ランキンが下院に当選した1917年以降、順調に増え、今年一月の時点で両院で144人、全体の27%を占めるようになった。
ところでこの女性初の下院議員のランキン氏が最初に当選した時、“I may be the first woman member of Congress. But I won’t be the last.(私は初めて議会に当選した女性かもしれません。でも私は最後ではありません)”と言ったそうだ。この言葉、どこかで聞いたことはないだろうか。
そう、アメリカ初の女性副大統領になったカマラ・ハリス氏が11月の選挙後初めておこなったあの有名なスピーチとそっくりなのである。“I may be the first woman to hold this office. But I won’t be the last.(私は最初の女性の副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません。)”ハリス氏は、ランキン議員によって女性たちが勝ち取ってきた参政権運動の歴史に、自分自身を重ね合わせたのではないだろうか。
実はランキン氏は、女性初の議員というだけでなく、戦争に反対し平和主義を貫いた姿勢でも有名な女性である。第一次世界大戦へのアメリカの参戦を決議する際、当時のウッドロウ・ウィルソン大統領は、ドイツとの戦争に参戦することは、世界を安全なものにし、民主主義を守るためだと述べた。その決議に50人の議員が反対票を投じたが、そのうちの1人がランキン議員だった。また、1941年の真珠湾攻撃の後、日本と戦争をするという決議に、議会でたった一人、反対したのも彼女だった。
“As a woman I can’t go to war, and I refuse to send anyone else.”(私は女性として戦争には行けないし、誰かほかの人を戦争に送ることも拒否します。)”そう言って彼女は反対したが、下院は、388対1で戦争決議を可決した。日本に真珠湾を攻撃され、戦争ムードに火がついたアメリカで、1人反対票を投じたランキン氏は、今でいうと「わきまえない女」ということになるのだろうか。そんなわきまえない女になるのにはかなり勇気がいる。彼女のような考えを持つ女性議員がもっと議会にいたら、ひょっとしたら歴史は変わっていたのかもしれない。
さて、日本女性の政治参画はどうだったのだろうか? 日本の女性が初めて国政選挙に参加したのは1946年4月10日の衆議院選挙。この時当選した女性は39人で、衆議院の女性比率は8.4%になった。現在の衆議院の女性比率は9.9%。80年近くたってもほとんど増えていない現実に愕然とする。
私は、1946年にこの国で初の女性の衆議院議員になった故園田天光光氏に、何度かインタビューしたことがある。2007年に取材した当時、彼女は、戦後初の選挙で39人もの女性が当選した理由について、大選挙区連記制という選挙方法のおかげでもあったと言っていた。旧東京2区から出馬したのだが、人口が多く、1人の有権者が3人の名前を投票用紙に書くことができたという。
「その時の選挙は、まず保守の候補者を1人書く。2人目に革新を書く。3人目に女性を書くという人が一番多かった。理屈から考えればおかしなものよ。保守と革新と女性を書くなんてね」と、当時すでに88歳だった園田氏は、お茶目に笑いながら話してくれた。
この話、いかにもバランスをとるのが好きな日本人的な発想ではないだろうか。もし、今、衆議院選挙が大選挙区制で名前を3人まで書くことができるなら、女性にももっとチャンスが巡ってくるのではないかとさえ思う。特に大選挙区制を推進するつもりはないが、選挙制度というのが議席の構成に大きく影響を与えるものであることは間違いない。
園田氏が選挙にでたのは、戦争直後。ある日、上野駅に父親と一緒に行ったそうだ。街は焼け野原で、上野駅は孤児、浮浪者、そして餓死者の死体でいっぱいだったという。その帰り道、新宿で途中下車し、「今見てきたことをここで話してみろ」と父親に促され、駅前に立って初めて人々の前で話をしたのだという。
「とにかく私の結論は、せっかく生き残されたものが餓死したんじゃ申し訳ない。緑をはやす仕事をしなければいけない、街を作る仕事に携わらなければならない。そうかといって、餓死しないという保証はないのよ。だから、どうやったら生き延びられるか、生きることを考えなければならないと思ったのね。それで自分ひとりじゃ弱いから、みんなでグループを組んでみんなで生きていこう、知恵をだしあいながら」と当時のことを振り返った。そんな街頭演説から始まり、毎日集まって相談しているうちに誕生したのが、「餓死防衛同盟」。そこから出馬し見事当選した。
のちに彼女は、妻子ある民主党の園田直代議士と「白亜の恋」と言われる恋愛関係に落ち、出産し、世間の批判と注目を浴びることとなる。
ベビーシッターなどない時代だ。「どうやって国会議員をやりながら子育てしたのですか」との私の問いに、自分の議員会館の事務所に赤ちゃんを連れて行って寝かせていたと言っていた。そして、国会の合間に靖国神社に散歩に連れていった時、息子を戦争で亡くし、靖国神社で祈る女性と話したことがきっかけで、その女性にベビーシッターになってもらったという話もしてくれた。戦後、子育てしながら国会議員をやるということがいかに大変だったかを想像することは難しくない。彼女もまた、これまでの男性議員の常識からは程遠い、「わきまえない女」だったのかもしれない。
ただ、その経験があったからこそ、2000年、園田氏は、橋本聖子参議院議員の妊娠を機に国会議員の産休制度創設が議論された時、現職議員としてただ一人出産を経験した人として自民党から懇談会に招かれた。
当時は、国会を欠席するのに「出産」という理由で休むことが参議院規則に明記されていなかった。園田氏は、産休制度創設の必要性を説き、一時は、「議員を辞職すべき」などの声も上がっていた橋本氏を擁護し、規則の改正に貢献したのである。2001年には衆議院でも同様の規則改正が行われた。
しかし、2021年現在、国会議員も地方議員も、労働基準法が定める労働者には該当しないと整理されていて、労働者に認められている産前6週間、産後8週間の休業取得、育児休業の取得対象にはなっていない。また、国会やほとんどの地方議会でも休業期間の定めがなく、出産で公務を欠席することへの理解がなかなか得られないで苦労している議員も多い。
今年2月、やっと都道府県・市・町村の3議長会が、各地方議会が議会運営の規則を定める際に参考にする「標準会議規則」に、産休期間を「産前6週、産後8週」の計14週と明記する改正を行った。規則に拘束力はないが、各地方議会は改正を踏まえた対応を早急に行うべきである。
女性の政治参画への環境整備を進めなければ、女性議員は簡単には増えない。また、子育て中の人の声が政治に反映しづらかったり、女性特有の問題に関しての政策対応も遅れてしまうだろう。
毎年、世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数では、日本の男女平等が特に政治の分野で遅れている現状を物語っている。3月31日に発表された最新のレポートでは、世界156カ国中、日本は前回の121位から1つ上がって120位。しかし、政治分野においては147位という、先進国とは思えない低い順位だ。女性の議員と閣僚の人数がほとんど増えず、女性首相も今だに誕生していないことが影響している。
女性に対する差別的発言で、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会のトップが森喜朗会長から橋本聖子会長に変わったのも記憶に新しい。また、東京オリンピックの開閉会式の企画、演出の統括役でクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、豚に扮するタレントの渡辺直美さんが「オリンピッグ」というキャラクターになる案を仲間うちのラインで提案していたという話も最近話題になった。
これは、多様性の欠ける同質性の高いグループにどっぷり浸かっていたため、以前は問題視されないような発言やお笑いネタが、時代の変化とともに許されなくなっていることに気づけなかったからではないだろうか。そういうグループでは、異なる視点や革新的な考え方も出てきづらい。世界経済フォーラムのマネージングディレクターであり、ジェンダーギャップ指数調査責任者のサディア・ザヒディ氏も「ベストな考え方(アイデア)は、同質的なチームからは生まれないというのは、すでに周知の事実だ」と指摘する。
そして、これが政治の世界であれば、人口の半分の女性たちの声が政策に反映されず、本当に必要な政策の優先順位が後回しにされるといったようなことも起こりうる。
自民党は、3月に行われた党大会で、「党におけるあらゆる意思決定に女性の参画を確保し見える化する」と明記した2021年運動方針案を採択した。女性政策が運動方針で項目化されたのは初めてだそうだ。菅義偉首相も「全ての女性が輝く社会、作ってまいります。党においてもあらゆる意思決定に女性の参画を確保し、見える化するこの方針に沿って全力で取り組んでまいります」と党大会で挨拶をした。
今年中には衆議院選挙が行われる。森前会長の発言をきっかけに、女性の地位向上が注目されている中、政権与党がはたして有言実行できるのか、そして今の日本の政治がこの国の姿を反映するものに少しでも近づくことができるのか、有権者としても注目していきたい。
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(ジャーナリスト、元ジャパンタイムズ執行役員・論説委員 大門 小百合)
重症病床の使用率、1週間で倍増…吉村知事「通常医療の制限必要」
新型コロナウイルスの感染拡大で、大阪、兵庫両府県の医療体制が
逼迫
( ひっぱく ) しはじめた。重症病床の使用率は「第3波」を大きく上回る速度で上昇。病床の拡充を進めて「次の波」に備えてきたが、早くも正念場を迎えている。
大阪府の重症病床の使用率は、府の算出方法で5日時点で63・8%。緊急事態宣言解除後の3月18日に24・1%まで下がっていたが、同27日に30%を超え、1週間あまりで60%台になった。昨秋の「第3波」では30%を超えてから60%台になるまで半月ほどの余裕があったが、今回はかなり速い。
死者数は横ばいだが、重症者の増加からやや遅れて増える傾向があり、今後の増加が懸念されている。
当面の課題は受け入れ態勢の整備だ。即座に患者を受け入れ可能な「運用病床」の使用率は84・1%で、余裕は少ない。感染がいったん収束に向かったのに伴い、3月以降、各病院にコロナ患者用の病床に一般患者を受け入れることを認めたためで、府は同31日、各病院に再びコロナ用病床を最大限空けるよう要請した。
府内の病床数は「第3波」の入り口だった11月初旬と比べ500床以上増えた。各病院に拡充を要請したためだが、重症病床に限れば、人工呼吸器などを備えた集中治療室(ICU)の数が限られていることもあり、それほど変わっていない。
昨年12月には重症者専用のプレハブ病棟「大阪コロナ重症センター」が稼働したが、増床できたのは20床程度にとどまった。民間病院の協力で新たな臨時病棟(20床程度)を整備するが、完成は10月頃の予定だ。
新たな試みの「後方支援病床」は約1300床を確保。コロナの治療を終えた後、リハビリが必要な患者らを後方支援病床に移すことで、「病床が埋まるスピードを遅らせることができる」(府幹部)とされるが、感染拡大のペースが速く、どこまで効果が期待できるかは未知数だ。
厚生労働省は3月下旬、変異したウイルスなどによる急速なリバウンド(感染再拡大)に備え、都道府県に「第3波」のピーク時の2倍の感染者数を想定した病床確保を要請した。しかし現時点で確保のめどがついた病床は、全体では1990床とピーク時の患者数の1・6倍。重症病床は224床で、1・2倍にとどまる。
府内には通常医療を行う病床も含めた一般病床が約6万5500床、ICUが約500床あるが、吉村洋文知事は「今以上にコロナ用に割くには通常医療の制限が必要」として、政府に、制限すべき医療の優先順位を示すよう求めている。
県立高教諭の女、「交際男に言われ」児童らの裸盗撮
群馬県警は5日、熊本市南区刈草1、無職の男(29)と人吉市相良町、熊本県立高校教諭の女(28)の両容疑者を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的製造)と建造物侵入の疑いで逮捕した。
発表によると、2人は2016年8月13日、天草市内の温泉施設の女湯脱衣場で、18歳未満と知りながら児童らの裸を盗撮して動画を保存した疑い。高校教諭の女は「交際していた男に言われてやった」、男は「たくさんの盗撮動画を手に入れるためだった」と供述しているという。