綾瀬女子高生コンクリ殺人事件、名古屋アベックリンチ殺人事件、木曽川リンチ殺人事件……。1980年代後半から90年代前半には、歳を重ねた状態で不良「デビュー」した、ブレーキの踏み方を知らない人間による、卑劣で残虐な事件が目立った。しかし、その潮流は時代とともに変わり、2000年代以降は暴力の世界とは縁のなさそうな人たちによる事件が目立つようになってきたという。
ここでは、編集者の久田将義氏による著書『 生身の暴力論 』を引用。「人を殺したかった」という不可解な動機の殺人事件が2000年代以降頓に増えた理由を考える。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◇◇◇
「ネットの国」の殺人者たち
ここからは近年の「動機不明な事件」を見てみよう。これらは暴力の究極であるところの殺人であるものの、フェーズが全く異なる。「デビュー」とも関係がない人間が犯した事件だ。
2015年8月、北海道で19歳の少年が「人を殺してみたかった」という動機で同じアパートに住む女性を殺害。
2014年12月に愛知県名古屋市で19歳の女子大生が「人を殺したかった」という理由で女性を殺害している。
2014年7月には長崎県佐世保市で女子高生が同級生を殺害。動機は同じく「殺してみたかった」であった。
それから遡ること14年前の2000年5月1日、愛知県豊川市で「人を殺してみたかった」という理由で、17歳の少年が主婦を殺害した。
2日後、この犯人と同じく17歳の少年が2ch上で「ネオ麦茶」と名乗り犯行を予告して「西鉄バスジャック事件」を起こし、女性を殺害した。2chの隆盛は皮肉にもこの「ネオ麦茶事件」から始まった、という見方をしている人もおり、僕も一部同意するものである。
「人を殺してみたかった」というフレーズは、この時期からたちまちメディア、ネットを通して蔓延する。なぜ、そういった摩訶不思議な動機で人を殺してしまうのかが論議された。
これら動機不明な事件の通底には、1997年に起きた「神戸連続児童殺傷事件」、別名「酒鬼薔薇聖斗事件」が存在する。共通するのは、犠牲者が全員、加害者より力の弱い女性か児童であるということだ。
体力的に弱い者に自分勝手な怒りをぶつけていった。卑劣、卑怯である。卑劣、卑怯な人間にはなりたくない。誰もがそう思うのだが、実際に酒鬼薔薇聖斗のような前例があると、それがエクスキューズにも後押しにもなり犯行に走る。2015年6月に「酒鬼薔薇聖斗」は「元少年A」の名で手記『絶歌』を出版し、物議をかもしたが、同書がさらなるエクスキューズにならないことを祈るばかりだ。
現実社会で行き場のない彼らの安息の地
自分たちの中で小さな「コミュニティ」を勝手に作り、その場所こそが彼にとっての「国」になってしまう。彼らにとって安息の地だ。現実社会では受け入れられていなかった彼らは、もう一つの社会=国を作り出す事によって安心・充実を覚える。その手段がインターネットでありSNSである。
「国」の中ではどのような言葉を吐いても良いし、どのような事を実行しても良い。それが脳内で成立させた幻の国であっても。国民は皆、同じような考えを持つ者たちで構成されている。その国民とは、「人を殺してみたかった」とのたまう人間たちだ。
19歳の女子大生と17歳の「ネオ麦茶」には共通項があり、それは「インターネット」である。ネオ麦茶は2chに、19歳の女子大生はツイッターに書き込みをしている。SNSの発達に関しては僕は歓迎だが、主観として言わせてもらうと小中学生に関しては規制とまではいかないが、パソコン・スマホを取り上げろ、と言いたいくらいである。それが言い過ぎであるならば、ある程度、分別がついた歳で初めて与えて欲しい。あるいは、使用時間で区切るとかでも良い、がやはり、警察がネットの知識をより深め、迅速に対応する事が重要だ。現在の警察行政はネット事情に非常に疎いように感じられる。
配信依存の「ノエル」少年
2015年5月、ハンドル名「ノエル」と名乗る15歳の少年が威力業務妨害容疑で逮捕された。その前に首相官邸の屋上にドローンを落とした事件があったのを記憶されているだろうか。ドローンとは、簡単に説明すればラジコン式のヘリコプターである。そこに小型カメラを搭載し、空から陸上を映す事ができる。海外のジャーナリストなどが紛争地域の撮影などに利用していたケースもある。
「ノエル」少年はまず、長野県善光寺にドローンを飛ばした。それから東京の風物詩、浅草の三社祭で「ドローンを飛ばす」とネット放送で宣言し、浅草近くの公園でドローンを置いて生放送中に逮捕された。川崎市中学生殺人事件の主犯の家から生放送をしたり、以前からかなりの問題児だった。何人かの生放送配信者に聞くと、「いつかこうなるだろうと思っていた」といった答えが返ってきた。
「ノエル」は家庭でも配信依存に陥り、心配していた家族にパソコンを壊されていた。しかしどうしても「ノエル」はネット配信をしたい。けれど15歳の少年にパソコンを買い替える金もなく、「ノエル」が警察沙汰になる配信を面白がる数人の「大人たち」がカンパをしていた。
ネットスラングで、配信者が視聴者からお布施と呼ばれる金を受け取る行為を古事記と呼ぶ。振込口座をツイッター等に晒しておき、そこに視聴者が直に振り込む行為が蔓延している。そして、お金を振り込んだ代わりに過激な放送をしてくれという視聴者からのリクエストに応え、配信者は警察沙汰になるような放送をする。「ノエル」の行為は氷山の一角であり、動画サイトや生放送サイトが発達してきた2009年頃からあった。さすがに「ノエル事件」は見せしめになったであろうから、すぐには同様の事をする輩は出てこないとは思うが、数年後、ほとぼりが冷めたら分からない。ネットの「国民」の声援や援助が、ノエルのような少年を増長させたとも言える。
「国」の英雄は犯罪者
「ネットの国」では、ネットの情報のみが正しく、新聞・テレビ・メジャー週刊誌は「マスゴミ」と呼ばれ、軽蔑される。ただし、メジャーだから反発するのではない。マイナーなメディアを支持するのかと言えばそうではなく、マイナーメディアはより下に見られる。「外の世界」では、マイナーメディアの役割はメジャーメディアの監視もあるのだがそんなものは「国」では不必要だ。従ってこの「国」では「反骨」や「反権力」といった概念は存在しない。「デビュー論」も存在しない。デビューなどした人間を見つけたらただちに「DQN」と記号化される。
一人一人の「国民」の居住地が離れていても、SNSのおかげで距離の隔たりを感じる事はない。そして不良少年と違い、「地元愛」はさほどない。そこは「国」ではないから。「国」も「地元」もネットである。ここまで書くとお気づきになる方もいるだろう。不良少年の心情と真逆なのだ。
リアルを求める「国」の英雄
「ネットの国」の敵は現実社会だ。「国」から外の世界に向かって飛び出す様は、皮肉な事に彼らが嫌う不良少年が敵対暴走族に向かって喧嘩を売る様相と似ている。
「本当にやったんだ」
実際に行動に移した人間は1部では称賛される。英雄が誕生する瞬間だ。
「リアルでもやろうと思えばできるんだぞ」と。
安易にリアルを求める風潮は、実は安っぽいのにもかかわらず、その薄っぺらい世界に自ら飛び込んでしまっているのである。自分たちが記号化し軽蔑しているDQNと同じステージに上がっているのに気付いているのだろうか。「ネットの国」の中で完結していれば良かったのに。「ネットの国」の住民として存在する選択肢もあったはずなのに。タブーなどなかった「国」なのに。
しかしその「国」の英雄は、外の世界に出た瞬間、犯罪者として扱われる。「国民」が外の世界に出た途端、エイリアンのような扱いを受ける。それが「動機なき殺人」になり、不可思議な事件が起きたと報道されるのだ。
SNSが犯罪につながる危険性
今後、このような「英雄」が外の世界に飛び出して、不可解な事件を起こす可能性は常にあると、僕などは危惧も含めた想定をしている。
ニコニコ生放送、ツイキャス、FC2、アフリカTVなどにおいても、未成年がハマってしまい、毎日数10時間くらいの放送をしている場合がある。それでも現実世界と両立して生活を送れていれば良いが、SNS一色の生活になると例えば、視聴者にウケようとして、非常識極まりない配信をする少年少女が出てくる。例えば家に火を付けたり、軽犯罪を犯して書類送検されるケースも不定期に起こっている。
YouTubeに投稿して再生回数の多さで悦に入っていた、万引き動画やスーパーの菓子に爪楊枝を混入する動画を投稿した19歳の「爪楊枝男」(2015年1月逮捕)が出現。第二、第三の「爪楊枝男」が出てくる可能性は大いにある。彼らこそSNS依存症の典型であり、脳内で作り上げた「ネットの国」の住民だ。
SNSそのものに罪はない
外の世界である人間の僕の意見としては、親の育て方には責任があるが、SNSには罪はない。フグに毒があるように、美味しいものにはもしかしたらリスクが伴うかもしれないといった危惧を、大人がすべきである。
特に前述した、動画サイトの中で、家に火を付けたり、スーパーのスナックに異物を混入しているような「爪楊枝男」は「bk(バカ→baka→bkというネットスラング)」であり、それを煽っている人間も「bk」の一言で済ましたい。ここで「バカ」と素直に言わないのは、彼らが「ネットの国」に住んでいるからで、その土壌での言語に変換するのが流儀であろう。
ただし、自分が「bk」だと自覚している人間もいる。僕の知り合いにもそういう青年がいた。一日中、ネットにハマっていた自分を「kz(クズ→kuzu→kzというネットスラング)」だと自称していたが、その後、就職に成功し無事サラリーマンになった。それでも趣味としてのネット配信は続けており、確かに以前ほど過激な内容ではないが、彼は今が幸せだと語っている。
土下座させた動画をネットに投稿…自らの罪を世界中に晒す「バカッター」が後を絶たない理由とは へ続く
(久田 将義)
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生活保護の「扶養照会」は必要? 「親族に知られたくない」で申請せず、援助につながるケースも稀
「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」。 厚生労働省は2020年12月、HPでこのような呼びかけを始めた。新型コロナウイルスの感染拡大が影を落とし、今後生活困窮者は増えていくとみられている。 そんな中、生活保護の利用にあたって「扶養照会」が大きなハードルとなっている。これは福祉事務所が生活保護を申請した人の親族に対し、援助できるかどうか問い合わせをおこなうもので、「家族に知られるのが嫌」と申請をためらうケースがおきている。 さらに、扶養照会によって実際の援助につながる事例はまれだという。 生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」が調査したところ、扶養照会から実際の扶養に結びついたのは足立区で7件(0.3%)、台東区は5件(0.4%)、荒川区とあきる野市は0件だった(いずれも2019年度)。 代表理事の稲葉剛さんは「少なくとも都心部では扶養照会は形骸化している。申請者が事前に承諾し、明らかに扶養が期待される場合のみに限るべきだ」と訴え、ネットで署名活動をおこなっている。 ●「今の姿を自分の娘に知られたくない」などの声 「つくろい東京ファンド」は2020年12月31日~2021年1月3日、生活困窮者向け相談会の参加者を対象に、アンケート調査をおこなった。165件の回答があり、生活保護利用者が37人(22.4%)、過去の利用者が22人(13.3%)、利用したことがない人が106人(64.2%)だった。 利用したことがない人に「生活保護を利用していない理由」を尋ねたところ、「家族に知られるのが嫌」が34.9%ともっとも多かった。 自由回答では「知られたらつきあいができなくなってしまう」「今の姿を自分の娘に知られたくない」「年取った両親をビックリさせたくない」などの声があった。 稲葉さんは「コロナ禍では若い世代の生活困窮が多くみられますが、もともと関係がよくなく実家を出て、首都圏で一人暮らしをしているケースが多い。そうした中で家族に連絡がいくのを嫌がるケースがみられる」と話す。 一部の福祉事務所では扶養照会が生活保護の申請を諦めさせるという「水際作戦」のツールとして使われているケースもあるという。稲葉さんは「現場的にも意味がないとわかりつつも、やらざるを得ないところがあるのではないか」とみている。 ●扶養義務はどこまで?
「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」。
厚生労働省は2020年12月、HPでこのような呼びかけを始めた。新型コロナウイルスの感染拡大が影を落とし、今後生活困窮者は増えていくとみられている。
そんな中、生活保護の利用にあたって「扶養照会」が大きなハードルとなっている。これは福祉事務所が生活保護を申請した人の親族に対し、援助できるかどうか問い合わせをおこなうもので、「家族に知られるのが嫌」と申請をためらうケースがおきている。
さらに、扶養照会によって実際の援助につながる事例はまれだという。
生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」が調査したところ、扶養照会から実際の扶養に結びついたのは足立区で7件(0.3%)、台東区は5件(0.4%)、荒川区とあきる野市は0件だった(いずれも2019年度)。
代表理事の稲葉剛さんは「少なくとも都心部では扶養照会は形骸化している。申請者が事前に承諾し、明らかに扶養が期待される場合のみに限るべきだ」と訴え、ネットで署名活動をおこなっている。
「つくろい東京ファンド」は2020年12月31日~2021年1月3日、生活困窮者向け相談会の参加者を対象に、アンケート調査をおこなった。165件の回答があり、生活保護利用者が37人(22.4%)、過去の利用者が22人(13.3%)、利用したことがない人が106人(64.2%)だった。
利用したことがない人に「生活保護を利用していない理由」を尋ねたところ、「家族に知られるのが嫌」が34.9%ともっとも多かった。
自由回答では「知られたらつきあいができなくなってしまう」「今の姿を自分の娘に知られたくない」「年取った両親をビックリさせたくない」などの声があった。
稲葉さんは「コロナ禍では若い世代の生活困窮が多くみられますが、もともと関係がよくなく実家を出て、首都圏で一人暮らしをしているケースが多い。そうした中で家族に連絡がいくのを嫌がるケースがみられる」と話す。
一部の福祉事務所では扶養照会が生活保護の申請を諦めさせるという「水際作戦」のツールとして使われているケースもあるという。稲葉さんは「現場的にも意味がないとわかりつつも、やらざるを得ないところがあるのではないか」とみている。
女性の着衣を下着ごとズリ下ろす…ワイセツ犯は国立大の臨床工学技士だった
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、医療体制が逼迫しているさなか、国立大の医療従事者が20歳のアルバイト店員の女性に襲い掛かり、ミニスカートをパンティーごとズリ下ろしていた。
強制わいせつ致傷の疑いで18日、兵庫県警高砂署に逮捕されたのは、神戸大学医学部付属病院の臨床工学技士、岩井謙典容疑者(32)。
昨年12月12日午後10時半ごろ、岩井容疑者は高砂市の住宅地の路上を歩いていた、帰宅中の女性の背後に近づいた。すぐそばには公園があった。人の気配を感じて女性が振り向くと、岩井容疑者は女性の腰付近に手を掛け、タイトなミニスカートとパンティーを一気に膝まで引きずり下ろした。弾みで女性はバランスを崩し、その場で膝から地面に倒れ込んだ。岩井容疑者は尻があらわになった女性に覆いかぶさったが、女性が足をバタつかせ、悲鳴を上げて抵抗したため、一目散に逃走。女性は両膝にケガを負った。
■コロナ禍に飲酒のうえ犯行
岩井容疑者は当日夕方、同県明石市の商業施設で友人と待ち合わせ、酒を飲んでいた。その後、友人と別れ、1人で自宅方面に向かう電車に乗り込んだ。途中、乗り換えをした際、同じ車両にいた被害女性に目をつけ、他にも席が空いているのにわざわざ隣に座った。女性が自宅の最寄り駅で電車を降りると、岩井容疑者は1分ほど遅れて改札を通り、現場まで速足で尾行。その駅は岩井容疑者が普段利用している隣の駅だった。
「臨床工学技士は医師の指示の下、人工透析装置や人工心肺装置、人工呼吸器などの医療機械を操作したり、器具の保守、点検を行う。事件当日は土曜やったが、コロナ禍に医療従事者が酒を飲んで犯行に及んどったわけや。かわいそうなことに女性はショックで電車にも乗りたない、スカートもはきたくない言うとるらしい。そら、こんな怖い思いしたら当然やろ」(捜査事情通)
岩井容疑者には就学前の子供が2人いて、2年前、医療専門学校のインタビューにこう答えていた。
「休日の過ごし方を教えてください? 父親しています! 公園で子供と遊んだり。その他は、勉強会に参加したり、趣味の草野球をしたりしています。なぜ臨床工学技士になったのか? 子供のころから、病院のスタッフってかっこいいなって思いました。白衣マジックです(笑)。病院のにおいにも憧れがありました。医療職の中でも、看護師は女の世界っていうイメージがあったし、診療放射線技師や理学療法士は就職が難しいと高校の先生に言われました。親族に臨床工学技士がいたのも大きく影響しました」
医療従事者にあるまじき行為だ。
出入り業者、掛け軸窃盗容疑で逮捕 栃木の記念館、所蔵品320点なくなる
学校法人宇都宮学園が運営する「上野記念館」(宇都宮市、上野憲示館長)から掛け軸を盗んだとして、宇都宮中央署は25日、同市宝木本町、電気通信工事会社役員、佐久間寛容疑者(52)を窃盗と建造物侵入の両容疑で逮捕した。同署によると、同館では掛け軸以外にも所蔵品約320点(計7700万円相当)がなくなっており関連を調べている。
逮捕容疑は2020年9月18日~10月29日、同市昭和2の同館の所蔵庫に侵入し、掛け軸4幅(時価約74万円相当)を盗んだとしている。容疑を認めているという。同署は佐久間容疑者が転売目的で所蔵品を盗み、美術商に売っていたとみている。
同館は新型コロナウイルスの影響で昨年4月から休館中。同館担当者によると、佐久間容疑者は同館の通信関係の改修工事で6月以降、頻繁に出入りしていたという。11月に所蔵品と同じものがインターネットオークションで落札されていることに気付き、所蔵庫を確認したところなくなっていたため、被害届を出した。盗まれた掛け軸4幅のうち2幅は、同館で買い戻したという。
同館担当者は「長年の付き合いがあり、信頼関係を築いていた相手だっただけに非常に残念だ」と話した。【渡辺佳奈子】
男性公務員の育休16%超 過去最高、政府目標を達成
河野太郎国家公務員制度担当相は26日の記者会見で、2019年度に育児休業を新たに取得した男性の国家公務員の割合が16.4%となり、調査を開始した04年度以降で最高を更新したと発表した。前年度より4.0ポイント増えており「20年までに13%」とした政府目標を達成した。
府省庁別に取得率を比べると、厚生労働省の59.2%がトップ。財務省も43.6%と高かった。目標の13%を下回ったのは防衛省(5.2%)、宮内庁(5.3%)、警察庁(10.0%)など。他の府省庁は10~20%台が多かった。
育休を取得した期間は「1カ月以内」が68.4%で大半を占めた。
「いじめは自殺つながる危険行為」司法が初判断 大津いじめ訴訟賠償確定、父「解決につながって」
いじめは自殺につながる危険な行為-。今や社会が当然のこととして共有する危機感を認める初の司法判断が確定した。2012年の提訴から9年近く、法廷でいじめ根絶を訴え続けた父親(55)は25日、大津市内で会見し、「二度と悲惨ないじめ自殺が起きないことを願う。判決がいじめ問題の解決につながってほしい」と改めて訴えた。
「いじめ自殺をめぐる司法判断にとって大きな転換点。今後の被害者救済に大きく道を開く」。遺族側代理人の石田達也弁護士は判決確定の意義を強調した。この訴訟以前、同種の裁判では、いじめと自殺の因果関係や、加害者側が相手の自殺を予見する可能性が否定され、被害者側が敗訴する例が多かったという。石田弁護士は今回の判決が判例となり、「今後訴訟に臨む被害者側の立証のハードルが下がる」と評価する。 しかし、遺族側にとっては釈然としない面も残る。二審判決は、男子生徒が自ら自殺を選んだなどとして過失を相殺し、加害者側の賠償額をまず計4千万円に減額した上で、市が遺族側に和解金を支払った点などを考慮し、最終的な額を一審判決の約10分の1とした。石田弁護士は「自殺は自分の意思ではなく、追い詰められ選択の余地がなくなり起こる。一般的な考えと司法のずれは問いたかった」と悔しさをにじませた。 このいじめ問題を機に、男子生徒の死から2年後の13年、いじめ防止対策推進法が施行された。しかし、父親は「法施行以降、一度も見直しがされず、その間にも多くの子どもが命を落とし、不登校を余儀なくされている」と、子どもたちを取り巻く現状を憂う。今後も法改正を働き掛け、教員がいじめを深く理解するための仕組みづくりなどを問い続けていくつもりだ。 男子生徒の自殺から9年3カ月が過ぎた。父親ら遺族は、今も元同級生らから直接の謝罪さえ受けていない。「判決を重く受け止め、今からでも遅くはないので罪と向き合い猛省してほしい」と、厳しい表情で語りかけた。 最後に長年の法廷闘争を振り返り、「息子がやり抜いた。天国に行ってもなんとかして変えたかったのだと思う」と声を詰まらせた。そして、「短い人生だったがこんな大きな問題を社会に知らしめ、よくやったねと褒めてやりたい」と涙した。
「緊急事態」政府内に1か月延長論…「解除して状況悪化したら意味ない」
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、政府内で2月7日までの期限の延長論が強まっている。対象区域の新規感染者数の減少は限定的で、外出自粛などの対策を当面続ける必要があると考えられているためだ。延長幅は約1か月との案が浮上している。
政府は宣言解除の判断について、新規感染者数や病床使用率など感染状況の六つの指標が、最も深刻な「ステージ4」から「ステージ3」の水準まで下がることを目安として示している。
例えば、東京都では新規感染者数が1日当たり500人がメドとなる。25日の感染者数は618人だったが、西村経済再生相は同日の衆院予算委員会で「1日500人を下回ったからといって直ちに(宣言を)解除するということではない」と述べ、指標を総合的かつ慎重に判断する考えを強調した。
病床使用率や療養者数などは感染者数に比べて改善するのに時間がかかるとされ、政府内では「解除して再び感染状況が悪化したら意味がない」(内閣官房幹部)との警戒感が根強い。
「血中酸素測定器、使い方分からない」自宅療養の男性がデータ取らずに死亡
相模原市は25日、新型コロナに感染し、市内の自宅で療養していた90歳代の男性が24日に死亡したと発表した。男性は無症状で、神奈川県の基準では「入院相当」には該当しておらず、本人も家族も、自宅での療養を希望していたという。
市によると、男性は、同居の妻の感染が14日に確認されたためPCR検査を受け、20日に陽性と判明。市が県とともに1日2回、本人と電話で連絡を取り、健康観察をしていた。血液中の酸素濃度を測定する機器「パルスオキシメーター」が貸与されていたが、男性は「使い方が分からない」とデータを取っていなかったという。
23日夕に子供から、「息苦しさを訴えている」と連絡があり、市は入院などの対応を検討したものの、すぐに「呼吸が安定し、食欲もある」との追加連絡が入り、静観。24日夕、本人と連絡が取れなかったことから市職員らが自宅を訪ねたところ、男性は意識不明の状態で、救急搬送先で死亡が確認された。
市内の自宅療養者は24日時点で618人。市は高齢の療養者らの見守り体制を強化するため、近く、支援チームを設置する方針だ。
【独自】石川知事、公舎で後援会と懇親会4回…「公私混同」指摘も
石川県の谷本知事が2015年以降、県有施設の知事公舎(金沢市広坂)で自身の後援会との懇親会を計4回開いていたことが分かった。知事公舎は1926年に建てられた三角屋根が特徴の歴史のある洋館で、一般の立ち入りや利用は制限されている。識者は「一般利用されていない県有施設での政治活動は適切ではない。公私混同だ」と指摘している。(仲川高志)
知事の後援会「正委会」の15~19年の政治資金収支報告書や同会事務局の説明によると、懇親会が開かれたのは2015年11月14日、16年10月30日、18年10月13日、19年10月26日の計4回。15年11月は「公舎園遊会」、ほかの3回は「公舎交流会」の名称で開かれており、知事夫妻と会員、その同伴者が公舎内や庭で、豚汁や焼きそばなどを食べながら懇談した。
同会事務局の記録では、18年は77人、19年は84人が参加。参加費は、会員が月1万円の後援会費を支払っているため無料で、同伴者は2000円だった。知事夫妻は支払っていないという。
知事公舎は、延べ床面積が606平方メートルの木造2階建ての洋館で、和室7部屋、洋室7部屋があり、歴代知事が居住してきた。県によると、谷本知事は16年5月から近くの私邸に生活の拠点を移し、知事公舎では寝泊まりしていないが、災害発生時の対応や来客応接、県職員との打ち合わせなどに利用している。
県議会での県の答弁によると、19年4月~20年2月の利用件数は正月の加賀万歳、加賀
鳶
( とび ) の披露や来客を除き20件で、18年度は光熱費や水道代、警備員の人件費などの維持・管理費が約2670万円かかっている。歴史的な建造物でもあり、県民からは一般公開やイベントスペースとしての活用を求める声もあるが、県は一般の利用や立ち入りを制限している。
災害発生時の対応や来客応接、県職員との打ち合わせは知事の公務に当たるが、後援会活動は一般的に政治活動と見なされるため、県民から「知事公舎の私物化だ」との批判が出る可能性がある。
正委会の安田舜一郎代表幹事は取材に対し、「知事の県政報告を聞いたり、夫妻と親睦を図ったりする目的で開催した。特別扱いといった指摘は当たらない」と説明した。また、谷本知事は「公務か公務でないかの線引きは非常に難しい。県有施設の私物化だとか、公私混同だとかの指摘は当たらない」と述べ、問題はないとの認識を示した。
日本大学法学部の岩井
奉信
( ともあき ) 教授(政治学)は「県民が利用や立ち入りを制限されている県有施設での政治活動は明らかに公私混同で、倫理に反する」と指摘。「運用方法を透明化するため、公舎利用のルールを定めるべきだ。あるいは利用機会が少ないのに経費がかさむのであれば、売却や一般公開なども一つのやり方だ」としている。
大月みやこの“妹”と偽り投資詐欺をした72歳の女、1000万円以上騙し取った姑息な手口
「あれ全部ウソっぱちだったの? まさか捕まっていたなんて……」
週刊女性の取材によって被害を受けていた事実を知った70代の女性・Aさんは、腰を抜かした──。
演歌歌手の大月みやこ(74)の妹を装い知人から現金をだまし取ったとして、世田谷区の無職、梅原幸子容疑者(72)が1月12日に詐欺の疑いで逮捕された。
「2017年から翌年にかけて、容疑者は知人の女性に“姉が所属する歌手協会に資金を預ければ、有利な配当が得られる”とウソの投資話をもちかけ、現金約650万円をだまし取った。本人は容疑を認めている」(テレビ局記者)
大月みやこといえば、10回もの紅白歌合戦出場歴があり、代表曲『白い海峡』で日本レコード大賞も受賞した大物歌手。なぜ被害者はまんまとだまされてしまったのか。
「女性は“身なりがしっかりしていて、飲食代もおごってくれたから信用してしまった”と話している」(前出・記者)
事件を受けて、大月は「一方的に大月みやこの名前を使った事実無根の詐欺行為に、私も大変困惑しております」(一部抜粋)とコメントを発表している。
所属事務所によると、
「大月と今回の容疑者には何の接点もありません。そもそも彼女はひとりっ子で、妹がいるはずはないんですよ」
警察には同様の被害相談が複数寄せられており、現在、余罪も捜査中だという。
そんな中、19日に週刊女性記者が容疑者の自宅マンション周辺を取材していると、冒頭の“新たな被害者”であるAさんの存在が明らかになった。
「梅原さんの事件について取材をしているのですが……」
そう声をかける記者にはじめはキョトンとしていたが、事件内容を伝えると、
「え? 彼女は詐欺師だったの? まんまと引っかかったわけ? 夫には何も言っていない。なんて言おう……」
顔面蒼白、足を震わせながら、状況を語ってくれた。
「梅原さんとは週に2回ほど会って、世話をしてあげていました。彼女は足が悪く、歩くときは手押し車なので、いつも日用品を届けていました」
2人は逮捕前の1月8日にも会っており、次回は12日に会う約束をしていた。しかし、この日は逮捕当日。自宅を訪ねたがすでに不在だった。
Aさんはどんな経緯で詐欺に巻き込まれたのか。
「私は昔、店をやっていて、そこに彼女が来店して出会いました。はじめは大月みやこさんの妹だと言わなかったけれど、店に来ているほかの人から、“彼女は(大月の)妹だ”と聞いていたんです」
容疑者は2年半ほど前に同じ世田谷区内のアパートから現在のマンションに引っ越しており、旧知のAさんは長年世話をしていたという。
「彼女はひとり暮らしで、寂しい人だった。友達は私だけだと思うから、すべて手助けしてきました」
悲しそうな目で話すAさん。
「姉は2人、夫や娘もいたそうです。夫と一緒の写真も見せてくれた。白百合学園の卒業だとか、実家は上野で、幼いころは生活が苦しかったなどと、事細かに聞かされました。今となっては、どこまで本当かわかりませんが……」
そう言って、ため息をつく。
「大月さんの妹だと本人から打ち明けられたのは、最近になってから。よくコンサートに行くと言っていました」
大月みやこは大阪の出身で、ひとりっ子ということは調べればわかりそうなものだが、他人を深く詮索しない性分のAさんは気にしていなかった。
被害内容について聞くと、
「同じように、大月さんの名前を使って投資の話も持ちかけられた。100万円くらいなら、目をつぶりますよ。(被害は)1000万円以上。恐ろしくて金額も言えない……」
卒倒しそうになりながら、声を振り絞った。
ひとり暮らしの高齢者が、なぜこれほど多額の金を必要としたのか疑問だが、別の知人によると、
「何枚もクレジットカードを持っていて、よく高級そうな海鮮食品や健康器具を買っていたみたいですね。移動はいつもタクシーでした」
という証言もあり、浪費癖が身についていたことがうかがえる。
「最近はお金に困っていたようで、お金も貸していた。役所で生活保護の申請も手伝ってあげたのに……」
青ざめた顔で語るAさん。これから夫にすべて打ち明け警察に行くつもりだという。
有名人の名前をかたった詐欺事件。ほかにも事例はあるのか、フラクタル法律事務所の田村勇人弁護士に聞いた。
「課金すればGACKTと直接メールできる、というサービスにだまされた人がいます。さらにお金を出せば実際に会えると言われて振り込んだものの、会えなかった」
今回の事件については、
「大月さんの妹と偽ったのは高齢者だからネットですぐ調べない、狭い範囲のコミュニティーを信じてしまう心理を突いた事例だと思います」
またこのような詐欺事件から被害を防ぐ方法について、ベリーベスト法律事務所の松井剛弁護士が解説する。
「投資目的でお金を預けるなら、事前に契約の書式や配当の仕組みを説明する資料を見せてほしいと伝えるべき。ひとり身の人は標的にされやすいので、支払う金額が多いときは立ち止まって、第三者に相談してください」
今回の事件は知人の高齢者によるもので、いつ誰にだまされるかわからない。普段から警戒が必要だろう。
■時期:2013年7月 内容:前田敦子や松本潤などの芸能人を装い、会員から金をだまし取っていた出会い系サイト運営者が逮捕 被害:約136万円
■時期:2020年10月 内容:GACKTの名をかたったメール詐欺が横行しているとして、本人が注意喚起 被害:「お金を払えば本人に会える」と言って現金を振り込ませる
■時期:2020年10月 内容:人気バンド「DIR EN GREY」のメンバーになりすました男が身内から金をだまし取り逮捕 被害:約5300万円
■時期:2020年11月 内容:「ZOZOTOWN」前澤友作元社長になりすました偽のSNSアカウントが複数確認され、本人が注意喚起 被害:「お金を配る」と言って連絡し個人情報がだまし取られるおそれがあった