「経済を回そうとするほど経済が止まる」緊急事態宣言の再発令でみえた真実

◆緊急事態宣言が出ても誰も自粛しないのでは?

新型コロナの新規感染者数や重症者数、入院患者数などが過去最高となり、その増加に歯止めがかからない。そのような状況下で1月7日に緊急事態宣言が発出されたが、自粛をせず、経済を回そうとすればするほど感染が拡大し、結果的に今回の緊急事態宣言となり自粛や我慢を強いられ、経済が回らなくなるのはなんとも皮肉なことである。

経済なんて止まってしまえばいいと考えている人はいないだろう。しかし、不要不急の外出をする人、自粛しない人、コロナは風邪だという人、経済を回そうといった人たちが増えた結果、感染が広がり、また飲食店は時短営業を強いられることになったのだ。医療も崩壊寸前となっている。

「いまさら緊急事態宣言を出したところで、誰も自粛しないのでは?」

そんな声も多い。確かに4月の緊急事態宣言のときより自粛しない人や店は増えるかもしれない。しかし、今封じ込めないと、感染拡大を抑えることはますます難しくなる。感染拡大を放置したまま経済を回すことなど不可能だからだ。

香港在住で、いち早く新型コロナウイルスの危険性を感じ取ってきた作家の藤沢数希氏は、かなり早い段階から「コロナは風邪ではない」と、このような事態を警告してきた。

◆感染拡大を封じ込めた国のほうが経済は好調

「この冬、多くの日本人が一般的な感染対策をしたところ、インフルエンザはほぼ撲滅させることができました。しかし、そんな状況でも新型コロナの感染拡大は止まりません。新型コロナは感染力も致死率もインフルエンザより10~20倍ほど強いことが、データの上からも明らかになったのです。

高齢者や持病がある人だけを“逆隔離”し、重症化・死亡リスクの低い若者は一般的な感染対策をしながら経済を回せばいいというアイデアがよく話題になりますが、例えば老人ホームで働く若い人がウイルスを持ち込むかもしれません。高齢者など重症化・死亡リスクの高い人だけを完全に隔離することなど、現実的には難しいのです。

ちなみに、スウェーデンなど一部の国ではロックダウン(都市封鎖)を避け、経済を回し、集団免疫獲得により感染拡大を防げるとの独自路線をとってきました。トランプ政権も含めて、いわゆる『経済派』とか『ノーガード派』といわれるコロナ対策はすべて失敗に終わりました」(藤沢氏)

感染拡大を放置したままでは医療崩壊が近づき、どっちにしろ経済が止まってしまうのだ。経済を回さないと「コロナ不況になり“経済死”が起きる」との意見もあるが、実は感染拡大を封じ込めた国のほうが経済は好調だという。

「コロナ封じ込めで成功している台湾やニュージーランド、強い封じ込め策を行う中国や韓国など、コロナを抑え込んだ国のほうが経済成長率は高く、経済が回っています。要するに、コロナの蔓延を気にせず経済を回そうという『経済派』『コロナは風邪だ派』の論理は、理論的にも実証的にも、これまでにすべて破綻しているのです。

僕が住んでいる香港も市中感染が出ると強行に封じ込める政策ですが、市民は海外に行けない分、国内で消費するので人気のレストランなんかは予約でいっぱいです」(藤沢氏)

◆緊急事態宣言を出してもダラダラいきそう

では、今後の日本はどうなるのか?

「これまで日本のコロナ対策は、コロナを蔓延させ、財政のバラマキをして将来負担を増加させたのに、経済は回っていない。悪手ばかりをやってきました。感染拡大を放置したまま経済を回すのではなく、日本には美味しい食も素晴らしい観光地もたくさんあるのだから、早くコロナを抑え、日本国内で経済を回せばいいんです。

今回、緊急事態宣言が発出され、いまさら宣言を出したところで誰も自粛しないのではという疑問の声もありますが、そうはいっても日本人は自粛する人が多いのも事実。実際、JR6社の年末年始の利用は68%減だったそうです。自粛しない人もいますが、自ら帰省を自粛していた人がこれだけ多くいたということです。

ただ、少し感染者数が減ってくれば『そろそろ自粛に飽きてきたなあ』と自粛をやめてしまう。結果、4-5月のときのように新型コロナを国内で撲滅させるのは難しいのではないでしょうか。恐らく、そこそこ感染拡大を抑えて、6割程度のそこそこの経済活動をして……と、ワクチンができるまでダラダラ行くことになるでしょう。

また、ワクチンができても様子見をする人は多そうです。ここでもダラダラ時間がかかります。なんとも日本的ですが、そうやって日本は『自由』だけは守られるのでしょう」(藤沢氏)

「自分は大丈夫」「自分が感染しないように気をつければいい」という身勝手な考えの人が増えれば、それだけ感染者も増え、感染が拡大してしまう。誰も経済は止まっていいなんて考えていないのに、経済を回そうとすればするほど、経済は止まってしまう事実に目を向けてもいいのではないだろうか。「急がば回れ」の格言のように、経済を回したいなら、コロナの封じ込めが先だということのようだ。

藤沢数希
作家。ブログ「金融日記」管理人、メルマガ「週刊金融日記」を配信。物理学研究者、外資系証券会社クオンツ・トレーダー職を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか』『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』『反原発の不都合な真実』『外資系金融の終わり』『損する結婚 儲かる離婚』『ぼくは愛を証明しようと思う。』
ツイッター(@kazu_fujisawa)は18万フォロワーを超える。

<取材・文/横山 薫(SPA!編集部)>

【藤沢数希】
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、作家。メルマガ「週刊金融日記」は読者数1万人、ツイッターのフォロワーは18万人を超える。最新刊『損する結婚 儲かる離婚』が発売中

富士急「格安賃料」、山梨県知事が下した決断 自衛隊・北富士演習場への「二重貸与」も判明

山梨県が富士急行に貸している山中湖畔の県有地440ヘクタールの賃料が、専門家に委託して実施された不動産鑑定評価のわずか6分の1にとどまっていた問題が2020年11月に明らかになった。 県は歴代知事や富士急への損害賠償請求などを求めていた住民による訴訟を解決すべく、同年12月に和解案を県議会に提出。適正な賃料や歴代知事と富士急に対する損害賠償請求権の有無について、県庁内に検証委員会を設けて調査する方針を示した。 これに対し、県議会は12月末、「確認すべき事項が多岐にわたり、和解案を受け入れるかどうかの県議会の審議を終結する状況ではない」として継続審査を多数決で可決した。2021年1月中旬に始まる県議会の閉会中審査で議論が再開される予定だが、県が提示した和解案の可決は難航が予想される。 富士急との格安賃料問題をどのようにして解決していくのか、山梨県の長崎幸太郎知事にインタビューした(インタビューは2020年12月26日に行った)。 ■格安での県有地貸し付けは無効 ――県が提示した和解案については2020年12月25日の県議会で閉会中継続審査となり、決着は越年しました。 県議会での審議結果は何よりも重みのあるものとして受け止めている。継続審査という議会の判断を受けて、引き続き和解の実現に努力していきたい。 ――長崎知事が原告の主張を受け入れて賃料見直しの方針を打ち出したことは、大変な驚きを持って受け止められました。 県有地の賃料が格安に設定されているとの疑念は、県内で長年にわたってささやかれてきた。そして、特定の会社に対する格安賃料が政治的に守られた既得権ではないかとの見方も根強い。こうした見方をされることが県政に対する不信感につながってきたことも確かだ。 私自身、立候補した2017年の衆院選でもこうした点を是正すべきだと問題提起した。2019年に県知事に就任して以降も、賃料適正化が必要であるとの立場に変わりはない。 ――富士急は賃料適正化の方針に対して、今までの経緯を無視しており、算定の仕方もおかしいと激しく反発しています。 地方自治法第237条第2項では、地方公共団体の財産を、条例または議会の議決がないまま、適正な対価なくして貸し付けることを禁じている。そして同条の規定に違反すれば貸し付け契約は無効であることが判例によって明らかになっている。県としてはこの規定に基づいて契約を結ばなければならない。

山梨県が富士急行に貸している山中湖畔の県有地440ヘクタールの賃料が、専門家に委託して実施された不動産鑑定評価のわずか6分の1にとどまっていた問題が2020年11月に明らかになった。 県は歴代知事や富士急への損害賠償請求などを求めていた住民による訴訟を解決すべく、同年12月に和解案を県議会に提出。適正な賃料や歴代知事と富士急に対する損害賠償請求権の有無について、県庁内に検証委員会を設けて調査する方針を示した。 これに対し、県議会は12月末、「確認すべき事項が多岐にわたり、和解案を受け入れるかどうかの県議会の審議を終結する状況ではない」として継続審査を多数決で可決した。2021年1月中旬に始まる県議会の閉会中審査で議論が再開される予定だが、県が提示した和解案の可決は難航が予想される。
富士急との格安賃料問題をどのようにして解決していくのか、山梨県の長崎幸太郎知事にインタビューした(インタビューは2020年12月26日に行った)。
■格安での県有地貸し付けは無効
――県が提示した和解案については2020年12月25日の県議会で閉会中継続審査となり、決着は越年しました。
県議会での審議結果は何よりも重みのあるものとして受け止めている。継続審査という議会の判断を受けて、引き続き和解の実現に努力していきたい。
――長崎知事が原告の主張を受け入れて賃料見直しの方針を打ち出したことは、大変な驚きを持って受け止められました。
県有地の賃料が格安に設定されているとの疑念は、県内で長年にわたってささやかれてきた。そして、特定の会社に対する格安賃料が政治的に守られた既得権ではないかとの見方も根強い。こうした見方をされることが県政に対する不信感につながってきたことも確かだ。
私自身、立候補した2017年の衆院選でもこうした点を是正すべきだと問題提起した。2019年に県知事に就任して以降も、賃料適正化が必要であるとの立場に変わりはない。
――富士急は賃料適正化の方針に対して、今までの経緯を無視しており、算定の仕方もおかしいと激しく反発しています。
地方自治法第237条第2項では、地方公共団体の財産を、条例または議会の議決がないまま、適正な対価なくして貸し付けることを禁じている。そして同条の規定に違反すれば貸し付け契約は無効であることが判例によって明らかになっている。県としてはこの規定に基づいて契約を結ばなければならない。

被害者家族の知人ら逮捕、宮城 昨年9月の夫婦死傷、トラブルか

宮城県柴田町の住宅で昨年9月、住人の毛利哲雄さん(74)が殺害され妻(70)も負傷した事件で、県警は8日までに、殺人と殺人未遂の疑いで宮城県山元町の会社員岩見尭明容疑者(27)と愛知県岩倉市の土木作業員森満容疑者(45)を逮捕した。
宮城県警によると、岩見容疑者は毛利さんの40代の長男と以前遊び仲間で、金銭トラブルになっていた。両容疑者は当初面識はなく、会員制交流サイト(SNS)で知り合ったという。事件に至る経緯や動機を調べる。
事件は昨年9月11日夜に発生。毛利さんが自宅で左脇腹付近などを刺されて死亡。妻も左肘に切り傷を負った。

東北新幹線が一時運転見合わせ 盛岡―仙台、架線につらら付着

JR東日本は8日、東北新幹線の架線につららが付着し送電ができなくなったため、盛岡―仙台の上下線で始発から運転を見合わせた。午前10時10分ごろ、運転を再開した。この影響により、盛岡駅で接続する秋田新幹線も東京―秋田の全区間や一部区間の上下線が運休となった他、遅れも出た。
JR東によると、つららが付着したのは岩手県内の水沢江刺―北上間の一部。地上の雪や氷を溶かすスプリンクラーが破損し架線に飛び散った水が凍り、つららになったとみている。
JR北海道によると、北海道新幹線も盛岡―新函館北斗間などで一部列車が運休した。

知事が休業「命令」可能に…特措法原案、違反事業者に過料「50万円以下」

政府が通常国会で成立を目指す新型インフルエンザ対策特別措置法改正案の原案が7日、分かった。緊急事態宣言の発令地域内の事業者が知事の休業要請などに応じない場合、知事が休業を「命令」できるようにする。命令に違反した場合は過料を科す。
現状では、知事が事業者に休業や営業時間短縮の要請や指示はできても、応じない事業者への罰則はない。知事の間からは「強制力がない」と不満が出ており、指示をより強力な命令に改める。過料は「50万円以下」とする案が出ている。
緊急事態宣言の発令前でも、知事が新たに「まん延防止等重点措置」を取れるようにする。事業者に営業時間短縮を要請、命令でき、命令に応じない場合は30万円以下の過料とする。これまで宣言時に限ってきた店名の公表も認める。
要請や命令に応じた事業者には、国や自治体が支援措置を講じることを明記する。国から自治体への財政措置も盛り込む。宣言発令前でも、知事が臨時医療施設を置くことを可能とする。

8日 九州から北海道まで大雪に 北陸はさらに120センチの降雪も

きょう(8日)も日本海側では雪が降り、九州から北海道まで大雪に警戒が必要。特に雪が強まる北陸は、あす(9日)午前6時までの24時間でさらに120センチの降雪が予想されています。
強い冬型と寒気流入

きのう(7日)から急速に発達した低気圧は、北海道の東へ。きょう(8日)日本付近は強い冬型の気圧配置となり、強い寒気が流れ込むでしょう。上空1500メートル付近で、西日本ではー15℃以下と、今シーズン一番強い寒気です。 このあとも日本海側は広く雪が降るでしょう。特に北陸では断続的に雪の降り方が強まり、積雪が急増しそうです。北海道や東北は太平洋側も内陸を中心に雪が降り、大雪になる所があるでしょう。 関東甲信や東海、近畿など、東日本や西日本の山沿いでも、さらに雪が積もりそうです。雪に慣れていない四国や九州などでも雪が降るでしょう。平野部は晴れる所が多いですが、風が冷たく、厳しい寒さになりそうです。

雪や風の予想
【予想降雪量】あす9日午前6時まで(多い所) 北陸 120センチ 中国地方、近畿、東海 70センチ 東北 60センチ 北海道 50センチ 関東甲信 40センチ 四国 30センチ 九州北部、九州南部 20センチ 【風の予想】8日 最大風速(最大瞬間風速) 北海道 23メートル(35メートル) 東北 20メートル(30メートル) すでに大雪になっている所も多く、車の立ち往生など、交通への影響が心配されます。風が強い北日本を中心に、ふぶいて見通しが悪くなることも。外出の必要がある場合は、万全の装備をお願いします。あさって10日(日)頃にかけても雪が降り続くため、大雪による影響が長引くでしょう。

家族を介護する若者「ヤングケアラー」の深刻な実態 毎日、長時間病院に…青春を謳歌できず「大学退学も考えた」

家族の世話や介護をしている若者を「ヤングケアラー」と呼ぶのをご存じだろうか。11月に埼玉県が高校生らを対象とした調査結果を発表し、注目を集めた。ついに国も12月から教育現場を対象とした全国規模の調査を開始、2021年3月末にも結果がまとまる見通しだ。しかし、まだ若者たちが抱える深刻な実態はまだあまり知られていないのが実情。長くヤングケアラーの調査・支援に取り組んでいる大阪歯科大の濱島淑恵・准教授に寄稿してもらった。
▽「ヤングケアラー」とは?
「ヤングケアラー」という言葉がある。最近少しずつ報道でも取り上げられるようになり、知っている人もいるかも知れない。簡単に言うと「家族のケアをしている子ども・若者たち」のことだ。
ただ、日本には正式な定義は存在しておらず、国や自治体、団体によってさまざまだ。一般社団法人・日本ケアラー連盟は「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」としている。
家族の世話や介護などの「ケア」というと大人が担うもので、子どもや若者がケアをしていると聞いても「にわかには信じがたい」と思う人もいるだろう。
筆者らは16年からヤングケアラーの調査を行ってきたが
「家族のケアを担う子どもがそんなにいるはずないだろう?」
「いい加減な数字を示すものではない」
という言葉を各所から浴びせられ、悔しく悲しい思いをしたことが何度となくあった。ただ、それが世間一般の感覚だったのかもしれない。
2020年7月、埼玉県が日本で初めて、行政によるヤングケアラーに関する調査を実施した。県下全高校の全2年生、約5万人を対象とした大規模調査だ。11月に埼玉県が発表した中間報告では、ヤングケアラー(過去にヤングケアラーだった人も含む)の存在割合は4・1%だった。すなわち、高校生の25人に1人、クラスメートの1~2人が家族のケアをしている(していた)ということになる。埼玉県による調査は多くの人に驚きを与える、画期的なものだった。
▽ヤングケアラーは身近な存在
ヤングケアラーは実は身近な存在なのだ。
埼玉県の調査より前に、筆者の研究チームは2回の調査(16年の大阪府立高校10校約5000人の高校生を対象とした調査、2017年の埼玉県立高校11校約4000人を対象とした調査)を実施した。
これらは、日本で最初に子どもたち自身に質問したヤングケアラーに関する調査だが、いずれもヤングケアラーの存在割合は約5%という結果だった。筆者らの調査では高校生の20人に1人が家族のケアをしているということが示されていたのだ。
調査によって設問が若干異なるため、多少数字は上下するものの、筆者らの調査と埼玉県の調査の結果にはそれほど大きな開きはなく、ヤングケアラーが一定の割合で存在していることが判明した。
そして、国は12月に全国調査を実施し、他の地方自治体も実態の把握に向けて動き出している。ようやくヤングケアラーたちの存在が社会的に認知され始めたと言える。
▽誰をケアしているのか?
埼玉県の調査と、筆者らの2つの調査の結果からヤングケアラーたちの詳細をみていきたい。
まずケアの対象(誰のケアをしているか)については、いずれの調査でも「祖父母」(埼玉県調査は曽祖父母も含む)と「母」という回答が多かった。
なお、筆者らの調査では、ケアの対象となっている祖父母は、身体に障がいを抱えていたり、身体機能が低下していたりするケース、身体の病気にかかっているケースが多かった。母親の場合は身体の病気のほか、精神疾患や精神障がい、精神的に不安定な状態にあるというケースが多数を占めた。高齢化社会やメンタルヘルスといった社会問題を背景に、家族のケアを担うヤングケアラーが存在していることが浮き彫りになった。
ケアの内容をみると、全ての調査で「家事」が最多。次に「感情面のサポート」が多く挙げられていた。さらに、ケアの頻度は「毎日」が最も多く約4割、時間は「1時間未満」が平日、休日ともに3割前後を占めた。
逆に4時間以上のケアをしている子も、平日で1割前後、休日では2割以上を占めている。家で勉強する時間や自分のために使う時間を十分に取ることもできず、肉体的・身体的負担の大きいケアを担っている子も相当数いる、ということだ。
▽ヤングケアラー、壮絶な実態
筆者が話を聞いた元ヤングケアラーのAさん(20代)の事例を紹介したい。
Aさんは高校生の時に祖母が認知症になったのをきっかけにケアを始めた。
家族は持病のある祖父、祖母、母、Aさんの4人。仕事とケアで忙しい母親を助けようと、お手伝い感覚でケアを始めたそうだ。また、Aさんはいわゆる「おばあちゃん子」として育った。このため、祖母にケアを必要になった時「何とかしてあげたい」と強く感じたという。
当初、Aさんが担ったケアは家事と祖母の見守りが中心だった。しかし、その見守りも決して楽なものではなかったという。祖母はふと歩き出したり、お風呂に入ろうとしたりすることがあり、そのたびに祖母をなだめなければならなかった。常に緊張しながら祖母の様子に注意を払っていたそうだ。
また、祖母が入院した時は「お見舞い」をした。お見舞いというと大した手間ではないように思えるが、Aさんがしていたお見舞いは、毎日、長時間に及ぶものだった。
そもそもの発端は、祖母が入院をした時だ。祖母に付き添っていたAさんは、祖母の身体拘束の同意を病院関係者に求められた。その時は何のことかよくわからなかったが、「点滴が抜けないようにするため」と説明され、同意した。
その後、お見舞いに行ったAさんは、祖母の姿を見て愕然とした。暴れるわけでも、動きだすわけでもないのに、祖母はずっとベッドに拘束されていた。嫌がる祖母を前に「自分のせいでおばあちゃんはこうなったんだ」という強い自責の念がAさんに襲いかかった。
病院側は、家族がいる時だけ拘束を解いてくれた。このため、責任を感じていたAさんは、時間さえあれば病院へ行き、長時間祖母のそばに付き添うようになったという。
▽自分が「空っぽ」に
長時間のケア生活は当然、Aさんの生活にも影響を及ぼした。大学に進学はしたものの、一部の授業は休まざるを得ず、単位や国家資格の取得をあきらめかけたり、退学を考えたりしたこともあったという。Aさんは「教室の一番後ろに座り、他者を拒むようなオーラを発していたのではないか」と振り返る。友人の誘いはすべて断り、授業が終わるとすぐに帰宅した。
「友達付き合い」はほとんどできず、もちろん部活動で「青春を謳歌すること」などありえなかった。Aさんは様々な思いや悩みを抱えつつも、誰に相談することもなく、ただ一身に「自分が家族を支えなければ」と考えていた。
Aさんのケースはヤングケアラーとしては典型的な事例の一つだ。ただ、精神力、体力を要し、時間にすると1日4時間以上を費やした。
その後、祖母が介護施設に移り、Aさんのケアは終了したが、次は「介護ロス」に直面する。ケアする役割が無くなり、自分が「空っぽ」になってしまったのだ。ほかのヤングケアラーの多くも経験している。
Aさんは健康状態も悪化し、パニック障害も引き起こした。症状は何年も経過した今も現れることがあるそうだ。
ケアをしている期間だけでなく、ケアを終えた後の人生にも影響が残る。なんとか大学は卒業したが、卒業が叶わなければその影響はさらに大きかっただろう。
現在のAさんは持ち前の聡明さと快活さを生かして、自分の人生を力強く歩んでいる。最近では、大阪でヤングケアラーたちが集う団体の運営メンバーとしても活躍している。
▽ヤングケアラーが「存在し続ける」といえる理由
20年9月時点で、日本の65歳以上の人口は3617万人、高齢化率(65歳以上人口の総人口に占める割合)は28・7%だ。いずれも増加が続いており、この傾向はさらに数十年は続くと推計されている。
また、メンタルヘルスの問題も深刻だ。精神疾患で医療機関にかかっている患者数は増加を続け、2014年は392万4000人、2017年には419万3000人にまで増加した。
また、ヤングケアラーはひとり親の世帯に多いことが複数の調査結果で示されており、ひとり親世帯自体が増加し続けている。
以上のような状況を踏まえると、今後もヤングケアラーは増えていく可能性が大きいと筆者は考えている。
ただ「ヤングケアラーを無くさなければならない」わけではないと筆者は考えている。家族をケアすること自体は悪いことではなく、得られることも多いためだ。
しかし、負担が大きすぎ、学校生活や健康面等にまで影響が生じるヤングケアラーたちもいる。そうなると、子どもの人権に関わる問題になってくる。
このような事態を防止し、減らすための方策が必要だ。そしてヤングケアラーたちがケアを担いながら学校へ通い、友達もつくり、健康を保ちながら、自分の人生を歩んでいくためのサポートである。家族介護を前提とした福祉制度の見直しや改善、ひとり親世帯への支援の充実など、さまざまな制度改革が必要となる。膨大な時間がかかるだろう。
▽今、ヤングケアラーたちにできること
写真はイメージ
では、目の前にいるヤングケアラーたちのためにできることは何か。
まずは、多くの人がヤングケアラーの問題を認識することだ。特に学校での理解、配慮は欠かせない。教師の理解が得られなければ、彼らには居場所がなくなり、学校を通い続けることさえ困難になる。
福祉、医療の業界も同様だ。現在もなお、ヤングケアラーという言葉は浸透していないと筆者は感じている。積極的に研修会に参加するなど、学ぶ機会を増やす必要がある。周囲の理解が進めば彼らの生きづらさはかなり解消されるはずだ。
地域の支援も不可欠だ。子ども食堂のような食事支援、学習支援や居場所づくりなどはヤングケアラーにとって大きな助けとなる。しかし、そこにヤングケアラーという視点をいれた一工夫を加える必要がある。彼らが担うケアの実態とその思いを傾聴する、あるいはヤングケアラー同士が出会えるような仕掛けを考えるなど、孤立を防ぐためにできることは多いはずだ。
そして、当然ながら地方自治体も、ヤングケアラー支援の拠点づくりや、学校や地域と、様々な支援サービスとの連携体制の構築など果たすべき役割は多い。埼玉県の調査は「大規模調査」と強調されることが多いが、この調査は「地方自治体による調査」である点に真の価値があると筆者は考えている。ヤングケアラーの実態を把握し、それを踏まえた支援体制の構築に日本で最初に取り組み始めたことにこそ意義がある。今後の埼玉県の展開に期待したい。
そして皆さんにも、日本の社会に何万人ものヤングケアラーが存在していることを忘れないでほしい。(大阪歯科大准教授=濱島淑恵)

「2カ月5万円で生活しろ」ベトナム人技能実習生をしゃぶり尽くす“受け入れ業者”の闇

豚の違法な解体や、農作物の盗難など、相次ぐベトナム人技能実習生による犯罪。その影には実習生を受け入れる日本側の企業や、それを監理する組合による搾取があり、ベトナム人たちは「生活苦」から犯罪に走るといわれる。
彼らベトナム人実習生はコロナ禍でも日本に入国してきているが、その条件は14日間の隔離だ。だがその隔離制度すらも利用して、金儲けに走る日本の業者がいることが関係者への取材でわかった。
◆◆◆
コロナ禍に入国後、「密」のタコ部屋に押し込める
「コロナ禍のいま入国してきたベトナム人実習生は、本来は14日間の“個室での”待機が義務づけられています。ところが、タコ部屋に何人も押し込めている業者がいると聞きます」
そう話すのは、技能実習生の受け入れに関わる会社を運営するYさんだ。
コロナ禍の入国制限の中でも、ベトナム人技能実習生は少しずつ日本に入ってきている。2020年10月から、ベトナムのほかシンガポールや韓国など10カ国を対象に、一定の防疫措置を取った上で入国を相互に認めるようになったのだ(後に中国も加えて11カ国となる)。これはビジネス渡航や長期滞在者に限定したものだが、技能実習生も含まれる。
12月28日からは、イギリスで発生した変異ウイルスを水際で防ぐため、日本は外国人の新規入国を停止としたが、11カ国のビジネス関係者の往来は含まれていない。
「実習生はおもに“レジデンストラック”という仕組みを利用して入国してきます」(Yさん)
出発前にベトナムで検査を受け陰性証明書を取得、日本に入国後14日間は公共交通機関を使わず、自宅等での待機が求められるというものだ。
そのため実習生を受け入れる企業を監理する組合や、組合から請け負ったYさんのような会社が、空港まで迎えに行き、それぞれに個室を与えることになっている。費用は実際に働くことになる企業が負担する。
「実習生は14日間はどこにも出かけられないため、買い物の代行もやります」(Yさん)
しかしそのために受け入れ企業は、わざわざウィークリーマンションなどを借りる必要が出てくる。実習生がひと部屋2~3人で生活するための「寮」は確保していても、コロナ隔離用の個室は用意していないからだ。
「ところがコロナ禍で不況ということもあり、その費用を負担したくないという企業が多い。そこで私たち実習生入国アテンド業者の中には“レジトラ代は安くしますから”と言って組合に営業をかけるところも出てきている。価格競争が起きているんです」(Yさん)
そうした業者の中には、個室ではなく数名をひとつの部屋に住まわせる、いわゆるタコ部屋をあてがうところもあるのだという。そこに押し込めて14日間を過ごさせるのだ。
「その部屋がもしクラスターとなったらどうするのか。そういうリスクを考えずに、コロナ禍すら営業ツールにしている業者もいる。厚生労働省は、日本入国後の14日間について『個室で過ごし、バス、トイレの個別管理ができる施設で滞在すること』と要請していますが、完全に違反です」(Yさん)
実習生の入国後講習も金ヅルに
ともかくも日本で生活をはじめた実習生はまず「着地後教育」という授業を受ける義務がある。日本語や生活マナーを中心に、1か月かけて160時間の講習を行うことが定められているのだ。「入国後講習」とも呼ばれ、これもYさんのような入国アテンド業者が請け負うことが多い。レジトラ中はオンラインで行われることになっている。
その一環として「法的保護講習」というものがある。これは行政書士や社労士など専門の講師が、入管法や労働関係の法律を実習生に講義するのだが、やはり料金が伴う。負担はこれも実習生受け入れ企業で、通常は3万円ほどだ。
これは受講する実習生が1人でも10人でも同じ額なので、まとめて行ったほうが当然安く上がる。しかしいまはコロナ禍のため、2~3人ずつばらばらと入国してくることが多く、その度に講習費用がかかってしまう。
「そこでこの講習をやったことにして書類を偽造し、ごまかして代金を抜いている業者がいると噂されています。完全な違法行為です」(Yさん)
こうした業者が絡むと、日本語の教育もおざなりとなる。教科書を渡すだけでロクに講義をしない場合もあるという。
「一連のベトナム人犯罪を受けて、いまは『ハトを獲ってはいけません』『無断で畑に入ると犯罪です。そこで野菜を盗むとさらに罪が重くなります』などと日本の法律も説明することになっているのですが、こうした講義もやらない業者がある」(Yさん)
「新しく入ったベトナム人、ひとり2カ月5万円でいいかな?」
そして「レジトラ」を理由に、実習生に給料を支払わない企業もあるという。
「通常、実習生は入国後すぐに給料が発生します。着地後教育中であっても支払う義務があります。しかし、『いまはコロナ禍だから』『14日間の隔離中は給料が出ない』などと実習生を言いくるめている受け入れ企業や組合もあります。その間は小遣いと称したわずかなお金を支給するだけ。明細も手書きです」(Yさん)
そんな企業のひとつはYさんに対して、
「新しく入ったベトナム人、ひとり2カ月5万円でいいかな?」
と相談してきたという。レジトラも含めた1カ月の講習と、その後に仕事に入っての1カ月。この2カ月を計5万円の「小遣い」だけで過ごせというのだ。住む場所はあるが、食費もこの5万円で賄えという。一緒に来日した実習生同士で協力し、なんとか暮らしているが、背負ってきた借金の返済ができず、早くも困っているという。
「まともに給料を払うのは3カ月後から。それまであの実習生たちが逃げずに働き続けているかどうか……」(Yさん)
実習生が逃亡、犯罪に手を染める仕組み
技能実習生の「任期」は3年間だ。終了後は母国へと帰っていくのだが、コロナ禍のため帰国が難しいケースも増えている。飛行機の減便やチケット代の上昇などで足止めを食う人もいれば、受け入れ企業がコロナ禍によって経営が立ち行かなくなり、解雇される人も出てきている。
そんな実習生に対して、臨時の救済措置として滞在資格の変更を認め、つまり転職を容認し、引き続き日本で就労できる取り組みもはじまっている。しかし、これを実習生に教えない組合もあるのだという。
「組合からすれば、実習生にそのまま日本に滞在させるより、一度ベトナムに帰してまた新しい人材を補充したほうが儲かる。これはベトナム側の実習生の送り出し機関にしても同様。実習生はブローカーの取り分も含めて一人当たり100~200万円の借金を背負わされて来日するパターンが目立ちますが、そのお金を関わる人間たちで分け合っている。人数を送るほど儲かる」(Tさん)
だから送り出し機関は「とりあえず帰ってこい」と実習生に伝えるのだが、このときに持ち出されるのが「積立金」だ。送り出し機関の中には実習生の給料の中から毎月定額を預金させているところもある。これは「帰国したときの生活の基盤に」という良心的な場合もあるが、逃げないようにする「担保」でもある。
「この積立金を返してほしかったら戻ってこいと脅すのです」(Tさん)
しかし困るのは帰宅困難となった実習生だ。帰ってこいと言われてもその手段がない人もいる。解雇されていればお金もない。そして組合が「知恵をつけさせない」ので、コロナ禍の救済措置も知らない。にっちもさっちもいかなくなり、逃亡。そして犯罪に手を染める……こんなケースがいま増えている。
コロナ禍まで利用して、日本人とベトナム人が結託し、技能実習生を骨の髄までしゃぶり尽くす。この制度自体を根本的に見直さないと、悪循環が続くばかりだ。
(室橋 裕和)

菅官邸を怒らせた、NHK「ニュースウオッチ9」有馬キャスターが降板!?

「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について(菅義偉首相に)話を聞くなんて。全くガバナンスが利いていない。NHK執行部が裏切った」
朝日新聞が2020年12月12日付朝刊で報じた発言。坂井学官房副長官が5日夜に会食した時のものだ。菅官邸の中枢が怒りの矛先を向けているのは、NHKの――。
◆◆◆
「学術会議について首相に話を聞いた」のは、「ニュースウオッチ9」(10月26日放映)の有馬嘉男キャスター(55)だ。
「有馬氏は記者出身。経済部が長く、シンガポール支局長などを経て、大越健介キャスター時代の『9』デスクに就任しました。その後、17年から『9』キャスターを務めている。インタビューでは『NHKには非常に厳しい目が向けられている』などと語っています」(NHK関係者)
その有馬氏が斬り込んだのが、臨時国会で焦点となっていた学術会議問題。生出演した菅首相に対し、
「現状を改革していくっていう時には、説明が欲しいという国民の声もあるようには思うんですが」
などと指摘していく。すると首相は語気を強めて、
「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうか」
と、不快感を露わにしたのだった。
このやり取りは、NHK局内で大きな波紋を広げた。
多くの報道局員が感じた政権の“圧力”
「学術会議問題が事前の質問項目にはなかったとして、山田真貴子内閣広報官が原聖樹政治部長に抗議したという話が広がり、多くの報道局員が政権の“圧力”があったと受け止めたのです。後に原氏も『怒られた』と漏らしていた。菅首相と言えば、『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスター降板にも関与が囁かれ、また来たか……と上層部は慌てていました。11月18日には年末恒例のNHKスペシャル『永田町・権力の興亡』の放映中止が急遽決定しましたが、首相から出演拒否の意向が伝えられたことがキッカケだとされます」(NHK報道局員)
今回、坂井氏の発言が明るみに出たことで、菅官邸が有馬氏の質問に苛立ちを募らせていたことが、改めて裏付けられた。そんな中で取り沙汰されているのが、有馬氏の「降板」である。
「12月末のキャスター委員会で、来年3月での降板が決定すると見られます。大越氏は在任5年、前任の河野憲治氏は2年だった。有馬氏も丸4年を目前に、交代時期として不自然ではありませんが、親しみやすく、好感度も高い。それゆえ、降板の背景には官邸の怒りがあるのでは、と言われています」(NHK職員)
有馬氏は“任命拒否”されるのか。本人の携帯を鳴らすなどして取材を申し込んだが、返事はなかった。
NHKトップの前田晃伸会長に話を聞いた。
「聞くべきことを聞かなかったらヤラセじゃない」
――有馬氏の質問が官邸で問題視されているようだ。
「でも、取材ってそういうものでしょ? その時、聞くべきことを聞かなかったらヤラセじゃない。そっちの方がおかしいでしょう」
――坂井氏は「ガバナンスが利いていない」と。
「そういうの、ガバナンスっていうのかな」
――官邸から抗議は?
「全くない、あり得ないよ」
――官邸の意向を汲んで有馬氏が今年度で降板?
「知らないよ。社内の誰が言ったのか教えてくれないと、確認しようがない」
NHKの回答。
「個別の人事については、お答えできません。(『権力の興亡』の中止は)放送予定が確定した番組以外は、お答えしていません」
説明できることとできないことがあるようだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年12月24日号)

大阪府が緊急事態宣言一転要請へ 知事「先手」強調

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都など4都県に緊急事態宣言の発令が決まった7日、それまで慎重な姿勢を見せていた大阪、京都、兵庫の3府県も政府に発令を要請する方向で調整に入った。関西広域連合は5日に「ただちに宣言の発出を要請する状況にない」としていたが、大阪府の吉村洋文知事が方針を一転させた背景には、宣言が出された首都圏で深刻化する感染急拡大を回避する狙いがある。「先手」を打ち、府民と危機感を共有する必要があると判断した。
「(感染者が)増えすぎたら対応が困難になる。何とか今のうちに抑えるほうが、社会経済へのダメージは最終的に小さくなる」
吉村氏は7日、記者団に対し、政府に宣言を要請する理由を説明した。約30分の会見の間に「先手」という言葉を5回も繰り返した。
年末年始に250~300人規模で推移していた府内の感染者が、6日に560人まで跳ね上がった現実は府幹部らの間に衝撃をもたらした。
7日の幹部会議では「一過性ではないか」との意見も出たが、吉村氏は記者団に「一過性とみるのはリスク管理上、問題だ。来週以降、少ない数で推移すれば(要請は)必要なかったと批判が出るかもしれないが、僕はリスクを考える。楽観視すべきではない」と述べた。
4日時点で要請の必要性を否定していた吉村氏の認識を覆した最大の要因は、首都圏での感染急拡大だ。
東京都では6日に1591人、7日には2447人の感染者が報告された。距離は離れているが、大阪と東京の往来は仕事などを中心に多く、繁華街などを抱える大都市という点も共通している。
吉村氏は「首都圏の感染状況が完全に右肩上がりになっている。(大阪も)同じように感染爆発するのが普通のシナリオだ。放っておけば拡大する」と危機感をあらわにした。東京と同様の感染急拡大が起これば重症者が急増し、医療崩壊の恐れもある。
ここ数日の感染者の増加は想定外か、と記者団に問われ、吉村氏はこう切り返すしかなかった。
「強い警戒感を持っていることは(以前から)皆さんに伝えてきた。それが現実化しつつある」