コロナ禍のパチンコ、なぜ悪者にされた? 98.7%のホールが休業したのに

◆パチンコバッシングから見え隠れする日本人の本質

昨年の新型コロナウィルスによる非常事態宣言で、嵐のようなバッシングを受けたパチンコ業界。バッシングや休業による倒産、廃業により、娯楽の王様と呼ばれたその勢いには陰りが見える。都内のホール関係者は当時のことをこう振り返る。

「店内にテレビを置いて流しているでしょう。でも、ワイドショーやニュースでパチンコ打ちに行く人たちが晒されたりして、自分らが悪者になったような気持ちになった。ウチの店は非常事態宣言の翌日から休業。最初は時短営業にしようかって話もあったけど、風当たりの強さを考えて休むことにしました。
でも、パチンコは当時、補償を受けられない業種だったんで、お金のことを考えるとどうしてもね。経営者や幹部が無給なるのはいいんですよ。社員やバイトの生活を考えたら、批判を覚悟で店を開けるべきだという意見も出ました」

税金を払い、商店街などの地域イベントにも積極的に参加していたのに、補償も出ない、店を開けるだけでバッシングされる状況に置かれたことで、自分たちがいるパチンコという業界の存在について社会からの疎外感を感じたという。

コロナによる一連の社会情勢の変化は、パチンコ業界に大きな影を落とした。いや、影を落としたことよりも、パチンコ業界が抱える諸問題を白日の下にさらすことになったのではなかろうか。

パチンコ業界が内包する問題とコロナ……。その先にはいったいどのような未来があるのか、パチンコの諸問題に鋭く切り込み話題となった『パチンコ滅亡論』の著者である大崎一万発氏とヒロシ・ヤング氏が、さらに鋭くパチンコに斬り込んだ最新刊『パチンコ崩壊論』から引用しながら、パチンコ業界の未来について探ってみたい。

◆補償はないが休業を迫られた

一連のバッシングについて、ヒロシ・ヤング氏はこのように振り返る。

「絶対見逃しちゃいけないのが、この時点(※昨年の緊急事態宣言前後、4月頃のこと)ではまだパチンコが5号セーフティネットの対象外だったっていう事実ね。何の保証もないのに休めないよっていう考え方は、今だと共通認識になってる感はあるけど、この時点ではとにかく休業! 自粛! が『正義』だったわけで」

5号セーフティーネットとは、業績が悪化している業種に属している中小企業を支援するための措置である。しかし、全ての業種ではなく、中小企業庁が指定業者として認定している業種に限られる。この時点ではパチンコ業界は5号セーフティーネットの指定業種ではなく、パチンコ店の多くは支援が受けられなかったのである。

前出のホール関係者が訴える「疎外感」とは、まさにこのことである。税金を払い、商店街などの清掃活動などにも率先して参加しているにもかかわらず、ピンチの時ははしごを外されたわけである。さらに当時の状況をヤング氏はこう続けた。

「そして16日、緊急事態宣言の全国拡大。こうなると業界内でも、休業しない店舗は「悪」だって意見が大勢となった。実際、最終的には全国98.7%のパチンコ屋が休業に踏み切ったわけ。これってさ、凄い数字だよね」

他業種でここまでの休業率を達成し、統計として記録が残っているものは果たしてあったのだろうか。しかし、こうした動きは誰からの評価もなく、バッシングの炎はさらに激しく燃え上がっていった。

◆ワイドショーによる報道が火に油を注ぐ

共著の大崎一万発氏はパチンコ業界のバッシングを招いた要因は、テレビのワイドショーにあったと指摘する。

「営業してるのは全体のわずか1.3%なのに、それがパチンコ屋の体質みたいに思われてもなぁ。で、ここまでの一連が、サンモニ(※TBSのサンデーモーニング)の報道から3週間も経ってないわけよ。マスコミの煽り、世間の鬱屈した不安、小池さんの名指し、この3つが要因となって、急激にバッシングが燃え上がったんだよね」

ヤング氏も報道のされ方について疑問を呈する。

「これまた面白おかしく報道されたよな。都内のパチンコ屋が休業になった時、意識低い系のパチンコ客が東京を脱出して、茨城や栃木の営業店舗にこぞって打ちに行った。駐車場には東京ナンバーの車がズラーっと……。金髪ネックレスの、いかにも輩っぽいルックスの客が『え、コロナ? 関係ねぇっスよ』みたいな映像が使われて。いかにもパチンコ打ちはこういう奴みたいな感じで、あれ絶対客を選んでコメント取ってるよな」

◆群集心理の怖さ

その後、迷惑系YouTuberなどの登場や、ワイドショーに出演するコメンテーターの誤った認識による発言などにより、緊急事態宣言下のパチンコ業界に吹き荒れたバッシングはますます過熱した。こうした状況をヤング氏は危機感を持って見つめていた。

「大げさだって言われるかもしんないけど、関連して思ったのは、関東大震災の際の朝鮮人虐殺のこと。朝鮮人が井戸に毒を入れたってデマが流れて、それを真に受けた一般市民によるリンチと虐殺があったんだけど、ついそのことを思い出してすごく怖くなった。こういう状況になったとき、群集心理で平気でこんなことできるのが日本人なんだなって」

大崎氏は「心理として、悪いことはコミュニティ外のせいにしたくなるっていうのはあるかもな」と指摘する。ヤング氏は大袈裟と語るが、果たしてそれは本当に杞憂で終わるのだろうか。

◆パチンコは日本社会を映す合わせ鏡

パチンコ業界はその後、5号セーフティーネットの指定業種となった。しかし、あの時、さしたる根拠もなく日本中でパチンコ業界をバッシングしたことは、日本社会が抱える闇の部分、いや、本質に関わってくるのではなかろうか。ヤング氏は日本社会におけるパチンコの存在についてこう語る。

「常々言ってるじゃない、パチンコは日本社会を映す合わせ鏡であると。そもそもパチンコ自体が成り立ってる根本こそが日本そのものなんだよ。ソープランドや自衛隊みたいに、フワっとしたところでなんとなくの合意で存在している。だからパチンコを研究すると、それは図らずも日本社会の研究になる、がオレの持論」

◆民度の低い客と民度の低いバッシング

大崎氏はさらに手厳しい。

「今のパチンコ屋って大半がちゃんと健全な商売やってるのよ。でも客の民度の低さを利用して商売してるのもこれまた事実」

さらにこうも付け加えた。

「ワイドショーやネットニュースに乗っかってパチンコを叩いていた連中も相当に民度は低いよ。差別意識と勝手な思い込みだけでやってるんだもん」

閉塞感の強い昨今の日本。コロナ禍におけるパチンコへのバッシングは、そうした日本の現状をありありと映し出したのではなかろうか。大崎氏、ヤング氏の共著である『パチンコ崩壊論』では、パチンコ業界が抱える釘調整、広告規制、ライター、依存症などの様々な問題に斬り込んでいる。迷走する娯楽の王様に未来はあるのだろうか。
<文/長谷川大祐>

【長谷川大祐】
SPA!本誌編集。料理やエンタメ、スポーツ分野まで幅広く取材し、自ら執筆することも。また、これまでにも多く書籍を手がけた

【独自】安住氏「審議に値しない」、佐藤勉氏「たるんでいる」…法案に3度目ミス

政府提出法案の誤りが相次いでいる問題で23日、産業競争力強化法改正案に新たなミスが見つかった。誤りが発覚するのは今回で3度目となる。改正案をめぐっては17日に条文の誤りを国会に報告したばかりで、与野党からは「前代未聞だ」と批判の声が上がっている。
自民党の森山裕国会対策委員長は23日、立憲民主党の安住淳国対委員長に改正案に関するミスを伝えた。条文で1か所、参考資料で20か所に不備があったという。安住氏は会談後、記者団に「審議に値しない」と述べ、法案の出し直しと関係者の処分を求めた。
相次ぐ政府の不手際に、与党関係者もあきれ顔だ。自民党の佐藤総務会長は「少したるんでいる」と苦言を呈した。公明党の山口代表は「二度と起きない取り組みを早急に作り上げてほしい」と注文をつけた。
加藤官房長官は記者会見で「誠に遺憾だ。原因究明と再発防止に取り組みたい」と述べた。しかし、問題は今後も尾を引きそうだ。国会関係者によると、これまで見つかったもの以外にも、政府が進める法案の再確認作業で、少なくとも関税定率法改正案など6法案の参考資料にミスがあることが分かった。近く国会に報告する予定という。ミス続出の背景には、「テレワークの増加で読み合わせなどの基本がおろそかになった」(経済産業省幹部)との見方が出ている。

ミャンマー軍のクーデター発生から2か月。日本政府の「様子見外交」は負しか生まない

ミャンマー国軍が2月1日に権力を掌握して2か月近く経つ。クーデター発生当初から、日本政府は「重大な懸念」を表明。ミャンマー国軍(タッマドゥ)に「民主的な政治体制の早期回復」を呼びかけ、恣意的に拘禁されている国民民主同盟(NLD)の指導者アウンサンスーチー氏ほか全員の釈放を求めた。また、「民間人に対する暴力」を「強く」非難しつつ、治安部隊によって殺害された抗議者たちへの哀悼の意も表している。

◆死者が増えるなか、2か月も「様子見」

こうしたオープンで明確な声明は重要だ。しかし、ほかの民主主義国家がとった具体的な行動と比較したき、日本はいまだに全力を尽くしていないことは明らかである。(参照:外務大臣談話、外務報道官談話)

2か月近く、「様子見」外交に終始しているといえるだろう。いっぽう、毎日と言っていいほどデモ参加者の死者数などが増え続けるなか、日本政府には早急な対応が求められている。

ミャンマーの新生民主主義に対する危急を前に、日本は国軍に圧力をかけ、文民統治による民主主義の回復を支援するために有効なツールをフル活用すべきだ。受け身の外交は、罰を受けることなく重大な人権侵害を犯し続けているミャンマー軍をつけ上がらせることになってしまう。

また、このようなアプローチは、外交政策の一環として民主的価値を提言してゆくという日本の公約に背くものでもある。

各国の対応は鮮明だ。ニュージーランド政府は、ミャンマー国軍が11月の国政選挙の結果を無効にし、一年間の「非常事態」を宣言した約一週間後、ミャンマーとの高官レベルの接触を停止し、軍指導者には渡航禁止措置を発動。ジャシンダ・アーダーン首相は、「ミャンマーへのいかなる開発援助も軍事政権を支援するものではない」ことを保障すると述べた。

◆各国政府やEUは厳しい対応

その数日後、米政府はミャンマー軍の指導者や軍系企業への対象限定型経済制裁を発動し、3月に更なる措置を科した。

また英国およびカナダ政府も、軍高官への制裁措置を発表。オーストラリア政府は、防衛上の協力関係を一時停止し、ロヒンギャ難民を含む「最も差し迫った人道的かつ新たなニーズ」のため、NGOの支援に切り替えた。

EUに加盟する27か国の外相も、クーデターの指導者と、場合によっては軍系企業も含めて制裁を科すことで2月に合意している。また、3月に韓国政府は、防衛および安全保障上の協力関係を一時停止し、世界的な武器禁輸措置に加わったうえで、ミャンマーへの開発援助計画の見直しを開始した。

一方、日本政府はどうだろうか。いまだに、ミャンマーへの政府開発援助(ODA)を今後どうするかを含め、公に行動を示していない。過去何十年にもわたり、日本はミャンマーの主要な開発支援国として、一兆円超の有償資金協力、3000億円超の無償資金協力、980億円超の技術協力を供与してきた(2017年時点)。(参照:外務省)

茂木敏充外相は、「援助を継続するか制裁を科すかという単純な状況ではない」と述べ、日本は「様々な要素」を考慮し「決定を下す」として、政府のアプローチを擁護している。

◆日本政府が口をつぐむ「ロヒンギャ」

日本政府がこれまでに取った数少ない行動は不十分であり、一部は逆効果でさえあった。政府は今月予定されていたODAの新規案件承認を見送ったにもかかわらず、公式な声明は出さないことにしたと、「朝日新聞」は報じている。外務省はヒューマン・ライツ・ウォッチの問い合わせに対して、報道を否定。(参照:朝日新聞デジタル)

さらに、丸山市郎駐ミャンマー大使は、ミャンマー軍が民主的なプロセスを踏まえず一方的に外務大臣と指名したワナ・マウン・ルウィン氏と会談し、抗議者に対する暴力の行使を非難した。(参照:在ミャンマー日本国大使館)

しかし、在ミャンマー日本大使館が同氏を「外相」と呼称したことにより、公的に認めたとして批判を受けた。茂木敏充外相も同様に、同氏を「ミャンマーの新しい外務大臣」と呼んでいたが、その後「当局に指名されている外相と言われる人」と肩書を修正している。(参照:外務省、時事ドットコムニュース)

日本政府の迷走は今に始まったことではない。

2017年に国軍が大量殺害、レイプ、大規模な放火を犯し、70万人超のロヒンギャ・ムスリムが隣国バングラデシュへの脱出を余儀なくされた際、日本はミャンマー政府に対する公かつ明確な非難を差し控えた。

以後、ミャンマーに関する国連決議案をすべて棄権し、「ロヒンギャ」という呼称の使用も拒否。紛争で荒廃したラカイン州に残ったロヒンギャの人びとが、アパルトヘイト(人種隔離政策)という人道に対する罪に耐えるなか、同地方への投資を日本の民間企業らに奨励もした。

また、丸山大使は、国際司法裁判所(ICJ)がミャンマーに不利のないように、ロヒンギャ・ムスリムに対するジェノサイドはなかったという判決を下すことを「祈った」こともある。

◆独自外交路線は不発に

日本政府が、ミャンマーを含む東南アジア全域に対して、受け身外交に終始する主な動機は、増大する中国の影響力への懸念にある。

日本政府は、ミャンマーを批判すれば中国に傾くと確信している。この点を考慮すれば、日本政府がなぜロヒンギャ難民問題を縮小化してきたのか、またなぜ今回のクーデターが落ち着くのをのらりくらりと待っているのか、説明がつく。

同時に、日本政府にパイプを持つ関係者はとにかくミャンマー軍の気を引いたり庇ったりと必死だ。たとえば、クーデターの数日前に、元政治家で日本ミャンマー協会会長の渡邊秀央氏は、国軍司令官ミン・アウン・フライン将軍と会談。皮肉にも会合では、日本の自衛隊とミャンマー国軍の「関係促進」について話し合った。

また、日本財団の笹川陽平会長は、各国がミャンマーに「早急な経済制裁を実施しないことを願うばかり」と自身のブログで語っている。制裁によって、「中国の影響力が増大」するらしい。(参照:笹川陽平ブログ)

繰り返しになるが、日本政府は、クーデター後にミャンマー国軍に対する批判を強めた。しかし、それがほかの民主主義国家の動きにはるか及ばないものであることは明らかだ。「国軍とミャンマー政府へのパイプ」を活用した独自外交路線をアピールしているものの、具体的な成果を上げられず、むしろ現地の状況は日々悪化している。

また、日本政府は中国政府の影響力を分析する過程で、ミャンマーで募る中国政府に対する不信感を縮小化してしまっている。批判すれば中国政府に寄ってしまう、という単純な状況ではない。

日本政府はさらに死者が増える前に、人道支援以外のミャンマーに対する支援をすべて即時停止、ミャンマー治安部隊に対する世界的な武器禁輸措置を支持、ならびに軍事指導者らと軍系企業に対象を絞った経済制裁措置を各国政府と調整したうえで実施するべきだ。

<取材・文/笠井哲平>

【笠井哲平】

かさいてっぺい●’91年生まれ。早稲田大学国際教養学部卒業。カリフォルニア大学バークレー校への留学を経て、’13年Googleに入社。’14年ロイター通信東京支局にて記者に転身し、「子どもの貧困」や「性暴力問題」をはじめとする社会問題を幅広く取材。’18年より国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのプログラムオフィサーとして、日本の人権問題の調査や政府への政策提言をおこなっている

生理用品を無料で配布…政府、生活苦の女性に

政府は23日、新型コロナウイルスの影響で生活に苦しむ女性向けに生理用品を無料配布すると発表した。
内閣府の交付金の使い道を広げ、特定非営利活動(NPO)法人などを通じて生理用品を配れるようにする。この日、閣議決定した2020年度予算の予備費の支出から約27億円を充てる。
坂本1億総活躍相は記者会見で「コロナ禍で生理用品もなかなか入手できないという貧困の問題が顕在化してきた」と語った。

「書かない記者」が夜な夜な役人と……大マスコミの「総務官僚接待」は菅長男やNTTよりひどい

菅義偉・首相の長男・正剛氏ら東北新社幹部による総務官僚接待問題では、同社が放送法に規定された外資規制に違反して衛星放送の事業認定を受けていたことが発覚し、接待の目的は、事業認定をめぐって総務省に便宜をはかってもらうことだった疑惑が一層濃厚になっている。新聞・テレビは連日、東北新社とその後に発覚したNTTによる接待問題を取り上げてはいるが、どうも歯切れが悪く、突っ込みが甘いと感じる読者も多いのではないか。 それは、大マスコミ自身が触れられたくない“タブー”を抱えているからだ。新聞社やテレビ局は、自分たちこそが総務官僚接待の大先輩だと知っている。その前線に立っていたのが「波取り記者」だ。民放キー局の報道幹部が明かす。 「テレビ局は総務省から様々な認可を得なければならない。そのため、各社は総務省の記者クラブに“波取り(なみとり)”と呼ばれる記者を置いている。『電波を取ってくる役目』だからそう呼ぶ。彼らは本社の電波を担当する部署などから送り込まれる社員で、肩書きこそ“記者”だが、普通の取材はしないし記事も書かない。それでも記者クラブに登録しておけばフリーパスで総務省に出入りできる。報道を目的に取材する我々と違い、電波行政に関する情報を収集して上司に報告するのが役目です」 まさに正剛氏が果たしたのと同じ、総務官僚に取り入るのが任務なのだ。波取り記者は、テレビ局だけではなく、系列テレビ局を持つ大手新聞社からも送り込まれているが、その存在は読者・視聴者には隠されている。具体的にどんな仕事ぶりなのか。全国紙のベテラン記者が語る。 「私が総務省担当だった時は、記者3人のうち1人が“波取り”でした。彼らは大臣や幹部の会見にも出席するから、見た目では区別がつかない。記者クラブで隣の新聞社のブースに見慣れない顔がいたから、知り合いの記者に『あれは誰?』と聞くと、『波取りですよ。鬱陶しいですね』と。誰が波取りなのかは、他紙の記者でもなかなかわかりません」 しかし、総務官僚への食い込みぶりは報道記者よりはるかに深い。総務省には電波行政に関わる多くの審議会や研究会が置かれ、制度の見直しなどが議論される。そうした会議は記者シャットアウトで、終了後に「囲み取材」で担当の役人によるレクチャーが行なわれることが多いため、報道記者たちは会議室の前で聞き耳を立てて待つ。ところがその時、“波取り”はすでに会議室の中にいるのだ。
菅義偉・首相の長男・正剛氏ら東北新社幹部による総務官僚接待問題では、同社が放送法に規定された外資規制に違反して衛星放送の事業認定を受けていたことが発覚し、接待の目的は、事業認定をめぐって総務省に便宜をはかってもらうことだった疑惑が一層濃厚になっている。新聞・テレビは連日、東北新社とその後に発覚したNTTによる接待問題を取り上げてはいるが、どうも歯切れが悪く、突っ込みが甘いと感じる読者も多いのではないか。
それは、大マスコミ自身が触れられたくない“タブー”を抱えているからだ。新聞社やテレビ局は、自分たちこそが総務官僚接待の大先輩だと知っている。その前線に立っていたのが「波取り記者」だ。民放キー局の報道幹部が明かす。
「テレビ局は総務省から様々な認可を得なければならない。そのため、各社は総務省の記者クラブに“波取り(なみとり)”と呼ばれる記者を置いている。『電波を取ってくる役目』だからそう呼ぶ。彼らは本社の電波を担当する部署などから送り込まれる社員で、肩書きこそ“記者”だが、普通の取材はしないし記事も書かない。それでも記者クラブに登録しておけばフリーパスで総務省に出入りできる。報道を目的に取材する我々と違い、電波行政に関する情報を収集して上司に報告するのが役目です」
まさに正剛氏が果たしたのと同じ、総務官僚に取り入るのが任務なのだ。波取り記者は、テレビ局だけではなく、系列テレビ局を持つ大手新聞社からも送り込まれているが、その存在は読者・視聴者には隠されている。具体的にどんな仕事ぶりなのか。全国紙のベテラン記者が語る。
「私が総務省担当だった時は、記者3人のうち1人が“波取り”でした。彼らは大臣や幹部の会見にも出席するから、見た目では区別がつかない。記者クラブで隣の新聞社のブースに見慣れない顔がいたから、知り合いの記者に『あれは誰?』と聞くと、『波取りですよ。鬱陶しいですね』と。誰が波取りなのかは、他紙の記者でもなかなかわかりません」
しかし、総務官僚への食い込みぶりは報道記者よりはるかに深い。総務省には電波行政に関わる多くの審議会や研究会が置かれ、制度の見直しなどが議論される。そうした会議は記者シャットアウトで、終了後に「囲み取材」で担当の役人によるレクチャーが行なわれることが多いため、報道記者たちは会議室の前で聞き耳を立てて待つ。ところがその時、“波取り”はすでに会議室の中にいるのだ。

「永田町残酷物語」そろそろ昔話に 与野党の女性議員インタビュー

女性の政治参加の面で日本は諸外国に大きく後れを取る。「政治は男性のもの」という偏った見方、地元と永田町の往復を続ける国会議員の働き方、家庭との両立―。共同通信が実施した全女性国会議員へのアンケートでも浮き彫りになった、立ちはだかるさまざまな「壁」を、現職の女性政治家はどう見ているのか。自民党の野田聖子幹事長代行は日本で初となる女性首相を目指し活動する。国民民主党の伊藤孝恵副代表は子どもを連れて出勤するために議員会館にキッズスペースをつくった。与野党の2人に聞いた。 (聞き手 共同通信=梅岡真理子)
◇野田聖子氏「党の体質改善が必要」
岐阜県議を経て、1993年に衆院初当選しました。自民党の同期で女性は1人。後から田中真紀子さんが入党しました。今、自民党の衆院議員の女性割合は約7%。相談相手はできたのかなと思います。
自民党は女性議員が少ないと言われますが、いくつかジレンマがあります。まず、党の歴史が長く、地方組織や個人の後援会を大事にします。公認候補は地方組織が決めた人が大前提。党本部主導で方針を決めても、必ずしも従うというわけではありません。ただ、地方組織の選考は男性が多いこともあり、党の体質改善は必要です。
インタビューに答える自民党の野田聖子氏
▽当選続けることが大事
昨年12月に、二階俊博幹事長と山口泰明選対委員長から都道府県議会に対し、地方議会に女性議員を増やす取り組みをお願いする文書を送りました。市町村議会には少なくとも1人は女性議員がいる状況をつくるべきだとしています。定数割れになる議会にも積極的に女性が立候補できればと思います。
以前は出馬する女性を探すのが大変でした。現在、政治を志す女性に向けた女性未来塾を開き、準備ができている約50人のリストがあります。女性候補者をシンボルとするのではなく、当選し続けられることが大事です。今年行われる衆院選は現時点で空白の選挙区はほぼありませんが、地味でもじわじわと増やしていきます。
▽「おじさん化」せず、身の丈で
今政治家を目指す人には男女問わず「政治家ぶらず、そのままでいい」と伝えています。私が20~30代のころ、「政治は男性のもの」と考える人も多く、「おじさん化」しないと、有権者に信頼してもらえないと思い込んでいました。出産を経た今は「もっと身の丈でやればよかった」と思うのです。同じような人ばかりでなく、多様性がある中で政治をやるべきでしょう。
議員生活では、無派閥だったので「派閥の壁」も大きかったです。自民党総裁選に出たいと思っても20人の推薦人をそろえることができませんでした。
野党は、女性議員を増やすためにクオータ制(人数割当制)が必要だとしていますが、現在の制度で導入しても、それほど効果が出ないので、選挙制度の議論が必要になります。クオータ制を入れても、女性議員が少ししか増えないのでは意味がない。確実に増やしていくためには、まずは各党がそれぞれ独自の取り組みを進めていくべきでしょう。
左:野田聖子氏 右:伊藤孝恵氏
◇伊藤孝恵氏「24時間戦えなくても」
2015年、次女を出産した際、耳の障害の可能性を指摘されました。娘のために制度や法律を調べるなか、参院選の候補者を募集するサイトの「政治家は子どもたちの未来をつくることができる」という言葉が目に留まったのが、出馬のきっかけです。
選挙に必要といわれる「地盤、看板、カバン」がない中、愛知選挙区民進党2人目の候補になりました。何も知らず飛び込んだ選挙活動は途方に暮れるばかり。家族と知人に頼った選挙戦では「子どもがいるのに選挙に出るなんて」「誰も応援していないから」と非難されました。
▽子どもと過ごせない
当選後、また違う壁にぶつかりました。会社員の夫と協力していますが、国会での活動、選挙区での活動、家庭を両立するのは至難の業です。平日は朝8時から党の会議、国会、夜の会合。週末は地元回り。コロナ禍以前は週末を子どもたちと一緒に過ごしたことがありません。
それでも、なんとか後輩たちが歩きやすいように永田町ジャングルをブルドーザーで開拓してきました。子連れ出勤のために、議員会館の自室にキッズスペースをつくると批判が殺到しましたが、今では子連れの来客が増えました。
超党派のママパパ議員連盟をつくり、子育て施策のほか、議員活動との両立問題にも取り組んでいます。10歳未満の小学生を連れて参院本会議を傍聴できるよう、2年以上かかってルールを変えました。
▽普通の暮らしを知る人が政治家に
新たなことにチャレンジするたびにたくさん批判を浴びてきましたが、もう、そろそろ『昔はそんな永田町残酷物語みたいな話があったね』と笑い話にしたいです。24時間戦えなくても、普通の暮らし、働く人の感覚、実態を知る人が政治家になるべきだと思っています。
政治家だからこそ、できたことはたくさんあります。議員立法では、視覚障害や発達障害のある人たちが読書しやすい環境を整える読書バリアフリー法と、第三者が絡む生殖補助医療で生まれた子の親子関係を明確にする民法の特例法を成立させました。
過去の国会議事録を読むと、戦後から先輩の女性議員たちが、道を切り開いてくれていることが分かります。はじめの一歩はとても過酷だけれど、間違いなく尊いものです。
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女性国会議員悩ます「女のくせに」 政府目標「不十分」が7割https://www.47news.jp/47reporters/6006408.html

小学校の給食に金属片混入 チャーハン食べた児童、吐き出す 京都・南丹

京都府南丹市園部町の園部小で提供された給食に金属片が混入していたことが、このほど分かった。
同市教育委員会によると、17日に4年生の児童が五目チャーハンを口に含んだ際に異物を感じて吐き出したところ、円形の金属片(直径1センチ)が見つかったという。回転釜の取っ手部分を留める内側のビスが落ちたものとみられる。児童に健康被害はなかった。
調理をした園部学校給食共同調理場では18日以降、予備の釜を使うことにした。市教委学校教育課は「心からおわびを申し上げる。再発防止に努めたい」としている。

児童間でトラブル、50代女性教諭「やっちゃいな」…あおる発言うけ友人の腹を手でたたく

秋田市立小学校の50歳代女性教諭が今月、担任を務める学級で特定の児童への暴力をあおる発言をし、それを聞いた複数の児童が実際に腹を手でたたく暴力を振るっていたことが、市教育委員会への取材でわかった。
市教委によると、教諭は今月5日、児童間のトラブルの原因が1人の男児にあるとして、他の児童に「言いたいことがあったら伝えな。やっちゃいな」と発言した。学校の調査に対し、「言いたいことを伝えてほしいという意図だった」と説明しているという。
教諭はほかにも不適切な対応をしており、昨年5月には児童らに「嫌いな子はいるか」と尋ね、名前の挙がった児童に「これが現状だ。好かれるように頑張らないといけない」と言った。時期は確認できていないものの、発達障害が疑われる転入生には、「前の学校の子はあなたがいなくなって喜んでいるだろう」と発言したという。
これらは保護者からの抗議でわかり、教諭は今月19日に緊急保護者会で謝罪した。人事を担当する県教委は教諭の処分を検討する。

新種の「最強生物」?積雪中の生息を確認…雪が緑色になる国内有数の場所

千葉大理学部の竹内望教授(49)らの研究グループは、月山で新種の可能性が高いクマムシを発見した。雪の中で育つ藻類を食べており、竹内教授は「積雪中での生息が確認されたのは国内初」としている。
竹内教授らは2018、19年春、山形県西川町の月山・地蔵沼周辺ブナ樹林帯(標高750メートル)で積雪の表面を採取。ヤマクマムシ属2種を多数確認し、うち1種は体表に突起構造があるなどの特徴から、新種の可能性が極めて高いという。
採取地点は、繁殖した藻類で雪が緑色になる現象が見られる国内有数の場所。藻類が多い雪1リットルあたり、平均7100個体のクマムシが集中していた。体は葉緑素が透けて見え、藻類を食べていると確認。脱皮殻には卵が産み付けられ、雪の中で繁殖していることも分かった。
クマムシは体長1ミリ以下。代謝を止めた乾燥・休眠状態になることで、低温や放射線の影響などを受けた極限環境でも生存できる「最強生物」として知られる。竹内教授によると、世界で約1300種いるが、このうち雪氷環境で生息するのは海外に約20種。研究成果は、16日に英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に掲載された。
竹内教授は今後、新種確認のためDNA解析を進める。「温暖化の影響で、積雪の減少が予測される。生態系が失われる前に実態を解明したい」と話した。

「クール・ファイブ」らマネジメント 「ワクイ音楽事務所」代表・和久井保さん死去

内山田洋とクール・ファイブらを手掛けた芸能事務所「ワクイ音楽事務所」の代表取締役・和久井保(わくい・たもつ)さんが23日、死去したことが分かった。84歳だった。
関係者によると、和久井さんは自宅で突然倒れ、息を引き取った。親族も「さっきまで元気だったのに」と急な別れにショックを受けているという。和久井さんは渡辺プロダクションに入社し、ザ・ピーナッツやクール・ファイブの担当マネジャーを務めた。独立後はワクイ音楽事務所を設立し、クール・ファイブや前川清(72)のマネジメントを手掛けた。また12年には個人事務所の社長解任騒動の渦中にあった小林幸子(67)と業務提携して話題となった。