遊園地内で転落死、命綱つけ忘れたアルバイトら書類送検へ

栃木県那須町の遊園地「那須ハイランドパーク」で2019年8月、遊具の利用者が転落死した事故で、利用客の落下事故を防ぐ注意義務を怠ったとして、県警は近く、遊具担当だった当時のアルバイト従業員(20)と、現場責任者だった40歳代の元社員を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。
事故は19年8月5日正午前、屋内施設「ノボランマ」内で発生。高さ約5メートルの踏切台から空中につるされたサンドバッグに飛び移る遊具「リープ・オブ・フェイス」を、神奈川県の男性(当時51歳)が利用していた際、転落して死亡した。
運営会社「藤和那須リゾート」が設置した安全委員会が事故から4か月後に公表した調査報告書は、アルバイト従業員が命綱をつけ忘れたことが事故の直接の原因とした。
捜査関係者によると、現場責任者は、アルバイト従業員が事故の9日前に働き始めたばかりで、アトラクションの知識が不足していたにもかかわらず、遊具の運営を1人で任せていたという。

日立製作所の幹部、女子高校生に下半身露出「10点満点で何点か評価して」

神奈川県警横須賀署は28日、東京都稲城市、日立製作所の企画本部長の男(52)を公然わいせつ容疑で逮捕した。
発表によると、男は昨年11月23日夜、横須賀市本町の京急線汐入駅近くで市内の女子高校生に「アンケートに協力して」と声をかけ、3000円を渡して駐車場に連れ込み、自らの下半身を露出した疑い。「10点満点で何点か評価してほしい」と話していたという。
女子高校生からの110番を受け、同署が防犯カメラの映像などから捜査していた。調べに対し、男は「酔っていて覚えていない」と供述している。
日立製作所広報部は「社員が逮捕されたことは大変残念。今後確認を進め、事実であれば厳正に処分を行う」とコメントした。

コロナを「怖がる人」は「全く怖がらない人」にどう対処しているか

一丸となってコロナと戦っていたはずが、いつの間にか人と人とがいがみ合っている。コロナを「とても怖がる人」と「全く怖がらない人」の対立は、それほど深刻である。さらに多くの中間派からすると、そのどちらもが“ちょっと付き合いに困る”というのが本音だろう。いったい彼らとどう折り合いをつければいいのか。そのヒントを探った。 「怖がる派」と「怖がらない派」の分断が止まらない。その象徴がマスクである。公共の場で“ノーマスク”を貫く人たちがたびたび問題になる一方、反対に「不織布マスク以外のマスクをしていると注意する」という“不織布マスク警察”も現われ、双方ともより過激になっている。 現実に職場、友人同士、家庭などで、「なぜこんなに無頓着なのか」、あるいは「なぜここまで過剰に反応するのか」と戸惑ったことは誰しもあるはず。 感染症対策に気をつけている人からすると、無頓着な人とは関係を閉ざしてしまえば楽だが、現実にはそうもいかない。「夫婦は気をつけているが、息子は毎晩飲み歩いている」(50代、金融業)と、家族でも意識の差があるのは珍しくなく、全く怖がらない人とも関係を持たなければならない。逆もまたしかりである。「仕事で出かけているだけなのに、妻から『むやみに外出しないで』と叱られる」(40代、製造業)という人もいる。 自分と考え方が異なる人々と、どう接していけばいいのだろう。 メディアで慎重な行動をするようにと注意を呼びかけている「怖がる派」の識者たちは、実生活で対立派に出会ったとき、どう折り合いを付けているのか、聞いてみた。 角の立たない伝え方 経済ジャーナリストの町田徹氏は、「『勝負の3週間』は明らかに敗北した…後手後手すぎる菅総理の『コロナ対策』」(現代ビジネス)といった記事を執筆、政府のコロナ対応について警鐘を鳴らしてきた。町田氏には、「怖がらない人」に接したときのルールがあるという。 「日常から妻と別のテーブルで食事をするくらい気をつけていますし、私生活や仕事でも、その部屋に何人滞在できるかということには気をつけています。なかでも“3密”になりがちな喫煙室は人数制限が課されていますが、超過することを気にしないで入って来る人もいる。そういう場合には、ニコッと笑いかけて『人数制限がありますよ』と伝えたりしています。キツイ言い方にならないように注意しています」 ウイルスという目に見えない恐怖を恐れるあまり感情的になりがちだが、礼節を守って伝えるべきとのことだ。
一丸となってコロナと戦っていたはずが、いつの間にか人と人とがいがみ合っている。コロナを「とても怖がる人」と「全く怖がらない人」の対立は、それほど深刻である。さらに多くの中間派からすると、そのどちらもが“ちょっと付き合いに困る”というのが本音だろう。いったい彼らとどう折り合いをつければいいのか。そのヒントを探った。
「怖がる派」と「怖がらない派」の分断が止まらない。その象徴がマスクである。公共の場で“ノーマスク”を貫く人たちがたびたび問題になる一方、反対に「不織布マスク以外のマスクをしていると注意する」という“不織布マスク警察”も現われ、双方ともより過激になっている。
現実に職場、友人同士、家庭などで、「なぜこんなに無頓着なのか」、あるいは「なぜここまで過剰に反応するのか」と戸惑ったことは誰しもあるはず。
感染症対策に気をつけている人からすると、無頓着な人とは関係を閉ざしてしまえば楽だが、現実にはそうもいかない。「夫婦は気をつけているが、息子は毎晩飲み歩いている」(50代、金融業)と、家族でも意識の差があるのは珍しくなく、全く怖がらない人とも関係を持たなければならない。逆もまたしかりである。「仕事で出かけているだけなのに、妻から『むやみに外出しないで』と叱られる」(40代、製造業)という人もいる。
自分と考え方が異なる人々と、どう接していけばいいのだろう。
メディアで慎重な行動をするようにと注意を呼びかけている「怖がる派」の識者たちは、実生活で対立派に出会ったとき、どう折り合いを付けているのか、聞いてみた。
角の立たない伝え方
経済ジャーナリストの町田徹氏は、「『勝負の3週間』は明らかに敗北した…後手後手すぎる菅総理の『コロナ対策』」(現代ビジネス)といった記事を執筆、政府のコロナ対応について警鐘を鳴らしてきた。町田氏には、「怖がらない人」に接したときのルールがあるという。
「日常から妻と別のテーブルで食事をするくらい気をつけていますし、私生活や仕事でも、その部屋に何人滞在できるかということには気をつけています。なかでも“3密”になりがちな喫煙室は人数制限が課されていますが、超過することを気にしないで入って来る人もいる。そういう場合には、ニコッと笑いかけて『人数制限がありますよ』と伝えたりしています。キツイ言い方にならないように注意しています」
ウイルスという目に見えない恐怖を恐れるあまり感情的になりがちだが、礼節を守って伝えるべきとのことだ。

期待裏切り続ける菅首相 岸博幸氏が「今でも適任」と考える理由

就任当初は高い支持率を誇っていた菅義偉・首相。多くの識者からも手腕を期待されていた。しかし、コロナ対応に失敗して指導力不足が露呈すると、支持率は急降下。この現状を、菅氏の能力を高く評価していた識者はどう見るのか。
〈日本経済を立て直すための政治力、実績、精神力を持った人物は菅さんしかいない〉
国際政治アナリスト・渡瀬裕哉氏は、自身のコラムで高く評価していた。現状をどうみるのか。
「菅政治にはダメな部分と、上手くいっている部分の両極がある。ダメなのはコロナ対応。緊急事態宣言や営業時間短縮により国民の自由を制限するなら補償金を払うのが政治の大原則。一般の方には給付金を配るべきです。消費税減税でもいい。それをやらないから支持率がこんなに下がった」
大規模な補償などには財務省が抵抗する。渡瀬氏は、菅首相の就任時に〈財務省に安易に屈しないネットワークがある〉と評していたが、現実にはそうなっていない。
「やはり、政権発足直後に解散総選挙を打てなかったことが大きい。選挙に勝った総理大臣であれば長期政権の見通しが立ち、政治家も官僚もついてくる。今後、遅くとも予算成立後に総選挙をやるべきだ」(渡瀬氏)
では、うまくいっている政策とはなにか。
「就任3か月でデジタル庁という新しい役所を設立する法案をまとめた。地味だが10年以上解決しなかった国と地方の個人情報保護の法令整備も目途をつけた。残念なことにアピール力がないから国民には伝わらない」
メディアで〈次の総理大臣には菅義偉がベスト〉と発信していた慶應義塾大学大学院教授・岸博幸氏は、「今も適任と思っている」とこう語る。
「菅さんが失敗したのはコロナ対応で、その他のデジタル含めた経済改革のほうはまだ大丈夫です。菅さんに限らず、世界中のほとんどの首脳がコロナ対応については後手後手になっている。アフターコロナを考えて、経済構造改革を実行できる人は菅さんです」
コロナ対策が後手に回った原因は、こうみる。
「冬になったらコロナの再感染が広がると菅さんもわかっていたはず。ただ、安倍内閣は官邸官僚と呼ばれた“安倍さん命”みたいな参謀たちが戦略を考え対応したが、菅さんには“菅さん命”で頑張る戦略チームがない。やはり必要ではないか」
最後に、社説で〈自民総裁に菅氏 社会に安心感を取り戻したい〉との見出しを掲げ、コロナ禍中の菅政権誕生を歓迎した読売新聞は、今回の菅首相の施政方針演説を社説でこう評した。
〈感染症の不安を解消するために今、何をなすべきか、という強い問題意識が感じられなかったのは残念である〉(1月19日付東京読売朝刊)
コロナ対応で「鉄壁」が脆く崩れる様子を目の当たりにし、“応援団”であるはずの読売新聞も愛想を尽かしつつある。
※週刊ポスト2021年2月5日号

病床54床すべて埋まった離島、医療体制が逼迫…公共施設を閉鎖

新型コロナウイルスの感染が急拡大している沖縄県の離島・宮古島市で、確保した病床が全て埋まるなど医療体制が

逼迫
( ひっぱく ) している。1日当たりの感染者は26日から30人を超え、28日は最多の35人となった。県は応援の医師や看護師を派遣しており、増員も検討している。
県によると、28日までの1週間の新規感染者は計141人。人口10万人当たりに換算すると258・12人で、都道府県別で最多の東京都(52・34人)の約5倍に達した。市によると、今月1日~25日の感染者で感染経路が判明した47人の分析では、家庭内感染が17人(36%)で最多だった。
県の調査では、28日午前時点で市内に確保されているコロナ病床54床の全てが埋まった。県は増床に向けた調整のほか、軽症者や無症状者をホテルや自宅での療養に回すなどして対応している。県の担当者は「今後は島外へ搬送する可能性も出てくる」と話す。
一方、市は28日から市立小中学校29校と幼稚園12園を休校・休園とした。公園や図書館、公民館などの公共施設も閉鎖している。いずれも2月7日まで。市は不要不急の外出自粛や旅行者の訪問自粛も求めている。
同市では市長選が10日に告示され、17日に投開票が行われた。事務所に出入りしていた1人の感染が確認されており、県は「選挙に関連した人の動きが(感染拡大に)影響した可能性は否定できない」として詳細を調べている。

菅首相、危ういワクチン&五輪頼みの政権運営 五輪中止論が急浮上、3月の聖火リレーが焦点に

新型コロナウイルス阻止のために発令された緊急事態宣言の期限が2月7日に迫る中、東京五輪・パラリンピックの中止・再延期論が内外で巻き起こっている。 菅義偉首相や小池百合子都知事らはそろって開催への強い決意を繰り返すが、国民の間では日を追って悲観論が広がるばかり。迷走してきた菅政権のコロナ対応は依然としてその場しのぎが目立ち、五輪開催への切り札ともなるワクチン接種も五輪開催までに国民全体に行き渡る見通しは立っていない。 すべてが神頼みの状況で、「いまや、コロナに打ち勝った証として五輪を開催するのは絵空事」(閣僚経験者)となりつつある。 ■ターニングポイントは「3月下旬」 菅首相がワクチン担当に抜擢した河野太郎規制改革相も、ワクチン接種のスケジュールをめぐる官邸や厚生労働省との調整で迷走。東京五輪組織委会長の森喜朗元首相も、周辺に「毎日、神に祈る気持ち」と漏らしている。 東京五輪開催の可否を決めるターニングポイントとなるのは3月下旬とみられている。3月25日には東日本大震災の被災地である福島を起点に全国を巡る聖火リレーがスタートするからだ。政府もそれまでに感染者数の大幅減少と高齢者へのワクチン接種を開始することで、「開催の最終決定に持ち込む方針」(官邸周辺)とされていた。 しかし、河野ワクチン担当相は27日、関係省庁などとの調整の結果として、「高齢者へのワクチン接種は最短でも4月1日以降になる」と明言した。一般国民への接種開始はこれよりさらに遅れることになり、五輪開始時には間に合わない可能性が高くなった。 政府としては、全国の感染状況をいわゆる「レベル2」まで抑え込み、夏までに第4波が起こることを阻止するのが基本戦略だった。しかし、多くの感染症専門家は「現状では、夏までに第4波が襲来する可能性が大きい」と口をそろえる。 それを避けるため菅首相はワクチン接種の早期開始に邁進しているが、「ほかにすがるすべのない『ワクチン一本足打法』」(立憲民主幹部)ともみえる。国会論戦で菅首相が「ワクチンを前提としなくても、安全安心な大会を開催できるよう準備を進めている」と語ったのは、五輪参加選手や同行者も含め、広範なワクチン接種のための医療態勢確保に不安があるからだ。 1月26日の衆院予算委員会では立憲民主党の辻元清美副代表が「次は『Go Toオリンピック』になりはしないか」と批判。「Go Toトラベル」を引き合いに出して、五輪開催ありきともみえる菅政権への不信感をあらわにした。

新型コロナウイルス阻止のために発令された緊急事態宣言の期限が2月7日に迫る中、東京五輪・パラリンピックの中止・再延期論が内外で巻き起こっている。
菅義偉首相や小池百合子都知事らはそろって開催への強い決意を繰り返すが、国民の間では日を追って悲観論が広がるばかり。迷走してきた菅政権のコロナ対応は依然としてその場しのぎが目立ち、五輪開催への切り札ともなるワクチン接種も五輪開催までに国民全体に行き渡る見通しは立っていない。
すべてが神頼みの状況で、「いまや、コロナに打ち勝った証として五輪を開催するのは絵空事」(閣僚経験者)となりつつある。
■ターニングポイントは「3月下旬」
菅首相がワクチン担当に抜擢した河野太郎規制改革相も、ワクチン接種のスケジュールをめぐる官邸や厚生労働省との調整で迷走。東京五輪組織委会長の森喜朗元首相も、周辺に「毎日、神に祈る気持ち」と漏らしている。
東京五輪開催の可否を決めるターニングポイントとなるのは3月下旬とみられている。3月25日には東日本大震災の被災地である福島を起点に全国を巡る聖火リレーがスタートするからだ。政府もそれまでに感染者数の大幅減少と高齢者へのワクチン接種を開始することで、「開催の最終決定に持ち込む方針」(官邸周辺)とされていた。
しかし、河野ワクチン担当相は27日、関係省庁などとの調整の結果として、「高齢者へのワクチン接種は最短でも4月1日以降になる」と明言した。一般国民への接種開始はこれよりさらに遅れることになり、五輪開始時には間に合わない可能性が高くなった。
政府としては、全国の感染状況をいわゆる「レベル2」まで抑え込み、夏までに第4波が起こることを阻止するのが基本戦略だった。しかし、多くの感染症専門家は「現状では、夏までに第4波が襲来する可能性が大きい」と口をそろえる。
それを避けるため菅首相はワクチン接種の早期開始に邁進しているが、「ほかにすがるすべのない『ワクチン一本足打法』」(立憲民主幹部)ともみえる。国会論戦で菅首相が「ワクチンを前提としなくても、安全安心な大会を開催できるよう準備を進めている」と語ったのは、五輪参加選手や同行者も含め、広範なワクチン接種のための医療態勢確保に不安があるからだ。
1月26日の衆院予算委員会では立憲民主党の辻元清美副代表が「次は『Go Toオリンピック』になりはしないか」と批判。「Go Toトラベル」を引き合いに出して、五輪開催ありきともみえる菅政権への不信感をあらわにした。

学術会議の会員候補、6名全員の任命求める声明…梶田隆章会長ら

日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を菅首相が拒否した問題で、学術会議は28日、4月に予定される次の総会までに全員の任命を求める声明を出した。
梶田隆章会長ら幹部が、記者会見で発表した。声明では、6人の欠員で「(学術会議の)運営や職務の遂行に支障をきたす事態となっている」とし、政府側の説明や対応が不十分だと指摘。次の総会は学術会議の組織のあり方を議論する重要な場になるとして、それまでに任命拒否を撤回するよう求めた。学術会議は、声明を井上科学技術相に提出する方針だ。

トイレで出産した女子高校生、はさみで何度も首を切りつけか…男児が死亡

出産直後の新生児をトイレで殺害したとして、栃木県警は28日、県内在住の女子高校生(17)を殺人の疑いで逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。
発表によると、女子高校生は昨年12月18日午後、県南部のショッピングモールの女子トイレの個室内で男児を出産後、はさみで首を切りつけて殺害した疑い。男児の傷は長さ約5センチにわたっており、死因は失血死。捜査関係者によると、傷の深さが


( けい ) 動脈まで達していたことなどから、はさみで何度も切りつけたとみられる。
女子高校生はこの日、学校帰りに友人とモールに遊びに来ていて産気づいたという。トイレに約2時間閉じこもっていたため、友人が施設の関係者を通して119番した。発見時、女子高校生は産後の出血性ショックでトイレの個室内に倒れ込んでおり、床は血まみれだったという。男児は病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。

「私はおもちゃ」河井案里氏有罪……長い判決文にあった“気になる一文”

「被告人を懲役1年4月に処する。この裁判確定の日から5年間、その刑の執行を猶予する」
1月21日、公選法違反(買収)罪に問われた河井案里参院議員(47)に有罪判決が言い渡された。
1カ月ぶりに法廷に現れた案里氏は前回より髪を短くしていたが、毛髪は痩せ、完璧主義の彼女らしからぬハネも寝癖みたいに目立ち、顔や体はむくんでいた。黒のパンツスーツに紫色のシャツを合わせ、左胸には紺の議員バッジが光る。
裁判長の正面に立つこと約2分間。背筋を伸ばして手を前に組み、主文を聞き終えると一礼する。その後は椅子に座り、広島県議4人に対する計160万円の現金供与を「買収」と認める裁判長の朗読が続くと、不満そうに首を左に傾げた。次第に両耳が赤らむ。自分の無罪の訴えが次々に否定されると、何度も片手を目元にやり、すすり泣きのような音が止まらなくなった。
逮捕直前の昨年6月、筆者の取材に鬱病や精神科への入院歴を明かしていた彼女は、「医師のサポート」を条件に10月27日に保釈。だが、その後も一切記者会見を開くことはなかった。
判決の日も発言の場は設けられなかったが、私に「裁判で勝てますよ」と断言した頃の勝気さは消えていた。
「克行氏は夫か、元夫か」
長い判決文の中に、気になる一文があった。「克行は(略)、本件当時は被告人の配偶者であった」。『週刊文春』は昨年末、「河井案里が克行元法相に離婚調停を申し立てた!?」という見出しで夫婦の危機を報じたが、やはり離婚したのか――。
閉廷後、記者団から「克行氏は夫か、元夫か」と問われた弁護人は「私は別れたとは聞いていない」と否定も肯定もしなかった。
私の手元には2001年4月20日に広島市内のホテルで開かれた結婚式の写真がある。新郎は克行氏、新婦は27歳の案里氏。司会は新郎の盟友、吉川貴盛元農相だ。その吉川氏も河井夫妻の事件で家宅捜索された鶏卵業者の内部資料から闇献金が露見し議員辞職、収賄罪で起訴された。
すでに永田町の関心事は、案里氏が議員辞職する時期に移っている。3月15日までに辞めれば、4月の補選は2つから3つに増える。自民党にとって、支持基盤が固い広島での補選は唯一、勝算が見込める。世耕弘成参院幹事長が判決後の会見で「保釈されているのに全く登院していない」と批判するなど、党内で辞職論が強まるのは、補選で一つでも勝ち、衆院選に向けて弾みをつけたいからだ。
案里氏は〈私は権力闘争のおもちゃ〉と、筆者へのメールに書いてきたことがあるが、その心境は今も変わっていないのかもしれない。
(常井 健一/週刊文春 2021年2月4日号)

『児童養護施設』を出たら生きていけない! 親族に頼れず貧困・孤立化する若者たち

内定取り消しや採用控え、アルバイトの減収など、新型コロナウイルスが若者の行く手に暗い影を落としている。そんな状況にあっても、実家に頼ることができずにいるのが、虐待や親の精神疾患、経済的理由など、さまざまな事情で保護者のもとで暮らせなくなり、社会的養護下にいた子どもたちだ。
令和2年発表の「厚生労働省子ども家庭局」によると、現在、国内にいる社会的養護下にいる子どもは4万5683人。主に児童養護施設や里親、ファミリーホームなどに振り分けられる。
そのうち6割は児童養護施設で暮らしており、原則的には18歳で退所しなければならない。実は児童養護施設で暮らす子どもたちの9割以上に親がいるという。だが、安心して頼れる状態ではないケースが多いのが現実だ。退所後、頼れる親や大人のいない中で、衣食住、就職、進学、すべてのことに対応しなくてはならない。そんな状態でこの状況をサバイブしていくのは、困難の連続だろう。孤立が続けば、最悪の場合、犯罪被害にあったり、ホームレス化につながる可能性もある。
その一方で、児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもたちの自立支援を行っている団体がある。認定NPO法人ブリッジフォースマイル、通称B4Sだ。ここでは、子どもたちをサポートするための各種プログラムを用意している。社会と子どもの橋渡しとなり、子どもたちの理解者を増やすためのセミナーも行うなど、さまざまな形での支援を行っている。
目玉プログラムの「巣立ちプロジェクト」は、施設退所を控えた18歳の高校生を対象に、ひとり暮らしに必要な知識とスキルを学ぶ場を提供。
’04年の創立の翌年、7人の高校生を迎えて行われたセミナーも、今では東京、千葉、埼玉、神奈川および2019年に九州北部豪雨の被災地となった佐賀、熊本に広がり、2020年度の参加人数は260人以上に及んだという。
2020年12月、東京都内で行われた巣立ちセミナーを見学した。この日の内容は家計について。住民税など各種税金や衣食住、ケガや冠婚葬祭といった臨時の出費など14項目をゲーム感覚で学んでいく。かなり踏み込んだ内容だが、子ども1人に対してボランティアが1人ついており、個々の理解が進むようサポート体制も充実。和気あいあいとセミナーは進行し、あっという間に時間は過ぎていった。
B4Sでボランティア活動を始めて3年目に入った大貫美恵子さん(57)は、参加のきっかけを次のように語る。
「5、6年前、子どもの貧困が大々的にニュースで取り上げられたことがあって。そのとき、こんなにモノがあふれている日本で、7人に1人は貧困という事実に衝撃を受けたんです。何らかの支援ができたらと調べるうち、いくつかの団体とともにB4Sの存在を知りました。子ども関係のボランティアにもいろいろあって、例えば虐待を受けた子どもたちに関しては専門的な知識が必要です。そこで、そちらは寄付という形を取りました。B4Sもハードルが低いわけではないのですが、ボランティアのための研修制度が整っていたので、私でもお手伝いできるかな? と思ったんです」
初めは複雑な家庭環境の子どもに何と声をかけ、どのように接したらいいのか戸惑いがあったと大貫さん。
「だけどそれは、こちらの勝手なイメージ。言い方はよくないかもしれませんが、みんな明るい普通の子どもたちで、抱えている事情も千差万別。思い込みはすぐに払拭されました」
では、サポートを受ける側はこの機会をどのようにとらえているのだろう。中学生のときに養護施設に入り2年前に巣立ちプロジェクトを利用。現在は大学で経済を専攻している千さん(仮名・20)にも話を聞いた。
「社会保険など『これはどうするんだっけ?』というときに、巣立ちプロジェクトで学んだことや、そのときいただいたハンドブックが役に立っています」
とはいえ、先々に不安がないわけではない。学費と生活費をアルバイトで賄っている千さんだが、掛け持ちしていたアルバイト先のひとつが新型コロナウイルスの影響でなくなってしまったのだ。オンライン授業が増えたことでできた時間を利用してインターンに出たいが、いつ対面授業に切り替わるか見通しが立たない以上、長期の仕事が前提の仕事を続けられるかどうかと二の足を踏んでいる。
お金の不安はもちろん、冠婚葬祭のマナーや頭痛がひどいときは何科に行けばよいのかまで、社会に出れば大小の疑問の連続だ。その多くに答えてくれる大人が近くにいない場合、退所者はすべてを自分で抱え込むことになる。
そこでB4Sでは、巣立ち後の退所者と自立ナビゲーターと呼ばれるボランティアが2年間ペアを組み、月に1度の面談を行いながら、何かに躓(つまず)いたときに手を差しのべるプログラムも用意している。先の大貫さんも自立ナビゲーターとして活動しているひとり。
「専門の研修を受けた後、高校生が『この人の話を聞きたい』と思ったら申請して、マッチングして初めて成立するシステムになっています。面談といっても堅苦しいものではなく、一緒にごはんを食べに行ったり、子どもたちが行きたい場所に出かけたり。目的はあくまで、『何か困りごとがあった際、相談できる大人がいる』ことを思い出してもらうことですから」
人に相談をもちかけるのは社会生活に必要なスキルだが、不慣れであれば難しい。そこでB4Sでは、中学生向けにもセミナーを行い、団体の認知活動にも力を入れている。
地道な働きかけを重ねたことで近年、「巣立ちプロジェクト」の参加者は右肩上がりだという。子どもたちの口コミも大きく、自立ナビゲーションを利用する退所者も増えている。
「アルバイト先にも仲のいい人はいますが、イチから事情を話さなければならないのはちょっと……という思いもあります。施設の職員さんでは身近すぎるし、同年代の友達では返ってくる答えが想像できてしまう」
最近はコロナ禍のせいなのか、精神的に不安定になった施設出身の同世代が、千さんに泣きながら連絡をしてくることもあるという。
「コロナでなくても、不安を抱えている子は多いと思います。そんなとき、第三者的意見をくれたり、相談できる大人がいるのは、ありがたいなと思います」(千さん)
子どもたちを支えるB4Sだが、新型コロナの影響で、開催時期によってはボランティアが確保しにくいことも。昨年は初めてオンラインセミナーを開催したが、従来どおりの1対1でのサポートが難しく、試行錯誤が続いている。
かつて自身も虐待を経験し、18歳で親元を飛び出した岳野めぐみさん(41)も、ボランティアに携わるひとり。
「一昨年、昨年と巣立った子たちは本当に大変です。業績の悪化で職を失う子もいますし、若者を狙った詐欺も横行しています。SNSなどに日払い可の募集が出ていて、お金も仕事もなければ、つい応募しちゃうじゃないですか。ところが、それが、助成金詐欺やマルチということもあるんです」
B4Sでは法的な問題や金銭問題、国籍絡みの手続きの問題といったトラブルに対応できる専門家とも連携をとっている。網の目から零れ落ちる子どもがいないよう体制を強化してはいるが、課題はあると岳野さんは指摘する。
「自分自身がそうだったのでわかるのですが、つらい経験があったぶん大人に対して萎縮してしまうところがあって。今のスタッフさんは素晴らしい方ばかりですが、子どもたちがもっと気軽に心の内を話せる若いお兄さん、お姉さん的存在の人にも、こういうボランティアに目を向けてもらえたらと思います」
先の千さんには、将来アフリカの難民と一緒にホテルを開きたいという夢がある。
「ホテルの従業員さんのマナーや思いやり、察する能力を見ていると、接客業のなかでいちばん周りを見て行動している方々なんじゃないかなと思うんです。しかも、ホテルであれば多くの雇用を生み出すことができるじゃないですか」
未来を作っていくのは子どもたちだ。その子どもたちが夢に向かって職業を選択し、個々の能力が発揮できるよう、少しずつでも私たちにできることはある。
*B4Sでは、物資、ボランティアなど、さまざまな形での支援を募っている。詳細はHPにて。認定NPO法人ブリッジフォースマイル
《取材・文/山脇麻生》