強い揺れに襲われた熊本県では多数の家屋が損壊し、被災者は避難所や車中泊で不安な一夜を過ごした。29日午前も交通やライフラインの寸断が続くなど、生活に大きな影響が出ている。
熊本県によると、午前9時半現在、県内465か所で避難所が開設され、9872人が避難している。
震度7を記録した宇城市では、市役所近くの避難所に午前10時時点で約190組約420人が身を寄せた。シートや毛布を敷いた床の上に高齢者や家族連れらが座り、テレビのニュースを心配そうに見つめたり、携帯電話で連絡を取ったりしていた。
28日夜に家族で避難してきた同市のパート従業員の女性(46)は「避難所に来てからも揺れがあり、2歳の娘は怖がって夜中3時頃まで寝られなかった。風呂に入れないのも衛生面が心配で、早くライフラインが復旧してほしい。自宅に戻りたい」と疲れた様子を見せた。
震度7を観測した氷川町の会社員男性(38)は妻と子ども、義理の両親ら計9人で3台に分かれて車中泊。夜間の暑さはエアコンでしのいだが、ガソリンは残りわずかという。「近くの給油所は閉まっていた。ガソリン、電気、食料はいつ手に入るのか。子どももいるので心配」と語った。
熊本空港を発着する便では、日本航空が29日に羽田、伊丹空港とを結ぶ計11便の欠航を決めた。全日本空輸は同日午前の羽田行きと伊丹行きの計2便、ソラシドエアは羽田行きの1便が欠航した。
JR九州によると、九州新幹線は博多―熊本駅間で始発から運転を見合わせた。線路設備の点検のためで、再開の見通しは立っていない。熊本―鹿児島中央駅間は終日、運転を見合わせる。
新幹線の運行再開を待っていた千葉県船橋市の会社員男性(47)は、八代市の実家から帰ろうとしたところ熊本空港で足止めに。ホテルの宿泊予約が取れず、妻と小学生の息子と空港で配布された毛布にくるまって一夜を明かしたという。男性は「福岡から空路で帰ろうと思う。早く新幹線が動いてほしい」と話した。
九州電力は午前10時現在、熊本県内の約3万4690戸で停電が続いていると発表した。熊本県によると、水道は同7時半現在、八代市や宇城市などの約5万7000戸で断水している。
職場に泊まったという宇城市の介護職員の女性(66)は「家は電気も水も使えない。片付けをしたいが、いつ地震が起こるか分からない。避難所では気をつかうので、今日は車中泊をするかもしれない」とこぼした。
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熊本で放射線量把握できず 地震による停電影響か
原子力規制委員会は29日、熊本県内6カ所に設置されている放射線監視装置(モニタリングポスト)の測定値が、28日午後11時過ぎから把握できない状態になっていると明らかにした。同県で最大震度7を観測した地震による停電でサーバーがダウンし、測定したデータが送信されなくなった可能性があるとしている。周辺の原発に異常はない。
規制委によると、監視装置は県が管理し、同県宇土市にサーバーが設置されている。28日午後11時過ぎを最後に測定値が国のシステムに送信されなくなった。復旧の見通しは立っておらず、規制委が原因を調べている。
24年の能登半島地震では、北陸電力志賀原発周辺の監視装置18カ所から一時データを得られなくなった。
熊本・八代市で北東方向に84センチの地殻変動…前の地震と同程度、国土地理院がGNSS解析
熊本県で震度7を観測した地震について、国土地理院は衛星測位システム(GNSS)を使って地殻変動を解析したところ、同県八代市で地盤が北東方向に約84センチずれるなど大規模な変動が観測されたと発表した。2016年の地震でも同程度のずれが生じており、地震の規模の大きさが改めて裏付けられた。
同院では大きな地震が発生した後、全国約1300か所ある電子基準点で地盤の動きを解析している。今回の地震では、震源に近い八代市「千丁(せんちょう)」の地殻変動が最も大きく、北東に約84センチずれ、約30センチ沈降した。熊本市の「城南」は北に約40センチずれ、約10センチ隆起。八代市の「泉」では南に約17センチ動き、上下の変動はわずかだった。
また、基準点を活用した震源断層モデルで解析したところ、断層は長さ約29キロ・メートル、幅約6キロ・メートルで約2メートル動いたと推定された。
気象庁は、今回の地震について陸域断層が水平方向にずれる「横ずれ型」としており、この分析は同院の解析と整合している。
一方、16年の地震では、南阿蘇村の地殻変動が最も大きく、南西に約97センチずれ、約23センチ隆起していた。同院の担当者は「同規模の地殻変動が発生したと言える。今回は暫定的な解析なので、今後も精査を続ける」と語った。
読売新聞では、地震の影響で損傷した南九州道の橋脚について、撮影した複数の写真から3Dを作成しました。クリックして自由に視点を変えることができます。
熊本地震「13人死亡、5人心肺停止、負傷者36人」 官房長官
木原稔官房長官は29日午後の記者会見で、熊本県で最大震度7を観測した地震で、同日午後3時時点で13人が亡くなり、5人が心肺停止状態だと明らかにした。重傷者は8人、軽傷者は15人で、けがの程度が不明な負傷者も13人いるという。
一方、熊本県は29日、28日にあった最大震度7の熊本地震で、県内では12人が死亡したと発表した。6人が心肺停止状態で、4人の安否が分かっていない。
爆発事故が起きたショッピングモール「イオンモール熊本」(同県嘉島町)では3人が死亡。煙突が倒壊するなどした日本製紙八代工場(同県八代市)では、5人の死亡が確認された。【高橋祐貴、黒澤敬太郎】
日本人、1億2000万人割れ=過去最大91万人減―外国人400万人超・総務省
総務省は29日、住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の人口を発表した。日本人は前年比91万6744人(0.76%)減の1億1973万6483人で、17年連続の減少。減少幅は過去最大で、1億2000万人を割った。外国人は前年比35万3696人(9.62%)増の403万1159人と、外国人の集計を始めた2013年以降最多を更新し、400万人を超えた。
外国人人口は、コロナ禍後の23年から増え続けている。25年の国外からの転入者数は72万988人で過去最多を更新した。
日本人人口を都道府県別で見ると、東京は3年連続で増加した一方、46道府県は減少が続いた。東京は同1万2540人(0.09%)増の1329万3851人で、全体の11.10%を占める。減少率は秋田の1.95%が最大で、青森と高知がともに1.70%と続いた。
25年の日本人出生数は67万467人で過去最少を更新し、死者数は159万3475人だった。死者数が出生数を上回る「自然減」は92万3008人。都道府県別では、自然増の都道府県はゼロ。転入者数が転出者数を上回る「社会増」は7都府県で、最も多いのは東京の6万6661人だった。
日本人と外国人を合わせた総人口は、前年比56万3048人(0.45%)減の1億2376万7642人だった。うち東京、名古屋、関西の三大都市圏は6597万9272人。6年連続で減少したものの、全人口の5割超を占める。
都道府県別の総人口では、3都府県が増加。東京は同7万5019人(0.54%)増の1407万7553人だった。大阪が同3365人(0.04%)増の877万5326人と増加に転じ、千葉は631万3748人で同2169人(0.03%)増だった。 [時事通信社]
自衛隊4600人態勢に=現地へクーラー300台―熊本震度7
小泉進次郎防衛相は29日、熊本地震の対応に当たる自衛隊の態勢について、発生直後の約3600人から約4600人に増強したと明らかにした。防衛省で記者団に「人命救助を最優先に活動し、給水をはじめとする生活支援も全力で実施する」と強調した。
航空自衛隊は同日、被災者の熱中症対策として避難所などで使うクーラー約300台をC2輸送機で輸送。海上自衛隊も、艦艇4隻で飲料水などの物資を現地に運んだ。 [時事通信社]
【中継】煙突折れ崩落…日本製紙八代工場 5人死亡、4人安否不明…捜索活動続く
一時11人が閉じ込められた八代市の日本製紙の工場では、5人の死亡が確認され、いまも4人の安否が分かっていません。現場から中継です。
現在も警察と消防による懸命な活動が続けられています。
私の左手奥に崩落した煙突が確認できます。目を凝らしますと、先の方は折れた痕がみてとれます。ただ折れた先はこちらからは確認できず、下に落ちているものとみられます。
28日午後、八代市の日本製紙八代工場では煙突が折れて崩落しました。上空からの映像では、折れた煙突がプラントの上に落下している様子が確認できます。
崩落した煙突の巻き添えとなったのか、熊本県などによりますと、一時11人が閉じ込められたということです。このうち7人が救助されましたが、5人の死亡が確認されました。2人は中等症で、いまも4人の安否がわかっていません。
11人がどこで閉じ込められたかなど詳細については明らかにされていませんが、消防車両が並んでいて現在、懸命な捜索活動が続けられています。
ただ29日も日中は立っているだけでも汗ばむ暑さとなっていて、取り残された方の体調が案じられます。
住民「命の危険感じた」=神社拝殿は倒壊、名勝も木片飛散―熊本県八代市
震度6強の揺れに襲われた熊本県八代市では、神社や名勝の建物も崩れるなどした。住民らは「命の危険を感じた」「立っていられないくらいだった」と口々に語った。
安否不明者の捜索が続く日本製紙八代工場近くで商店を営む松岡俊英さん(71)と妻の明美さん(68)は、工場から避難してきた従業員らに店の飲料水やアイスクリームを振る舞った。これまでも多くの従業員に利用してもらっていたといい、「生きていてほしい。助かってほしい」と祈った。
国の名勝「松浜軒」は、建物の外壁が剥がれ落ち、周囲にガラスや木片が飛び散った。近所に住む男性(78)は2016年4月の熊本地震を思い起こして「10年前は耐えていた」と唇をかみ、「前回の地震よりも大きな揺れに感じた」と話した。
「余震が続いていたので、家にいる方が心配だった」。主婦の長瀬邑緋さん(26)は、3人の子どもと庭園の近くの駐車場で車中泊した。「子どもが泣いたりしてうるさくなるかなと思った」と避難所には行かなかった。慣れない環境に「体が痛くて寝られなかった」と語った。
自宅マンションが被災し、夫(87)と車中泊した女性(87)は「(食器棚などが倒れ)足の踏み場もなかった。命の危険を感じた」と回想した。
市役所の近くの神社「八代宮」の禰宜(ねぎ)竹原正崇さん(49)は、拝殿が崩壊する瞬間を目の当たりにし、「柱が傾いて、スライドするように崩れた」と振り返った。16年の熊本地震からの復興が進む中、「またかという気持ちだ」と肩を落とした。
八代市で生まれ育った鷲山和史さん(48)は、変わり果てた八代宮を見ながら「感情もない。元に戻るのだろうか」と言葉を詰まらせた。「毎年、参拝に来ていたので残念」と無念な思いを明かす一方、「今は自分より大変な状況の人もいる。これから友人の職場の片付けを手伝いに行く」と力を込めた。 [時事通信社]
「必要な支援いつでも」 熊本地震、25の国・地域などお見舞い
熊本県で28日に最大震度7を観測した地震を受け、少なくとも25の国・地域と国際機関が日本政府にお見舞いのメッセージを送った。外務省が29日午後1時時点で集計した。6月の地震で5000人以上の死者を出し、日本から医師らが派遣された南米ベネズエラからもお見舞いがあった。
お見舞いを送ったのは米英独加豪印、フィリピン、トルコ、エジプトなど計23カ国・地域と、国連などの2機関。イタリアのメローニ首相はX(ツイッター)で「日本国民に深い連帯を表する。災害に遭った皆様と懸命に救援活動に取り組む皆様に心を寄せている」と投稿した。
台湾の頼清徳総統もXで「台湾と日本は苦難を共に乗り越えてきた真の友人だ。必要な支援があればいつでも協力する」と、日本語と中国語で呼びかけた。
外務省幹部は「多くの国などから温かい言葉や申し出があるのはありがたいの一言に尽きる」と感謝した。【田所柳子】
冷房のある教室を避難所に=文科省が自治体に通知、活用促す―熊本震度7
文部科学省は29日、熊本県内で最大震度7を観測した地震を受け、冷房設備のある普通教室を避難所として活用するよう自治体などに求める通知を出した。主な避難所となる体育館に冷房が設置されていない学校が多いことを踏まえ、避難者が熱中症にならないよう対応を促す。
同省の2026年度の調査では、避難所に指定されている公立小中学校で、冷房が付いている体育館や武道場の割合は全国で33.1%、熊本県では20.9%にとどまった。一方、普通教室の冷房設置率は高く、同年度に全国で99.6%、熊本県では100%だった。 [時事通信社]