「いない方がまし」特別支援学校の女性教員、SNSに障害者差別の投稿

群馬県西部の特別支援学校に勤務する60歳代女性教員がSNS上で障害者を差別する内容の投稿をしていたことが、県教育委員会への取材でわかった。投稿は削除されたが、教員は事実を認めており、県教委が処分を検討している。
県教委によると、教員は昨年10月中旬からSNS上で、「障害者や犯罪者が子供でいたらいない方がまし」「労災にならないように気をつけます。いきなり強くつかんだり殴ったりする障害のある人」などと投稿していた。
投稿について知人から指摘を受けた同僚が学校へ報告。上司らの実名を挙げて校内の取り組みを批判していたことなどから、投稿した教員を特定した。県教委の調査に対し、教員は「個人的な日記のようなもので誰もが読める認識はなかった」と弁明したという。
県教委学校人事課の担当者は「指導する立場としても非常に不適切な行為で、あってはならないことだ」とし、改めて全教員にSNS利用のあり方について注意を呼びかけている。

「ワクチン接種、優先的に受けられる」現金要求する不審電話…関西で初か

兵庫県芦屋市で今月、新型コロナウイルスのワクチン接種やPCR検査が「優先的に受けられる」とかたって、現金を要求する不審電話があったことがわかった。中でもワクチン接種に関する不審電話は、東京や愛知でも確認されているが、関西では初めてとみられ、県警は、特殊詐欺の「アポ電」の多い地域に捜査員を配置し警戒を強める。
県警によると、6日午後2時頃、同市の80歳代女性宅に保健所職員を名乗る男から、「2月からワクチン接種が始まる。高齢者は先に接種できるので、10万円を振り込んでほしい」と電話があった。女性は「家族に相談する」と伝えると電話は切れた。不審に思った女性は芦屋署に通報した。
また、9日には、市内の別の80歳代女性宅に「75歳以上の人は優先的にPCR検査を受けられる。5万円を振り込んで」という電話があったという。いずれも「050」で始まる同じ電話番号を連絡先として伝えており、警察は同一の特殊詐欺グループとみている。
県警生活安全企画課は「詐欺グループは、高齢者らから折り返しの電話を待ち、言葉巧みに現金自動預け払い機(ATM)に誘導して現金を振り込ませている。絶対に電話をしないでほしい」と強調する。
県内では昨年1~11月の特殊詐欺の被害が938件(前年同期比349件増)あり、被害総額は約15億5500万円(6億1730万円増)に上る。県警は昨年12月、「特殊詐欺総合対策本部」を設置し、今月15日からは、アポ電の多発地域に制服姿の捜査員20人を配置。商業施設や駅付近で不審者に声掛けするなど警戒に当たっている。
県警の担当者は、「現時点で、保健所などが個人にワクチン接種を持ちかけることはしていない。コロナ関連の不審な電話があれば家族や警察に相談を」と呼び掛けている。
◆アポ電=アポイントメント(予約)電話の略語。息子や孫などになりすまし、トラブルを理由に、金を無心する「オレオレ詐欺」のほか、警察官や銀行員などを装って電話をかけ、封筒に入れさせたキャッシュカードをすり替える「詐欺盗」など特殊詐欺の手口に使われている。

県人事課職員10人、庁内で「打ち上げ」…異動の業務一段落で飲み食い

岩手県は22日、人事課の職員約10人が県庁内で飲酒を伴う会食を開いていたと明らかにした。達増知事は同日の定例記者会見で「県民に新型コロナウイルスの感染対策を求める中、軽率だった」と指摘し、職員に慎重な行動を求めるとした。
県幹部によると、会食は新年度の人事異動に関する業務が一段落したのを受け、20日午後6時半頃から約1時間、庁内の一室で行われ、課トップの総括課長らが入れ替わりで飲み食いしていた。例年は飲食店で打ち上げを行っているが、今年は飲食店の利用を避け庁内で済ませたという。
同課は新型コロナの感染拡大を受け、県職員に対し多人数での会食や飲み会を避けるよう通知していた。白水伸英・総務部長は知事会見の後、報道陣に「規範を示すべき立場の職員が庁内で飲酒を伴う会食をしたことは不適切だった。おわび申し上げる」と陳謝した。

成人式後に会食、クラスターで18人感染…市長「自粛お願いしたのに残念」

愛知県内では22日、246人の新型コロナウイルス感染が確認された。大府市では成人式後に市内の飲食店を利用した若者が集団感染し、県は、蒲郡市の高齢者施設、名古屋市の職場とともに、新たなクラスター(感染集団)に認定した。
県によると、大府市の成人式クラスターでは複数の若者グループや店員の感染が判明。22日にも新たに3人の感染が分かり、計18人となった。岡村秀人市長は「大人の自覚を持ち、式典後の会食自粛を重ねてお願いしてきたのに残念だ」とするコメントを発表した。
クラスター関連ではこのほか、名古屋市の複数の高齢者施設や職場、蒲郡市の高齢者施設、豊橋市東部環境センターで計7人の感染が新たに明らかになった。
居住地別の内訳は、名古屋市93人、岡崎市27人、豊橋市24人、豊田市12人、安城市9人、小牧、豊川の両市が8人、大府市7人、一宮市6人、春日井市5人、豊明、あま、知立、蒲郡の各市が4人、江南、北名古屋の両市が3人、瀬戸、津島、愛西、東海の各市と岐阜県が2人、日進、清須、弥富、半田、知多、碧南、刈谷、みよし、西尾、新城、扶桑、豊山、大治、東浦、武豊の各市町が1人。

ひきこもり当事者のための居酒屋、コロナで1年間も開けず

新型コロナウイルス感染の影響で、ひきこもりの当事者が酒を飲みながら談笑する滋賀県草津市内の集いの場「ひきこもり居酒屋」が1年近く開けずにいる。本音をさらけ出しやすい緩い雰囲気が人気で、当事者から再開を待ち望む声も寄せられ、店主の男性はコロナ禍でも開ける場を模索している。
■コロナまでは、月1回ひきこもり当事者10人前後が集っていた 集いの場は、草津市で福祉関係の仕事をする歌藤智弥さん(30)が2016年10月、大津市内のすし店だった旧店舗を借りて開始。月1回程度開き、18年4月からは仕事の都合で草津市に移ってからも続けた。
L字形のカウンターに立ち、県内や京都府内のひきこもり当事者10人前後を迎える。手作りのだし巻きやパスタ、焼き魚などを振る舞い、冬にはおでんや鍋を提供。酒類のほか未成年用にソフトドリンクもそろえた。材料費は歌藤さんが自己負担する。
参加者らは、その場だけの関係という気楽さもあって、互いの境遇について打ち明けたり、共通の趣味で意気投合したりするなど飲食しながら会話を楽しむ。歌藤さんは聞き役に徹している。
ただ集いの場は客同士の肩が触れあう「密」な状態で、コロナウイルスの感染防止のため昨年2月以降は「休業」となっている。一方、引きこもりの当事者からは営業日の確認や再開を求める声が寄せられている。
歌藤さんは「感染者を出せば周囲に迷惑がかかる。居酒屋再開が一番だが、どうような展開ができるのか検討していきたい」と話す。 ■「緩さ」が人気 当事者も再開を心待ちに 「ひきこもり居酒屋」に通っていた草津市の辰巳将貴さん(20)は再開を心待ちにする。
中学1年で人間関係の煩わしさや勉強の重圧から学校を休みがちになり、3年の時は年間2日しか登校できなかった。京都の通信制高校に進んだが2年後に中退。その後は家にこもりがちになった。
初めて同居酒屋を訪れたのは2019年10月。「これまで当事者と話したことがなく、新鮮だった」と振り返る。ひきこもるきっかけは千差万別で興味深く、仲間のような連帯感を持った。前向きな気持ちになり、別の集まりなどに参加した。
今もこもりがちになる時はあるという辰巳さんは「お互いに深く干渉し合わない居酒屋の関係性が良かった。再開すれば再び足を運びたい」と話す。

都内の女児、英の変異種感染…「経路不明」静岡県以外で初

厚生労働省は22日、新型コロナウイルスに感染した東京都の10歳未満の女児から、英国で流行する変異種が見つかったと発表した。女児に海外渡航歴はなく、渡航歴がある人との接触も確認されていない。感染経路が不明な変異種の感染者は5人目で、静岡県以外では初めて。
発表によると、女児は、感染が判明した都内の40歳代男性の濃厚接触者。19日に陽性と判明し、症状はないが、入院している。男性も渡航歴はなく、国立感染症研究所が男性の検体も調べている。
都はこれまでに、都内の感染者計1453人の検体を調査したが、ほかに変異種の感染が確認されたケースはないといい、厚労省は「都内で(変異種感染の)面的な広がりがあるとは考えていない」としている。
厚労省はこのほか、英国から入国した都内の30歳代女性1人からも英国の変異種が検出されたと発表した。

関東甲信、夕方から大雪=交通乱れる恐れ―気象庁

気象庁は23日午前、関東甲信では同日夕方から24日にかけ、平野部も含めて大雪になると発表した。前線を伴う低気圧が関東の南海上を東へ進むため。積雪や路面の凍結で交通が乱れる恐れがあり、国土交通省と気象庁は不要不急の外出を控え、やむを得ず車を運転する場合は冬用タイヤやチェーンを早めに装着するよう呼び掛けている。山沿いでは雪崩に注意が必要。
24日午前6時までの24時間予想降雪量は多い所で、関東北部山沿いと埼玉・秩父、東京・多摩、神奈川・箱根、山梨、長野両県が20センチ、関東北部平野部10センチ、関東南部平野部と東京23区5センチ。
その後、25日午前6時までの24時間予想降雪量は多い所で、山梨、長野両県20~40センチ、埼玉・秩父、東京・多摩、神奈川・箱根10~20センチ、関東北部山沿い5~10センチ、関東北部・南部平野部と東京23区1~5センチ。
[時事通信社]

自民・石原伸晃氏がコロナ感染で入院…前日に会合出席、坂本1億総活躍相らと昼食

自民党の石原伸晃・元経済再生相が新型コロナウイルスに感染し、入院した。石原氏の事務所が22日、発表した。感染が確認された国会議員は9人目。
事務所によると、21日午後にPCR検査を受け、22日に陽性と判明した。石原氏に熱やのどの痛みなどの症状はないが、既往症があるために入院したという。石原氏は21日昼、自身が会長を務める石原派の会合に出席。会合は食事提供はなく、1時間弱にわたって開かれて他に所属議員8人が参加した。会合後、石原氏は同派の坂本1億総活躍相と野田毅・元自治相と昼食を共にした。距離を取り、食事の時以外はマスクをしていたという。

中止求める声80%「祭典している場合じゃない」無観客8%「選手のため」…本紙五輪アンケート

東京五輪開催について、スポーツ報知では22日までにホームページなどで意見を求めるアンケートを実施した。IOCと大会組織委では「再延期はしない」との意向を出しており、中止などの選択肢で294人の回答があった。中止が234人(80%)で最多。あとは有観客が35人(12%)、無観客が25人(8%)だった。
また有観客と答えた人に対し、各会場でどのぐらいの収容が妥当と考えるか尋ねたところ、50%収容が80%、100%収容=20%だった。
【中止への意見】
「選手には申し訳ありませんが、祭典をしている場合じゃない。人の命と向き合ってください。このままじゃ、応援できる人や支える人がいなくなりますよ」(40代女性)
「感染の拡大を防げるとは思えない。4年後、8年後に開催できるようにIOCと検討すべき」(50代男性)
「これから海外の選手たちから『やれる状況じゃない』との声が上がってくるだろう。やりたくても結局、中止に追い込まれる」(60代男性)
「無観客ではさみしすぎる。有観客は絶対無理。なので中止がベスト。8年後に無条件で開催されるべき」(60代女性)
【有観客への意見】
▼50%収容
「今の状況だけ考えて、あっけなく開催を中止することは簡単にできる。しかし、大きな大会やイベントについては、するしないの議論よりも、どうしたら開催することができるかを国民全員で考えるべき」(20代男性)
「本当は中止がいいだろうけど、つぎ込んだお金が無駄になる。開催することにはリスクもあるけど、開催することを前提にして感染対策を徹底した上で実施する。無観客では盛り上がらない」(60代男性)
▼100%収容
「中止を検討するよりも万全な感染予防対策に集中してほしいです」(50代女性)
【無観客への意見】
「できないではなく、どうしたらできるかを考えるべきではないか。現場のアスリートやサポートをする人の努力は無駄にできない」(20代男性)
「代表を勝ち取った選手の皆さんのために開催してほしい」(50代男性)
「感染拡大防止と今まで頑張ってきたアスリートのために開催する方が良いと思う」(50代女性)

「公明党」と「創価学会」は政教一致? なぜ公明党は創価学会への言及を控えるようになったのか

生まれた直後“あえて”捨て子に…池田大作が公明党を創設するきっかけになった幼少期の悲劇 から続く
かつては犬猿の仲だった自民党と公明党が連立体制をとるようになってはや20年強。一時、旧民主党が政権をとった期間を除き、公明党は自民党と組んで政権運営に携わり続けている。もちろん公明党の支持母体は創価学会だ。こうした関係について「政教分離」の原理に反しているのでは? と疑念を抱いた経験がある方も少なくないだろう。果たして、創価学会はどのように政治に関わっているのだろうか。
ここでは、作家の佐藤優氏が創価学会に迫った著書『 池田大作研究 世界宗教への道を追う 』を引用。創価学会と政治の関係について紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)
◇◇◇
中間団体は民主主義を担保する力
創価学会の特徴の一つは、政治に強い影響力を持っていることだ。創価学会が支持母体となっている公明党は、自民党と連立を組んで与党の立場にある。宗教団体が政治に関与することを日本国憲法で定められた政教分離原則に違反するおそれがあるという批判もあるが、この批判は間違いだ。
政教分離に関係するのは、信教の自由を定めた第20条だ。
〈第二〇条【信教の自由】
1 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない〉
ここでいう政教分離とは、国家が特定の宗教を優遇したり忌避したりしてはいけないという意味だ。これに対して、宗教団体が自らの価値観に基づいて政治活動を行うことは認められている。創価学会や筆者が所属する日本基督教団(日本におけるプロテスタントの最大教派)は、国家機関でもなければ、私的利益を追求する企業でもない。人々が共通の価値観(宗教観)に基づいて結成し、自らの規律を制定した結社(アソシエーション)だ。国家にも私的利益追求集団にも属さない中間団体だ。このような中間団体が、国家権力の圧力、私的利益を追求する集団の暴走を防ぐ力になる。中間団体は、民主主義を担保する重要な力なのである。
政教分離についての国会答弁
現在、公明党は自民党と連立政権を組んでいるが、自公連立政権の中枢においても、憲法の政教分離を正確に理解していない人がいる。この点で、2014年6月24日に安倍晋三首相が伊吹文明衆議院議長に送付した、鈴木貴子衆議院議員の「我が国における政教分離の原則に係る内閣官房参与の発言に関する質問主意書」(同年6月16日提出)への答弁書が重要だ。質問主意書に対する答弁書は閣議決定が必要とされる。従って、日本政府の立場を拘束する。鈴木は、衆議院議員当選3回で、現在、自民党副幹事長をつとめるが、質問主意書を出した時点では新党大地に属していた。当時、鈴木は自公連立政権と対立する側にいたが、創価学会が政教分離原則に違反しているという誤解が社会に広まることが、日本の民主主義に悪影響を与えると考え、この質問主意書を提出したのだ。
政教分離についての誤解を正そうとした質問書
〈本〔引用者注=2014〕年六月十日、訪米先で講演した内閣官房参与の飯島勲氏は、現在安倍晋三内閣が進めている集団的自衛権の政府解釈変更に関連し、宗教と政治との関係について定めた日本国憲法の「政教分離」について、自民党と連立政権を組む公明党と、同党の支持母体である創価学会との関係を指し、「内閣によって法制局の答弁を一気に変えた場合、政教一致ということが出てきてもおかしくない」との発言(以下、「飯島発言」とする。)をしたと報じられている。右を踏まえ、質問する。
一 「飯島発言」を政府として承知し、その内容を把握しているか。
二 「政教分離」並びに「政教一致」の定義如何。
三 我が国における「政教分離」の原則につき説明されたい。
四 現在自民党と連立政権を組み、政府と一体となっている公明党と、その支持母体である創価学会との関係は、三の「政教分離」の原則に照らして適切なものであるか。公明党と創価学会は「政教一致」の関係にあるか。政府の見解如何。
五 飯島氏は内閣官房参与という公の立場にある人物である。その人物が公の場で「飯島発言」を行ったことに対し、政府としてどのような見解を有しているか。
六 飯島氏が「飯島発言」を行うにあたり、政府に対し事前に何らかの説明はなされていたか。
七 「飯島発言」は、政府、つまり安倍晋三内閣総理大臣の見解を反映したものか。
八 現在政府、安倍総理は、政府解釈を変えることにより、集団的自衛権の行使を可能とすることを目指している。集団的自衛権について政府解釈を変えた際、公明党と創価学会の関係についても、「飯島発言」にあるように、「政教分離」ではなく「政教一致」というように解釈が変えられる可能性はあるのか。
右質問する〉
この質問主意書に対する安倍首相の答弁書は以下の通りだ。
政教分離に関する政府の立場
〈一及び五から七までについて
御指摘のような発言があったことは承知しているが、政府において「事前に何らかの説明」を受けた事実はなく、個人としての見解を述べたものと承知しており、当該発言について政府として見解を述べることは差し控えたい。
二から四までについて
お尋ねの「政教一致」の定義については、政府として承知していないが、いわゆる政教分離の原則は、憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするため、国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨であると解され、この原則に基づく規定として同項後段及び同条第三項並びに第八十九条の規定が設けられている。特定の政党と宗教団体との関係について政府としてお答えする立場にないが、一般論として申し上げれば、憲法の定める政教分離の原則は、先に述べたような趣旨を超えて、宗教団体等が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではなく、また、憲法第二十条第一項後段の規定は、宗教団体が国又は地方公共団体から統治的権力の一部を授けられてこれを行使することを禁止している趣旨であって、特定の宗教団体が支援する政党に所属する者が公職に就任して国政を担当するに至ったとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的に別個の存在であり、宗教団体が「政治上の権力」を行使していることにはならないから、同項後段違反の問題は生じないと解してきているところである。
八について
いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題については、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において協議が進められているものと承知しているが、この問題と政教分離の原則とは何ら関係がなく、また、政府として、政教分離の原則に関する憲法解釈について改めて検討を要する問題があるとは考えていない〉
憲法に違反している事実はない
政教分離に関する政府の立場は、〈国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨〉であり、〈宗教団体等が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではな(い)〉というものだ。現在の政府には、創価学会を支持母体とする公明党に所属する創価学会員の大臣、副大臣、政務官がいるが、これに関しても、〈特定の宗教団体が支援する政党に所属する者が公職に就任して国政を担当するに至ったとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的に別個の存在であり、宗教団体が「政治上の権力」を行使していることにはならないから〉、憲法にはまったく違反していないのである。
もっとも自民党の中にも創価学会に忌避反応を持つ人々がいる。そのような土壌を背景にして個人的立場であるとはいえ、「内閣によって法制局の答弁を一気に変えた場合、政教一致ということが出てきてもおかしくない」という飯島参与の発言が出てきたのだ。
熾烈な攻撃で学会員にトラウマ
繰り返しになるが、憲法で定められているのは、政教分離というよりも国家が特定の宗教教団を忌避したり優遇したりすることがないように定めた国教分離なのである。宗教団体が政治に関与するという意味での政教は分離されていないのだ。創価学会以外にも、神社本庁、立正佼成会、真如苑などさまざまな宗教団体が特定の候補者を支援している。内閣法制局の解釈変更で、現在の政教分離に関する解釈を変更することは不可能だというのが筆者の見解だ。
もっとも1969年に政治評論家・藤原弘達の著書『創価学会を斬る』(日新報道)をめぐって生じた「言論問題」以降、創価学会も公明党も政教分離を過剰に意識するようになった。この出来事以降、創価学会の会合で、公明党について言及することがなくなり、公明党の会合でも創価学会や池田大作創価学会第3代会長に直接言及することが自己規制された。創価学会員が公明党の選挙活動を行っているのは事実なのに、それについて言及することを差し控えるようになったのは、言論問題によるマスコミと一部政党の創価学会と公明党に対する攻撃が熾烈であったために、創価学会員に強いトラウマ(心的外傷)ができてしまったからと筆者は見ている。
「行き過ぎた政教分離」を是正しようとする公明党
筆者は、以前より、「行き過ぎた政教分離」を克服することが創価学会と公明党にとって重要な課題であると指摘してきた。特に14年10月に上梓した『a href=”https://www.amazon.co.jp/dp/B00QTIR58W?tag=bunshun_online-22″ target=”_blank”>創価学会と平和主義』(朝日新書)でそのことを具体的に強調した。創価学会にとって平和主義は基本的価値観で絶対に譲ることができない。この価値観を公明党が共有しているということを理解しないと、集団的自衛権に対する公明党の立場が正しく理解できないと考えたからだ。
14年11月に公明党は、行き過ぎた政教分離の是正に静かに取り組み始めた。結党50周年を記念して上梓された党史の序文に山口那津男公明党代表はこう記している。
〈公明党は1964(昭和39)年11月17日に、池田大作創価学会会長(当時)の発意によって結成された。「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」(池田大作公明党創立者)の指針のもとで、大衆福祉の実現をめざして、活発に活動を展開し、2014(平成26)年11月17日、結党50年の佳節を迎えた
(公明党史編纂委員会『大衆とともに――公明党50年の歩み 増訂版』公明党機関紙委員会、2019年、10ページ)〉
この本の冒頭にグラビア写真が収録されている。1ページ目は、推定樹齢200年の秋田杉で、2ページ目が演説する池田の写真だ。そこにはこんなキャプションがつけられている。
〈池田大作公明党創立者(創価学会会長=当時)
1962年(昭和37年)9月13日の公明政治連盟(公政連)第1回全国大会(東京・豊島公会堂)で、創立者である池田会長はあいさつのなかで、公明議員の在り方として、「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」との指針を示された。その池田会長の言葉は、2年後の公明党結党に際し、党の根本指針として党綱領に明記された〉
(佐藤 優)