無理やり性交などの経験、女性6・9%に男性1%…加害者は「先輩や上司」が男女とも半数超

内閣府は、「男女間における暴力に関する調査」の結果を発表した。配偶者から暴力を受けた経験があるのは22・5%で、そのうち26・5%の家庭では子どもも被害者となっており、家庭内暴力が連鎖している一端がうかがえる。
男女別で見ると、配偶者から暴力を受けたのは、女性が25・9%で、男性は18・4%だった。暴力には、殴る、蹴るなどの身体的暴行のほか、暴言といった心理的攻撃などがある。女性の約10人に1人は被害が「何度もあった」と答え、約5人に1人が命の危険を「感じた」という。
被害を受けたにもかかわらず、女性の41・6%、男性の57・1%はどこにも相談していなかった。
交際相手との関係で見ると、暴力被害を受けたのは女性で16・7%、男性は8・1%だった。男女ともに、同居している際の被害が約4割に及んだ。女性の34%、男性の39・8%は被害を相談しなかった。
一方、無理やり性交などをされた経験があるかどうかでは、女性が6・9%、男性は1%が被害に遭っていた。加害者との関係では、先輩や上司など「上位の立場」からの被害が男女とも半数を超えた。
調査は3年に1回実施されている。今回は2020年11~12月に行い、3438人から回答を得た。

少数精鋭 全国を飛び回る超多忙部隊 入間にしかない「飛行点検隊」のお仕事とは

航空自衛隊からYS-11FCが姿を消します。同機は入間基地にある飛行点検隊で運用されていた飛行点検機。いったいどんな任務を帯びていたのか、後継はどんな機体なのか見てきました。
FC=飛行点検 どんなお仕事?
航空自衛隊入間基地で2021年3月26日(金)、飛行点検隊のYS-11FC退役に伴う機種更新記念式典が実施されました。式典に先立ち、3月17日(水)には運用終了に伴うラストフライトが行われており、今回の式典を無事終えたことで、自衛隊の現有装備からも完全に退いたといえるでしょう。
YS-11FCがこれまで担ってきた任務は、「飛行点検」と呼ばれるものです。飛行場やその周辺には、航空機が安全にフライトできるよう離着陸などを支援するための航空保安無線施設が配置されています。これらが必要な機能を保持し、かつ正常に動いているか、実際に上空を飛んで評価・判定するのが飛行点検機の役割です。
飛行点検隊は、そのための専用機であるYS-11FCを始めとした「飛行点検機」を運用する専門部隊です。なお陸上自衛隊や海上自衛隊には飛行点検を実施する部隊は存在しません。航空自衛隊の飛行点検隊が、全国の防衛省管理下にある42基地163施設の航空保安無線施設すべてを一手に担っています。そのため、年間の飛行点検回数は約300回にも及ぶそうです。
ちなみに日本で飛行点検機を運用しているのは、航空自衛隊以外に国土交通省航空局もあります。後者は民間空港等を受け持っているため、航空自衛隊は防衛省の管理下にある自衛隊施設のみを担当しています。
飛行点検の種類はおもに4つ 硫黄島にも足運ぶ
飛行点検には種類があり、大きく「設置位置調査」「初度飛行点検」「定期飛行点検」「特別飛行点検」に分けられるといいます。
・設置位置調査:飛行場などを新設するにあたり、設置位置が適しているかを調査するためのもので、まだ施設がない場所を飛ぶ。 ・初度飛行点検:施設が完成し、運用開始に先立って行う最初の点検で、運用をスタートしても問題ないかチェックするもの。 ・定期飛行点検;運用中の施設に対して定期的に行う点検。飛行点検隊が常時実施している飛行点検の大半がこれに該当する。 ・特別飛行点検:飛行場などで滑走路の延伸や敷地の拡幅、施設の移設など大幅な変更が行われた場合や、施設に重大なトラブルやアクシデントなどが発生し、運用を一時中断したのち再開する際などに行う点検。
飛行点検隊によると、それぞれの割合は「設置位置調査」が約0.1%、「初度飛行点検」が約10%、「定期飛行点検」が約70%、「特別飛行点検」が約20%だとのこと。いずれも航空機が安全運航するにあたり必要な任務のため、飛行点検隊もやはり日本の空の安全を守るため忙しく日本各地を飛び回っているといえるでしょう。
さて、戦後初の国産旅客機が姿を消すことは惜しいものの、自衛隊機の安全な運航のために今度は新鋭のU-680Aが既存のU-125とともに日本中の自衛隊飛行場を飛び回ります。
飛行点検機は自衛隊の飛行場がある場所には必ず飛んでいくため、遠いところでは小笠原諸島の硫黄島や日本最東端の南鳥島までも足を延ばします。
これまで、YS-11FCは、飛行速度が遅いものの、短距離離着陸性能が優れていたため、それら遠方の飛行場まで点検任務のために時間をかけて飛んで行っていました。一方U-680Aは短距離離着陸性能に優れるとともに飛行速度も速いため、これまでよりも短時間で効率よく点検任務を済ますことが可能になるそうです。
【動画】間近で見ること少ない飛行点検機を中までじっくり!

しつけのために「体罰をすべきだ」…20歳以上の4割が認める

昨年4月施行の改正児童虐待防止法で禁止された「しつけのための体罰」について、20歳以上の41・3%が容認していることが、公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京)の調査でわかった。法改正前の2017年調査(56・7%)と比べて減少したものの、依然として4割はしつけと称した体罰を認めている現状が浮かび上がった。
調査は今年1月、インターネットで実施し、20歳以上の男女計約2万人から回答を得た。しつけのための体罰について「積極的にすべきだ」「必要に応じて」が計8・7%、「他に手段がない時のみすべきだ」が32・6%で、合わせて4割を占めた。「決してすべきでない」は58・8%だった。
厚生労働省は「長時間の正座」などが体罰に当たることなどを明示した指針を公表している。同法人は「体罰の悪影響や法律の内容をさらに周知する必要がある」と指摘している。

「第4波に入った」地方で感染が急拡大…宮城には「GoToイート再開が要因」との指摘も

地方での新型コロナウイルス感染者が、3月中旬以降、急激に増えている。宮城、山形、愛媛県などは独自に緊急事態を宣言したが、医療体制の

逼迫
( ひっぱく ) は進む。愛媛県の中村時広知事が「『第4波』に入った」と語るなど、各地で警戒感が高まっている。
厚生労働省によると、人口10万人当たりの直近1週間(19~25日)の新規感染者数は、宮城県が36・08人に上り、東京都(16・08人)や大阪府(13・63人)を大きく上回っている。
宮城県では、療養者数や感染者数など複数の指標で最も状況が深刻な「ステージ4」に達しており、3月23日時点での病床使用率は33・9%と、前週より16ポイント以上悪化している。
同県では、2月23日に政府の飲食店支援事業「Go To イート」を約2か月ぶりに再開したが、3月に入ると感染が急拡大し、16日に再び停止に。18日には県と仙台市が独自の緊急事態宣言を発令し、25日からは仙台市内の飲食店など約1万店に営業時間の短縮を要請している。
日本医師会の中川俊男会長は宮城県の状況について「2月8日の仙台市の時短要請解除と、『Go To イート』再開が要因と思われる」「ちょっとした緩みでこれだけの感染者が出るという教訓にしなければならない」と指摘した。
隣接する山形県でも、10万人当たりの1週間感染者数が16・6人に達しており、県や山形市などで時短要請を開始。吉村美栄子知事は「3世帯同居が多く、若い人から高齢者への波及を食い止めなくてはならない」と訴えた。
愛媛県では2月下旬以降、新規感染者は1日0~4人で推移していたが、3月23日に23人に急増し、25日には過去最多の59人となった。松山市で複数の飲食店にまたがる「繁華街クラスター(感染集団)」が発生したためで、関連の感染者は160人に上る。
うち20人以上から変異ウイルスが検出されており、中村知事は28日、「収束できるかどうか、この1~2週間が勝負」と危機感をあらわにした。
沖縄県も、10万人当たりの1週間感染者が25・6人に上る。県によると、那覇市を中心に飲食店絡みの感染が増えており、若い世代での流行が急拡大の要因とみられるという。

両陛下支える新侍従長に「元国連大使」就任 際立つ秋篠宮家との明暗

宮内庁も4月は人事の季節だ。天皇・皇后の即位以来、侍従長を務めた小田野展丈氏が退任、侍従次長の別所浩郎氏が4月1日から侍従長に“昇格”する。天皇・皇后の側で日常のお世話をする「オク」を取り仕切る重要ポストだ。宮内庁担当記者が言う。
「本来であれば、小田野氏は昨年5月に予定されていた天皇・皇后両陛下の英国訪問後に勇退の予定でした。ところがコロナ禍で延期となりタイミングがずれ込んだ。
別所氏は小田野氏と同じく外務省の出身で、国連大使も務めました。この“外務省シフト”は、かつて外交官だった雅子さまへの配慮が大きいようです。雅子さまは、過去になかなか外国訪問が認められず、体調を崩された経緯がある。コロナ禍が収束した後、皇室外交に積極的に取り組んで頂けるようサポート体制を充実させるのが狙いでしょう」
新侍従長は天皇・皇后の信頼も厚いようだ。
「別所氏は温厚で誠実な人柄で、外務省時代から外交問題のご進講役として東宮時代の両陛下と接点があったようです。この1年、侍従次長としての仕事ぶりを両陛下が間近でご覧になったことで、関係はより深まった」(前出・宮内庁担当記者)
一方、秋篠宮皇嗣家でも“国際畑”の人材を招き入れた。JICA(国際協力機構)元理事で緒方貞子平和開発研究所顧問の鈴木規子氏が皇嗣職宮務官に就任したのだ。
「別所新侍従長は外務省時代、『国際協力局』の局長を務め、当時JICA理事長だった緒方さん、秘書の鈴木さんとも面識があったようです。鈴木さんは外務省への出向経験もありますしね。
しかし、現在2人が置かれた状況は対照的。穏やかな日々を送る天皇家の一方、秋篠宮家は眞子さまと小室圭さんの結婚問題で揺れている。昨年は宮務官が5人も依願退職したことも報じられました。人材不足の中、鈴木さんはご一家のために多忙な日々を送っているようです」(同前)
新体制は両家を力強く支えることができるか。
※週刊ポスト2021年4月9日号

日本は「人質司法」なのか 法曹三者はどう見る?実名顔出しインタビュー

元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告が起訴された事件を機に、国際的に厳しい目が注がれている日本の刑事司法。否認したり黙秘したりすると長期にわたり不当勾留し、自白を迫る「人質司法」との批判が出ている、一方で保釈後に再犯したり、ゴーン被告のように逃亡したりする事案も起きている。勾留判断はどうあるべきか。裁判官、検察官、弁護士の法曹三者にインタビューした。(共同通信=武田惇志、広山哲男、鈴木優生)
最高裁事務総局の内部資料によると、2019年の一審公判終了までに被告が起訴内容を認めた自白事件の保釈率(保釈された割合)は33・1%、否認事件はより低い28・2%だった。保釈のタイミングは自白事件だと初公判前が25・8%、初公判後は6・8%。否認事件の場合は初公判前が12・7%、初公判後は15・2%で、否認の方が保釈まで時間を要したことが分かる。データは1984年から3年ごと、14年からは毎年分あり、99年以降、否認事件の保釈率は自白事件に比べると一貫して低く、0・5~5・5ポイントの差があった。
最高裁内部資料から
こうした現状も「人質司法」の根拠になっているが、法務省はウェブサイトで「日本の刑事司法制度は身柄拘束によって自白を強要するものとはなっておらず、『人質司法』との批判は当たりません」と反論。「勾留は捜査機関から独立した裁判官による審査が求められており、具体的な犯罪の嫌疑を前提に、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合等に限って認められます」と強調している。
▽否認イコール身体拘束ではない
まずは裁判官の見解を紹介する。大阪地裁で取材に応じたのは勾留請求や保釈請求を審査する令状部の村越一浩裁判官だ。
村越一浩裁判官=2020年6月、大阪市
―「人質司法」という批判をどう受け止めているか。
批判があることは重々承知しています。刑事訴訟法にあるように、証拠隠滅や逃亡のおそれがどの程度あるのか具体的に検討し、法律の要件に従って判断していかないといけません。
―最高裁の内部資料によると、否認事件では保釈率が低い実態がある。
否認事件にもいろいろあります。保釈後に関係者に働き掛ける危険性が高い事件も含まれています。そういうケースは、証拠隠滅のおそれがあるかどうかを判断する際、ネガティブな方向に働くことがあるかもしれません。そうした事情は、統計の数字だけでは計りにくいのではないでしょうか。
否認事件だから保釈が難しい、という判断はするべきではないし、しないように心掛けています。全体の保釈率自体は2009年の裁判員裁判の導入開始前後から上昇しています。刑事裁判を迅速に進めるための「公判前整理手続き」の影響があります。弁護側の主張から、証拠隠滅の可能性が低いことなどが分かり、保釈の判断がしやすくなっているのです。
-勾留された理由を裁判官に尋ねる「勾留理由開示手続き」がある。傍聴すると、理由が「証拠隠滅のおそれ」などのひと言で終わり、具体的な中身が一切明らかにされないので驚いた。
捜査の秘密への配慮が必要で、具体的な証拠に触れるのを避けようとするのが実情です。
村越一浩裁判官=2020年6月、大阪市
-制度の趣旨と違うのではないか。
われわれ審査する側にとって、かなり意味がある手続きだと思います。憲法上、規定されており、勾留された人の陳述を聞く場があるのは、適正に審査するための担保になっています。
-若くて経験の乏しい裁判官が、身体拘束の可否を判断しないといけないケースもあり、その際は予防的に拘束を認めがちになるおそれがあるのではないか。
法律の要件から離れてはいけないと思います。証拠隠滅したり逃亡したりする可能性があるかどうかが、逮捕後の最初の勾留からずっと判断基準になっています。そこから離れてはいけない。「保釈後に逃亡した事案があったから、怖くて認められない」との考えがあってはならない。要件に従ったと自信を持って言えるような判断が大事です。確かに経験が乏しい不安もあるでしょう。先輩裁判官がバックアップして、事件についてしっかりと審査ができるような体制を取ることが大事だと思っています。
× × ×
むらこし・かずひろ 1965年生まれ。大阪府出身。91年任官で2013年から大阪地裁部総括判事。
▽保釈判断、おびえる被害者も
裁判所と同様に「人質司法」との批判の矛先となっている検察庁。正しい身体拘束や裁判所の判断の在り方について、東京地検刑事部の平野大輔副部長(取材時は大阪地検刑事部副部長)と、神戸地検尼崎支部の山崎英司支部長(取材時は大阪地検公判部副部長)に話を聞いた。
左:平野大輔氏(検事)右:山崎英司氏(検事)=2020年9月、大阪市
―裁判所の勾留に関する判断で課題はあるか。
平野氏:夜間に女性が自宅近くの路上で襲われる性犯罪、共犯者のいる組織犯罪、証拠隠滅が容易にできると認められた事案についても、裁判所が勾留請求を却下した事例があります。必要に応じ準抗告などの対応を取っています。
山崎氏:保釈中の外国人が親族の葬儀のためとして出国し、戻ってこなかった例もあります。裁判への不出頭や所在不明、事件関係者との接触禁止条件の違反などにより、保釈許可決定が取り消される事例も多くあります。保釈中の再犯事例は後を絶ちません。女子中高生らに対する性犯罪などで起訴後に保釈された被告が、他県で女子中高生との性行為を動画撮影することを繰り返し、逮捕された例もあります。
平野氏:出頭が確保できず真相解明に向けた取り調べが困難になったり、容疑者が関係者に接触して証拠隠滅したり、虚偽の証拠を作ったりして、捜査への影響が生じることがあります。定住先や定職があることや、捜査機関が一応の証拠収集したことのみに着目し、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと機械的に判断されるべきでないことは当然です。事案ごとに性質や実態、証拠関係などを具体的に検討するよう裁判所に求めています。
性犯罪など加害者と被害者が同じ生活圏内で接触しやすい事案では、釈放や保釈は被害者に強い恐怖や不安を与えます。被害者が捜査協力をちゅうちょしたり、拒否したりしたこともあります。転居を余儀なくされれば、捜査や公判の支障となります。本来防ぐことのできた二次被害に追い込むこともあります。
平野大輔氏(検事)=2020年9月、大阪市
―裁判所が釈放の判断について、具体的に理由を示していないとの指摘があるが。
平野氏:勾留は時間的に切迫した状況で判断されるため、個別の検討や決定過程の明示に一定の限界があると理解しています。ただ裁判所の決定理由は抽象的で、紋切り型が多いです。例えば「証拠隠滅のおそれが認められるが、証拠収集状況や関係者の供述状況に照らすと、その現実的可能性が高いとまでは認められない」「被疑者には前科がないこと、家人が監督を誓約していること、被疑者も出頭を約束していることに照らすと逃亡のおそれが乏しい」というものです。これでは裁判所の考えを具体的に示す内容になっていません。どの点に着目して判断したかを具体的に理解したいと考えています。それが将来にわたり、勾留の要否を考える上での指針を示すことにつながるのではないでしょうか。
―長期勾留の恐れや捜査機関の高圧的、誘導的な姿勢から、容疑者が捜査側の見立てに迎合した供述をしたり、虚偽の自白をしたりするといった批判にはどう答えるか。
平野氏:捜査機関が真実ではない供述を引き出すことは決してあってはなりません。捜査機関は、真相を解明し適切な刑罰権の行使を実現することを負託され、捜査しています。取り調べもその重要な一部です。大阪地検では研究や研修を重ね、迎合や虚偽の供述を引き出す取り調べを徹底的に防止する対応を取っています。客観証拠によって供述の信用性をしっかり吟味するなど、誤った事実認定に陥ることのないよう引き続き取り組みます。
× × ×
ひらの・だいすけ 1973年生まれ。東京都出身。99年任官で大阪地検刑事部副部長(取材時)の後、昨年10月から東京地検刑事部副部長。
やまさき・えいじ 66年生まれ。兵庫県出身。97年任官で大阪地検公判部副部長(取材時)の後、今年1月から神戸地検尼崎支部長
▽ゼロリスク求めすぎでは
「官」の立場の裁判官や検察官に対し、「民」の弁護士は身体拘束の現状をどう見ているのか。大阪弁護士会の水谷恭史弁護士に聞いた。
水谷恭史弁護士=2020年10月、大阪市
―身体拘束を巡る課題は。
憲法や刑事訴訟法は無罪推定や身体不拘束の原則を定めているが、実際の運用では原則と例外が逆転している。
―なぜ逆転しているのか。
刑訴法は「証拠隠滅や逃亡をすると疑うに足りる相当な理由があるとき」に、勾留が許されると定めています。「相当な理由」とは単なる抽象的な可能性では駄目で、具体的にどんな理由、方法で証拠隠滅などをする可能性があるのかを考慮すべきだと最高裁判例は判示しています。しかし、裁判官も検察官も共通して「証拠隠滅のおそれ程度で勾留できる」と考えているようです。「おそれ」とは抽象的な可能性のこと。そのために原則と例外が逆転してしまっているわけです。
担当したある事件で保釈請求した際、裁判官がぽろっともらした言葉が「怖い」というひと言でした。逃亡など万が一のことが起きれば確かに怖い。「おそれ」程度で勾留を続ければ、そのリスクはゼロになる。そのようにして、抽象的な可能性に基づき、安易に勾留を容認してしまっているのではないでしょうか。
―保釈率が上がれば、性犯罪などの再犯が増える可能性が懸念されています。
それは有罪判決が確定するまで無罪とみなすべき「無罪推定の原則」を完全に無視する発想ではないでしょうか。米国では再犯可能性の有無が保釈するかどうかの判断基準に入っているのですが、日本の法律にはありません。考慮するならば法改正が必要です。
再犯可能性を意識し始めると、情報収集能力に長(た)けた捜査機関である検察官の言い分をはね返すことは至難の業でしょう。裁判所はあくまでも審査機関であり、検察側・弁護側双方の主張を踏まえた合理的な判断に徹するべきです。あえて極論するなら、保釈制度はゼロリスクを求めるものでなく、一定のリスクを織り込んだものです。だからこそ、保釈保証金を預けさせ、逃げたら没収する仕組みがあります。
過度にゼロリスクを求める世論が、捜査機関や裁判所を後押ししていると感じます。とことんまで追求すれば、容疑者や被告を外界から遮断し、密室に閉じ込めるしかなくなってしまいます。
水谷恭史弁護士=2020年10月、大阪市
―長期間の身体拘束で自白が強要される懸念がある。
身体拘束に加え、否認事件で安易に用いられる家族らとの「接見禁止」により、容疑者は孤立状態に追い込まれます。どれだけ説明しても信用してくれない絶望感から、認めるしかないと諦めて虚偽自白をしてしまう。これまで多くの心理学者が指摘し、社会の耳目を集めたあらゆる冤罪事件で共通しています。
-冤罪を生まないために、身体拘束はどうあるべきか。
身体不拘束という原則を実質化すること。既に述べたように、不拘束は憲法、刑訴法の原則です。法改正ではなくて、法にのっとって運用することで改善されるべきです。刑訴法は「勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、職権で勾留を取り消し、または保釈を許さなければならない」と規定していますが、完全に死文化しています。
冤罪防止には、現在は一部の事件で認められている取り調べの録音・録画対象事件を全事件に拡大する必要もあります。録音・録画が取り調べの適正化に効果があったのは実証済みで、検察側も「違法な取り調べをしていません」と証拠として積極的に活用しています。
取り調べの際の弁護人立ち会いも必要です。今まさに自白を強要されている場面で黙秘権を行使したり、言い分を確保したりすることが求められます。弁護人が代弁者として、取調室で容疑者側の言い分を直接、捜査官に伝える。これまで繰り返されてきた虚偽自白による冤罪を防ぐために、最も効果的なツールになると思います。
× × ×
みずたに・きょうじ 1972年生まれ。岐阜県出身。2008年に大阪弁護士会登録。09年から刑事弁護委員会委員。

中国船2隻が尖閣領海侵入 日本漁船2隻に接近

29日午前4時5分ごろから、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船2隻が侵入した。同20分ごろ、南小島の南約22キロの海上で、航行中の日本漁船2隻に接近しようとする動きを見せた。海上保安庁が漁船の周囲に巡視船を配備し、安全確保に当たった。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、日本漁船2隻は、7.9トンと5.6トンで、それぞれ3人が乗っている。領海侵入した海警局の船のうち1隻は機関砲のようなものを搭載している。中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは、23日以来で今年11日目。
領海外側の接続水域でも29日、海警局の別の1隻が航行するのを確認した。

29日 気温急上昇 本州で今年初の夏日も 広範囲に「黄砂」飛来も予想

今日29日(月)は天気が回復して晴れる所が多いでしょう。気温がぐんぐん上昇し、本州では今年初めて最高気温が25度以上の夏日になる所がありそうです。また九州から近畿、北陸などを中心に広い範囲で「黄砂」が予想されています。花粉と合わせて、黄砂にも注意が必要です。
天気回復 広く晴れる

今日29日(月)は天気が回復して晴れる所が多いでしょう。九州は北部では午前中は雲が広がりますが、午後は広く晴れる見込みです。中国、四国、近畿も大体晴れるでしょう。未明には静岡で1時間に60ミリ以上の非常に激しい雨が降り、千葉県や神奈川県など関東でも1時間に30ミリ以上の激しい雨の降った所がありました。東海や関東甲信は日中は天気が回復して晴れる所が多いでしょう。北陸や東北も晴れ間が出る見込みです。北海道は晴れ間が出るのは一部で、曇りや雨の所が多いでしょう。日本海側では夕方から雷を伴う所がありそうです。落雷や突風にご注意ください。沖縄は晴れ間もありますが、午後は、にわか雨の所がありそうです。
気温が急上昇 本州では今年初の夏日に

今日29日(月)は各地で気温がぐんぐん上がるでしょう。日中の最高気温は、沖縄をはじめ、九州や四国、東海、関東では25度前後まで上がり、夏日(最高気温25度以上)となる所がありそうです。本州では今年初めての夏日になるでしょう。5月から6月並みの初夏を思わせるような陽気になりそうです。日中は上着いらずで、汗ばむくらいの所もあるでしょう。夜も極端な冷え込みはありませんが、10度を下回る所もありますので、日中との気温差にご注意ください。
西日本を中心に広範囲に「黄砂」予想

今日29日(月)は雨上がりで気温が上昇するため、九州から関東にかけて花粉の飛散が非常に多くなりそうです。そして、もう一つ注意が必要なのは「黄砂」です。韓国では今朝までに黄砂が観測され、視程が2キロメートル未満と視界が悪くなっている所もあります。今日29日(月)から明日30日(火)にかけて、九州から近畿、さらに北陸などでも広範囲で黄砂が予想されています。視程が10キロメートル未満となる所もありそうです。黄砂が飛来すると、自動車や洗濯物に黄砂などが付着し、汚れることがあります。洗濯物は室内に干したり、買い出しなどの外出はマスクやメガネを着用したりするなど対策をすると良いでしょう。視程が5キロメートル未満となると交通機関へも影響が出ることもありますのでご注意ください。

【独自】高齢者住宅の「囲い込み」、厚労省が監視強化へ…「過剰」介護防ぐ

厚生労働省は10月にも、見守り付き高齢者向け住宅の入居者に過剰な介護サービスを使わせて利益をあげる「囲い込み」と呼ばれる不適切な行為を見つけ出す仕組みを導入する。介護の利用記録を解析して問題のあるケースを特定し、自治体の立ち入り調査や是正指導などにつなげる。不必要な介護を減らし、介護保険制度の財政悪化を防ぐ。
厚労省が監視を強化するのは、高齢者住まい法に基づき設置され、全国で約26万人の高齢者らが暮らす民間の賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。安い家賃で集めた入居者を、サ高住に併設する自社のデイサービスに毎日通わせるなど、介護報酬で利益を過度に得る事業者の存在が指摘されている。
こうした事業者は、入居者の受ける介護の計画作りを担うケアマネジャーの事業所も自社で設立。要介護度に応じて決まる上限額までサービスを使わせる計画の作成を促すという。
囲い込みは過剰な介護につながりやすく、高齢者住まい法の基本方針などで行わないよう求めている。
厚労省は囲い込みの発見に向け、要介護者が利用した事業所やサービスの種類、回数などの情報を網羅した介護給付適正化システムを改修する。「毎月の限度額の9割以上を使っている」などの条件で、問題のある介護計画を抽出し、囲い込みに協力するケアマネ事業所を特定できるようにする。
ケアマネには、要介護者の立場に立って公正かつ誠実に業務を行う義務がある。囲い込みは入居者の自己負担(原則1割)が増える要因にもなるため、自治体は問題のあるケアマネ事業所に対し、介護保険法に基づく監査や報酬の返還命令などを行う。都道府県とも連携し、囲い込みが疑われるサ高住の運営事業者に対する立ち入り調査や、是正指導につなげる。

【独自】わいせつで免職の元教員、免許状コピーで障害児支援企業に再就職

東京都内の50歳代の元小学校男性教員が、児童へのわいせつ行為で懲戒免職となった直後、その事実を隠して子供向けの福祉サービス会社に再就職していたことがわかった。教員免許が失効したにもかかわらず、元教員は免許状のコピーを示し、免許を保持していると偽って採用されていた。教員の処分歴について民間会社が把握することの難しさが浮き彫りになった形だ。(江原桂都、石井正博)
処分歴、民間会社が把握は難しい

都教育委員会などによると、元教員は2018年に教室で児童の下半身を触るなどのわいせつな行為をしたとして、都教委から19年10月、懲戒免職処分を受けた。保護者らによると、元教員から被害を受けた児童は複数に上るという。
教員免許法では、懲戒免職となれば教員免許は失効する。複数の関係者によると、元教員は懲戒免職直後の同年10月末、求人サイトを利用し、障害を持った子供の発達を支援する福祉サービス会社に応募。11月中旬に面接を受けた際、すでに失効している教員免許状のコピーを持参し、「教員免許を持っている」と経験をアピールしたという。
元教員はパート社員として入社し、同社が運営する施設で子供と接する仕事を始めた。20年1月には正社員になった。
一方、この元教員がインターネット上の同社のブログで新規スタッフとして紹介されたことで、過去にわいせつ行為で懲戒免職になったという情報が同社に寄せられた。会社側が事情を聞いたところ、元教員は過去の処分と免許失効の事実を認めて退職した。
元教員の提出した履歴書には、かつて東北地方で教員をしていた経歴は載っていたが、都内の小学校での勤務歴は記されていなかった。元教員は「懲戒免職になったと知られたら雇ってもらえないと思った」と話したという。
同社の関係者は「免許状のコピーもあり、教員経験者であることは採用の決め手だった。わいせつ行為で失効していると分かれば採用しなかった」と話す。
懲戒免職などで免許失効となった教員の氏名は教員免許法により官報への掲載が義務づけられているが、元教員が掲載されたのは免職から約2か月後の19年12月。元教員は免職後すぐに同社に応募し、同年11月には採用が決まったが、この時点ではまだ官報に掲載されていなかった。同社側は「官報で分かるとは知らなかった。だが仮に知っていても時間差があれば把握は難しい。一企業が個人の経歴の裏付けを取るのは限界がある」と打ち明けた。