大阪市内での東京オリンピックの聖火リレーが1日、取りやめの方向となった。新型コロナウイルスの感染再拡大で、同市内に「まん延防止等重点措置」が適用されることから、不要不急の密を避けるためとして吉村洋文・大阪府知事らが表明した。本番を約2週間後に控えた突然の判断に、ランナーには落胆が広がった。
「大阪で聖火が途切れてしまうのは残念。マスクを着けて走るなど、感染対策をしながら実施する方法はないのか」。14日に大阪市役所(同市北区)周辺でトーチをつなぐ予定だった山本潤二さん(62)=同市=は語った。定年退職の半年前に脳梗塞(こうそく)を発症。当初は車椅子生活だったが、リハビリに取り組み、つえを使って歩けるまでに回復した。「聖火リレーを一つの目標にリハビリを続けてきた。ここまで回復できたことをお世話になった人たちに見てほしかった」
「感染者数が増えて、もしかしたらあかんかなと思っていたけど、中止すると聞いてびっくりした」。市内を走る聖火ランナーの一人だった同市の会社員、島津真理さん(57)はそう語った。日本がボイコットした1980年モスクワ五輪出場を目指していた元競泳選手の島津さんは「無観客にして、聖火だけでもつなげられたらいい」と訴えた。
「普通の人でもオリンピックに参加できることを示したい」との思いから聖火ランナーに応募した同市の学童保育指導員、水谷智子さん(48)は、大阪城(同市中央区)周辺から市役所周辺まで水上バスに乗ってトーチを運ぶはずだった。知事や市長が中止を表明したとの一報を聞き「オリンピックを身近に感じられる機会だったので残念」とする一方で、「感染者数が日に日に増えているなかでの実施は難しいと思う」と理解も示した。
「中止」の表明は突然だった。吉村知事は1日昼過ぎ、府庁で報道陣に聖火リレーを実施すべきかどうかを問われ、「大阪市とも協議の必要があるが、私自身は中止すべきだと思っている」との考えを明らかにした。理由については「不要不急の外出にあたると考えており、大阪市内で『密』を避ける必要がある」とした。その後に記者会見した松井一郎・大阪市長も「全国の聖火リレーの様子を見ていると、人が集まり、密になっている」と同調した。市中央公会堂(同市北区)で予定されている聖火リレーの到着セレモニー「セレブレーション」は無観客で実施する案が浮上している。
他の自治体の対応には温度差がある。まん延防止等重点措置が適用される兵庫県の井戸敏三知事は「もう少し状況を見極めた上で、最終的に判断したい」と語った。聖火リレーでは36・7キロを180の個人・グループが走るが、大阪より約1カ月遅い5月23、24日の予定だ。「聖火リレーは室内ではなく、感染防止策がとられているとの前提がある」とも述べた。
聖火リレー(5月15、16日)中止検討を打ち出している島根県の丸山達也知事は、吉村知事らの中止表明について「自然な、適切な方針」と評価した。その上で、「私の(現状での五輪開催に反対という)考え方と吉村知事ではスタート地点が違う。仲間が増えたわけではない」と受け止めていた。
鳥取県の平井伸治知事は1日の記者会見で、5月21、22日に県内の全19市町村を通過する聖火リレーについて「感染症対策を考えなければならない。7割程度の自治体で内容を見直す」と縮小方針を表明した。イベントを簡素化するなどして経費を2~3割削減し、新型コロナ対策に充てる。市民ランナーは予定通り走る見込みだが、密集が生じかねない著名人ランナーは「(走る)必要はない」としている。【柳楽未来、田畠広景、井上元宏、目野創、野原寛史】
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国内2606人感染=大阪616人、東京も宣言解除後最多の475人―新型コロナ
国内では1日、新たに2606人の新型コロナウイルス感染が確認された。新規感染者が2000人を超えるのは3日連続。「まん延防止等重点措置」が適用される大阪府では2月末での緊急事態宣言の解除後最多となる616人の感染が判明。兵庫(199人)、宮城(133人)両県は3日連続で100人を上回った。
大阪で600人超の感染が判明したのは1月16日(629人)以来で、過去4番目の多さ。東京都の新規感染者も3月21日で宣言が解除されて以降最多の475人だったが、大阪は3日連続で東京を上回った。
都の感染確認は2月10日(491人)以来の高水準で、直近1週間の平均は372.3人と前週(319.9人)から16.4%増加した。新規感染者は20代が114人で最も多く、30代93人、50代64人、40代55人と続いた。65歳以上は87人。都基準の重症者は前日比1人減の44人だった。
死者は全国で18人確認された。重症者は前日比2人減の380人。
[時事通信社]
沖縄戦慰霊碑を「顕彰碑」と表記 教科書、美化と批判受け訂正へ
文部科学省が検定結果を公表した2022年度の高校教科書のうち明成社(東京)の歴史総合が、沖縄戦の戦没学徒の慰霊碑「一中健児之塔」(那覇市)を「顕彰碑」と表記し、報道機関の指摘を受け「慰霊碑」に訂正申請する考えを示したことが1日、分かった。文科省によると、検定で修正を求める意見は付かなかった。元学徒らは「戦没者を英雄視し、戦争を美化することは許されない」との声明を発表した。
明成社の教科書は沖縄戦のページで、沖縄県立第一中(現在の首里高)の戦没学徒を慰霊する塔の写真を顕彰碑と記載。ひめゆり学徒隊を「ひめゆり部隊」と表記したことも元学徒らは問題視した。
「宣言解除早かった」=野党、政府判断を一斉批判―まん延防止
新型コロナウイルス感染再拡大を受け、政府が大阪、兵庫、宮城3府県に「まん延防止等重点措置」を初適用すると決めたことに対し、野党は1日、先に緊急事態宣言を解除した判断が誤りだなどとして一斉に批判した。与党幹部は政府に協力して感染拡大防止に全力を挙げる考えを示した。
立憲民主党の安住淳国対委員長は「感染の広がりを考えると宣言を発出するような事態だ。まん延防止だけで対応するのは無理がある」と記者団に指摘。「宣言解除が早かった。菅内閣の政策判断は間違っていた」と厳しく批判した。泉健太政調会長は党の会合で「国民が政府の言うことに耳を貸さなくなっている。信頼回復は菅政権では無理だ」と断じた。
共産党の志位和夫委員長は記者会見で、政府が2月末で関西などの宣言を解除したことに触れ、「たった1カ月で新たな規制措置を取らざるを得なくなった。大きな政治責任がある」と非難。国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で「(感染状況は)宣言を出すレベルだ。措置では効果が薄い」との見方を示し、同じく状況が悪化する東京都などに「予防的に講じる必要がある」と訴えた。
日本維新の会の馬場伸幸幹事長は党会合で、飲食業に対する協力金について「どう上乗せするか、事業規模に応じた支援を早急にやってもらいたい」と注文を付けた。
一方、自民党の二階俊博幹事長は記者団に「まん延の防止はわれわれがなすべきことで最も重要だ。緊張感を持って対応したい」と表明。公明党の山口那津男代表は党会合で「宣言と違って小回りの利く措置が取られる」と評価、「感染拡大をいかに防ぐか、全力を挙げたい」と語った。
[時事通信社]
200超の自治体情報流出か コンサル会社にサイバー攻撃
自治体向けコンサルティング会社「ランドブレイン」(東京)のサーバーがコンピューターウイルスに感染し、保存していた200を超える取引先自治体の個人情報が流出した可能性のあることが1日、同社への取材で分かった。中央省庁も含まれている。サイバー攻撃による情報流出の有無や範囲は現在調査中としている。
同社は具体的な自治体名や件数などは明らかにしなかった。2月下旬にウイルス感染を公表後、情報流出の可能性がある各自治体への連絡を急いでいるが、まだできていない自治体が残っているという。
サーバーの一つがサイバー攻撃を受け「ランサムウエア」と呼ばれるウイルスに感染した。
共産・志位委員長、内閣不信任案に慎重=「解散求める時期でない」
共産党の志位和夫委員長は1日の記者会見で、新型コロナウイルス感染の拡大が続く現状では菅内閣不信任決議案の提出は慎重に判断する必要があるとの考えを示した。立憲民主党は内閣不信任案提出を視野に入れており、温度差が出た形だ。
志位氏は、内閣不信任案提出は衆院解散の要求を意味するとの認識を表明。「菅政権は信任に値しない」としつつ、「第4波の危険が迫っている。そういう時は解散を求める時期ではない」と明言した。また、内閣不信任案が出されれば即時解散で応じると発言した自民党の二階俊博幹事長らを念頭に「与党も解散と言うのは論外だ」と語った。
[時事通信社]
大阪・兵庫・宮城「まん延防止」=6市で飲食時短、5日から1カ月―コロナ対策
政府は1日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言に準じた対応が可能になる「まん延防止等重点措置」を、大阪、兵庫、宮城3府県を対象に初めて適用することを決定した。飲食店に対し午後8時までの営業時間短縮を要請する。応じない場合は20万円以下の過料を科すことができる。期間は週明けの5日から、大型連休が終わる5月5日までの1カ月。
菅義偉首相は1日夜の政府対策本部で「集中的に対策を講じることで緊急事態宣言に至ることを防ぐ」と強調。「感染対策に秘策はない」と明言し、「ワクチン接種が行き渡るまで飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保を粘り強く進めながら感染拡大を食い止める」と訴えた。
3府県の感染者は急増し、コロナ感染は「第4波」に入ったとの見方が強まっている。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)も懸念され、大都市の飲食店に絞った対策の徹底が必要と判断した。
▽協力金1日最高10万円
まん延防止措置の対象地域は、大阪市と神戸市、その間に位置する兵庫県の西宮、尼崎、芦屋3市と宮城県の仙台市。新型コロナの特別措置法に基づき、知事が飲食店などに時短を要請・命令できる。政府は時短要請に応じた飲食店への協力金について、従来の最低水準を維持した上で、売り上げ規模に合わせて日額4万円から10万円とする。
政府は1日午前、専門家らによる基本的対処方針分科会に適用方針を示し、了承された。西村康稔経済再生担当相は大規模イベントの人数制限を「上限5000人」と説明し、「対策を強化していく」と語った。西村氏は1日午後、衆参両院の議院運営委員会に事前報告した。
一方、首相は東京都をまん延防止措置の対象に加える目安について「専門家の意見を聴きながら感染拡大防止を進めていきたい」と述べるにとどめた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
[時事通信社]
日韓、歴史問題で平行線 外務省局長協議、対北朝鮮は協力
日本と韓国の外務省局長が1日、東京都内で会談した。元慰安婦訴訟など歴史問題で悪化した日韓関係の改善を模索するのが狙いだったが、双方がそれぞれの立場を主張し、平行線に終わった。北朝鮮対応や地域の安定に向け、日韓、日米韓3カ国の協力が重要だとの認識では一致。意思疎通を続けていくと確認した。
対面での局長協議は昨年10月以来。外務省の船越健裕アジア大洋州局長と、韓国外務省の李相烈アジア太平洋局長が出席した。
協議で日本側は、元慰安婦への賠償を日本政府に命じたソウル中央地裁判決を、国際法違反と指摘。元徴用工訴訟判決でも、受け入れ可能な解決策を示すよう求めた。
大阪で616人がコロナ感染 3日連続で東京を上回る
大阪府は1日、未就学児から90代の男女616人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。600人超は緊急事態宣言が発令されていた1月16日以来で、過去4番目の多さ。3日連続で東京都の感染者数を上回った。府内の感染確認は計5万2817人となった。新たな死者はなかった。
直近1週間の新規感染者数は前週比2.39倍で、拡大傾向が顕著となっている。感染拡大の指標である1週間の人口10万人当たりの感染者数は32.55人で、この指標では爆発的感染拡大を示すステージ4に相当する。
府によると、30~80代の男女8人が新たに重症となり、計96人に上った。
東京、GW前に感染650人も 第3波超す急拡大の恐れ…専門家指摘
新型コロナウイルスの感染状況を分析する東京都のモニタリング会議が1日開かれ、専門家からは、今年1月に感染者が急増した第3波を超えるような感染急拡大への懸念が示された。現在の増加ペースが今後も続くと仮定すると、1日の新規感染者は2週間後に約480人、4週間後のゴールデンウイーク直前には約650人に達する可能性があるという。
同会議の分析によると、都外居住者の唾液の郵送検査による感染判明分を除外した新規感染者数の7日間平均は、3月31日時点で349人。前回(3月24日時点)の300人から増加した。増加比は約117%だった。
このままのペースで増え続けると、4週間後には都内で1日に650人の感染者が出ると予想。緊急事態宣言の解除や新年度のスタートにより主要駅や繁華街、花見などの人出が増えたうえ、変異株の影響も考えられ、より急激な感染拡大への警戒も必要だとした。
3月23~29日の1週間の新規感染者を年代別にみると、20代が23・9%で、前回から上昇した。感染経路別では、同居人が46・1%で最も多く、学校を含む施設が25・2%で続いた。
会議後、報道陣の取材に応じた国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「感染第2波や3波の前、感染者数が底を打ったときより今の方が多い。人の流れが増えているデータもあるし変異株も過小評価すべきでない。今後、第3波を超える急激な感染拡大が危惧される」と述べた。