――関税交渉や防衛費増額要請など、日米関係ではシビアな話題が続いています。
【北村】特に関税に関しては「国難だ」といった声もありますが、私はそれほど悲観してはいません。
日米関係を下支えするのは経済産業面での協力です。日本製鉄によるUSスチールの買収はもちろん、造船業においても日米協力が進んでいます。さらには防衛産業、宇宙、量子、デジタル・インフラ、暗号資産など、多くの分野において日米の利益は重なっており、克服すべき課題も共有しています。
こうした幅広い日米協力のアジェンダに共通するのは、まさに「経済安全保障」の視点です。日本も近年、経済安全保障推進法、重要経済安保情報保護法、能動的サイバー防御法制を整備し、技術流出などが起こらない形で連携できるよう、体制を整えてきました。
さらに言えば、トランプ大統領が大統領選のさなかから「掘りまくるぞ(drill, baby, drill)」と繰り返していたエネルギー戦略についても、長期的に見れば日本の国益と合致します。アラスカLNGパイプライン構想は採算面の心配はないではありませんが、実現すれば日本にとってもエネルギー供給の多角化に寄与します。
【北村】また、経済安全保障が重視されるのは、先端技術が軍事・防衛に直結する面があるからです。その点から考えても、アメリカにとっても、技術流出などを心配することなく産業面で連携できる、投資を受けられる国として、日本ほど重要な国はないはずです。
こうした双方の利益が合致するポイントを押さえていけば、関税交渉においても税率引き上げをオフセット(相殺)できる材料も探し当てられる可能性があります。お互いの国益を背負っているため交渉はシビアですが、それが日米関係を根底から揺るがすほどの問題なのか。私はそうは思いません。
――トランプ大統領の関心は通商・産業に寄せられています。
【北村】かつては「通商・産業と国防・安全保障は別」とみられてきましたが、現在はそうではありません。
例えば宇宙開発ではアメリカとの技術連携や人材育成協力を進めるとともに、ミサイル早期警戒や衛星通信の相互運用も進めています。民間産業や大学での研究などが、軍事・安全保障に直結する時代になっていることに加え、現在は経済的にも軍事的にも台頭してきた中国と対峙しなければならない時代でもあります。
だからこそ経済安全保障という視点が重要になってきたのです。
――そのことはトランプ大統領も理解しているのでしょうか。
【北村】理解しているからこそ、最終的には日本製鉄のUSスチールの買収を承認したのでしょう。
また、トランプ大統領はアメリカ国内の雇用創出を重視しています。だからこそ、石破首相も2025年2月の日米首脳会談の際に「対米1兆ドル投資」を表明したのでしょう。
トランプ大統領もこれを歓迎しましたが、アメリカの利益になるだけでなく、インフラ整備に日本企業が参加することで日本にもプラスがある。
繰り返しになりますが、関税のみ注視するのではなく、より視野を広げて、前向きなアジェンダを拾っていくことも重要です。
日米関係が非常に良かったと言われる安倍政権期にも、関税は日米間の議題になっていました。2020年1月に発効した日米貿易協定(USJTA)は、日本へ輸入される米国産農産物や農産品の約90%に対し、関税を撤廃するか、特恵関税待遇となるという協定です。
交渉時には個別の条件はいくつもありましたが、日米両国の全体的な国益を見渡したうえで、協定を結んでいます。重要なのは目の前の関税を上げるか下げるかだけでなく、全体的な相互の国益の中の、どこでディール(取引)をするかに尽きるのではないでしょうか。
もう一つ付け加えれば、トランプ大統領の特性を掴んで、米国民に向かって「俺はこれをやったんだ」とアピールできる場をお膳立てできるような材料を探すことも必要でしょう。
――「安倍・トランプ」は波長が合ったから交渉もうまく行ったが、「石破・トランプ」は相性がよくないので交渉もうまく行かない、といった見方もあります。
【北村】確かに、安倍総理とトランプ大統領の相性がよかったことは間違いありません。『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)にも登場するエピソードですが、トランプ大統領から安倍総理にかかってくる電話の中には、「ゴルフで誰が勝った」というような、雑談めいた内容のものもありました。
またある時には、トランプ大統領が「シンゾー、うちの○○長官をどう思う?」と電話してきたこともあります。ふつう聞きませんよね。立場を置き換えれば、安倍総理が「ドナルド、○○大臣をどう思う?」と聞いているようなものですから(笑)。つまりそれほどまでに、トランプ大統領が安倍総理に心を許していたということです。
【北村】ただし、2人の関係だけで日米の国家間の交渉や関係性が進んだわけではもちろんありません。
双方のスタッフ同士の連絡も関係も密でしたし、私も内閣情報館や国家安全保障局長(NSS局長)として、アメリカ側との関係構築や交渉のために力を尽くしたという自負があります。決して「ゴルフを楽しんだからうまく行った」「石破総理もゴルフをやればいい」というような単純な話ではありません。
また第一次政権でトランプ大統領は「アメリカファースト」を掲げていましたが、一方の安倍総理は「天は自ら助くる者を助く」と、日本として相応のことをやっていかなければ同盟関係も成り立たないと考えていました。
だからこそ、特定秘密保護法や、平和安全法制を成立させ、安全保障面でも応分の責任を負う姿勢を示してきたのです。こうした安倍総理の姿勢が、「アメリカファースト」を掲げるトランプ政権の方向性と合っていたのでしょう。
安倍・菅・岸田政権が積み上げてきた日米関係は、そう簡単には揺るぎませんし、石破政権でも同様です。先に触れた日米共同声明をみても、事務方の頑張りもあったのでしょう、重要なイシューが詰まっています。
――北村さんは2020年1月にNSS局長としてトランプ大統領にお会いになっています。トランプ大統領は、実際はどんな人なのですか。
【北村】この時はワシントンで日米韓の安全保障担当トップによる高官協議のために渡米していました。ロバート・オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長との協議でしたが、オブライエン氏にオーバルオフィス(大統領執務室)に連れて行かれて、トランプ大統領に面会しました。「君が俺の親友、シンゾーの『ナショナル・セキュリティ・アドバイザー』か!」「連携は大事だ!」と声をかけられました。
ざっくばらんに言えば、とても人懐っこい印象でした。トランプ大統領は敵味方を峻別するような面もあるかもしれませんが、私は味方だと思われたのか、とても明るくておおらかな対応でした。気質が明るいという点でも、トランプ大統領は安倍総理と波長が合ったのでしょう。
安倍総理は基本的には誰とでも合わせられる、誰に対しても明るい人ですが、トランプ大統領も安倍総理を信頼していたのだと思います。
――北村さんの新著『国家安全保障とインテリジェンス』(中央公論新社)では、NSS局長の役割についても詳しく書かれています。
【北村】NSS局長は、総理が主宰する国家安全保障会議の準備をするのが重要な役割ですが、実はもう一つ、「ホワイトハウス・ウォッチャー」という重要な役割があります。
米政府には安全保障担当大統領補佐官(ナショナル・セキュリティ・アドバイザー、NSA)がいますが、国家安全保障局長はそのカウンターパートとなります。そのため、NSS局長としては、アメリカのカウンターパートと密に連絡を取り合い、重大な事項があった場合にはいち早く米政府の考えを把握し、日本はどうするつもりなのかを考えたうえで交渉しなければなりません。
この関係性が死活的に重要で、私もその職にあったときには、当時のカウンターパートだったNSAのオブライエン氏と「毎週、一度は電話しよう」と話し合って、実際に密に連絡を取ってきました。
NSAは大統領の側近として、直接にやり取りしていますから、NSS局長としても米大統領が何を考え、日本に何を要求したいのかなどを、NSAを介して掴んでおく必要があります。これはバイデン政権になってからも同様で、当時のジェイク・サリバン補佐官とも、緊密な関係を築いてきました。
【北村】ホワイトハウス・ウォッチャーとは、いわば相手の政権のインナーになるということでもあります。相手の懐に入り込み、交渉相手や敵としてではなく、一緒に日米関係を回していく味方としての立場を取るのです。当然ながら、アウェイ(敵地)よりもホーム(本拠地)の方が試合をしやすいわけで、これは国家間の関係性でも同様です。
第二次トランプ大統領との交渉や関係構築においても、政権スタッフとの間合いを詰めることは重要でしょう。そのためには、NSA代行を兼務しているマルコ・ルビオ国務長官や、J・D・ヴァンス副大統領のようなキーパーソンと連絡を密に取り合うことが重要です。
――国防次官のエルブリッジ・コルビー氏は盛んに日本への防衛費増額を要求しています。
【北村】コルビー長官は親友です。コルビー氏の肩を持つわけではありませんが、今や「防衛費GDP比2%」は国際的にも全く珍しい数字ではなくなっています。NATOに加盟している二十数カ国が達成済みであり、ドイツのような経済大国までが、財政均衡の枠組みを外したうえで防衛費を5%まで増額する方針を決定し、NATO加盟国も5%目標に合意しています。
そうした中で、日本だけが防衛費がこれまでと一緒でいいはずがありません。むしろ、これまで通りの防衛費で行こうという方が、国際常識に反しているとも言えるのです。
【北村】新著でも日本周辺の安全保障環境の悪化に加え、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス間の戦闘について触れていますが、中朝露とのミサイルギャップへの対応や、現代戦への適応は必要不可欠です。
「軍事力ではなく外交だけで対処すべきだ」という声も一部にありますが、実際にNSS局長の仕事には二つあり、それに尽きると言っていいかもしれない。一つはインテリジェンスを含む抑止力の強化であり、もう一つは近隣諸国との安定的な関係の確保です。この両輪を回す必要性は言うまでもなく、両輪である以上はやはり抑止力の強化が必要不可欠になるのです。
――日本の自主的な取組みも重要です。北村さんの話を総括すると、『アメリカが求めているのは、自立して相応の責任を負う姿勢を見せる』ということですよね。
【北村】2010年代以降、安倍政権はNSSを設置し、特定秘密保護法や平和安全法制を制定し、岸田政権、石破政権になってからも「戦略3文書」という歴史的な戦略変更と言える文書を練り上げ、一方で、経済安全保障推進法、重要経済安保情報保護活用法や、能動的サイバー防御法制を成立させるなど、法的な枠組みは着々と形成されつつあります。
また、以前と比べれば国民世論における「軍事・安全保障アレルギー」も減ってきました。欧州・中東方面での現状を目の当たりにしたことに加え、台湾有事に対する危機意識の高まりもあるのでしょう。徐々に組み上げてきた仕組みを活かしながら、引き続き同盟国アメリカと連携していくことが重要です。
———-
———-
———-
———-
(前国家安全保障局長 北村 滋、ライター・編集者 梶原 麻衣子)
30年越しの開発計画頓挫 やぶに変わり果て地権者に不満 千葉・印西
千葉ニュータウン開発予定地で唯一取り残された千葉県印西市の「印旛中央地区」で今春、土地区画整理の計画が頓挫した。市が区画整理に対する方針を転換し、地権者で作る団体が反発して解散したためだ。地区は開発されないまま約30年を経て、うっそうとしたやぶに変わり果てている。
【合田月美】
印旛中央地区(印西市吉高、瀬戸)は北総線「印旛日本医大駅」の東側で、国道464号「北千葉道路」を挟んで南北に広がる約100ヘクタール。そのうち約43ヘクタールを最大地権者の市が保有し、その他に約270人の地権者がいる。
2度の中止
市によると、当初は都市再生機構(UR)の前身である旧住宅・都市整備公団が開発する計画で、約30年前から土地を取得したものの、2007年に撤退。その後、地権者らが組合設立のため準備組織を発足させたが、進出企業が見込めないとして中止になった。
10年に成田スカイアクセスが開業、17年に北千葉道路が開通したことを機に再び動き出す。URが先行取得した土地を市に無償譲渡し、市が土地区画整理組合による事業化を推進。19年に地権者による発起人会が発足した。
発起人会は、データセンターや物流施設などを誘致し、事業費344億円を、土地の売却代金259億円と市の助成金85億円でまかなう計画を立てた。事業主体の組合を25年4月ごろに発足させる予定だった。
市長交代で急変
ところが、24年7月に藤代健吾市長が就任したことで事態が急変する。市は、発起人会に事業内容や事業費の精査▽市による意向調査の実施▽地権者9割の合意などを要請した。さらに発起人会が求める補助金の予算計上を見送った。
これに対し、発起人会が「事業の枠組みを含め、市の意向に沿って6年間にわたって進めてきた準備行為をすべて覆すものだ」として3月に解散した。
藤代市長は取材に「多額の補助金を投入する事業で、公明正大なプロセスで進めたいと議論したが折り合えなかった」と説明。今後、事業のあり方を再検討するという。
発起人会事務局長だった千代川宗圓さんによると、市が負担する85億円は、固定資産税などの税収増により数年で回収できる計画だったという。「地区の発展につなげようと取り組んできただけに残念だ」と話した。
広がる不満
ある地権者は「市と調整しながら進めてきたのに、市長が代わったら透明性に問題があるように言われて納得できない」と憤る。別の地権者は「今後、市が何を計画するにしても地権者の同意を得るのは難しくなるだろう」と先行きを懸念した。
「イノシシが出るやぶになってしまった」。ある元地権者は、開発のために提供した畑の変わり果てた姿を嘆いた。旧印旛村(現印西市)の職員に「工業団地が必要だ。売ってないのはお宅だけだ」と説得され、仕方なく売却した。「計画がないなら元の形にして返してほしい」とこぼした。
事情聴取中に暴れ出し警察官に体当たり 公務執行妨害の疑いで男を現行犯逮捕 札幌市白石区
札幌・白石警察署は2025年7月28日、公務執行妨害の疑いで白石区に住む作業員の男(29)を現行犯逮捕しました。
男は28日午後3時半ごろ、札幌市白石区南郷通12丁目南の歩道上でもめごととの通報を受け、現場に臨場した男性巡査部長(42)に対して、体当たりする暴行を加え、職務を妨害した疑いが持たれています。
男性巡査部長にけがはありませんでした。
警察によりますと、27日午後3時ごろ、男が働く作業所の関係者から「作業員が暴れている」と110番通報がありました。
警察官2人が現場に臨場しましたが、その際、男は暴れていなかったということです。
ところが警察官らが事情聴取を始めると暴れ出し、男性巡査部長に体当たりをしました。
男は調べに対し、「体当たりをしました」と容疑を認めています。
警察が事件の詳しい経緯や動機などについて捜査しています。
参院選惨敗でも居座る石破茂首相「#石破辞めるな」SNS運動とは無関係の“子どもじみた理由”
「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る」
2007年7月の参院選で自民党が大敗した局面で、石破首相が当時の安倍晋三首相に対して放った言葉がブーメランとなって返ってきている。
7月20日投開票の参院選で自民党は歴史的惨敗をしたものの、居座りを決め込んでいる首相。
「大敗から一夜明けた21日の会見では続投の理由について“明日起こるかもしれない首都直下型地震、あるいは南海トラフのような自然災害が起きるかもしれない状況で国政に停滞を招かないということが最も大切”と力説しました」(全国紙記者)
22日には、首相経験者の麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前首相の重鎮3人と面会した後、
「私の出処進退について一切、話は出ていない。党の分裂は決してあってはならないなど、いろんな話があった」
と改めて退陣説を否定した。
とはいえ野党だけではなく党内の国会議員、地方組織からも退陣要求が出ているが─。
石破首相が「辞めない本当の理由」
「石破さんが辞めないのは、国政に停滞を招くなどという理由ではなく、意地が大半を占めています。そんな中でも彼の信念に基づいたいくつかの理由がある」
と、石破首相に詳しい永田町関係者が明かす。
「まずひとつは次がいないということ。石破さんは小泉進次郎さんに後を任せたい考えがあったけれど、農業関係者からの反発が大きくてできない。退陣後も自らの影響力を残すためには、進次郎さんを後継者にするくらいしか道はありませんから」
なんとも自分勝手な居座りの理由だが、これだけではないようだ。
「8月15日に80年談話を出して、安倍元首相の70年談話の上塗りをしたいのでは。
2015年8月14日、戦後70年を機に発表した声明で、安倍さんは過去の戦争に対する反省とお詫びの気持ちを表しつつ、今後の日本の平和貢献を誓う内容を話しました。
石破さんにとって安倍さんは政敵でしたから、安倍談話の否定をしたいのではないでしょうか」(同・永田町関係者、以下同)
“トランプ関税”の交渉結果にドヤ顔
個人的な理由で首相の座に執着しているとしかいいようがないが、ここにきて石破首相の株が上がり始めているという声も。
「トランプ大統領との関税交渉が実質的に日本の勝ちといえる一律15%で合意したためでしょう。石破さんは“国益をかけた交渉の結果”とドヤ顔を見せましたが、確かに諸外国と比べて15%の関税は最も低く、これは石破さんの実績といっても過言ではない。
ただ、これはトランプさんが石破さんの顔を二度と見たくないから早めに合意して終わらせた、という裏話もある(笑)。いずれにせよ石破さんだからこそ成しえた業なのは確か」
SNSなどでも「#石破辞めるな」など、にわかに評価が上昇し始めている石破首相。
しかし党内からの評価が上がらない限り、今後も安泰とはいかないだろう。
看護師の5割が“泣き寝入り”3割が退職…「医療現場のハラスメント実態」
医療現場で慢性的な人手不足が続く中、看護職は上下関係や専門職間の力関係、性別役割の固定観念により、ハラスメントを受けやすい構造に置かれている。一方で、被害の実態は可視化されにくい。株式会社SISTERSはこのほど、一般社団法人看護職の採用と定着を考える会とともに、全国の看護職216人を対象に「職場におけるハラスメント実態調査」を実施、結果を公表した。
8つの代表的なハラスメント項目について実態を尋ねたところ、「怒鳴る・威圧的な態度(124件)」が最も多く、「プライベートの誘い、結婚の有無などの介入(56件)」「役立たずなどの人格否定の発言(52件)」が続いた。すべてのハラスメントの経験・見聞きが「ない」と回答したのは216人中16人のみで、回答者の約93%がなんらかのハラスメントを経験・見聞きしていた。
男女別に分析したところ、男性は「性別に基づいた業務のアドバイス」での被害が女性より約20ポイント高く、「身体を小突く・ものを投げつける」も約10ポイント上回った。男性は“男らしさ”や体力があることを前提とした役割期待や威圧的な対応を受けやすい傾向がうかがえる。一方で女性は、「容姿・結婚の有無など私生活への介入(+10ポイント)」や「産休・育休に伴う不利益な扱い(+10ポイント)」の経験率が高く、容姿や私生活に踏み込む言動が向けられやすい背景を反映している。
ハラスメントの行為者として最も多く挙げられたのは「上司(115件)」で、次いで「患者(91件)」「医師(86件)」の順。組織内の上下関係によるパワーハラスメントが頻発していることに加え、対人支援職特有の「患者からのハラスメント」も深刻な課題となっている。
行為者別の傾向を分析したところ、上司・先輩・医師の三者はすべての項目で加害者として多く挙がり、組織内の上下関係による多層的なハラスメント構造が明らかに。特に上司は「怒鳴る・威圧的な態度(79件)」など、日常業務に直結する精神的ハラスメントの中心的な行為者として目立つ。一方、患者からは「身体的接触や性的発言(32件)」「身体を小突く・物を投げる(27件)」などが多かった。
ハラスメントへの対応は「上司・先輩・同僚に相談した(101件)」が最も多かったが、それに次いで「何もしなかった(60件)」という回答も目立った。「退職を検討した(31件)」「実際に退職した(35件)」という回答も回答者全体の3割を占め、人手不足が叫ばれる看護現場において、ハラスメントが職場離脱の一因となっている。
「何もしなかった」と回答した人の最多理由は「相談しても解決しないと思った(50件)」だった。「行為者を刺激してはさらにエスカレートすると思った(30件)」「職務上何か不利益を被るのではないかと思った(25件)」と続き、相談することへの不安や諦めの感情が大きな壁になっていることがうかがえる。
「職場にどのような対応をしてほしいと思ったか」を尋ねたところ、最も多かったのは「行為者を処分してほしい(93件)」だった。全体の約52%にあたり、被害を受けた側が明確な処分を求めていることが分かる。
しかし、実際に希望する対応を得られたかどうかについては、大きなギャップが見られた。「報告し、希望した措置が取られた」と回答したのはわずか11件(約12%)、「希望した対処ではないが、措置は取られた」が23件(約26%)にとどまった。「報告し、対処を希望したが措置は取られなかった」と回答した人は41件(約46%)に上り、半数近くが「対応がなかった」と感じていることが明らかになった。
対応策として「社内相談窓口の設置」は最も多く実施されている対策(98件)だったが、これを望むと答えた人は56件にとどまっている一方で、「外部の相談窓口の設置」は望む声が74件あるのに対し、実施されているのは35件だった。制度があっても、運用・組織風土に課題があるという声も多数見られ、単に制度を整えるだけでは不十分であり、匿名性や中立性の確保、通報後の安心感、そして組織全体のコンプライアンス意識の醸成が求められている。
(よろず~ニュース調査班)
「娘をかばいきれんかった」…ベトナム技能実習生に襲われた母、全身血まみれで近所へ助け求め
佐賀県伊万里市の民家で母娘2人が侵入してきた男に襲われ死傷した事件で、強盗殺人などの容疑で逮捕されたベトナム国籍の技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)が、亡くなった女性から2度にわたって現金を脅し取った上で、ナイフで切りつけた疑いのあることが県警への取材でわかった。家の中を荒らした形跡が残っており、県警は他に奪われた金品の有無を調べている。
息絶え絶えに「私が代わりに死ねば」と
事件直後の様子が、近所の人たちの証言で明らかになってきた。
事件があった26日夕、現場周辺に住む女性(81)が自宅で知人女性と話をしていると、日本語講師の椋本舞子さん(40)の母親が「刺された」と全身血だらけで駆け込んできた。女性が110番、知人の女性が119番した。
「おばちゃん、私、娘をかばいきれんかった。舞子が……。もうダメ。舞子が死んだ」。息も絶え絶えの母親はそう話した。
医療機関で勤務経験がある知人女性(71)は自宅から持ってきたタオルで止血にあたった。「私が代わりに死ねばよかった」とつぶやく母親を必死に励ましながら救急車の到着を待った。
その頃、不審な男が建物の陰からこちらをのぞき込んでいるのに女性らが気づき、近所の男性が駆け寄ると、男は逃げて行方が分からなくなった。男は短髪で黒いシャツを着ていたという。女性は容疑者の逮捕に胸をなで下ろしつつ、母親のことを思うと、「かわいそうで仕方ない」と話した。
【速報】悠仁さま9月6日「成年式」の儀式や関連行事が決定 「加冠の儀」は午前10時より皇居・宮殿で
宮内庁は、9月6日に行われる秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式の儀式や関連行事について発表しました。
悠仁さまの成年式は19歳の誕生日、9月6日に行われます。
宮内庁によりますと、6日午前8時45分から秋篠宮邸で、天皇陛下から贈られた冠を勅使から受け取る「冠を賜うの儀」が行われ、午前10時から皇居・宮殿で、天皇陛下から授かった冠を着用される「加冠の儀」が行われます。
その後、成年皇族として皇室の祖先などをまつる宮中三殿を参拝し、午後2時から天皇皇后両陛下に感謝の言葉を述べられる「朝見の儀」が執り行われます。
また、29日の閣議で悠仁さまに大勲位菊花大綬章が贈られることが決まり、儀式の後、天皇陛下から親授されます。
午後3時からは、宮内庁長官をはじめとする幹部職員からの祝賀を受け、その後、仙洞御所を訪れ上皇ご夫妻に挨拶されます。
皇室における男性皇族の成年式は1985年11月の秋篠宮さま以来、40年ぶりとなります。
この日の夜、都内で皇室の方々や元皇族、親族を招いた私的な祝宴が行われます。
8日には三重県の伊勢神宮と奈良県の神武天皇陵を、9日には東京・八王子市の武蔵陵墓地にある昭和天皇が眠る武蔵野陵を参拝される予定です。
さらに10日には都内で総理大臣や衆参両院議長、最高裁判所長官ら皇室会議や皇室経済会議のメンバーなどを招いた昼食会が行われるということです。
また、悠仁さまが着用する装束は、夏用の衣装は新調し、小物の「檜扇」や「加冠の儀」で冠を授けられる前にかぶる「空頂黒」については、父・秋篠宮さまが40年前に使用したものを手直しをした上で受け継がれるということです。
詐欺被害1272億円 SNS犯罪に危機感 2025年版警察白書
警察庁は29日、交流サイト(SNS)を取り巻く犯罪を特集した2025年版の警察白書を公表した。著名人をかたって誘う投資詐欺と、恋愛感情を抱かせてだますロマンス詐欺の被害額は24年に計約1272億円で、対面せずに1件平均で約1200万円もだまし取られたことに強い危機感を示した。
児童や生徒がSNSを通じて性的被害に遭う実態への警鐘も鳴らした。警察はスマートフォンの解析や仮想通貨(暗号資産)の流れの追跡を強化していると紹介した。
架空の人物を名義人とした銀行口座を開設する新しい捜査手法「架空名義口座」の検討やサイバー人材の育成強化も記載。国外に拠点を置く詐欺グループへの対策として、東南アジアを中心とした海外の捜査当局との連携を深める必要性を明記した。【山崎征克】
石破首相はいつまで居座るのか…政治日程から読み解く「退陣カレンダー」
「石破おろし」の包囲網は狭まっているが、当の本人はますます続投の意志を強くするーー。
醜悪な権力闘争が激しくなっている自民党だが、衆院選、都議選、参院選と3連敗の責任は免れず、いずれ石破首相は退陣不可避とみられている。では、いつまで居座るのか?
政府と自民党に関連する今後の政治日程は次の通りだ。
28日 両院議 員懇談会 8月1日 臨時国会召集 4日 衆院予算委員会で集中審議 6日 広島原爆の日 9日 長崎原爆の日 15日 終戦の日 20~22日 横浜市でアフリカ開発会議(TICAD) 8月中 参院選総括 9月末 党役員任期
「石破さんは戦後80年の節目への思い入れが強い。なぜあの戦争を始めたのか、避けられなかったのか、ずっと考えてきた。終戦の日には首相としてのメッセージを出したいだろう」(首相周辺)
本人は「行きつくところまで」
終戦の日を終えた8月中旬以降に退陣表明か? しかし……。
「TICADは日本が主催で首相が議長を務める。対中包囲網などを念頭に今後のアフリカとの関係は重要で、石破首相はこの会議を重視している」(官邸関係者)
ならばTICAD後の8月下旬となるのか。自民党の森山幹事長は8月中には参院選の総括を行うとしている。9月末に党役員の任期も来るし、参院選を総括して「この先は新しい総裁に」とするのは“きれいな”区切りにもなるが……。
「いえいえ。米国の相互関税は15%に引き下げられたとはいえ、さまざまな業界が影響を受ける。首相は支援策として補正予算案を秋の臨時国会に提出する意欲を持っていることを想定している」(前出の官邸関係者)
そうなると、例年9月か10月に開かれる臨時国会も石破首相が召集することになるのか。
「補正予算と言っても、成立させられるのかどうか。野党の協力を得られるのか。さすがに臨時国会召集まで引っ張るのは難しいのではないか」(自民党関係者)
トランプ関税について石破は26日、NHKの番組収録で「合意に達したが実行するのはこれからなので、責任を持たねばならない」と言った。石破首相は近しい周辺に「行きつくところまで行く他ない」とも語っている。リコールで引きずり降ろされるまで、退陣しないつもりなのか。
◇ ◇ ◇
自民党は大敗した参院選を総括する「両院議員懇談会」を28日午後に開催する。石破首相は続投を表明しており、その意図を説明する見込み。ただ、党内では退陣を求める声が大きく、懇談会は大荒れ必至だ。●関連記事【もっと読む】『自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も』で詳報している。
『行列』出身・北村議員、首相へのSNS批判が物議、橋下徹氏も呆れ「発言の仕方を勉強しろ」
参院選に日本保守党公認で比例区から出馬して当選した弁護士の北村晴男氏が7月27日、石破茂首相をめぐる批判を自身のXに投稿して、波紋が広がっている。
石破首相を批判した北村晴男議員
「石破首相は先の参院選で大敗を喫してもなお、続投への執念を見せています。そんななか、北村氏が自身のXで石破氏を痛烈批判したんです。ネット上のまとめサイトを引用しながら、『国民の審判は既に下った。この『解散するぞ!』ポーズは自民党衆議院議員への脅し。どこまでも醜い、奇妙な生き物』と投稿しました。
ところが、この批判の根拠とした映像は昨年8月の日本テレビニュースのキャプチャで、石破氏が自民党総裁就任前に語った内容でした。この映像で石破氏は、『自民党の新総裁と首相に選出された場合、一通り衆参の本会議、予算委員会で論戦をし、国民の審判を受ける』と発言。それを日テレ側が『国会で一定の審議を行った後、衆院の解散総選挙に踏み切る考えを示す』と字幕解説していました。つまり石破氏自身は『解散する』と明言したわけではないのですが、北村氏はそれを曲解。しかも1年前の映像を最近の発言と勘違いしている可能性が高いのです」(政治ジャーナリスト、以下同)
事実誤認のうえ、法曹資格を持つ国会議員が“醜い”“奇妙な生き物”呼ばわりするという、れっきとした人格攻撃。この発言を受け、ネット上では批判の声が相次いだ。
《石破支持じゃないけど、弁護士資格持ってる北村さんが誹謗中傷はアウトでしょ》 《国会から退場していただきたい》 《なんか人が変わりすぎてて怖い》
など、多くの苦言が寄せられている。そして当然というべきか、同じ法曹界からも厳しい視線が。
「同じく弁護士出身で政治家経験のある橋下徹氏も28日、X上で北村氏を批判。発言記事をリポストしたあと、『およそ税金で飯を食っていく国会議員とは思えない。これまでは単なる一弁護士で好き勝手に言えたが、これからは税金で飯を食っていく公人の国会議員だ。発言の仕方を一から勉強しろ』と自戒を求めていました」
だが、そんな橋下氏自身も現役時代は舌禍の常習犯だった。
「大阪府知事時代の2008年には、NHKへの生出演が公務で遅れたことを番組内で強調されると、『今後一切NHKのスタジオには行きません』と激怒し、絶縁宣言。大阪市長時代の2013年には慰安婦問題をめぐり、『慰安婦制度は必要だった』と発言したことが国際的な批判を浴び、訪米予定がキャンセルになる事態に発展しました。こうした過激な物言いは政界を去ってからも続いています」
そんな2人の共通点といえば、今年3月に終了した『行列のできる相談所』(日本テレビ系)への出演経験だろう。芸能プロ関係者が語る。
「『行列』出身で政界進出したのは橋下氏、丸山和也氏に続いて北村氏が3人目。いずれも番組での毒舌キャラを、今の政治活動にも引きずっているようです。ただ、視聴者ウケする過激な発言と、政治家に求められる品位ある言動はまったく別物。しかも昨今問題になっている誹謗中傷を糾弾する立場の弁護士ですからね。
北村氏も政界進出する前から自身のYouTubeで舌鋒鋭く世相を斬っていましたが、国会議員という立場では、テレビでのキャラクターとは一線を画す必要があると思います」
『行列』出身弁護士が陥りがちな“テレビキャラ”の呪縛。北村氏は今回の騒動について現時点でXでの釈明や謝罪は行っていないが、橋下氏の轍を踏まないためにも、早急な対応が求められるだろう。