受刑者を全裸にさせる身体検査のほか、定期的に陰部を調べる検査をおこなっているなどとして、大阪刑務所の受刑者が2018年に人権救済を申し立てた事件について、日本弁護士連合会(日弁連:荒中会長)は1月6日、大阪刑務所長あてに郵送で勧告をおこなったことを明らかにした。
勧告書は1月5日付。日弁連副会長を務める西村依子弁護士によると、6日時点で同刑務所に届いたことが確認できているという。
日弁連の調査報告書によると、大阪刑務所ではすべての受刑者を対象に定期的(年数回)に陰部検査をおこなっていたほか、工場で作業をおこなうすべての受刑者に対して全裸の身体検査、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたとされる。
陰部検査は受刑者が自ら陰部を持ち上げ、刑務官に見せるというもの。陰部に異物を挿入していないかの確認などを目的におこなわれていたという。
全裸の身体検査は、工場で作業をした日は毎日、就業開始前と終了後に工場更衣室でおこなわれた。複数の受刑者が全裸になって並び、刑務官が目視するというものだったとされる。ただ、2016年11月21日以降は受刑者を全裸にしてはおらず、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたという。
日弁連は、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事被収容者処遇法)」や「国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)」など(注)を根拠に、陰部検査や全裸の身体検査は「受刑者の人格権を侵害し、羞恥心を害し個人の尊厳を損なうもの」であるとし、すべての受刑者に一律にこのような検査をおこなうことのないよう勧告した。
また、パンツ1枚での検査についても「受刑者の羞恥心を害し個人の尊厳を損なうもの」であるとし、態様を改めるよう勧告した。
川上詩朗弁護士(日弁連人権擁護委員会委員長)は「受刑者に対して一律にこのような検査がおこなわれており、侵害態様が極めて重大である。他のところでも同種のことがおこなわれているかもしれない」とし、日弁連としてしっかり調査をして意見を述べるべきという観点から調査をおこなったと説明した。
勧告書は大阪刑務所のみに送付されたが、今後は法務省や全国の刑務所などにも参考資料として送付する予定だという。
勧告書の全文は、日弁連のサイト(https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2021/210105.html)に掲載されている。
(注) たとえば、「刑事被収容者処遇法」75条1項は「刑務官は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者について、その身体、着衣、所持品及び居室を検査し、並びにその所持品を取り上げて一時保管することができる」と規定している。
また、「刑務官の職務執行に関する訓令(法務省矯成訓第3258号)」20条は「刑務官は…(略)できる限り、被検査者のしゅう恥心を損なわないように配慮しなければならない」としている。
「マンデラ・ルール」では、裸体検査などは「絶対に必要な場合にのみ」おこなわれるものとしている。
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「緊急事態宣言」が示す日本の法律の致命的欠点 想定外の緊急事態は「人の支配」に頼る危うさ
新型コロナウイルスの感染拡大で、政府は1月7日に緊急事態宣言の発出を正式決定する方針だ。ただ、そもそも「日本の緊急事態法制には大きな問題点がある」と、『国民を守れない日本の法律』の著者であり、安全保障法制や国際法に詳しい田上嘉一弁護士は指摘する。前編では緊急事態法制をどのように整備するべきなのかを解説したが、後編ではその整備がなぜ進まないのか、理由を明らかにする。 前編:「緊急事態宣言」再発出が効果的でない根本原因 ■国家緊急権が悪用されたことへの嫌悪感が強い 日本において、なぜ緊急事態法制が整備されないのか。それは本格的に緊急事態の基本法を作ろうとすると、どうしても憲法の問題に行き当たり、強固な左右双方からのイデオロギーによって意見が発散して、議論がまともに成り立たなくなってしまうからだ。 日本の緊急事態法制において特別措置法(特措法)が多いのは、こうした本格的な憲法議論の「面倒くささ」を避けて、とにかくパッチワーク的に目の前の対症療法に終始してきたことの積み重ねの結果なのである。 これは戦前のような戒厳や緊急勅令に国家緊急権が悪用されたことへの反省がすぎるあまり、戦争やテロ、内乱のような政治性が強い緊急事態については、いまだに法制度を設けることへのアレルギーが強く存在しており、法整備にあたっての冷静な議論が成立しづらいという現状がある。 それでも大規模災害や新型インフルエンザのような政治性が薄いものは、比較的法整備が進めやすく、災害対策基本法や新型インフルエンザ対策特別措置法には、災害緊急事態の布告や緊急事態宣言が用意されている。 ところが、東日本大震災のような未曾有の大災害であっても、この布告は出されていない。その背景には、やはりかつての国家緊急権の発動に対する嫌悪感、忌避感が強く存在している。大仰なことをしてしまえば、野党やマスコミから批判を受けることが想定されるため、政府はできれば事を荒立てたくないのだ。 今回も新型インフルエンザ対策特別措置法の改正は議論にのぼったが、いったん感染拡大のスピードが落ちると、喉元過ぎれば熱さを忘れるとばかりに、議論が頓挫してしまう。 日本は、英米法系の憲法と大陸法系の法律が併存していることも事態を複雑にしている。 近代世界における法体系には、ドイツやフランスを中心としたヨーロッパ大陸で発展してきた大陸法系と、イギリスとその植民地で発展してきた英米法系が存在する。この2つの法体系の差異にはさまざまなものがあるが、その一つに国家緊急権に対する考え方の違いがある。
新型コロナウイルスの感染拡大で、政府は1月7日に緊急事態宣言の発出を正式決定する方針だ。ただ、そもそも「日本の緊急事態法制には大きな問題点がある」と、『国民を守れない日本の法律』の著者であり、安全保障法制や国際法に詳しい田上嘉一弁護士は指摘する。前編では緊急事態法制をどのように整備するべきなのかを解説したが、後編ではその整備がなぜ進まないのか、理由を明らかにする。
前編:「緊急事態宣言」再発出が効果的でない根本原因
■国家緊急権が悪用されたことへの嫌悪感が強い
日本において、なぜ緊急事態法制が整備されないのか。それは本格的に緊急事態の基本法を作ろうとすると、どうしても憲法の問題に行き当たり、強固な左右双方からのイデオロギーによって意見が発散して、議論がまともに成り立たなくなってしまうからだ。
日本の緊急事態法制において特別措置法(特措法)が多いのは、こうした本格的な憲法議論の「面倒くささ」を避けて、とにかくパッチワーク的に目の前の対症療法に終始してきたことの積み重ねの結果なのである。
これは戦前のような戒厳や緊急勅令に国家緊急権が悪用されたことへの反省がすぎるあまり、戦争やテロ、内乱のような政治性が強い緊急事態については、いまだに法制度を設けることへのアレルギーが強く存在しており、法整備にあたっての冷静な議論が成立しづらいという現状がある。
それでも大規模災害や新型インフルエンザのような政治性が薄いものは、比較的法整備が進めやすく、災害対策基本法や新型インフルエンザ対策特別措置法には、災害緊急事態の布告や緊急事態宣言が用意されている。
ところが、東日本大震災のような未曾有の大災害であっても、この布告は出されていない。その背景には、やはりかつての国家緊急権の発動に対する嫌悪感、忌避感が強く存在している。大仰なことをしてしまえば、野党やマスコミから批判を受けることが想定されるため、政府はできれば事を荒立てたくないのだ。
今回も新型インフルエンザ対策特別措置法の改正は議論にのぼったが、いったん感染拡大のスピードが落ちると、喉元過ぎれば熱さを忘れるとばかりに、議論が頓挫してしまう。
日本は、英米法系の憲法と大陸法系の法律が併存していることも事態を複雑にしている。
近代世界における法体系には、ドイツやフランスを中心としたヨーロッパ大陸で発展してきた大陸法系と、イギリスとその植民地で発展してきた英米法系が存在する。この2つの法体系の差異にはさまざまなものがあるが、その一つに国家緊急権に対する考え方の違いがある。
首相、夕方に緊急事態を宣言へ…諮問委が発令を妥当と判断
菅首相は7日夕、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に緊急事態を宣言する。期間は2月7日まで。対象地域では、午後8時以降の不要不急の外出自粛を徹底する。飲食店などには午後8時までの営業時間短縮を要請し、応じた店舗には1日最大6万円の協力金を自治体が支払えるようにする方針だ。
宣言に先立ち、7日午前、専門家による「基本的対処方針等諮問委員会」が開かれ、宣言内容や政府の基本的対処方針の改定案を議論し、宣言発令を妥当だと判断した。
西村経済再生相は会議で「経済活動を幅広く止めるのではなく、感染リスクの高い場面に対策を徹底し、飲食を伴うものを中心に対策を講じる」と述べた。
国会への事前報告を経て、首相は7日夕の政府対策本部で緊急事態を宣言後、午後6時から記者会見して国民に協力を呼びかける。
緊急事態宣言は、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づくもので、昨年4月7日~5月25日の発令以来2度目。前回は、東京都はカラオケ店やライブハウスなど幅広い施設や事業者に休業・休館を要請した。小中高校に休校を求める自治体もあった。
今回、政府は国民生活や経済への影響を最小限に抑えるため、幅広い休業要請は行わず、小中高の学校一斉休校も求めない。
基本的対処方針改定案では、住民に不要不急の外出自粛を要請し、特に午後8時以降の自粛を徹底することが盛り込まれた。飲食店を中心に午後8時までの営業時間短縮を要請するとし、酒類提供は同7時までとすることも明記した。要請対象には、生活必需品の販売以外の商業施設も含める方向だ。政令改正で、要請に応じない飲食店の店名を公表できるようにする方針だ。
「出勤者数の7割削減」を目標に、企業などにテレワーク推進を求めることも明記した。スポーツなどのイベントの人数制限は「上限5000人かつ収容人数の50%以下」とする考えだ。
1都3県は、感染状況を示す複数の指標で最も深刻な「ステージ4」に該当している。政府は「ステージ3」相当に下がるのを宣言解除の目安とする。
大雪や暴風高波警戒=低気圧急発達、10日まで強い冬型―交通に影響・気象庁
前線を伴う低気圧が日本海を東へ進んだ影響で、7日は東北や山陰などで雪が降り、沿岸部で風が吹き荒れた。低気圧は急速に発達して7日夜に東北北部を通過し、8日朝に千島近海に到達。日本付近は10日ごろまで強い冬型の気圧配置になる見込み。気象庁は日本海側を中心に大雪や猛吹雪、暴風、高波に警戒するよう呼び掛けた。
荒天により、日本航空は128便を欠航とし、全日空も6日夜時点で247便の欠航を決定。8日についても欠航が出始めた。JR東日本は山形新幹線の山形―新庄駅間の運転を7日から8日まで見合わせ、在来線の奥羽線や信越線なども運転見合わせが相次いだ。JR西日本は山陰線に遅れが生じた。国土交通省は車の立ち往生が発生する恐れがあるとして、不要不急の外出を控え、運転時は冬用タイヤやチェーンを装着するよう呼び掛けている。
8日午前6時までの24時間予想降雪量は多い所で、北陸80センチ、東海70センチ、東北と近畿、中国60センチ、北海道50センチ、関東甲信40センチ、四国30センチ、九州北部20センチ。
その後、9日午前6時までの24時間予想降雪量は多い所で、北陸80~120センチ、東海と近畿50~70センチ、関東甲信と中国40~60センチ、北海道と東北30~50センチ、四国20~40センチ、九州北部10~20センチ。
さらに10日午前6時までの24時間予想降雪量は多い所で、北陸70~100センチ、東海と近畿60~80センチ、中国40~60センチ、東北30~50センチ、北海道と関東甲信20~40センチ、四国と九州北部10~20センチ。
[時事通信社]
試験問題をスマホ撮影、生徒に漏らす…講師「担当教科の平均点を上げたかった」
愛媛県教育委員会は、定期考査の試験問題を生徒に漏らしたとして、県立学校の講師を文書訓告とした。処分は昨年12月22日付。
県教委によると、講師は昨年12月、定期考査前に問題の一部をスマートフォンで撮影し、複数の生徒に送信した。試験監督の教諭が生徒の不審な様子に気づいて判明。講師は「担当教科の平均点を上げたかった」と釈明し、過去の定期考査でも問題を漏らしていたことが確認されたという。
また、県教委は、別の県立学校で部活動後に生徒の腹部を右拳で突くなどの体罰を行ったとして、顧問の教諭を同日付で口頭訓告とした。
富士山に幾重にも重なる笠雲・吊るし雲 関東は午後に風が強まる予想
静岡県御殿場市より(7日7時過ぎに撮影)今日7日(木)朝は、富士山の山頂には「笠雲」が、さらに少し離れたところには雲が何層にも重なったように見える「吊るし雲」と呼ばれる、不思議な雲が出現しました。日本海で低気圧が急速に発達している影響で、富士山周辺でも強い風が吹いていたことが原因とみられます。
笠雲とは
笠雲のできる仕組み
笠雲は、富士山の上に覆い被さって、笠を被っているように見えることからそう呼ばれています。上空を流れる湿った空気が山の斜面にぶつかることによって、強制的に上昇して雲ができます。このとき、上空の風が強いと、風上側の斜面で雲が発生。風下側の斜面では雲が消えていくという現象を絶え間なく繰り返すことによって、山頂付近で雲が止まって見えます。
吊るし雲とは
吊るし雲は、高い山の風下に現れます。上空の風に乗って流れる普通の雲と違い、いちど出現すると場所がほとんど動かず、「吊されて」いるように見えるので「吊るし雲」と呼ばれています。吊るし雲は「レンズ雲」と呼ばれる種類の雲の一種で、 ・「上空の風が強い」 ・「湿った空気が存在する」という状況の時に発生しやすくなります。上空の強い風が高い山を越えたり回り込んだりするときに風下側で空気の波が起こり、風が上昇している部分で雲ができるのです。時間が経過しても空気の波の形状は急には変化せず、風が上昇する場所で雲ができて、風が下降する場所では雲が消えていくという現象を絶え間なく繰り返すことによって、同じ場所で雲が止まって見えるのです。
今日は関東でも午後は風が強まる
風向・風速の予想 7日(木)14時
午後になると、この強い風の範囲が関東にも移ってきます。特に関東南部の沿岸では平均風速で10m/s以上、房総半島では15~20m/sに達する見込みです。東京は10m/s、横浜でも15m/s、千葉では17m/sの強い風が予想されています。瞬間的にはこの1.5~2倍となる30m/s近い暴風が吹くおそれがあります。鉄道など交通機関の運行に乱れが発生したり、飛来物による影響や、停電などの影響が出てもおかしくありません。帰宅時間帯もピークは過ぎるものの風の強い状況は続くので、十分に注意をしてください。
参考資料など
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
蓮舫氏「桜を見る会」問題で「ホテル明細書ない」と回答の安倍事務所に「嘘がすぎるでしょう…ホテルに再発行依頼を」
立憲民主党の蓮舫参院議員が7日、自身のツイッターを更新した。
蓮舫氏は、「安倍事務所『ホテル明細書ない』」と題したネット記事をアップした。記事は「立憲民主党など野党が6日、「桜を見る会」前日の夕食会費用補填問題を巡り、会場のホテルが発行した明細書や領収書の提示を安倍晋三前首相の事務所に昨年末求めた結果、「事務所にはない」との回答が文書であったと明らかにした」ことを伝えている。
蓮舫氏は、事務所に明細書がないと回答した安倍事務所に「嘘がすぎるでしょう」と指摘した。その上で「『明細書の発行はない』→『明細書が(存在し)ないとは一度も言ってない』→『事務所にはない』呆れる言い訳を重ねる前に、国会で『ホテルにはある』と答弁したのですから、ホテルに再発行依頼を。そして国会に提出するだけです」と要望していた。
要領を得ない回答、厳重な質問統制……。それこそ「緊急事態」だった菅総理の年頭記者会見
◆突如持ち上がった、緊急事態宣言の再発令
2021年1月4日、菅義偉総理は年頭記者会見を実施。昨年末までは一貫して緊急事態宣言の発令に慎重な姿勢を見せていたが、年明け後は一転して再発令の可能性が広く報道されたことから、質問の緊急事態宣言に集中した。しかし、司会を務めた山田真貴子 内閣広報官は質問を1人1問に制限した上、「再質問は控えるように」という方針を徹底したため、菅総理の回答がどれだけ質問と食い違っていても再質問は許されず、緊急事態宣言についての詳細は曖昧なままであった。
実際、質問が許された6名の記者の全質疑の要約を下表に整理したところ、緊急事態宣言について僅かながら方向性が見えてきた面があるものの、詳細(スケジュール感、一定の周知期間を設けるのか、経済への打撃を和らげる対策、等)はこの会見における菅総理の回答からは分からなかった。
そこで本記事では、この6名の記者の質問の内、緊急事態宣言の詳細を問うた3名の記者(1人目 テレビ東京記者、3人目 読売新聞記者、4人目 フリーランス江川紹子記者)の質疑をピックアップして、一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
◆「まともに回答していない」赤信号黄信号が6割
3名の記者の質問に対する菅総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●菅総理:赤信号24% 黄信号37% 青信号34% 灰色5%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
青信号が3割強とそれなりに答えているように見える一方、赤信号と黄信号が6割以上を占めている。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
また、実際の映像は筆者のYoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」で公開している動画「【緊急事態宣言発令の検討】2021年1月4日 菅総理 年頭記者会見」で視聴できる。
◆場当たり的な緊急事態宣言。あやふやな菅総理の回答
記者会見の質疑は、司会による注意事項の説明の後、幹事社を務めた2社(テレビ東京、時事通信)の質問が始まった。その質疑は以下の通り。
司会者(山田真貴子 内閣広報官):
「それでは、これから皆様から質問を頂きます。指名を受けられました方は私が指名させて頂きます(中略)なお、自席からの追加質問はお控え頂きたいと存じます。最初は慣例に従いまして、幹事社2社から1問ずつ質問を頂きます。それでは、幹事社の方どうぞ。」
テレビ東京 シノハラ記者:
「緊急事態宣言について1都3県について発令を検討されるというお話がございました。えー、報道ではですね、週内にも発令を検討されているという報道が相次いでおりますが、具体的なスケジュール感について教えていただければと思います。また発令する場合、一定の周知期間は設ける考えでしょうか。えー、また昨年末の会見では、えー、緊急事態宣言には慎重な姿勢を表明されていましたが、ここに来てですね一転してこの発令の検討に至った、その一番のポイントというのはどこだったのでしょうか。えー、また、GoToトラベルがですね11日に全国停止の期限を迎えます。えー、今回の緊急事態宣言の対象になるであろう1都3県を除いて解除を行うのか、それとも引き続き全国の一斉停止を続けるのか、現状の考えを聞かせていただければと思います。」
菅総理:
「まず冒頭のあいさつの中で申し上げました通り、国として緊急事態宣言の検討に入りたいと思います。特に飲食の感染リスク、この軽減を実効的なものにするために内容を詰めていきたい。そのように思います。(赤信号)
この考え方でありますけども、北海道・大阪など時間短縮を行った県は結果が出てます。東京といわゆる首都3県にお……、おいては三が日も感染者数は減少せずに、極めて高い水準であります。1都3県で全国の半分という結果、ここ、出ております。こうした状況を深刻に捉えて、より強いメッセージが必要である。このように考えました。(青信号)
そして、こうした、あー、考え方のもとに政府として諮問委員会にかけさせて頂いて、そこで、えー、考え方を伺うわけであります。ですから、具体的にいつということよりも、まずはその飲食の軽減リスクをですね、軽減する実行的なもの。そのことをこれから詰めて、えー、そこの中で、えー、表明したいと、こういう風に思ってます。(赤信号)
それと緊急事態宣言となれば、いわゆるGoToトラベル、これについての再開はなかなか難しいのではないか。このように考えてます。(青信号)」
*質問に答えていないため記者が再質問したことに対して、司会者(山田真貴子 内閣広報官)が 「すいません。追加質問お控えください」と記者に注意し、質疑は終了する。
◆方針転換の理由も具体的なスケジュールも何も語らなかった菅総理
まず、質問は大きく分けて4点あった。
①緊急事態宣言発令の具体的なスケジュール感
②緊急事態宣言発令までに一定の周知期間を設けるか
③緊急事態宣言に慎重だった昨年末から一転して発令の検討に至ったポイント
④1月11日に停止期限を迎えるGoToトラベルは解除するのか停止するのか
これら4点の質問に対して菅総理は1段落目、3段落目では論点をすり替えており、赤信号とした。
【質問】緊急事態宣言発令までの具体的スケジュール
↓ すり替え
【回答】緊急事態宣言発令までの進め方
また、3段落目で「飲食の軽減リスクを軽減する」という意味不明な言い間違いをしている点も指摘しておく。菅総理は会見全体を通して、こうした言い間違いが多く、何を言っているのか日本語として分からない場面が度々見受けられた。
2段落目は質問③に関係するので青信号としたが、大した対策もとらずに年末年始休みに入った首都圏の感染者数が減少しないのは予想できたことであり、年明け後に方針を一転させた理由の説明としては不十分だろう。
4段落目は質問④に対して、「GoToトラベルの再開は難しい」という見解を示しており、青信号とした。
結局、質問①(緊急事態宣言発令の具体的なスケジュール感)と②(緊急事態宣言発令までに一定の周知期間を設けるか)に対する回答は一言も無かったため、記者が再質問しようとしたが、司会の山田真貴子 内閣広報官がすかさず妨害したため、1人目の質疑はこれで終了となってしまった。新しく得られた情報としては、質問④に関する「緊急事態宣言再発令となった場合、GoToトラベルは停止する」ということのみであった。
この後、幹事社である時事通信の記者が2人目として質問するが、「1月からの通常国会で目指す成果」や「9月の自民党総裁選、10月の衆議院任期満了への対応」という、非常に緊急性の低い質問であったため、本記事では割愛する。
◆発生源は「6割不明」なのに飲食店を狙い撃ち。その理由も説明なし
幹事社2社の質問が終わり、ここからは挙手した記者を司会者が指名していく形式となり、3人目の質問者として読売新聞の記者が選ばれる。その質疑は以下の通り。
司会者(山田真貴子 内閣広報官):
「それでは幹事社以外の皆様からご質問頂きます。質問を希望される方は挙手をしてください。私が指名を致します(中略)なるべく多くの方にご質問頂けるよう、質問、1人1問として頂くようお願いします。」
読売新聞 クロミ記者:
「緊急事態宣言についてお伺い致します。総理はかねて緊急事態宣言についてはですね、経済への打撃が大きいということで慎重な立場でいらしたと思うんですけど、今回検討するに当たって、経済への打撃を和らげるための対策としてはどういったものを考えているんでしょうか。」
菅総理:
「まず、この1年間、コロナ対策、コロナ問題に対応してくる中で学んできたことが、ここが明解になってるんです。この専門家の委員の方も申し上げ……、言ってますけど、やはり例えば東京ですけど、6割、このー、発生源を特定できない方がおります。まあ、その中で大部分は飲食の関係することだろう。専門委員の方はこう言っております。まあ、そうした中で飲食の感染リスクの軽減。ここをやはり実効的にするためにここは早急に検討したいというのが今の考え方です。そしてこのことについては北海道、大阪など、これは時間短縮、こうしたことを行った県では効果が出て、まあ、陽性者が下降になってきております。ただ東京とその近県3県が、あー、感染者が減少せずに高い水準になっているということもこれ、えー、事実であります。こうしたことをやはり深刻に考えてですね、より強いメッセージ、ここが必要だというふうに思いました。まあ、そうしたことを考える中で、えー、まずは最優先として行うべきというのは、そうしたそのウイルスの発生源がかなり多いと言われるそうした飲食、うー、そうしたことを中心にしっかり対応すべきかなというふうに思ってます。(黄信号)」
◆経済への打撃対策への無策っぷりを露呈
「緊急事態宣言による経済への打撃を和らげる対策」を問うたシンプルな質問だったのだが、菅総理は全くかすりもしない内容を延々と述べている。具体的には、「飲食店の対策を優先した理由」という周知の事実を述べているだけであり、黄信号とした。また、「感染の発生源を特定できていない方が6割いる」と言いながら、感染原因を飲食店と断定するのは矛盾しているのではないか。
ここまでの回答内容から、今回の緊急事態宣言は飲食店を狙い撃ちしたものになることが伺えるが、菅総理はなぜ飲食店の時短要請にこだわるのか論理的な説明を全くしないため、違和感ばかりが大きくなる。
◆なぜ「飲食店」か。何も示さずにただ狙い撃ちするだけ
ここまで大手メディアの記者の質問が続いてきたが、4人目にはフリーランスの記者が指名され、ここまでの質疑で疑問が生じた緊急事態宣言の範囲を確認する。その質疑は以下の通り。
フリーランス 江川紹子記者:
「あの、質問は、今のちょっと確認なんですけれども、あのー、つまり飲食に、あの、集中するということは、あの、前回4月、昨年4月の緊急事態宣言とは・・、のように教育、文化、スポーツいろんな経済活動全てを止めてしまったような、あー、緊急事態宣言とは違うものをイメージされてるということでいいのかという確認を一つしたいと思います。その上で質問ですが、あー、ちょっと外交関係になるんですけれども中国の問題です。えー、リンゴ日報の創業者の方がまた拘留されたり、あるいは周庭さんが、えー、重大犯罪を収容する刑務所に移送されたというような、あー、報道がありました。えー、天安門事件の時の、おー、日本政府の融和的な方針が明らかになって議論も招いてるところであります。菅首相はですね、えー、この一連の、おー、まあ、問題についてどのように考えるのか、お聞かせください。」
菅総理:
「まず、全体としてのこの緊急事態宣言ですけど、おー、この約1年の中で学んできた、どこが問題かっていうこと、これはかなり明確になっていますので、そうしたことを踏まえて、諮問委員会の先生方に諮った上で、これ決定をさせて頂きたいと、えー、このようになります。(赤信号)
まあ、そういう考え方からすれば、やはり限定的に行うことが、まあ、効果的。限定的に集中的に行うことが効果的だという風に思ってます。(青信号)
それで、あのー、中国問題については、これは多くの日本国民が、あのー、同じ思いだと思ってます。民主国家であってほしい。そうしたことについて日本政府としてもですね、折あるところに、そこはしっかり発信をしていきたいと、このように思ってます。(青信号)」
まず、質問は大きく分けて2つあった。
①今回は飲食店の時短要請に集中するということは、全ての経済活動を止めた前回の緊急事態宣言とは異なるのか
②周庭氏など香港を巡る中国の問題をどう考えるか
これら2点の質問に対して菅総理は1段落目で論点をすり替えており、赤信号とした。
【質問】緊急事態宣言の範囲
↓ すり替え
【回答】緊急事態宣言検討の進め方
2段落目は遠回しな言い方ではあるものの質問①に関係するので青信号とした。今回の緊急事態宣言は飲食店に限定した形で行うらしいことがこの質疑で確認できた。だが、「限定的、集中的に行うのが効果的」と言いつつ、なぜ飲食店に限定・集中するのかの説明はやはり無いため、飲食店が狙い撃ちされていることへの違和感は依然として残る。
質問②は「中国の問題をどう考えるか」という曖昧な聞き方であったため、何かしらの考えを述べている3段落目は青信号としたが、その内容はあまりに薄くて意味不明だった。そもそも「総理の考え」を聞かれているのに、「多くの日本国民が同じ思い」という回答は的が外れ過ぎている。
◆的外れな回答、再質問は完全シャットアウト
この後、5人目の産経新聞記者、6人目のフリーランス記者が質問した後、この記者会見は終了となった。司会者(山田真貴子 内閣広報官)は「なるべく多くの方に質問頂けるように」という理由で1人1問に制限しながら、結局、質問を許されたのは僅か6名(幹事社2名+指名4名)であり、合計質疑時間はたった15分間だったのだ。さらに、菅総理が要領を得ない回答を繰り返しても、自席からの再質問を禁じるという方針を司会者は貫き、1人目の記者の質疑で紹介したようにもし再質問されれば即座に注意して妨害する姿勢を見せ続けた。
政府方針が二転三転している中、質問に対して頓珍漢な回答を返すことが多い菅総理に対して、1人1問で再質問は許されないという条件では、国民が知るべき情報を引き出すことは困難だ。この異常な状況が続いていることの方が日本にとっての緊急事態ではないか。
<文・図版作成/犬飼淳>
【犬飼淳】
TwitterID/@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
枕カバーのにおい、たどって行方不明者を発見…警察犬と指導手に感謝状
行方不明者の発見に貢献したとして、石川県警金沢西署は、嘱託警察犬「ディステル・オブ・スピリット・トム号」(シェパード、雌、6歳)と、金沢市の指導手江尻圭子さん(62)に感謝状を贈呈した。
江尻さんとトム号は昨年11月15日朝、自宅からいなくなった金沢市の40歳代女性の捜索に協力。トム号が女性の枕カバーのにおいをたどり、捜索開始から約30分後、自宅から約170メートル離れた市内の路上で女性を発見した。女性にけがはなかったという。
江尻さんとトム号が表彰されるのはこれがはじめて。12月中旬に同署で行われた贈呈式では、鈴木和彦署長が「ご家族の方からも大変感謝いただいた。今後も機会があればぜひ協力いただきたい」と述べた。江尻さんは「無事発見されてよかった。わからないなりにやってきた中で、結果が残せてうれしい」と話していた。
母の子宮頸がん、子に移行=羊水に混入、肺がんに―世界初・国立がん研究センター
母親の子宮頸(けい)がんが出産時に羊水に混入し、誕生直後の赤ちゃんが初めて泣いた際にこの羊水を吸い込んで肺がんを発症した例が見つかった。国立がん研究センターなどの研究チームが世界初の例として7日発表した。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。
この例は2組あり、いずれも肺がんを発症したのは男児。母子のがん細胞の遺伝子を解析したところ、DNA配列に同じ変異があったほか、子のがん細胞には男性のY染色体がなかったため、移行したと確認された。1組目の男児は免疫療法薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)で治療でき、2組目の男児は手術で肺がんを切除した。母親2人は出産後や出産時に子宮頸がんと診断され、その後死亡した。
同センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「小児の肺がん患者は100万人に1人もいない上、極めてまれな例だ」と説明した上で、「母親の子宮頸がんの発症を予防することが重要」と訴えている。
[時事通信社]