熊本地震の被災地をヘリコプターから視察する高市早苗首相の写真や、BGM入りで視察を振り返る動画を官邸側がX(旧ツイッター)に投稿したところ、「首相のプロモーション動画だ」などとの批判がX上で相次いだ。避難所視察が「3分間だった」といった情報も拡散し、官邸側が反論する事態になった。
物議を醸したのは、3日の視察当日に佐伯耕三内閣広報官がXに投稿した内容。首相の写真とともに、多数の死者が出たイオンモール熊本や日本製紙八代工場の上空にさしかかったところで「首相が幾度となく手を合わせていた」と説明した。官邸のXには被災者らと意見を交わす首相の姿に、ピアノの音色を重ねる動画が投稿された。
Xでは「災害の政治利用だ」「政権PR動画」などと投稿を疑問視する声が上がった。
木原稔官房長官は5日の記者会見で「被災地視察の状況をコンパクトにまとめた動画(作成)はこれまでも行ってきている」と強調。BGMの必要性を問われると「国民に分かりやすく伝えるための手法の一つだ」と主張した。
広島で朝鮮半島出身の原爆犠牲者を追悼 韓国からも参列
朝鮮半島出身の原爆犠牲者を追悼する二つの集いが5日、広島市内であった。
平和記念公園(同市中区)にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑前では在日本大韓民国民団広島県地方本部が主催する慰霊祭が営まれ、在日コリアンや被爆者ら約280人が参列した。57回目の今年は初めて韓国政府の在外同胞庁が韓国在住被爆者や家族の参列を企画し、25人が参加した。
慰霊祭ではこの1年で新たに亡くなった2人の被爆者を加えた計2826人の死没者名簿を奉納し、チマ・チョゴリ姿の女性が慰霊の歌をささげた。
韓国・大邱(テグ)市から参列した胎内被爆者の鄭炳出(チョン・ビョンチュル)さん(80)は「両親や親戚が被爆し、言葉では表せないほどの惨劇だったのではないかと思いをはせながら世界平和を祈った」と話した。
広島流川教会(同市中区)では「朝鮮人原爆犠牲者追悼式」があり、約120人が折り鶴をささげて追悼した。昨年、市民団体が中心となって初開催し、今年で2回目。ソウルから参加した曹源虎(チョ・ウォノ)さん(62)は「朝鮮人は自らの意思に反して日本で暮らし、原爆の被害に遭った。米国と日本政府は責任を認め、謝罪と補償をしてほしい」と話した。【松本美緒、井村陸】
核廃絶願うペンライトの光 広島で被団協など
広島原爆の被爆者らが5日、広島市の爆心地近くに集まり、核廃絶と平和を願ってペンライトを掲げた。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が呼びかけ、原水爆禁止日本協議会(原水協)や原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが参加。
原水協と原水禁は1960年代から分裂しているが、被爆80年の昨年、被団協との連名で異例の共同アピールを出した。今年4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議でも、米ニューヨークで合同イベントを開くなど、連携が続いている。
自民、消費減税賛成“3倍増”で高市首相方針を事実上了承 石破茂氏「反対の声記録に残すべき」
自民党は3日、党本部で開いた党税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議で、高市早苗首相が先月30日に表明した、飲食料品を来年4月から2年間に限り、現在の8%から1%に消費税を引き下げる方針について、小野寺五典税調会長に対応を一任することを決めた。事実上、首相方針を了承した。
関係者によると、会合では75人が発言し、反対を唱えたのは9人で、63人が賛成を表明。7月31日に行われた前回会合では、発言した28人のうち賛成18人、反対10人だったが、今回は賛成派の発言が、前回比約3倍増となった。関係者によると、この日は前回出席していなかった議員が数多く出席し、高市首相の方針に賛成を主張したという。
別の関係者によると、事前に、会合に出席した上で賛成を主張するよう呼び掛ける内容の文書も配布されていたといい、高市首相が主張する消費税減税という「結論ありき」で、会合が進む流れとなったことを指摘する声もある。
一方、会合に出席し途中退席した石破茂前首相は、報道陣の取材に「忘れてはいけないのは、OECD(経済協力開発機構)に加盟している国は38あり、日本の消費税率10%は飛び抜けて低い。他の国は20%やそれ以上で、日本の消費税は際だって低い」と指摘。「少子高齢化は世界でもトップ。日本の財政は世界でいちばん悪いということを忘れていませんか?」と述べ「そのことが議論されるべきで、公約だという前に日本の現状を議論することが大事だ」と訴えた。
また「私は、自民党が日本の国の将来に責任を持つのはどういうことなのかということを教わってきたし、それが自民党が積み上げてきた議論。それが一瞬にして壊れるということは、自民党の将来、現状においてもいいこととは思えない」とし、消費減税の方針に決まった場合でも、「けしてみんなが賛成したわけではなく、なぜ反対したかを記録に残すべきだ。いかなる理由で反対するのか、両論併記が、それぞれの名誉のために必要と思う」と述べ、賛成、反対の主張をともに議事録に残すべきだと訴えた。
大学生の姉が極刑求める「生涯かけても償えない」求刑は無期懲役…“主犯格”は遺族へ謝罪 江別暴行死
【解説】共犯者の求刑と判決 特定少年に「無期懲役」求刑 八木原被告の裁判日程決まらず 江別
検察の求刑は「無期懲役」。
北海道江別市で2024年10月、男子大学生が集団暴行をうけ死亡した事件で、強盗致死などの罪に問われている主犯格とされる男の裁判が結審しました。
(被害者の姉)「あなたは生涯をかけても償うことはできないと思います。極刑を強く求めます」
8月3日に開かれた川口侑斗被告の裁判。
長谷知哉さんの姉が涙ながらに意見陳述した際には、川口被告はうつむき、唇をかみしめながら聞いていました。
強盗致死などの罪に問われている川口侑斗被告と当時17歳の少年は2024年10月、江別市の公園で八木原亜麻被告や川村葉音被告らと共謀し、大学生の長谷知哉さんに暴行を加えて死亡させたうえ、現金やカードを奪うなどしたとされています。
主犯格とされる川口被告に対し、3日の裁判で検察はー
(検察)「すべての犯行を主導した。被害者の死に直結する暴行を最も多数回加えた」
長谷さんとは面識がなかった川口被告。
川村被告から長谷さんと八木原被告の交際トラブルを聞き、電話で呼び出したことで暴行に発展しました。
(川口被告)「どうしたらいいの、この服は。血ついたじゃん。全額出せ」
金品を奪うきっかけとなったのも川口被告の一言でした。
これまでの裁判では、川口被告が率先して50回以上、殴る・蹴るなどの暴行を加えたことが明らかになっています。
検察は、「関与したすべての責任が重大で類を見ないほど悪質な犯行」として、無期懲役を求刑しました。
弁護側も「人間らしい所を一つも感じないほど残酷な犯行」と事実は認めつつ、川口被告の育ってきた環境などを考慮すると懲役25年が適正であると主張しました。
裁判の最後に、裁判長から「何か言いたいことはあるか」と聞かれた川口被告はー
(川口被告)「被害者には幸せな日々があったのに命を奪ってしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。今後できる限りの反省・謝罪、償いの日々を送り続けます」
立ち上がり、言葉を詰まらせながら遺族の方へ謝罪しました。
判決は8月7日に言い渡されます。
※STVでは今回の裁判の「特定少年」について、事件の重大さや社会的影響などを総合的に判断し、実名で報道しています。
「血がついた弁償代」「やっちゃえと言われた」凄惨な暴行と責任の押し付け合い【江別集団暴行死】主犯格の男(当時18)と少年(当時17)の裁判まもなく判決 《連載①》
責任の”すり替え”と”押し付け合い”
2024年10月25日深夜から翌26日未明にかけて、北海道江別市の公園で、当時20歳の大学生だった長谷知哉さんが男女6人による集団暴行を受け死亡した強盗致死事件。これまで、長谷さんと交際していた八木原亜麻被告(21)を除く5人の裁判員裁判の法廷で事件の詳細が明らかになってきました。
すでに一審の判決が確定した共犯者もいる中で、「主犯格とされる当時18歳でアルバイトだった男」と川村葉音被告(21)と交際していた「当時17歳のアルバイトの少年」の2人の裁判員裁判の審理が結審し、判決が7日に言い渡されます。
2人がどのように犯行に関わったのか、公判をふり返ります。《連載(1)》
頭や顔への強い暴行は30回から40回以上
長谷さんが受けた暴行は、常軌を逸したものでした。7月21日の公判で、検察側の証人尋問に出廷した長谷さんの遺体を司法解剖した医師は、遺体の状況を証言しました。
医師は、直接の死因について「外傷性ショック」であり、全身の血液量の20%から30%が皮下組織や筋肉内へ流出したことによるものと証言しました。
その出血した部位の6割から7割が頭部と顔面に集中していたとしたうえで、「顔、頭は出血していないところがないくらいの出血です。皮下組織、筋肉も出血していて、出血で厚みができる状態」と述べました。
さらに、頭や顔への強い暴行は「30回から40回以上だと考えられる」と指摘。急性硬膜下出血やくも膜下出血についても、「思い切り顔面を殴る、蹴るで強く揺さぶられれば、今回のような出血がおこる可能性はある」と述べ、凶器を用いなくとも手や足での暴行で脳へ損傷を与える可能性はあると証言しました。
背中の損傷についても、腰付近の背骨が折れていた点について「体の深い位置にあり、背部を局所的に蹴られる、踏まれることがないと、そう簡単に折れないと言える」と強い暴行があったことを示唆しました。
「全ての出血が被害者を死に追いやった」
検察側からの「外傷性ショックとは関係ない暴行はあるか」という問いに対し、医師は「全ての出血が被害者を死に追いやった」と述べ、執拗な暴力の全てが死因に直結していたと証言しました。
7月15日の公判で、主犯格とされる当時18歳の男は、弁護側の被告人質問で、当時の暴行の様子を証言しました。
主犯格とされる男は、最初の暴行(第1暴行)について「お腹を左足で1回蹴り、右手であごの付近を殴り、被害者さんの足付近を蹴ったり、倒れた時お腹を蹴り、謝罪中に顔を蹴りました。20回くらい暴行しました」と自らの暴行を認めました。
長谷さんが立った状態で謝罪したことに対し「なんで上から目線で謝罪しているのかと思い、土下座させて、その後、寝っ転がって質問に答えていたので立てやと言いました」と述べています。
「血がついたことで、弁償代を払わせようと思いました」
さらに暴行がエスカレートし、金品を要求するに至った経緯について、主犯格とされる男は「血がついたことで、弁償代を払わせようと思いました」と証言。「当時、自分の服に血がついて、新千歳空港から向かったので、迷惑をかけられたこともあって、迷惑代と血がついた弁償代として強く言いました」と、身勝手な理由で金品を要求したことを語りました。
一方、共に審理を受けている当時17歳のアルバイトの少年も、7月16日の弁護側の被告人質問で、自身の暴行について証言しました。
少年(当時17)は、暴行の後半(第3暴行)において「右手で左頬を殴りました。坂の上で、どういう理由かわからないですが、本気で殴りました」と証言。
長谷さんが、当時、現場の様子を録音をしていたことに主犯格とされる男が気付き、長谷さんが逃げようとした際、主犯格とされる男から『やっちゃえ』と指示を受けたと主張しました。
弁護人から、被害者の体のどこにどういうことを何回したか問われると、「まず、右の拳で左頬を1回殴りました。立った状態で2、3回腰あたりを本気で蹴りました」「その後、曖昧ですが、腹と胸付近、背中を蹴ったり踏んだりしました」と証言。合計で何回ぐらい暴行したかという問いに対しては、「暴行は55回前後です」と具体的な数字を挙げて答えました。
しかし、法廷で明らかになったのは、凄惨な事実だけではなく、共犯者間での証言の食い違いと、責任をなすりつけ合うような姿勢でした。
第1暴行の開始状況について、主犯格とされる男は、自身が暴行を始めた際に少年(当時17)に対して『やれ』と指示を出し、少年も加わってきたと証言しました。また、財布をあさって金品を奪うきっかけを作ったのも、少年(当時17)が「カバンひっくり返せ」と言って長谷さんのリュックを取り上げ、中身を地面に広げたからだと主張しました。
これに対し、少年(当時17)は、第1暴行の時点では「主犯格とされる男が暴行している様子を見ていただけで、自分は一切暴行をしていない」と否定。カバンをひっくり返した件についても、自らカバンをひっくり返して中身を出した事実はなく、主犯格とされる男がしびれを切らして自らカバンを取り上げたのだと反論しました。
また、少年(当時17)が長谷さんに馬乗りになって殴り続けていたとする主犯格とされる男の証言に対しても、少年(当時17)は「正面にしゃがみ込んで顔面を2、3回殴っただけであり、またがってはいない」と否定。
逆に、長谷さんの両側に立って蹴っていたのは主犯格とされる男と、当時16歳の少年(懲役9年~13年の不定期刑が確定)の2人であったと主張し、互いに相手の責任を重く見積もる証言を繰り返しました。
公判では、暴行の大部分を担ったとされる2人の被告。しかし、細部について、責任を押し付けようとする姿勢が見られました。
2人の被告人の裁判員裁判の判決は、7日に言い渡されます。
起訴状によりますと、主犯格とされる当時18歳のアルバイトだった男は、当時17歳の少年ら男女5人と共謀し、2024年10月25日から26日にかけて、長谷知哉さん(当時20)の顔や腹部を多数殴る蹴るなど暴行。
さらに「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」などと脅迫して暴行を加え、現金やカードなどを奪い、長谷さんを外傷性ショックで死亡させたうえ、奪ったクレジットカードでたばこなどをだまし取ったほか、キャッシュカードで現金12万7000円を引き出したなどとして、強盗致死や詐欺、窃盗などの罪に問われています。
【熊本地震】”焼けるような暑さ”の被災地…八代市では『かき氷』に涙「一生忘れない」無料で振舞ったのは地震で廃業決めた78歳の居酒屋店主「生きている間はボランティアせな」
熊本県で最大震度7を観測する強い地震が発生してから、まもなく1週間。被災地では熊本市で最高気温が40度を超えるなど、暑さが被災者を苦しめています。
MBSが取材した地域では住民同士の助け合いや支援により食料は足りているといいますが、暑さで食欲がなく、食が進まないという人も…。
こうしたなか、八代市で長年居酒屋を営んできた78歳の女性は、地震で店が崩れ、再建を諦めました。週末に出店するはずだった祭りも中止に…。
そこで、仕入れていた氷を使って住民に無料でかき氷をふるまうことにしました。
キンキンに冷えたかき氷。「一生忘れない いままで食べたかき氷のなかで一番おいしいかもしれない」と涙を浮かべながら平らげる人の姿もありました。
過酷な真夏の被災地の週末の現状を取材しました。
15年営んできた店が被災 78歳の居酒屋店主
最大震度7を観測した熊本地震では3400棟以上の家屋が倒壊しました。震度6強を観測した八代市では多くの人が片付けに追われていました。
市内で飲食店を営む山崎洋江さん(78)もその一人です。
(居酒屋やまちゃん・店主 山崎洋江さん)「きょう(7月31日)電気がやっときました。電気がやっときたから仕事せないかん」
山崎さんはこの場所で、約15年にわたって居酒屋を営んできました。
被災で店の廃業を決意
Qお店はどうする?
「もうやめます。もうやめにゃできんもん。修理するのも大変。何百万円ではきかん。あと2年で80歳だからもう(店は)やめます」
Qいま寝る場所は?
「きのうは車で寝ました。きょうはもうクーラーがあるのでここ(店)で寝ます」
自宅は壁や天井が落ち…ブロック塀も崩れる
山崎さんは夫と2人で八代市のとなり、震度7を観測した氷川町で暮らしています。取材班が訪れると、崩れたブロック塀が道に散乱していました。
(山崎洋江さん)「これ(ブロック塀)私たちではのけきれないので、ボランティアが来るまでこのままの状態です」
建物の倒壊は免れたものの家の中は壁や天井が落ちたほか、家具は倒れ、食器も散乱しています。そのため、電気が復旧した「店」で過ごすことにしたといいます。
ただ、断水は続いています。普段からたびたび水を汲みに行っていたという湧き水のスポットへ向かいますが。地震の影響で通行止めになっているところもあり、約1時間かけてようやく到着しました。
Q2リットルが12本ということは24リットルをひとりで運ぶ?
(山崎洋江さん)「そうそうそう。これで10日ぐらいは(もつ)」
祭りに向けて仕入れていた「氷」を地域の人たちのために
2日、店の隣で何やら準備をしている山崎さんの姿がありました。
Q何をする予定ですか?
(山崎洋江さん)「かき氷です。けさ決めました。氷が冷凍室に入っていて溶けてしまうしもったいないから」
この週末に予定されていた八代市の祭りに向けて大量に氷を仕入れていましたが、祭りは地震のため中止に。溶けずに残っていた氷でかき氷をつくり、無料で地域の人たちに配ることを思いついたといいます。
(山崎洋江さん)「気温が高いからここで出してあげたらいいかなと思って」
気の抜けない日々の中…かき氷の味は「いままで食べた中で一番おいしいかも」
準備をしていると、さっそく、通りがかりの女性が。
(女性)「おいくら万円ですか?」
(山崎さん)「よかよ。ボランティア、ボランティア」
(女性)「本当に!?泣いちゃう」
思わず涙をこぼす女性。
女性は介護の仕事をしていて、地震を受け、担当している家庭を回り水を届けるなど気の抜けない日々が続いていたといいます。
(女性)「一生忘れない。いままで食べたかき氷の中で一番おいしいかも。本当に」
約100杯のかき氷をふるまう「生きている間はボランティアせな」
その後もかき氷を求める人が続きます。
(男性)「(前を)通ってたら、やまちゃんやってたでしょ。えらかと思って。ひと言やまちゃんに声かけないかんと思って、車とめて降りて。えらい。普通の人はできん」
そして午後3時半、持ってきた氷がすべて無くなりました。無料でふるまったかき氷は100杯ほどになりました。
Q自身も大変なのにボランティアを?
「生きている間はボランティアせな」
Q何をしている瞬間が楽しいですか?
「お客さんの相手をしているとき。うれしいよね」
(2026年8月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
嘘つき高市首相“鬼リピ”フレーズ「実質賃金の上昇率はG7で最も高い」は追い風参考記録のマヤカシ
最近、高市首相が好んで繰り返すフレーズが「わが国の物価上昇率はG7で一番低く、実質賃金の上昇率はG7で最も高い水準」だ。国会答弁や記者会見で「鬼リピ」している。
「国会閉会会見でも飛び出し、直後に内閣広報官のXも裏付けの資料を投稿。6月26日に総理も出席した『中東情勢に関する関係閣僚会議』に提出の『G7の消費者物価と実質賃金』がそれ。総理はいたく気に入り、以来、決めゼリフと化しています」(官邸事情通)
支持率急落は物価高対策への不満も一因だ。高市首相はガソリンの暫定税率廃止や補助金などの成果を強調。G7各国との比較を持ち出し、不満をカキ消したいのだろうが、都合のいい「数字の切り取り」に過ぎない。
5月の毎月勤労統計調査(確報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.6%増。プラスは5カ月連続で、実質賃金の計算に使う消費者物価指数は同1.7%増だった。今年に入り、物価上昇率は2%未満に収まり、5月のエネルギー価格は前年から2.5%下落。価格抑制策はある程度、奏功したと言えよう。
だが、広報官の資料をみても、日本の実質賃金は2024~25年末で、ほぼ「G7最下位」をキープ。実際、22~25年は4年連続で前年比マイナスを記録し、22年4月~24年5月には過去最長を更新する実に26カ月もの間マイナスが続いた。
■「スリ替える論法は詐欺師同然」
「22年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機とした猛烈なインフレに賃上げが追いつかず、実質賃金が前年から1.6%増えたところで、どん底から抜け出せていません。20年平均を100とする実質賃金指数は、今年5月でも84.4と回復は道半ば。すでに先行指標の東京都区部の物価指数は上昇しており、再びマイナスに転じるのは時間の問題です。しかも、1月から毎勤の調査サンプルが変わり、前年も集計対象となった『共通事業所』の数値と比べると基本給にあたる所定内給与が0.5ポイントほど上振れている。ゲタを履かせた数字の疑いもある。ホンの一瞬の“追い風参考記録”を賃金や物価の基調にスリ替える論法は、詐欺師も同然です」(経済評論家・斎藤満氏)
日本の名目賃金も過去30年ちっとも伸びず、G7最低に低迷。トップの米国とは2倍近い差の沈んだ状態で、嘘つき首相に胸を張られても困る。
◇ ◇ ◇
政府の「数の切り取り」は今に始まったことではない。関連記事【もっと読む】ハリボテの実質賃金「4カ月連続プラス」…巨額の税金つぎ込んだ補助金政策で“ゲタ履き”が実態…も合わせて読みたい。
「トイレは庭で、夜の闇に紛れて」灼熱の現地ルポで発覚、被災者たちの“過酷なイマとたくましさ”
地震の爪痕を歩くと、恐怖の瞬間を知る60代女性に話を聞くことができた。
「突然ドーンと大きな音がして、地響きがしたとよ」
大地震発生時の状況
熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生したのは7月28日午後4時27分ごろ。宇城市と氷川町で震度7を観測し、嘉島町の「イオンモール熊本」では地震の約1時間20分後に爆発が起き、7人が死亡した。県の発表によると、地震の死者は計36人に上る(8月1日時点)。
冒頭の女性はイオンモール近くに自宅がある。
「外に出ると建物からキノコ雲のような白煙がもくもくと上がっていて、あぁ、爆発したんだと気づきました。娘がちょうどイオンに行っていて、爆発したときは買い物を終えて車に乗り込んだところだったそう。奇跡的に無事でした」(前出・60代女性)
外壁や窓ガラスが吹き飛んで骨組みはむき出し。女性の孫の女子中学生は寂しそうに話す。
「この夏休みは週3、4日は行っていました。友達と一緒にTSUTAYAやマック(マクドナルド)へ行ったり、カプセルトイコーナーに立ち寄って遊ぶんです。みんなの居場所がこんなふうになってしまって悲しい。また、元どおりになってほしいです」
県内各所で断水や停電が発生し、灼熱の被災生活を余儀なくされている。
「停電も断水もなかったんですが、地震の2日後も水道水が濁っているんですよ。泥水でシャワーを浴びても気持ち悪いので、熊本市内の実家までお風呂に入りに行っているんです」(嘉島町の40代女性)
被災地の過酷な実情
断水が続く宇城市は家屋の損壊も激しい。自宅が半壊した40代女性は言う。
「クーラーが壊れたので扇風機を回しています。風呂に入れないのでタオルで身体を拭いていますが、それだけだとやっぱり身体が臭うんですよね。心配なのは高齢の母親。別居しているので、熱中症にならないように毎日、氷やアイスクリームを届けています」
庭先にブルーシートの屋根を張り、その日陰で過ごす家族がいた。自宅はほぼ全壊。暑さは大丈夫か。
「意外と風通しがいいんですよ。日中はだいたいここにいますね。避難所は気を使いますし、愛犬と離れずに生活できます。起きたことをクヨクヨしても始まらない。どうなるかわからんけど、精いっぱいやろうと思う」(70代女性)
2つの暑さ対策を心がける70代男性に会った。
「高齢になると、それほど水分をとらなくてもいいような気がするんだけど、脱水状態にならないようにチビチビ、こまめに飲むようにしている。それと、塩アメをなめる。不便なのはトイレ。小は田んぼや畑でできるけど、大のときは車を運転して、断水していない知人宅に行っとるね」
別の年配女性は、小声で教えてくれた。
「トイレは庭でしとる。ばってん、なるべく夜の闇に紛れて(笑)」
たくましい被災者が、たくましくいられるうちに、復興の道筋をつけて支援の輪を広げたい。
週刊女性2026年8月18日・25日号
皇室典範改正で注目される旧宮家男子の養子縁組 最も受け入れに前向きと言われるのは三笠宮家、当主の彬子女王は宮家継承に強い意欲
7月に成立した改正皇室典範で、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることが可能になった。改正を推し進めたのは麻生太郎・自民党副総裁とされるが、この先にどのようなシナリオが待っているのか――。【前後編の前編】
旧宮家男子が皇族となった場合その子の皇位継承順位は
「ようやく成し遂げることができた。すべての関係者に敬意を表したい」
自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」会長の麻生氏は皇室典範改正の成立についてそう語った。旧宮家の男系男子と皇族との養子縁組を可能にする改正を推進してきたことはよく知られている。
改正皇室典範では、養子皇族に皇位継承権はないが、「養子皇族から生まれる男子」は皇位継承権を持つと定められた。男系継承派である麻生氏の悲願達成の思いがこもった言葉だったのかもしれない。
麻生氏肝煎りの改正が成し遂げられ、今後、具体的にどのようなかたちで「養子受け入れ」が進められていくと考えられるのか。
今回の改正によって、養子皇族に男子が生まれた場合、皇位継承順位は秋篠宮、悠仁親王、上皇の弟である常陸宮に次ぐ第4位ということになる。
だが、男系継承派は、確率的に4つ以上の男系宮家を立てる必要があると考えているため、最低でも4人の養子入りを期待する声が上がっている。複数の旧宮家男子が養子縁組で皇族となった場合、彼らの子の皇位継承順位がどのように決められるのかをまず整理しておきたい。
改正皇室典範では、養子皇族の子の皇位継承順位について、〈実方の系統によるものとする〉と規定された。「実方」とは養子皇族の実家である旧宮家のこと。どの宮家と養子縁組するかにかかわらず、養子の子の皇位継承順位は実家である旧宮家の皇族離脱前の順位で決めていくということだ。
皇族の養子候補となる「未婚(配偶者がいない)の男系男子」は少なくとも11人、賀陽(かや)家に2人、久邇(くに)家に1人、東久邇(ひがしくに)家に6人、竹田家に2人とされる。この4家の皇籍離脱前の順位を見ていく必要がある。
政府の『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』に内閣官房が提出した検討資料には、旧11宮家が皇籍離脱する直前の昭和22年10月時点の系図と皇位継承順位が書かれている。それによると、当時皇太子だった上皇、常陸宮や「3直宮家」と呼ばれた秩父宮、高松宮、三笠宮の親王らに次ぐ第7位は山階宮(やましなのみや)武彦王、8位は賀陽宮恆憲(かやのみやつねのり)王となっている。