東京電力は18日、柏崎刈羽原発(新潟県)の核物質防護不備を巡り原子力規制委員会が安全重要度を最悪レベルと暫定評価したことに対し、意見陳述はしないと規制委に回答した。最悪との評価が確定した。
東電の小早川智明社長は18日の参院予算委員会で「意見聴取の要望がない旨を規制委に回答した」と明らかにし、柏崎刈羽原発の地元への説明について「新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除されたら、私もしっかりと地元の意見を聞き、説明したい」と述べた。
規制委の更田豊志委員長は、評価確定後に処分などの対応を検討する方針を示している。第三者による原因分析も求める考え。
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「地面師」二審も懲役11年 積水ハウス巨額詐欺
土地所有者を装い、積水ハウスから架空の土地取引で購入代金55億円余りをだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた「地面師」グループの主犯格の一人とされるカミンスカス操被告(61)の控訴審判決で、東京高裁は18日、懲役11年とした一審東京地裁判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。
弁護側は「地主役の女が成り済ましとは知らず、有罪とした一審判決には事実誤認がある」と主張したが、平木正洋裁判長は「地主役の共犯者に書類に記載する虚偽住所を教えるなど、成り済ましによる詐欺と知っていた」と退けた。
その上で、「一審判決の判断に誤りはない」と結論付けた。
パンダの赤ちゃん、名前は楓浜(ふうひん)に…主婦「響きがかわいい」
和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド」で、昨年11月に生まれたジャイアントパンダの赤ちゃん(雌)の名前が「楓浜(ふうひん)」に決まった。園内で18日に「命名式」があり、来園者の前で、書家が名前を揮毫(きごう)した。
昨年12月から今年2月まで名前を公募。約11万通から、楓浜と「光浜(こうひん)」「咲浜(しょうひん)」の三つに絞り、決選投票で楓浜が最多の票を集めた。誕生した季節にちなみ、「秋に美しく色づく楓(かえで)のように成長してほしい」との意味があるという。
命名式では、大型スクリーンで赤ちゃんの様子を生中継し、和歌山市出身の書家・北原美麗さんが180センチ四方の紙に大型の筆で豪快に墨書。楓浜に投票した大阪府泉佐野市の主婦(26)は「響きがかわいい。みんなに愛されて育ってほしい」と話した。
同園で生まれ育ったパンダの名前にはすべて「浜」がつけられ、楓浜が17頭目。
「日本だけ進む宇宙飛行士離れ」文系人材にも門戸を開くJAXAの苦しさ
JAXA(宇宙航空研究開発機構)はこの秋、13年ぶりに宇宙飛行士を募集する。1983年以降、5回募集が行われ、11人の飛行士が誕生した。これまで同様、採用者は「若干名」の見通しだが、一つ大きな違いがある。大原則にしていた「自然科学系出身」を見直して文系にも門戸を開くなど、応募条件の緩和を検討していることだ。これまでのような理系だけでなく、文系飛行士も誕生する時代が来るのだろうか?
今年1月、JAXAは宇宙飛行士の採用・選抜・訓練・働き方などについて、一般から意見を募る「パブリックコメント」を開始した。3月19日が締め切りで、寄せられた意見を参考に、今秋実施する宇宙飛行士の募集や選抜方法、その後の働き方などを検討する、という。2月にはオンラインのイベントも開催し、さまざまな立場の人から意見を聞いた。
13年ぶりの募集の背景には、今後、宇宙飛行士の活躍領域が広がると見込まれることがある。現在の飛行士は、高度400キロメートルの「国際宇宙ステーション(ISS)」で、科学実験、観測、補修、管理などの仕事をしている。今回の募集は、ISSのさらに先、地球から38万キロメートル離れた月探査を見据えている。
引き金になったのは、トランプ前大統領時代の米国が、2024年に月へ宇宙飛行士2人を着陸させる「アルテミス計画」をスタートさせたことだ。月面基地を建設し、そこを拠点にさらに火星有人飛行も目指すという。この計画の一環として、米国は月の近くに宇宙ステーション「ゲートウェイ」も新たに建設する。
日本はこのゲートウェイへの参加を決め、昨年12月にNASA(米航空宇宙局)と了解覚書を交わした。覚書によると、2023年からゲートウェイ建設を開始し、28年に完成させる。ただ予定は早くも遅れ気味で、建設開始は24年からと見られている。
新たな飛行士の仕事はゲートウェイ建設や滞在、2024年以降の運用延長が検討されているISS滞在だ。日本が月面基地にも参加すれば、月面拠点造りも仕事になる可能性がある。
これまで日本では11人の飛行士が誕生し、すでに4人が退任した。現役飛行士7人の平均年齢は51歳で、最も若い人は44歳。欧米やロシアより高齢化が進んでいる。
有人月探査は大プロジェクトであり、実現まで相当時間がかかる。10~50年先をも見越した長期事業だ。若い世代の飛行士を育成する必要がある。JAXAはこれまでの不定期な採用を改め、今後は「5年ごとに採用する」と説明する。
ただ問題がある。日本では飛行士への応募者が少ないという現実だ。ISSやゲートウェイで協力を進める米欧カナダと比べるとそれが顕著だ。
JAXAによると、NASAの2016年の募集では1万8000人を超える応募があり、競争率は約1500倍にのぼった。2008年のESA(欧州宇宙機関)は、8000人超で1700倍近かった。カナダ宇宙庁も、2016年の応募者は3700人超で1900倍に迫る競争率だった。一方、日本は前回の2008年時の応募者数は900人台で、競争率も約320倍。十分高いように見えるが、JAXAでは、もっとたくさん、幅広い人材を集めたいという。
応募数が少ないのは、採用が不定期なことに加え、いつ飛行できるか、生涯で何回飛行できるかなど、キャリアプランを見通せないことが影響していると思われる。過去の募集でも、応募者集めに苦労し、国の研究所、宇宙関連企業、大学や大学院などに働きかけた経緯がある。
JAXAは、競争率が低い理由は、応募条件のハードルの高さにあるとみる。前回(2008年)の条件を見ると、「日本国籍を有する」から始まり、「大学(自然科学系)卒業以上」「自然科学系分野における研究、設計、開発、製造、運用等に3年以上の実務経験」「訓練活動、幅広い分野の宇宙飛行活動等に円滑かつ柔軟に対応できる能力(科学知識、技術等)」「泳力」「英語能力」「身長158センチ以上190センチ以下」「体重50キロ~95キロ」「10年以上、JAXAに勤務可能」など、たくさんの項目が並ぶ。
「国際的チームの一員として従事できる心理的特性」「日本文化や国際社会・異文化への造詣」なども挙げられている。「宇宙飛行士=エリート」が求められていることがよく分かる。
宇宙飛行までに時間がかかることも壁になっている。選抜に1年かかり、その後2年の基礎訓練を行った上で飛行士と認定。打ち上げ予定が決まると、さらに1年~2年半ほどの訓練を経て、ようやく飛行する。予定が決まらないと、待ち時間はさらに長くなり、維持・向上訓練を続けることになる。
実は「文系の宇宙飛行士を」という話は、長年言われてきたことでもある。宇宙での体験が人の心に与える影響、人類や文明にもたらすもの、などを自然科学系出身者とは違った視点で表現してくれることへの期待があるからだ。
JALやANAなどのパイロット採用では出身学部を問わないことも、文系へ門戸開放をすべきという論拠のひとつになっている。
とはいえ、JAXA内部でも文系出身を認めるかどうかは決めきれていない。「パブコメで皆が賛成するかどうかによる」とJAXAは言う。
もし実現すれば応募者の裾野が広がり、多くの人に希望を抱かせることにもなるだろう。だが、話はそう簡単ではない。飛行士の仕事のかなりの部分は、自然科学系の知識が求められるからだ。特に宇宙での故障、トラブル、身体の変調などに迅速に対応できないと、自分や同僚飛行士の生命を危機にさらしかねない。
JAXAによると、米国やロシアで文系出身の飛行士はいない。今年2月、新たな飛行士募集を3月末から開始すると発表したESAも、自然科学系出身者であることを条件にしている。軍などのテストパイロット経験者はそれ以外でも応募可能だが、あくまで自然科学系が大前提だ。
今回の募集目的である「ゲートウェイ」は、米欧日本などが国際協力で進めている。ISSよりもはるかに規模が小さく、滞在できる飛行士も日数も少ない。その分、一人ひとりの飛行士の責任は重く、知識や技術が求められる。
そもそもゲートウェイへ飛行できるかどうかは、明確な基準が示されておらず、どれだけ米国の計画に貢献するかで決まると言われている。その意味でも、いきなり日本だけ文系へと切り替えるハードルは高そうだ。
JAXAは「初回の募集は狭い範囲になるかもしれないが、さまざまな飛行士、人材を増やしていきたい。そのためにも、パブコメは、自分の子どもが応募する際の条件でも良いし、若い世代からの意見も歓迎する」と言う。
今、飛行士の募集で注目を集めているのがESAだ。自然科学系出身者という基本路線は崩さないものの、今回初めて身体に障害がある人も「パラアストロノート」として募集しているからだ。多様な人材を確保することで、宇宙開発のあり方を見直すことにつながると考えているようだ。
宇宙飛行の世界は民間を中心に、変化が出ている。ISSでも、ロシアが有償の商用飛行を何度も実施している。NASAも民間人の有償飛行を受け入れる方針を打ち出している。3月3日には、実業家の前澤友作さんが、月へ飛行する米企業の宇宙船に前澤さんと同乗する8人を募集すると発表した。こうした動きは、文系の人を宇宙へ送り出す動きを加速する可能性がある。
一方、国民の税金で運用されているJAXAが文系飛行士を送り出すとなると、なぜ文系が必要なのかについて、もっときちんと論理立てて説明する必要があるだろう。
今、日本では副業解禁、リモートワークなどの働き方改革が進む。JAXAの2月のイベントでは、普段は別の仕事をしていて飛行時だけJAXAの飛行士になる「パートタイム飛行士」「副業飛行士」などの案も出た。
JAXAの飛行士第1期生で、2回の宇宙飛行体験がある毛利衛さんは、初めての飛行時に「日の丸を意識した。国を背負っているプレッシャーを感じた」という。「日の丸」と「副業」――。宇宙飛行士という職業へのイメージも様変わりしてきているのかもしれない。
飛行士の応募条件に限らず、最近では、そもそも文系と理系を分けることへの疑問も強まっている。文系と理系の知識を融合することで、時代にふさわしい知を生み出し、さまざまな問題解決につながると期待されるからだ。
国の科学技術振興策の方向性を示す「科学技術基本法」は、昨年25年ぶりに「科学技術・イノベーション基本法」と改正された。これまでは科学技術、いわゆる理系だけを対象にしていたが、改正によって人文科学も対象になる。理系だけでは、社会に受け入れられたり、価値を生み出せたりするとは限らないからだ。「技術で勝ち、産業で負ける日本」の汚名を返上するためにも、多様性の重要さが見直されているのだ。
せっかく「文系宇宙飛行士」という問題提起をしたのだから、これからの宇宙開発像や飛行士像について、議論や検討を重ねる機会へとつなげていくこともJAXAに求められている。
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(ジャーナリスト 知野 恵子)
小3男児が宿題忘れたら…1年生の教室に連れていき、後ろで宿題させる
和歌山県田辺市立小学校の男性教諭が2月、宿題を忘れた3年男児を1年生の教室に連れて行って宿題をさせていたことがわかった。市教育委員会は「精神的苦痛を与えた体罰にあたる」として教諭を口頭で厳重注意、校長にも口頭で注意した。注意は2日付。
市教委や校長の説明では、教諭は2月17日午前、担任の学級の3年男児が宿題をしてこなかったため、教諭が1年の教室へ連れて行き、3限目の授業を受けている1年生の後ろで宿題をさせた。4限目には、1年生が体育でいなくなった教室に男児を居残らせた。給食からは3年の教室に戻し、午後の授業も受けさせたという。
翌日、保護者から抗議があり、校長と教頭、男性教諭が男児と保護者に謝罪したという。男児は数日間、登校しなかったという。校長は読売新聞の取材に対し「男児は宿題忘れが多く、教諭が『今度やったら1年生の教室へ行かせる』と伝えていたというが、明らかに行き過ぎた行為だった」と話した。
市教委学校教育課は「学校教育法では教諭に児童への懲戒行為を認めているが、今回は子どもの学習権を奪い、精神的苦痛を与えており、懲戒の範囲を超えている」としている。
小泉大臣「ゴミでスニーカー」発言に「また変な事を」と批判
瀬戸内海の水質改善や環境保全などを定めた「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正案が国会に提出され、小泉進次郎環境大臣(39)が3月13日、『中国新聞』のインタビューに答えた。廃棄物の再生について問われた進次郎氏は「瀬戸内海のごみで国産スニーカーを製造したらどうか」と発言し、ネットで批判が殺到している。
同法案には、海洋プラスチックごみを含む漂流ごみの除去や発生源の抑制と対策も盛り込まれている。進次郎氏はインタビューの中で、「プラスチックは二酸化炭素(CO2)を大量に出す石油から作られる。使い捨てプラスチックを減らせば気候変動対策になり、瀬戸内海はモデル地域になる。閉鎖性海域で外洋から流れ着くごみはほとんどない。地域を挙げて排出抑制をすれば目に見える効果が出る。同時に『アップサイクル』を進めたい」と話している。
「アップサイクル」とは、不要なものを単に資源として再利用するリサイクルに対し、それらをより価値の高いものに生まれ変わらせるというアイデアで、近年注目されている。そして、その「アップサイクル」の具体案として、進次郎氏は記事で次のように語っていた。
「国内外のスポーツ用品メーカーは既に海洋プラごみから服や靴を作っている。瀬戸内海のごみで国産スニーカーを製造したらどうか。廃棄物を新たな資源として回す『サーキュラーエコノミー(循環経済)』を推進したい」
これにはネットも総ツッコミ。
《まーた変な事を言い出した》
《もう大人なんだから思い付きで行動するのやめろ》
《キッザニア感覚で大臣やってるのか》
《余計にエネルギーと金がかかる》
《大臣辞めてベンチャーでもやれば?》
《もう喋らないほうがいい》
《誰か周りに止める奴はおらんのか?》
《レジ袋もスプーンもごみスニーカーもぜんぜん楽しくないしセクシーじゃない》
昨年7月からレジ袋の有料化が始まり、今年度の国会で法案が成立すれば、早くて来年の春からコンビニのプラスチックスプーンなども有料化となる。
「ゴミ袋やスプーン有料化の効果なんてたかが知れています。小泉氏本人も、『レジ袋有料化でプラスチックごみの問題は解決せず、目的でもない』と明言しています。国民の意識を変えるためだと言っていますが、本気で環境問題を解決したいならば、大臣としてやるべきはそんなことではないはず。
プラスチックは低コストで利便性が高いので、人類が手放すのは難しいんです。例えば、フリースなどは洗濯すると大量のマイクロプラスチックが流れ出ます。しかし、メーカーには使いやすい。だから、本来は国家プロジェクトレベルで新素材の開発を支援するなど、プラに代わる選択肢を増やさないといけないんです。
小泉氏が環境大臣としてすべきは、小手先のプラごみ対策ではなく、将来を見据えた抜本的な対策ではないでしょうか」(環境省担当記者)
「まずは国民に負担を負わせる」だけでは、人の心は付いてこない。
同性婚訴訟で違憲判決、でも「ゴールじゃない」 原告男性カップルの思い
国が同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、同性カップルなどが全国各地の地裁で国を訴えている訴訟で、札幌地裁が3月17日に同性婚を認めないのは差別で、法の下の平等を定める憲法14条に違反するとする初めての判決を出した。
2019年2月14日のバレンタインデーの提訴から約2年。ただ、みんなと同じように結婚の自由を認めてほしい。その思いの実現に向け大きな一歩となった。でも「ゴールではない」。原告らは判決後の記者会見で「この一歩が2歩、3歩とどんどん進んで行かなければいけない」と未来を見つめた。
全国5地裁で争われている同種訴訟で初。大きな注目を集めた判決だった。札幌訴訟の原告3組のうちの1組、国見亮佑(くにみ・りょうすけ)さんとたかしさん=いずれも40代、仮名=が2月、判決を前に語ってくれた思いを、改めて振り返った。(共同通信=石嶋大裕)
食卓を囲んで夕飯を食べる国見さん(手前)とたかしさん=2月
▽旦那みたいなもの
JR札幌駅から特急で3時間弱。北海道帯広市の帯広駅に着くと、辺りはすでに暗くなり、白雪が積もる駅前広場で黄色いイルミネーションがきらきらと点灯していた。今年2月10日。判決を前に、どんな気持ちで過ごしているのだろうか。そんな疑問を2人にぶつけようとやって来た。
「りょーすけさん仕事終わって学校出たところで、向かいます」。
たかしさんからメッセージが届いてしばらくすると、公立学校の勤務を終えた国見さんが筆者を車で迎えに来てくれた。助手席にはたかしさんが座る。「この人、免許持ってないからどこに行くにも私が運転するんですよ」。そう話す国見さんの横で、たかしさんは「夕飯どうしよう。何も考えてない」。自宅に向かう途中でいつも行くというスーパーに寄ることになった。
車を運転する国見さん。車中では助手席に座るたかしさんとの会話が絶えない。「時にはけんかもします」と笑う。
たかしさんは慣れた手つきで買い物かごを取り、つかつかと商品棚に向かう。国見さんがぼそっと「私は「『買い物が長い』と文句を言う旦那みたいなもの」と自嘲しつつ、納豆の棚の前では「この人、納豆が嫌いだから、買おうとするとかご持って逃げるのよ」。半額のシールが付いたスイーツを見つけると、エクレア、ワッフル、シフォンケーキと次々とかごに入れていく。「決まらない、決まらない」と繰り返していたたかしさんはいつの間にか、野菜や肉をそろえてレジに向かった。料理好きのたかしさんが食費、国見さんが家賃や光熱費を支払っているのだという。
▽一緒にいる日常が当たり前
2人が暮らすのは2015年に引っ越してきた2DKのアパート。台所には、料理好きのたかしさんがファンだという料理研究家がプロデュースした道具が並ぶ。最近買ったステレオスピーカーからは、2人が好きな歌手、矢野顕子さんの曲が流れる。たかしさんが料理の準備を始めると、国見さんが話し始めた。
「提訴してから2年。あっという間ですね。もう判決なんだって。判決を待つこと自体が人生初だから、どういう心持ちでいたらいいか分からない。やるからには勝ちたいけど、負けても次、頑張ろうねという感じ。通過点の一つ」。目指すゴールはあくまで同性婚の実現、そしてその先の平等な社会だからだ。
2人の出会いは2002年にさかのぼる。国見さんは札幌でLGBTなどの性的マイノリティーへの理解を訴える活動をしていた。たかしさんはそんな国見さんのファン。「当時はスターみたいだった。活動が取り上げられた新聞の切り抜きも持っていた」。たかしさんから「今度会いませんか」とインターネットを通じて連絡し、同年11月に会うことに。札幌市中心部の待ち合わせスポットとして知られる商業施設で、初めて対面する。食事をし、意気投合した。
2人が好きな矢野顕子さんのCDは交際のきっかけにもなった。
矢野顕子さんのライブに行くなど頻繁にデートを重ねて04年に同居を始めた。「16年以上一緒に住んでいれば、恋愛みたいに毎日ドラマチックなことばかりじゃない。生活を2人で組み立てていくような関係。一緒にいる日常が当たり前になっている」とたかしさんは感じている。
▽「裁判を起こさなければいけないことがおかしい」
たかしさんの姉家族もそんな2人が「“ふうふ”として生活している」と取材に断言する。姉がたかしさんからゲイであることを告白されたのは、国見さんとたかしさんの関係が始まった1カ月後の02年12月だ。ある日、「話がある」と電話をしてきたたかしさんは、仕事の帰りに姉の家にやって来た。「実は男の人と付き合っているんだ」。突然だったが、姉はたかしさんが小さいころから何か人に話せないことを抱えていると感じ取っていた。「思いを共有できる相手がいると知ってほっとした」。2人は泣きながら抱き合った。
その後、姉に息子が生まれると、たかしさんと国見さんはよく面倒を見てくれた。一緒に食事に行ったり、旅行に行ったり。子育てについても親身になって心配してくれた。だからこそ姉は、その2人の関係について法廷で証人として問われ「夫婦のような関係です」と言い切った。
たかしさんの姉の息子が、国見さんとたかしさんからもらった海外旅行のお土産。日付を表すことができ、取材時には判決日の「3月17日」と組み立ててくれた。
大学生になった姉の息子は2人からもらった海外旅行のお土産を大切にしている。「本当に仲が良い。関係を知ったのは提訴するという話が出てからだったが、聞いたときに全然違和感はなかった。どうしたら自分は力になれるんだろうって思った」と話す。そして2人の関係が当たり前に思えるからこそ、結婚ができないことに疑問を抱いている。「もし負けたとしても裁判が社会にすごいインパクトを与えることは事実。でも、そもそもこういう裁判を起こさなければいけないことがおかしい」
▽「かわいそうなカップル」ではない
帯広市のアパート。2人の話を聞いていると、テレビで夜の定時ニュースが流れ始めた。たかしさんが焼くハンバーグの香ばしい匂いが部屋を満たし、マスク越しに鼻を刺激する。帯広駅に着いた直後に地元名物の豚丼を食べたが、おなかがすいてくる。
「動きがある方が良いでしょ」。カメラを向けると、たかしさんはハンバーグをすくう様子を撮らせてくれた。
「異性カップルは良くて、同性同士はだめ。それは明確な差別。誰もが自由に選択できるようにするために同性婚を求めている。私たちは、結婚できないことで不利益があるから裁判を起こしているかわいそうな同性カップルではないんですよ」
少なくとも私たちは幸せに暮らしている、と国見さん。たかしさんが話を引き取る。「すでに実態としては家族。そんな好き同士が、結婚できれば良いじゃないですか。単純な話なんです」。そんな“家族”が公的には認められていないままだ。
訴訟では、憲法の解釈のみを問う訴えが起こせないため損害賠償を求めており、損害をはっきりさせるために結婚できないことによる不利益を主張した。相続権や税の控除などは婚姻関係になければ享受できない。「原告の中には実際に困っている人もいる」と国見さん。でもこれらはもともと、「異性婚しか認めないおかしい制度だから生じていること」。たかしさんも「特別扱いを求めているわけではない」と強調する。
国見さんは意見陳述で法廷に立ち、「日本で同性カップルに婚姻が認められ、私たちの関係が公的に認められることを望んでいます。婚姻が認められることで、同性愛者に対する差別や偏見がなくなってほしい」と訴えた。
▽国はちゃんと向き合って
国は「憲法24条は同性婚を想定していない」との立場を国会でも訴訟でも崩しておらず、憲法が同性婚を禁止しているかどうかについては沈黙したままだ。結婚ができない同性カップルは、社会的承認が得られず、いざというときに関係性が証明できない状態が続く。海外では同性婚を認める国や地域が増え、国内で実現を目指すNPO法人「EMA日本」などによると、昨年5月時点で29に上る。先進7カ国(G7)では、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、アメリカで認められ、イタリアも法的効果のあるパートナーシップ制度を設けており、日本は国家単位の性的少数者を巡る環境整備で取り残されている状況だ。
日本国内各地の自治体では、当事者らの声を受けて、婚姻に相当する関係にあると公的に認証する「同性パートナーシップ制度」の導入が広がっているとはいえ、自治体や民間企業の制度の利用しかできず、相続や税金の控除の適用などから除外される問題は解決できない。異性婚の夫婦と同じ権利を持つためには法制化が必須だ。
国見さんは「国は何を考えて同性婚を否定しているのか。それが訴訟の答弁書では分からなかった。現実にいる人たちとして私たちを見てくれていないのが分かる。最後までそうだった。国にはちゃんと向き合ってほしい」と求めた。
※同性婚訴訟札幌地裁判決 原告側は、憲法は同性婚を禁止するものではなく、同性同士の結婚を認めないのは婚姻の自由を侵害し、法の下の平等が禁じる差別的扱いに当たると主張。一方、国側は憲法が同性婚を想定しておらず、不合理な差別には当たらないとしていた。判決は同性婚を認めていない民法と戸籍法の規定について、「両性」「夫婦」という文言で婚姻の自由を定めた憲法24条には違反しないとする一方、同条が同性婚を否定しているとまでは言えないと判断。さらに、同性を好きになる性的指向は、性別や人種などと同様に自らの意思にかかわらず決まる個人の性質であり、異性愛者が結婚によって得られる法的保障を同性愛者に認めないのは、法の下の平等を定める憲法14条に違反するとした。
判決後、地裁近くで記者会見を開いた原告ら(手前)は、判決への思いを語った
▽取材を終えて
ハンバーグがテーブルに出されると、国見さんは「おいしい、おいしい」と言いながら平らげた。「この人のご飯はほんとにうまいんですよ。いつもこうやって2人でテレビを見ながら夕飯を食べるんです」。その光景は、異性カップルや夫婦のそれと何ら変わることはないと思えた。と同時に、「なぜ結婚が認められないのだろう」との疑問も膨らんだ。
たかしさんが作ったハンバーグ。フライパンで焼いた後、オーブンに移してじっくり調理するこだわりよう。
弁護団は同性婚訴訟を「結婚の自由をすべての人に訴訟」と呼んでいる。同性婚という“特別な制度”を求めているわけではなく、結婚するかしないかという選択の自由をすべての人が当たり前に享受できることを願っているからだ。たかしさんの「特別扱いを求めているわけではない」という言葉が思い出される。
札幌地裁の武部知子裁判長が、判決要旨の読み上げを一瞬やめて息を整え、震える声で違憲判断を言い渡したとき、原告らは涙していた。そして、きっとこの場にいなかった、声を上げられなかった多くの当事者も喜びを分かちあっているに違いないと思う。
判決後の記者会見で原告の女性は「性的指向に気づいた多くの当事者が、この国では結婚が許されないんだと気づき、明るい人生を描けないことで未来への希望を絶たれてしまっている。それは、自分はここにいて良いのかという根源的な問いになり、生きることすら迷ってしまう人もいる。そういった人たちにもこの判決は生きる希望やわたしのままでいていいんだと思わせるような素晴らしい判決だと思っている」と話した。
札幌訴訟の原告は3組の同性カップル。東京、名古屋、大阪、福岡の同種訴訟も含めると、原告は3月8日時点で計28人だ。原告は控訴する方針で、闘いはこれからも続く。他の各地裁でも審理が続いている。先頭に立って闘う28人の後ろでは、今回、差別や偏見の下で声を上げられなかった多くの性的マイノリティーが行方を見守っている。各裁判所が札幌地裁に続き「結婚の自由をすべての人に」実現する次なる一歩となる判断を下すのか。そして、国と国会は制度化に向けた議論を始めるのか。引き続き注目していきたい。
600のメールアカウントを無断使用 ドコモ口座不正引き出し
警察庁は18日、2020年秋に相次いだNTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を巡る不正引き出し事件で、犯罪グループが約600の他人の電子メールアカウントを無断で使っていたと発表した。アカウントは、特定のプロバイダー(接続事業者)1社に集中していた。
事件では、埼玉県警などが詐欺容疑などで6人を摘発し、捜査の過程で手口が分かった。警察は接続事業者に、パスワードの再設定やアカウントの停止などの対策を取るよう求めた。事業者名は公表していない。
同庁によると、当時はメールアドレスだけでドコモ口座を開設できる仕組みだった。犯罪グループは入手した他人のメールアカウントを使って、数日間で数十というペースで計約600のドコモ口座を開設していた。
アカウントのパスワードの多くは、インターネット上に流出していた。定期的にメールを送受信しないとアカウントが勝手に使われても気付きにくいことが悪用されたとみられる。同庁は「特定の接続事業者に集中した理由は分かっていない」としている。
また、警視庁などが摘発したドコモ口座などを舞台にした別の不正引き出し事件の被害は、金融機関の口座の4桁の暗証番号と携帯電話契約時に決めるネットワーク暗証番号が同じ場合が多かった。この事件では、ソフトバンクの顧客の約3600口分の口座情報が元販売代理店社長によって持ち出されたという。警察庁は「リスクが高い暗証番号の使い回しはしないでほしい」と呼び掛けている。【町田徳丈】
給食スープに針金状の金属片…配膳中に担任が発見
神戸市教育委員会は17日、市立青陽須磨支援学校(須磨区)の給食で出されたスープに、針金状の金属片(33ミリ)が混入していたと発表した。健康被害は出ていないという。
発表によると、金属片はステンレスとみられ、15日に高等部のクラス担任が配膳中に見つけた。給食は校内の給食室で調理され、全クラスに提供しているが、ほかに異常の報告はなかった。
宮城知事「このままいくと本当に大変」…107人感染、緊急事態宣言も
宮城県と仙台市は17日、新たに107人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1月14日の87人を超え過去最多、仙台市の75人も同市として過去最多となった。村井知事は記者団に「このままいくと本当に大変なことになってしまい、緊急事態宣言にもなりかねない」と危機感を示した。18日に仙台市の郡和子市長と共同記者会見を開く方向で調整している。
県内では2月8日、22日と新規感染者がゼロになり、その後も一桁の日が続くなど感染状況は落ち着いていたが、今月2日に20人を超えると、そこから急増した。県内の感染者は累計で4292人となった。
村井知事は、菅首相から電話で「宮城県は非常に大変な状況になっているので、政府としてもできるだけ対応する」と伝えられたことを明らかにした。
営業時間の短縮要請について村井知事は、「景気が冷え込んでいるので、相当慎重にしないといけない。効果を見据えてやっていく必要がある」と述べた。
仙台市によると、同市内の事業所2か所でそれぞれこれまでに計13人と計11人、陸上自衛隊仙台駐屯地で計8人の感染が判明し、市はいずれもクラスター(感染集団)が発生したと判断した。
また、同市若林区大和町のカラオケ喫茶で2人の感染が確認されたとして、市は8~13日に店を利用した人はコールセンターに連絡するよう求めた。