新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づいて東京都が出した時短営業命令が、営業の自由を保障した憲法に違反するなどとして、都に104円の損害賠償を求める訴訟を起こした外食大手「グローバルダイニング」。訴訟費用をクラウドファンディングで募ったところ、1500万円以上が集まった。弁護団長の倉持麟太郎弁護士に訴訟の狙いを聞いた。
都は時短要請に応じなかったとして、グローバルダイニングの26店舗に18日から21日までの4日間、午後8時以降の営業停止を命じた。
同社側は、飲食店が主な感染経路という明確な根拠もないまま一律に制限することは「営業の自由や法の下の平等に反する」と主張。都の命令書で「緊急事態措置に応じない旨を強く発信」した点を理由の一つとしたことも「表現の自由の侵害」とした。長谷川耕造社長は、「コロナに対する政策・施策で塗炭の苦しみを味わっている人はゴロゴロいる」と訴えた。
コロナ政策への問題提起が目的のため請求額は命令を受けた26店舗に各1円、4日分で104円のみ。弁護団が22日から訴訟の事務費用や交通費、研究者に依頼する費用として1000万円を目標に募ったところ、26日朝の時点で約1570万円が集まった。倉持氏は「1、2週間で目標金額を達成すればと思っていたが、ここまで反響があるとは予想していなかった」と話す。
提訴後、倉持氏のもとには応援の声が続々と届いているという。「1年以上のコロナ禍における同調圧力の中、社会への違和感や不満を言えない人がかなりいたことが可視化され、日本に受け皿がなかったことも分かった。国会やジャーナリストも人々の声を拾えていなかったのではないか」
裁判での勝算について倉持氏は「楽観はしていないが、違法の判断が出る可能性はある。もし一部違憲という判決になれば、法の支配の観点から国会はどのように対応するのか。(訴訟によって)国会や裁判所の関係を新陳代謝したい」と答えた。
小池百合子都知事は「命令は改正特措法にのっとった手続きで、丁寧に手続き通りにやってきている」と述べた。
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PCR検査をすり抜ける“ステルス変異株”に警戒 専門家「全く検出できないことになりかねない」
フランスで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認された。鼻から検体を採取するPCR検査をすり抜けるというたちの悪さだ。この変異株が広がった場合、ステルス戦闘機のように検知されないままウイルスが蔓延(まんえん)する恐れもある。日本も第4波阻止へ変異株の水際阻止を急ぐが、国内に流入すると厄介なことになる。
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フランスの保健当局によると、西部ブルターニュ地方ラニオンの総合病院で感染が確認された79人のうち、死亡した8人から新たな変異株が確認された。うち7人は、鼻の奥から検体を採取したPCR検査では陰性で、抗体検査や「呼吸器のより深部から検体を採取したPCR検査」で感染が分かったという。
遺伝子配列で新たな変異株と確認され、当局は詳しく調査する対象に指定。重症化や感染力が強いとの結論は得られていないが、知らぬ間に感染が広がる恐れがある。
フランスでは英国由来などの変異株が猛威をふるい、感染第3波が襲来、パリなどで4週間のロックダウン(都市封鎖)に突入した。さらに発見された「ブルターニュ変異株」が新たな脅威となるのか。
長崎大大学院の森内浩幸教授(小児科学・ウイルス学)は、「新型コロナウイルスの遺伝子配列のうち、PCR検査に関わる部分の変異はいつかは起こるだろうと想定されてきた」と語る。
PCR検査ではウイルスに特異的な遺伝子配列の特定部分を取り上げて検査の標的とするが、「その遺伝子配列に変異が多く起こるか、1カ所でも特に重要な部分の変異なら、全く検出できないことになりかねない」と森内氏。
「変異は一定の確率で起きるため、感染者数の分母が増えれば変異も増える。水際対策も重要だが、どこでも今回のような検査をすり抜ける変異は起こる可能性に留意すべきだ」と強調した。
田村憲久厚生労働相は、現在は変異株の流行国から入国した人に要請している検査や待機の対応を、全ての国からの入国者に広げ、水際対策を強化する考えを示した。変異株流行国からの入国者が待機期間中に宿泊施設などから出て行方不明になった場合は「民間の警備会社と契約して対応することも考えている」とも述べた。
いったん入ってしまった後は食い止めるのは難しい。引き続き最大限の警戒が必要だ。
宮城、山形、愛媛だけじゃない! 地方感染爆発「全国が予備軍」 「新規20~30人、実効再生産数1~2の間の自治体危険」専門家指摘
宮城県や山形県、愛媛県などで25日、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新した。東京都など首都圏は微増傾向だが、地方では感染「第4波」をうかがわせるような感染拡大が起きている。専門家は、再拡大が懸念される地域について「国内全域が予備軍だ」と指摘する。
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東京の同日の新規感染者は394人。都のモニタリング会議では「第3波を超える感染の急拡大が危惧される」との見解も出た。
宮城県の同日の新規感染者は過去最多の161人だった。「飲食店をはじめとして細かい感染拡大が積もり積もっている」と県担当者は危機感を募らせる。「遊興施設や高齢者施設、児童関連施設や学校などで感染が起きている。仙台駅周辺も春休みで人出が増えているようだが、仙台市以外にも広がっていて大変危惧している」
隣接する山形県も49人と過去最多。県担当者は「東京からの観光客が増えた実感はないが、飲食を介したものが多くみられたようだ」。吉村美栄子知事は記者会見で、「コロナ専用病床の占有率は県全体で31・5%で、政府の『ステージ3』の指標20%以上を大きく上回っている」と述べた。一部の医療機関では9割を超えたという。
愛媛県も59人と過去最多を更新。うち47人が松山市の繁華街で発生したクラスター(感染者集団)の関連で、変異株が広がっている。
地方の感染拡大について、東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「外からの持ち込みと地域での拡散に大きく分けられる。宮城の場合、受験などで外部から人が集まったこともきっかけになった可能性はある」とみる。
関西でもリバウンドが顕著だ。大阪府は266人。直近1週間の感染者は1201人で、前週の1・5倍以上だった。
前出の児玉氏は、「新規陽性者が20~30人、実効再生産数が1~2の間の自治体は危険とみる必要があり、現時点では国内全域が予備軍だといえる。緊急事態宣言の解除後も注意するように首長らが発信してくべきだ」と強調した。
25日の新規感染者が20人以上で、東洋経済オンラインのデータで24日時点の実効再生産数が1以上の都道府県は、北海道、宮城、山形、茨城、群馬、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、愛媛、福岡、沖縄となっている。このまま増加が続くのか。
松山城に傷をつけた疑いで47歳再逮捕 天守などに「参上加藤」
四国・山陽地方の文化財や復元した城などが相次ぎ傷つけられた事件で、愛媛県警は26日、松山城(松山市)に対する文化財保護法違反、建造物損壊の両容疑で、愛知県清須市、無職、加藤丈晴容疑者(47)を再逮捕した。「認めない」と容疑を否認している。
再逮捕容疑は2021年1月1日~4日の間、松山城内の天守(国重要文化財)や復興建造物の柱や壁面など計17カ所にひっかき傷を付けたとしている。鋭利なもので傷つけたとみられ「参上加藤」と名字とも読める跡もあった。
加藤容疑者は岡山城や吉備津神社(いずれも岡山市)、湯築城跡(松山市)を傷付けた疑いでも逮捕されている。高知城(高知市)や福山城(広島県福山市)でも同様の被害が確認されており、各県警でも関連を調べる。【遠藤龍】
「融雪型泥流」の脅威 静岡県、防災再構築へ 富士山噴火マップ
静岡、山梨、神奈川県などでつくる富士山火山防災対策協議会が26日公表した、改定版の富士山ハザードマップ。噴火する火口の位置や風向きによっては静岡県内では新たに、溶岩流が沼津市、清水町、静岡市清水区の一部まで達する危険があることが分かった。富士市は沿岸部のほぼ全域が溶岩流の想定被害範囲に含まれるなど、全県的に防災計画の再構築に迫られる。
過去の富士山噴火の研究で近年、従来の想定より富士宮市街地に約10キロ近い「二子山」に火口跡が発見された。これら最新の成果を反映した改定版は、溶岩噴出量を従来の約2倍と想定。溶岩流の到達予想時間は富士宮市、富士市を中心に早くなり、到達距離も伸びた。沼津市など新たに到達範囲に入る3市区町は『火山災害警戒地域』に指定される見通しで、県内の指定は計10市町となる。
溶岩流が市街地の大半に到達する時間は、富士宮市で6時間以内、御殿場市と裾野市南部で12時間以内。また富士市では、最大57日間かかるものの最終的に、田子の浦港を含む沿岸部ほぼ全域まで及ぶ計算だ。
各地の溶岩流到達予測は、富士宮市の山宮浅間神社までわずか14分。陸上自衛隊富士駐屯地(小山町)に1時間15分、富士宮市のレジャー施設「富士山こどもの国」には1時間45分。避難時の利用が想定される交通網への影響も大きく、新東名高速道路に1時間45分、東名高速道路は2時間15分、東海道新幹線までは5時間で届く恐れがある。
もちろん、一度の噴火で今回示された全範囲に被害が及ぶわけではない。だが、火口位置や噴火規模によっては、市町を越えた広域避難が必要になったり、通常の交通網が使えなくなったりする懸念がある。
さらにやっかいなのは、速度が速い「融雪型火山泥流」だ。火砕流で雪が解けて土砂とともに斜面を流れ下る現象で、積雪時など一定の条件下に限られるが、改定版のマップによれば、富士、富士宮両市方面では1時間で新東名高速を超え、3時間で東海道新幹線に、6時間で富士川河口まで及ぶ。最終的に富士宮市のほぼ全域、御殿場市と富士市の大半が想定被害範囲となる。発生すれば溶岩流との速度の差は歴然で、危険性は高い。河川の近くなど低地は警戒が必要だ。
川勝平太知事は「富士山周辺のすべての市町が影響を受けることになるが、正しく恐れ、正しい知識を持って、広域避難計画や地域防災計画を作っていく。国や神奈川、山梨両県とも連携しなければならない」と述べ、防災対策に生かす決意を語った。
同性婚の外国人、在留資格93件 相手日本人のケースは不許可
米英といった同性婚制度の導入国で結婚した外国人同士の同性カップルの一方が、転勤などで日本で暮らす際、入管当局が、配偶者には在留資格「特定活動」を与え、入国を認めたケースが、2013~20年に少なくとも93件あったことが26日、分かった。出入国在留管理庁が件数を初めて集計し、明らかにした。
「特定活動」は、個々の外国人の事情に応じて許可できる資格。世界で同性婚を認める国が増えたことを考慮し、政府は13年、カップルそろっての日本居住を可能にした。
日本人と外国人の同性婚では、日本人が外国人を連れて帰国したくても認められず、統一運用を求める声が強まりそうだ。
【一聞百見】東日本大震災で残された犬猫たちを救う 元戦場カメラマンの信念
東日本大震災からはや10年。ペットや家畜など、人とともに暮らす動物たちもまた犠牲になったが、その多くは津波でも放射能でもなく、置き去りにされた後の餓死だった。フリーカメラマンの太田康介さん(62)は震災直後の3月末から福島に入り、飢えや渇きに苦しむ家畜、食べ物を求めてさまよう犬猫たちの写真を撮影し、現状を伝えた。その後もボランティアとして活動しながら撮影を続けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で仕事が激減したのを機に今年1月、40年以上暮らした東京から母のいる故郷・滋賀県に帰ったと聞き、琵琶湖畔を訪ねた。
(聞き手 編集委員・山上直子)
牛の涙に「チクショー!」
「あのときは何をやってもだめでしたね。足が冷たいだろうからせめてもと牛の足元に板を敷いたり、用水路から上がらせようと廃材でスロープを作ったりしたんですが…。もう弱って、この子は立つこともできなくなっていました」
用水路に落ちてうずくまる牛。冷たい雨が容赦なく降り、夜には雪に変わったという。そばの牛舎はまるで地獄絵だった。飢えて死んだ牛、やせ細って足腰が立たなくなった牛…。
惨状を見た誰かが、牛舎の柵を開けたのだ。外に出た牛たちは多少の草を食べることはできたが、今度は水を求めて用水路に次々と落ちた。自力で上がることもできず、弱っていくばかりだった。
「ひと思いに殺してやりたいと思いました。でもこいつらは肉牛なんです。助かってもいずれ出荷される。でも、家畜を飢えて死なせちゃいけないよ…」
3月30日。現地に入った人のツイッターで置き去りにされた動物たちの窮状を知った太田さんは、一人で福島に向かった。車にエサを積み、カメラを持って。動物を探しながら車で福島第1原発から30キロ、そして20キロ圏内へと入った。
「取り残された犬たちは人間を見て近づいてくるんです。痩せておなかが空いているだろうに、あげたエサを食べはしますが、それより人恋しそうにすり寄ってくる。胸がつまりました」
徘徊(はいかい)する犬は見たが、猫にはほとんど会えなかった。
「でも、いるのはわかる。一人でエサをやっていてもきりがないので数日後、東京のボランティアさんたちをつれて再び入りました」。捕まえられる犬猫たちを救出していく。そして4月の上旬、「牛がたいへんなことになっている」と聞いたのだった。
<牛舎に残っていた起き上がれなくなった牛に、水を与えようとしましたが、吐いてしまいました。牛は、涙をポロリと流しました。私は無力です。
チクショー、チクショー。畜生は、私たち人間の方だ>(『のこされた動物たち』から)
決して忘れてはならない、犠牲になった動物たちの苦しみ。
当時の菅直人政権が20キロ圏内に残る家畜について「安楽死とするよう」知事に指示したのは5月も半ばのことだった。
一方で、残された犬や猫はまだまだいた。太田さんは決意する。自宅にも猫がいて自分が保護してやることはできない。
「なんとかここで生きてもらって飼い主が戻る、またはボランティア団体らが保護してくれるのを待つ。写真を撮りながらエサを置いていくことなら自分にもできると思ったんです。自分の方針が決まったのでした」
猫のために…アライグマに悪戦苦闘
平成23(2011)年の春、太田さんの福島通いが始まった。〝のこされた動物〟たちへの給餌活動である。最初の2年はほぼ毎週。東京の自宅から、ドッグフードやキャットフードを車に積んで暗いうちに出発した。
着いたら犬や猫を探し、写真を撮りながら、いるとわかっている場所にエサを置いていく。当初はエサの袋をカッターナイフで切って、次へ、次へ。数をこなすには急がなければならなかった。ところが、人間のいなくなった町だ。置いておくだけではカラスやイノシシなど、野生動物に食べられてしまう。工夫が必要だった。
「最初は段ボールから始まりました。中が見えないとカラスは防げる。次に押し入れ収納ケースを使いました。ところがイノシシなどに壊されてしまう。タヌキも来ます。猫だけが跳び上がって食べられるように、高さを出さないとだめだと気付きました」
最初に足を付けてみたがイノシシに体当たりされて粉砕。「素人ですからね、笑っちゃうような失敗はたくさんありました。一番いいのは屋根のある住宅のカーポート。その足にくくりつけると雨も防げます」
さすがに黙ってだれかの家に、というわけにはいかず、学校などの公共施設などを〝拝借〟させてもらうこともあった。
その数、最大で55カ所にのぼった時期もある。難敵はアライグマだとか。「上れるし器用だし箱をかじって穴もあけることができる。お手上げでした」
猫が来ているかどうか確かめるために監視カメラをしかけると…。中に入ったアライグマが出るときにはおなかがいっぱいになってしまい、出られない映像が。「必死で出ようとして、ようやくポンッて。ちょっとかわいかったなあ」
そうした活動を自身のブログ「うちのとらまる」(http://uchino-toramaru.blog.jp/)で逐一、つづった。悪戦苦闘の日々、クスリと笑える失敗談、そして、保護された犬猫たちの後日談も。太田さんが情報提供した猫たちがボランティアに保護されたと聞くと、「本当にうれしかった」。
現地では多くのボランティアも活動していたが、連携や情報交換はしても太田さんは単独行動に徹した。寄付や援助とは一線を画したかったからだ。そして嘘偽りのない現地の情報を伝え続けた。
多くの出合いもあった。そのうちの一つが、浪江町で牛を飼い続けている「希望の牧場」だ。寄付や廃野菜などの物資提供などを受け、ここでは牛が今も生きている。太田さんは福島に行くと今も立ち寄る。
「ここで生きている牛たちはどれだけ幸せかと思います」
福島での給餌活動は昨年まで続けていたが、2年たち、5年たち…しだいに猫たちは姿を消していった。多くは飼い猫ではなく、震災前に住民らが食べ物をやっていたいわゆる外猫や野良猫だ。人がいなくてはもともと、生きられない。
ところが、住民の帰宅が始まると再び猫を見かけるようになった。けれどそれは人とともに新たにやってきた猫たちだ。置き去りにされた動物はもういなくなったのである。
知られざる多摩川の河原猫の物語
昭和33年、滋賀県生まれ。小学校5年生のとき、父に買ってもらったのがカメラとの出合いだった。「学校の遠足とかで、カメラを持ってくる子、いるでしょ。それでした」
高校生のときに一眼レフを手に入れ、地元の写真コンクールで佳作に。「それが勘違いの始まりでしたね。オレ、写真うまいの?って」と笑う。
プロのアシスタントを経て、編集プロダクションにカメラマンとして入社。1980年代からアフガニスタンやカンボジア、旧ユーゴスラビアなどの紛争地帯に入り、戦場カメラマンとして活動した。北朝鮮、中国の中南海地区などにも潜入した経験がある。
「報道カメラマンに憧れて、戦場に行きたいと思っていました。アフガンでは2度逮捕されました」
その後独立、フリーになった。戦場から被災地へ?と思ったらその前に大きな転機があった。猫である。
きっかけは平成21年、テレビで多摩川河川敷の厳しい環境で暮らす野良猫たちのドキュメンタリーを見たことだ。自宅でも猫を飼っていた太田さんは、いてもたってもいられなくなる。「自分にも何かできることはないか」と、河原に通い始めた。そこでは、人に捨てられた猫たちが寄り添いあって暮らしていた。
「それまで家の猫にしか興味がなかった。でも外で生きている猫の存在に気づいたんです」。そこで猫たちを見守るボランティアや、毎日猫にエサをやるために通ってくる男性、河川敷で暮らしながら遺棄された犬猫の世話をするホームレスの男性らと出会った。
東日本大震災直後の23年3月末、おなかをすかせた犬や猫がいると知ってすぐに被災地に駆け付けたのは、その経験があったからだ。「河原猫の仲間たちが、福島で苦しんでいると思ったからでした」。そして約10年に及ぶ、被災動物への給餌活動が始まったのである。
河原猫の後日談があった。太田さんが通い始めて数カ月後に〝救出作戦〟が始まり、猫たちはボランティアに保護された。太田さんも1匹の白猫を引き取り、その物語は昨年9月「おじさんと河原猫」(扶桑社)として出版された。今ごろ刊行したのには理由がある。「高野さん」と呼ばれていたホームレスの男性が、令和元年の台風で増水した多摩川で行方不明になったと知ったのだ。猫たちを心配して河原にとどまったらしかった。
「ホームレスの人たちを当てにして動物を捨てにくる無責任な人たちもいるんです。放っておけず世話をしていた優しい人がそんなことに…。こういう人がいたということを、知ってもらいたかったのです」
カメラマンとしてのテーマが定まったのではなかったか。
今年1月、妻と猫たちとともに東京から故郷の滋賀県に戻った。目標は、また、猫の写真を撮って本を出版することだ。「ただかわいいだけの写真集は私の仕事ではないと思います。動物の遺棄や虐待も後を絶ちません。何かストーリーがあって、それを追いかけて写真を撮っているうちに本にできればいい。そしてそれが猫の幸せにつながるような、そんな本を作りたい」
ボランティア仲間から福島県双葉町の名産というダルマをもらった。復興のシンボルという。今はまだ片目だけだが、「こっちで1冊、本を出せたら目を入れようと思って」。
ノンフィクション猫カメラマンの再出発である。
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【プロフィル】おおた・やすすけ 昭和33年滋賀県出身。1980年代後半から紛争下のアフガニスタンや旧ユーゴスラビアなどで戦場カメラマンとして取材。90年代には北朝鮮の取材も。東日本大震災後に被災地に入り、家畜やペットなどの動物たちを撮影して現状を訴えた。その後もボランティアとして警戒区域内で活動。著書に「のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録」「待ちつづける動物たち」「しろさびとまっちゃん 福島の保護猫と松村さんの、いいやんべぇな日々」「うちのとらまる」「やさしいねこ」「おじさんと河原猫」など。
劇場版『鬼滅の刃』を盗撮、全国初の立件 自称会社員を書類送検
千葉県警千葉中央署は26日、千葉市中央区の映画館で昨年12月、株式会社アニプレックスが著作権を持つ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」をスマートフォンで録画し、著作権を侵害したとして、著作権法違反と映画盗撮防止法違反の疑いで、千葉市中央区の自称会社員の男性(53)を書類送検した。同作品の盗撮による立件は全国初。
同署によると、男性と同じ上映回を鑑賞していた人から「映画をスマホで撮影している人がいる」と110番通報があった。調べに対し「観に来たのは2回目でストーリーは知っていた。カッコいいと思うシーンだけを撮影して後で観賞しようと思った。インターネットへのアップロードや収益目的ではなかった」と供述している。
小学校長、いじめは「子ども同士のトラブル」と報告せず…保護者に解決を口約束
京都府与謝野町教育委員会は25日、町立小学校でいじめを受けた児童が不登校になり、相談した保護者に不適切な対応をしたとして、50歳代の男性校長を文書訓告にしたと発表した。
町教委によると、2019年6月、アンケートで児童がいじめを受けていると回答。校長は保護者に学校として組織的に解決すると約束したが、町教委には報告しなかった。その後、たたかれるなどの行為が収まらず、同年12月中旬以降、一時不登校になった。
保護者はいじめた児童との関わりや、担任の指導について、校長らに相談したが、スクールカウンセラーを入れるなどの対応をしなかったことから、町教委に相談。町いじめ防止対策推進委員会が昨年8月にいじめと認定した。校長らは町教委に対し、「子ども同士のトラブルで重大なことだとは思わなかった」と説明しているという。
無許可で豚肉販売、冷蔵庫ない拠点で…ベトナム籍の女に有罪判決
無許可で食肉を販売するなどしたとして、食品衛生法違反と犯罪収益移転防止法違反に問われたベトナム国籍で住所不定、被告の無職の女(35)に対し、前橋地裁は25日、懲役6月、執行猶予3年(求刑・懲役6月)の判決を言い渡した。
判決によると、女は2019年11~12月頃、知人から通帳とキャッシュカードを譲り受けたほか、20年8月6~8日頃、知事の許可を得ずに北海道や奈良県の3人に、豚肉計39キロを約3万5000円で販売した。水上周裁判官は、女が冷蔵庫などの設備がない場所を拠点としていたことに触れ、「法を無視した悪質な犯行だ」と非難した。