日本画の大家、平山郁夫らの絵画を基にした版画の偽作が見つかった事件は、関与を認めた大阪府の画商が人気の高い大家の偽作を大量に流通させ、市場で値崩れを起こす事態まで招いていた。美術関係者らは長年、偽作が流通した背景について、鑑定書がなく、真贋(しんがん)を目利きだけに頼る版画特有の事情を指摘する。さらには、偽作の制作を容易にする技術の向上、取引市場の移り変わりなど複雑な時代背景も浮かんでくる。(吉沢智美)
需要落ち込み
「いつの世も偽作は存在する。普通は画商が見つけるなどして歯止めがかかるものだが、今回はあまりにも長きにわたり流通してしまった」。東京都内の美術関係者は険しい表情で語る。
平山郁夫、東山魁夷(かいい)、片岡球子(たまこ)、有元利夫-。偽作版画は、大家や人気作家の名が並ぶ。これまでに、大阪府の50代の男性画商が一部への関与を認め、約8年前の平成25年ごろから、奈良県の工房に制作を依頼していたことがわかっている。
美術関係者によると、25年前後、日本画を取り巻く情勢は厳しかった。20年のリーマン・ショック以降、取引価格は大きく下落。23年の東日本大震災を経て、需要はさらに落ち込んだ。
美術関係者は「資金力がなく、著名作家の作品を仕入れることができない画商は経営が厳しいだろう」と証言する。大阪の画商が関与した偽作は、いずれも人気が高く、日本画が値崩れする情勢の中でも比較的高値で取引されている作家のものだった。業界関係者によると、東山の版画は高額なもので900万円、平山の版画も250万円ほどで売買されているという。
ある画廊経営者は「味をしめて、偽作を流通させ続けたのだろう」と話す。
業界特有の事情も
偽作の大量流通を長年、許した背景には版画特有の事情も浮かぶ。日本では、版画専門の鑑定機関などは存在しない。芸術作品の取引などで本物であることを証明する「鑑定書」もないまま、売り買いされているのが現状だという。
問題を受け、日本現代版画商協同組合(日版商)や美術商らが立ち上げた臨時偽作版画調査委員会の事務局は「どのような方法で鑑定するかを模索するところから、始めなければならない」と実情を明かす。
現状では、画商らは作品のカタログや真作と見比べながら真偽を判別。関係者は「きちんと鑑定できる人がいないことで、偽作が売り続けられたのかもしれない」と推察する。
一般客と画商らを結ぶ売買の舞台となる百貨店などの事情を原因に挙げる声もある。関係者によると、百貨店などにはかつて、美術品を見る専門担当者らがいたが、長引く不況で、こうした人員を育成することが困難に。結果的に「画商との信頼関係を頼りに作品を取り扱うしかなくなってきた」(関係者)という。
近年、技術の進歩などにより偽作はより容易に制作できるようになっているという。美術関係者は「今後も長い期間、偽作が見抜かれず流通するリスクはある」と話した。
◇
実際に偽作を制作したとされる奈良県の工房の男性経営者が、産経新聞の取材に応じ「(流通させるとは思わず)他の用途で使うと想像していた」などと語った。
男性は「摺師(すりし)」として40年以上にわたり、さまざまな作家の複製版画の制作に携わってきたという。ただ、仕事量が激減。20年ほど前から修復の仕事も引き受けるようになったとしている。
大阪の画商と知り合ったのは、その頃で、最初は修復の仕事をもらっていたという。偽作の依頼が来たのは8年ほど前。「修復で『ええ仕事するな』と見込まれたのではないか」と推察する。
「絶対に迷惑をかけないから」と言われ、東山魁夷や平山郁夫らの複製版画を作った。1作品を制作するのには約2カ月を要し、年5~6点ほどの依頼があったという。
約2年前まで依頼が来ていたとし、これまでに制作したのは、少なくとも東山ら4人の作家で「800枚だ」と証言した。
男性経営者は「『こんなもの何に使うのか』と思っていたが、売るとは思わなかった。よい仕事があれば受けるのは当然。(大阪の画商の)言葉を信じたのに…」と話した。(田中一毅)
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全国で1234人の感染確認 死者78人増、重症者21人減
新型コロナウイルスの感染者は20日、全国で新たに1234人が確認された。死者は78人増えて7456人、重症者(20日午前0時現在)は前日から21人減って526人となった。
死者は東京都で27人、埼玉県で10人、神奈川県で7人、北海道で6人など。東京都の新規感染者は327人で、1日当たりの感染者は14日連続で500人を下回った。群馬、沖縄両県で感染者の取り下げがあり、累計数が訂正された。【まとめ・内橋寿明】
SNSに死にたいと書いた女性誘い、刺した容疑 31歳を逮捕
ネット交流サービス(SNS)に死にたいと書き込んだ女性の依頼に応じて殺害しようとしたとして、愛知県警は20日、住所不定、無職、秋山雄哉容疑者(31)を嘱託殺人未遂容疑で逮捕した。県警は、自殺願望につけ込み、金銭目的で近づいた可能性もあるとみて調べている。
逮捕容疑は2020年11月21日夜、名古屋市北区の名城公園で、ツイッターに「自分を殺してほしい」という趣旨の投稿をしていた同市中区に住んでいた女性(19)に依頼され、女性の腹を包丁で刺し、殺害しようとしたとしている。女性は軽傷だった。秋山容疑者は「(刺した)行為は間違いないが、殺すつもりはなかった」と容疑を一部否認しているという。
県警によると、秋山容疑者は事件の2日前から女性とメッセージのやりとりをし、関東方面から愛知県内に移動。2人で女性の車に乗って包丁を購入するなどし、殺害の準備をしていた。女性は秋山容疑者に刺された後に思いとどまり、近くを通りかかった人に助けを求めたという。秋山容疑者は現場から立ち去っていた。
SNSを利用した同種の事件では、17年に神奈川県座間市のアパートで若い男女9人が殺害された事件がある。白石隆浩死刑囚(30)はツイッターに「死にたい」と書き込むなどした若者をターゲットにし、金銭や性的暴行目的で誘い出して殺害。今年1月に死刑が確定した。【高井瞳】
相談窓口
・いのちの電話
0570-783-556=ナビダイヤル。午前10時~午後10時。
0120-783-556=フリーダイヤル。午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時、IP電話は03-6634-7830(有料)まで。
・日本いのちの電話連盟
・全国のいのちの電話(一覧)
https://www.inochinodenwa.org/lifeline.php
・東京自殺防止センター(NPO法人国際ビフレンダーズ)
03-5286-9090=年中無休、午後8時~午前2時半(月曜は午後10時半から、火曜は午後5時から)。
海自、九州西方で米仏海軍と訓練 中国の海洋進出けん制も
海上自衛隊は20日、九州西方の海域で19日に米仏両国の海軍と共同訓練をしたと発表した。海自からは補給艦「はまな」が参加し、米駆逐艦「カーティス・ウィルバー」、仏フリゲート艦「プレリアル」に補給した。海自は「相互理解の促進、戦術技量の向上を図った」と説明している。
中国は1日から外国船舶への武器使用を可能とする海警法を施行しており、東シナ海での海洋進出をけん制する狙いもあるとみられる。英独両国の海軍も今後、太平洋に艦艇を派遣すると表明しており、防衛省は協調して、中国に対抗する方針だ。
海自によると、日米仏の海上での共同訓練は昨年12月にも実施された。
「5千円入金すればワクチン優先接種できる」と女から電話…新手の詐欺か
新型コロナウイルスワクチンの優先接種が受けられるとうたい、現金を要求する不審電話が県内でも相次いでいる。福岡県警などは1月以降に数件を確認しており、新手の詐欺とみて注意を呼びかけている。
県警によると、県南部の男性宅に1月28日、NPO法人をかたる女から電話があり、「5000円を入金すれば、新型コロナワクチンを優先的に接種できる」などと持ちかけてきた。「新型コロナを撲滅する会」と名乗り、不審に思った男性が警察に相談した。
県消費生活センターにも1月以降、6件の相談が寄せられた。現金を要求する電話のほか、「重大なお知らせ」と題し、「友人を紹介したらワクチンの優先接種ができる」などと書かれたメールが届いた人もいた。行政機関を名乗ったSNSで、接種に関する虚偽の情報が送られたケースもあったという。
県警は「現金を支払ってワクチンを優先接種できることはない。ワクチン接種でお金の話が出たら、警察に相談してほしい」としている。
過去にも痴漢で実刑、学習サポーターの男が電車内で女性の手に陰部押しつける
千葉県教育委員会は19日、電車内で痴漢行為をした習志野市立第七中学校の学習サポーターで被告の男(55)を免職とするなど、6件の懲戒処分を発表した。男は過去にも痴漢行為で実刑判決を受けたと説明しており、県教委は気づかず、昨年9月に採用していた。
発表によると、男は昨年11月18日朝、千葉市内のJR外房線の電車内で、女性の手に陰部を押しつけた。
今月16日、千葉地裁は県迷惑防止条例違反(痴漢)で懲役10月の実刑判決を言い渡した。男は県教委の聞き取りに対し、2016年頃にも痴漢で実刑判決を受けたと話したという。
テストの採点など授業の補助をする学習サポーターは、教員免許など特別な資格は必要ない。新型コロナウイルス感染拡大による休校の長期化で、県教委は今年度、前年の約5倍にあたる1091人を採用。面接や書類選考を行った際には、男から過去の判決について報告はなかったという。
県北西部の県立高校の男性教諭(31)も免職とした。19年11月頃、女子生徒から校内で相談を受けた際に抱きしめた。その後もこの生徒とスマートフォンで私的なやり取りをしたり、複数回、体を触ったりした。県教委は監督責任を問い、男性校長(57)を減給10分の1(6か月)とした。
県北西部の公立小学校の男性教諭(26)も免職。昨年11月から今年1月、教室で女子児童2人の体を触るなどした。監督責任として、男性校長(55)を減給10分の1(3か月)とした。
松戸市の公立小学校の男性教諭(36)は減給10分の1(1か月)とした。昨年7月、東京都内のパチンコ店でスロットマシンのコイン投入口に接着剤を流し入れたとして、今年2月に器物損壊容疑で東京地検に書類送検された。聞き取りに対し、「パチンコやスロットをやめようと思った。投入口を接着剤でふさげばやめられるとインターネットで見た」と話したという。
中国船の日本漁船威嚇、戦術的にも能力向上! 「時機を見て攻撃してくるのでは」漁業者危惧も…玉城知事は“弱腰” 八重山日報・仲新城誠氏緊急寄稿
習近平国家主席率いる中国共産党政権は1日、海警局に、海上保安庁の巡視船や日本漁船を含む、外国船への武器使用を認める「海警法」を施行した。沖縄県・尖閣諸島の周辺海域には、連日のように海警局船が侵入しているが、現地の状況はどうなっているのか。「領土・領海を守る」という地元漁業者の熱い思いと、離島の焦燥感が伝わらない沖縄県の玉城デニー知事の弱い発信とは。菅義偉首相は、国家的危機にどう対処するのか。沖縄の日刊紙「八重山日報」編集主幹の仲新城誠氏が緊急寄稿した。 ◇ 尖閣周辺海域で緊張感が高まっている。出漁した日本漁船が海警局船に威嚇される事態も頻発しているが、日本側は有効な対抗策を打ち出せず、じりじりとリング際に追い詰められているように見える。 海警法施行後、海警局船は6、7日と15、16日、尖閣周辺で領海侵入し、沖縄県内の漁協に所属する漁船延べ5隻への接近、追尾を繰り返した。 特に16日は、海警局船が2隻ずつのチームを組み、違う海域で操業していた漁船2隻を同時追尾する「チームプレー」を見せた。 長期的に尖閣周辺に常駐し、日本の実効支配を打破するという戦略レベルの行動だけでなく、現場での日本漁船排除に向けた戦術レベルでも、中国の能力が向上していることをうかがわせる。 海上保安庁が日本漁船の周辺に巡視船を配備し、漁業者の安全を確保した。だが、日本の漁業者にとって尖閣周辺はすでに、巡視船の警護がなければ漁ができない危険な海域と化している。 16日から漁船「鶴丸」に乗って尖閣諸島・南小島周辺で操業した石垣市議の仲間均氏によると、「海警」は2隻が「鶴丸」を挟むように追尾し、一時、40~50メートルの距離まで接近した。 仲間氏は海上で一夜を過ごしたが、「海警」も周辺で「鶴丸」の監視を続けた。「海警」の追尾時間は約26時間に及んだ。 海警法施行前に、仲間氏が尖閣周辺で操業した際は、けたたましい汽笛を鳴らされたり、夜間にサーチライトで照射される嫌がらせを受けた。 仲間氏は「南シナ海で起こっていることが、尖閣周辺でも現実になっている。時機を見て日本の漁船を攻撃してくるのではないか」と危惧し、「漁業者が尖閣周辺に行かなくなると中国の思うつぼだ。今後も漁を続ける」と語った。 中国の王毅国務委員兼外相は昨年11月に来日した際、一方的に尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張したうえで、尖閣周辺で操業する日本漁船を「偽装漁船」と言い放った。沖縄でさえ中国に同調して、「漁船に乗船しているのは活動家だ」と報道するメディアがある。
習近平国家主席率いる中国共産党政権は1日、海警局に、海上保安庁の巡視船や日本漁船を含む、外国船への武器使用を認める「海警法」を施行した。沖縄県・尖閣諸島の周辺海域には、連日のように海警局船が侵入しているが、現地の状況はどうなっているのか。「領土・領海を守る」という地元漁業者の熱い思いと、離島の焦燥感が伝わらない沖縄県の玉城デニー知事の弱い発信とは。菅義偉首相は、国家的危機にどう対処するのか。沖縄の日刊紙「八重山日報」編集主幹の仲新城誠氏が緊急寄稿した。
◇
尖閣周辺海域で緊張感が高まっている。出漁した日本漁船が海警局船に威嚇される事態も頻発しているが、日本側は有効な対抗策を打ち出せず、じりじりとリング際に追い詰められているように見える。
海警法施行後、海警局船は6、7日と15、16日、尖閣周辺で領海侵入し、沖縄県内の漁協に所属する漁船延べ5隻への接近、追尾を繰り返した。
特に16日は、海警局船が2隻ずつのチームを組み、違う海域で操業していた漁船2隻を同時追尾する「チームプレー」を見せた。
長期的に尖閣周辺に常駐し、日本の実効支配を打破するという戦略レベルの行動だけでなく、現場での日本漁船排除に向けた戦術レベルでも、中国の能力が向上していることをうかがわせる。
海上保安庁が日本漁船の周辺に巡視船を配備し、漁業者の安全を確保した。だが、日本の漁業者にとって尖閣周辺はすでに、巡視船の警護がなければ漁ができない危険な海域と化している。
16日から漁船「鶴丸」に乗って尖閣諸島・南小島周辺で操業した石垣市議の仲間均氏によると、「海警」は2隻が「鶴丸」を挟むように追尾し、一時、40~50メートルの距離まで接近した。
仲間氏は海上で一夜を過ごしたが、「海警」も周辺で「鶴丸」の監視を続けた。「海警」の追尾時間は約26時間に及んだ。
海警法施行前に、仲間氏が尖閣周辺で操業した際は、けたたましい汽笛を鳴らされたり、夜間にサーチライトで照射される嫌がらせを受けた。
仲間氏は「南シナ海で起こっていることが、尖閣周辺でも現実になっている。時機を見て日本の漁船を攻撃してくるのではないか」と危惧し、「漁業者が尖閣周辺に行かなくなると中国の思うつぼだ。今後も漁を続ける」と語った。
中国の王毅国務委員兼外相は昨年11月に来日した際、一方的に尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張したうえで、尖閣周辺で操業する日本漁船を「偽装漁船」と言い放った。沖縄でさえ中国に同調して、「漁船に乗船しているのは活動家だ」と報道するメディアがある。
【突破する日本】尖閣侵害に通じるウイグル弾圧、性的暴行する悪魔の所業も 日本も「ジェノサイド」と認めるべき
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の問題発言は、海外では単なる「女性蔑視」ではなく、女性という属性を否定したものと捉えられた。ジェノサイド(集団殺害)の肯定と同列に受け止める向きもあるが、世界では本物のジェノサイドが現在進行形で行われている。
英BBC放送は今月3日、中国新疆ウイグル自治区でウイグル族らの監視・統制を目的とした「再教育」施設で、性的暴行などが組織的に行われているとする女性らの証言を報じた。複数回、2~3人の男に集団でレイプされたり、体内に入れた電気棒に通電される拷問を受けたというものだ。
この報道に対し、英国のナイジェル・アダムズ外務・英連邦省閣外大臣は4日、「悪魔の所業を明らかにした」「英政府は断固たる対応を取る」とした。同国のドミニク・ラーブ外相も、ウイグル自治区での人権侵害を理由に、来年の北京冬季五輪をボイコットする可能性を示唆している。
中国の報道官は4日、報道事実を否定し、5日には「フェイクニュースや偏見のある報道にだまされたり、ミスリードされるべきではない」と述べた。中国でメディアを管理する国家ラジオテレビ総局は11日、BBC放送の国際放送について中国での放送を禁止する制裁措置を取っている。
ウイグル問題については、1月19日、ドナルド・トランプ前米政権のマイク・ポンペオ国務長官(当時)が、中国政府のウイグル族など少数民族への政策を「ジェノサイド」と認定し、100万人以上が強制収容所などで自由を奪われているとも指摘した。
ジョー・バイデン米政権でも、アントニー・ブリンケン国務長官が1月27日、「ジェノサイドが行われたという認識は変わっていない」と述べ、前政権と認識を同じくしている。
中国政府のウイグル族へのジェノサイドに国際的非難が高まっているなか、問題は日本政府の対応だ。自民党外交部会で1月26日、外務省の担当者は「ジェノサイドとは認めていない」と回答した。国際社会の人権感覚とは大きくずれた姿勢だ。
この問題は、単にウイグル族への人権侵害が横行しているというものではない。中国が「自由・民主主義」「法の支配」「基本的人権の尊重」という、今日の自由社会での普遍的価値をものともせず、踏みにじろうとしていることを示している。
ウイグル族への人権侵害は、南シナ海での領土拡張や、沖縄県・尖閣諸島への領土侵害にも通じる。「悪魔の所業」を「ジェノサイド」と認めないことは、尖閣諸島の領有を諦めたと言っているに等しい。中国は尖閣諸島への攻勢を強めている。日本政府は英米と歩調を合わせるべきだ。
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。
空自隊員が米で墜落死=戦闘機パイロットの訓練中
航空自衛隊は20日、米国で訓練中の20代の2等空尉が墜落死したと発表した。同乗していた米空軍の教官も死亡した。防衛省が墜落時の状況などを確認している。
空自などによると、2人が乗った練習機T38は日本時間20日午前8時ごろ、米アラバマ州のモンゴメリー空港の手前約3キロの地点に墜落した。T38は同空港へ着陸進入中だった。2尉は男性で、浜松基地(浜松市)の航空教育集団司令部に所属。米空軍の教育課程で戦闘機の操縦士資格を取得するための訓練を行っていたという。
岸信夫防衛相は防衛省で記者会見し、「痛恨の極み。このような事案が再び発生しないように万全を期していきたい」と述べた。
[時事通信社]
〈不適切交際で懲戒処分〉重婚・皇宮警察幹部が“第三の女性”に土下座して発した「驚きの言葉」
皇宮警察は2月19日、京都護衛署長の柴山成一郎警視正(59)を減給6か月の懲戒処分とした。柴山警視正は同日付で依願退職。処分理由は、柴山警視正が結婚しているにもかかわらず、2人の女性と不適切な交際を行ったほか、このうち1人を赤坂御用地に必要な手続きを取らず出入りさせていたというものだった。
この問題をスクープし、“第三の女性”の存在を報じた「週刊文春」2月18日号の記事を全文公開する。なお、日付、年齢、肩書は掲載時のまま。
◆ ◆ ◆
「謝らないといけないことがあるんだ」
玄関先で土下座をすると、スーツ姿の中年男性は、涙ながらにこう懺悔を始めた。先週「週刊文春」で“重婚”トラブルを報じた皇宮警察幹部の柴山成一郎氏(59)だ。ただ土下座のお相手は、重婚トラブルの女性とはまた別だというから、何がどうなっているのやら……。
◆ ◆ ◆
1985年に皇宮警察に入り、警備二課長などを経て昨年4月に京都護衛署長に就任した柴山氏。京都に赴任する直前に熟年再婚を果たし、新婚生活の真っ只中にいた。だが、柴山氏には秘密があった。それが先週報じた「事実婚状態の女性」A子さんだ。A子さんが転職先に提出する書類には身元保証人として柴山氏自ら「内縁」と書き、柴山氏が会議などで帰京するたびに彼が都内に持つマンションに一緒に泊まる。東京と京都で「二人の妻」と二重生活をしてきたのだ。
柴山氏は赤坂護衛署副署長を務めていた17年2月には、A子さんと赤坂御用地でデート。散歩を楽しみ、ジョギング中の天皇(当時の皇太子)に遭遇するハプニングもあった。
御用地デートの翌月、柴山氏は身内の不祥事に目を光らせる監察課長に昇進。同年末には京都護衛署の皇宮警部補が盗撮目的で護衛署の女性更衣室に侵入し、建造物侵入罪等で書類送検された。停職1カ月の処分が出たが、同警部補は依願退職。監察課長時代、厳しい姿勢から「カミソリ」と言われていた柴山氏は周囲に、「たとえ処分は軽くても、その後冷遇されるだけだから、去ってもらうんだ」と厳しい一面を見せ、「私が処分した人数にかけて、“柴山イレブン”なんて言われているんだ」と嘯いていた。それが今や自分が監察に聴取を受ける立場となってしまったのだ。
皇宮警察関係者が呆れる。
「まさかあんなに女好きだとは知りませんでした。秒単位で定刻通りに行動する生真面目な人だったので意外です。特に赤坂御用地の内部にまで女性を招き入れていたことは相当問題視されています。目下、監察で連日聴取が行われているのですが、その中でA子さん以外にも別の女性がいたことが露見したのです」
外資系企業で働くB子さんとも結婚前提の交際
そのお相手は外資系企業で働くB子さん。柴山氏は彼女とも結婚前提の交際をしていた。友人が語る。
「夫と死別したB子は再婚を考え、18年に婚活アプリで柴山さんと知り合いました。柴山さんは当時56歳で、相手の女性の条件を44歳からと設定して相手を探していた。2人は出会って半年ほど経った19年春頃から深い関係になり、友人夫婦を交えて4人で食事するなど仲が良かった。横浜や小樽にも泊まりがけで旅行に行き、結婚前提で付き合っているものと思っていました。でも柴山さんは昨春、京都に転勤。東京で仕事を持つB子に、『京都には1人で行くよ』と伝えて遠距離になった。柴山さんは月に1回ほど会議のために帰京し、その度にB子の自宅に泊まるなど、関係は続いていた」
金曜はB子さん、土曜はA子さんと夜を過ごし…
何と本妻、A子さん、B子さんとの「三重生活」を送っていたのだ。それを証明するのは、例えば昨年10月15日に柴山氏がA子さんに送ったLINEである。
〈来週ですが、まだ会議があるか最終決定が出てません(苦笑)。あった場合は、金曜の夜に先輩らと飲む予定ですので、土曜日の午後に来て(東京の自宅に)泊まれますか?〉
これを読んでB子さんは仰天したという。
「翌週の『金曜の夜』って10月23日ですよね。柴山さんはその日、B子の家に泊まりに来ていましたよ。柴山さんは還暦手前でも夜が強くて、一晩に3度も求められたといっていました。だから、まさか他に女性がいるなんて思ってもみなかった、と」(前出・友人)
1回の東京出張で、金曜はB子さん、土曜はA子さんと夜を過ごしていたのだ。
現金が入った封筒を差し出し「監察には言わないでくれ」
「B子も、柴山さんに皇居の中を案内してもらったと言っていました。皇居で雅楽の演奏会があるのですが、それに誘われた、と。何度か職場に遊びに行き、皇宮警察の白バイやサイドカーにも跨がらせてもらっていた。先週の記事を読んで、柴山さんはデートに皇居や御用地を使うのが定番なのかと驚いていました」(同前)
柴山氏は「週刊文春」の取材を受け、すぐさまA子さんに「事実関係を否定して」と口止め工作をしたが、同じことをB子さんにもしていた。「週刊文春」発売直前の2月2日、柴山氏が突然、B子さんに「直に会って説明がしたい」とLINEを送ってきた。そしてB子さん宅を訪れたのが冒頭の場面だ。
「ドアを開けるなり、土下座。お酒の匂いをプンプンさせ、酩酊状態だったとか。A子という女性の件で文春から取材を受け、監察から聴取されていると言い始めたそうです。『進退伺いを出したが受け取ってもらえなかった』と。突然の話にB子が困惑していると、今度は『これまでズルズル関係を続けてきてすまなかった。京都には1人で行くといったけど実は……』というので、B子が『結婚したの?』と聞くと認めたそうです。B子はそこで初めて、恋人が知らぬ間に結婚していたのを知ったんです」(同前)
さらに柴山氏はB子さんに、現金が入った封筒を差し出し「監察には言わないでくれ」と懇願したという。
「厚さからして100万円はありそうな雰囲気でしたが、B子は突き返したと言っていました。ショックを受けるB子に、柴山さんは『これからもLINEでは繋がっていたい』と勝手なことを言ってきたので呆れていました」(同前)
その場では、A子さんは昔の彼女で、今は何の関係もないと説明した柴山氏。だが2日後にB子さんが「週刊文春」を読むと、実際は三股だったと分かった。
「柴山氏は『皇宮警察は品位を汚すようなことをしてはいけない』と言っていたような人なので二重にショックを受けています」(同前)
柴山氏に事実関係を確認しようと連絡したが返事なし。一方、B子さんの携帯にかけると、「柴山さんから慰謝料を渡されそうになりましたが、お断りしました」と憔悴した様子で言葉少なに語るのみだった。
皇宮警察本部に聞くと、「現在調査中であり、お答えは差し控えます」
かつてはパンチパーマで、何事にも動じない様子から秋篠宮から「大仏」と呼ばれていた柴山氏。今回ばかりは動揺を隠せなかった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年2月18日号)