小泉農相「議論しないと動けないならこの結果出せない」…元農相の「自分で決めて自分で発表してしまう」との苦言に反論

自民党の野村哲郎・元農相が政府備蓄米の随意契約による放出に苦言を呈したことについて、小泉農相は1日、東京都内で報道陣に対し、「一つ一つ党に諮らなければいけないなら、誰が大臣でも大胆な判断はできない」と反論した。
野村氏は5月31日、鹿児島県での会合で、小泉氏が随意契約への変更を党農林部会に諮らなかったとして「自分で決めて自分で発表してしまう。ルールを覚えてもらわないといけない」と述べていた。小泉氏は「緊急事態なので、じっくり議論しないと動けないなら、この結果は出せない」と指摘した。

和歌山県知事選挙、宮崎泉氏が初当選…前知事の県政継承訴え支持広げる

和歌山県知事選は1日、投開票され、新人で前副知事の宮崎泉氏(66)(無=自民・立民・国民・公明・社民推薦)が、共産党公認の新人で元和歌山市議の松坂美知子氏(68)を破り、初当選を果たした。投票率は39・86%(前回39・86%)。
岸本周平前知事が在任中の4月15日に死去したことに伴う選挙。与野党相乗りの支援を受けた宮崎氏は、岸本氏が推進してきた県政の継承を掲げ、子育て施策の拡充や南海トラフ地震など災害対策の充実、地域活性化などを訴えて幅広い支持を集めた。

小池都知事「知事与党」で都議席の過半数獲得に向け精力的、野党は危機感「知事に前面に出られると…」

夏の参院選の前哨戦として注目される東京都議選(13日告示、22日投開票)。各党が気にかけるのが、都民の人気が高い小池百合子知事(72)の動向だ。精力的に立候補予定者の集会に顔を出し、新たな目玉政策を打ち出すなど存在感を放っている。(貞広慎太朗、松下聖)

5月17日の昼前、小池知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の荒木千陽(ちはる)都議(43)の事務所開きが中野区内で開かれた。小池氏は50人超の支持者の前でマイクを握ると、育児に奮闘する荒木氏に言及し、「(子ども政策で)こんなことが足りない、あんなことがあったらいいと、私にびしばし言ってくれる」と持ち上げた。この日は、八王子市と多摩市で行われた都ファの集会にも駆けつけ、エールを送った。
小池氏は2021年の前回都議選時、コロナ禍への対応で多忙を極め、告示直前に過労で入院。党の顔を欠いた都ファは、小池氏と一定の距離を置いていた自民党に都議会第1党の座を明け渡した。荒木氏は「『候補を勝たせたい』という知事の強い気持ちを感じる。知事が応援に入れば現場の士気が上がる」と歓迎する。

「チームで勝つことが重要よ」。都ファ関係者によると、小池氏は5月の大型連休前、都議選の戦略についてそう強調したという。
「チーム」とは自民、都ファ、公明の3党を指す。都ファと公明に加え、自民も昨年の都知事選で小池氏支援に回っており、3党は現在、都議会の「知事与党」と呼ばれる。3党の議席数は計79議席と定数(127)の過半数を占め、小池都政を支える。
小池氏は5月16日の記者会見でも、「都政に協力いただき、東京大改革を進めてくれる方々を応援する」と都議選への積極関与を明言した。都ファ関係者は「知事の支持勢力が過半数の議席を取れるように、手を打つということだ」と解説する。
実際、小池氏が3党への配慮を見せた場面があった。今夏4か月間の水道基本料金を無償化する方針を先月発表した際、前日に3党から無償化の緊急要望を受ける場を設けた。要望を政策に反映させたとの演出で、3党に花を持たせた。
自民は、派閥に続いて都議会会派で発覚した政治資金パーティー収入の不記載問題への逆風がなお強い。ある自民都議は「我々にとって、知事に近いことをアピールできるメリットは大きい。選挙での応援も頼みたいと考えている」と明かす。

野党側は小池氏の動きに警戒を強める。
読売新聞社が5月16~18日、都内有権者を対象に実施した都議選情勢調査によると、小池氏の支持率は55%だった。支持政党別でみると、無党派層の5割超、立憲民主党の支持層も5割近くが支持した。
共産党の都議は「自分たちの政策を訴えて戦うだけだ。知事と3党をひとくくりに批判していく」と強気だが、立民都議は「知事に前面に出られると、他党に票が流れかねない」と危機感をあらわにする。

【速報】「人が燃えている」コンビニ駐車場で発電機から発火 40代妻に火が燃え移り全身やけどし重傷 夫も腕にやけど 燃料漏れ出し引火か 大阪・東大阪市

1日午後、大阪府東大阪市にあるコンビニエンスストアの駐車場で、店を訪れていた40代夫婦の車に積んでいた発電機が落下し、その後発火しました。火は付近にいた妻に燃え移り、妻は全身をやけどするなどして重傷です。警察は詳しい状況を調べています。
1日午後3時20分ごろ、東大阪市中石切町にあるコンビニエンストアの駐車場で、通行人の男性から「人が燃えている」と警察に通報がありました。
警察などによりますと、コンビニエンスストアに40代夫婦が車で訪れていましたが、その車に積まれていた発電機が落下したということです。
付近にいた妻が座って作業をしようとした瞬間、突然発火し、火は妻の全身に燃え移ったということです。
その様子に気づいた夫はコンビニの店内に助けを求めに行き、店員らと協力し妻に水をかけるなどして消火を行いました。
妻は病院へ搬送されましたが全身をやけどする重傷で、夫も腕にやけどをするケガをしました。
発電機が落下する直前には車の付近で物を投げつけるなどして口論となる様子があったということです。
警察は車に積んでいた発電機が落下した後に燃料が漏れだし引火したとみて、発電機が落ちた経緯を調べるとともに、事件と事故の両面で当時の状況を調べています。

「会社にいたければ黙っているように」…福島・いわき信組不正、上司らによる口止め行為も確認

「我が国の金融機関の歴史を見ても類例をみないほどに悪質な事案」――。いわき信用組合(福島県いわき市)が不正融資による資金流用などを繰り返していた問題で、同信組が設置した第三者委員会は30日、長年にわたる不正を組織的に隠そうとした同信組の悪質な体制を痛烈に批判した。(山口翔平)
調査報告書によると、同信組は、経営状況が悪化した大口融資先に、融資限度額を超えて融資することを画策。遅くとも2004年から事業実態のないペーパーカンパニーを通じた迂回(うかい)融資を行い、07年からは一般預金者などの名義を無断で使った偽造口座で不正融資を始めた。
これらの不正融資を隠すための行為は、歴代の役員らの間で引き継がれていた。融資の返済期限が近づくと、通常は顧客に通知が届くが、無断で口座開設したケースでは、通知を組合側で抜き取っていたという。事情を知らない職員が顧客に連絡しないよう、口座の顧客情報で異なる電話番号や生年月日を登録するという工作も行われていた。
第三者委が全職員に対して実施したアンケートからは、上司らによる口止め行為も確認された。不正融資を知らない職員が手続きに疑問を抱くと上司らから「会社にいたければ黙っているように」「言われたとおりやればいい」などと圧力をかけられたケースがあったという。一連の不正について、報告書では「多数回の犯罪的な不正融資」と断じた。
第三者委の調査の前後にも証拠を隠滅しようとする動きがあった。同信組では、不正融資のリストデータを入れたノートパソコンを保管していたが、第三者委の聞き取りに対し、昨年11月に不祥事が公表される直前に破壊したと回答したという。また、他の役員も業務に関する記録が書かれた資料を処分したとしている。このほか、第三者委の調査に虚偽の説明や重要な資料の提出を行わないなどを繰り返し、「不祥事に伴う第三者委の調査実務でも前例のない状況」と批判した。
今回の調査でも不正の全容解明には至っていない。不正融資の調査から、約8億5000万~10億円の使途不明金があるといい、組合側からも合理的な説明はなかったという。同信組の本多洋八理事長は第三者委の調査報告後に開いた記者会見で、内部調査を現在実施しており、今後結果を報告すると説明した。
同信組に対しては、東北財務局が29日、業務改善命令を出し、6月末までの改善計画の提出を求めている。財務局を監督する金融庁の担当者は読売新聞の取材に「(同信組から)今後提出される報告や計画が本当に正しい内容かどうかも含めて厳しくチェックしていく」としている。

都営バスの50代運転手が終点で施錠しトイレに、女児が車内に置き去り…内規の車内点検怠る

東京都交通局は30日、千代田区の秋葉原駅前の終点の停留所に着いた後のバス車内に、女児が約8分間置き去りにされたと発表した。女児の健康に問題はなかった。都営バスでは4月にも同様の事案が起きている。
同局によると、バスは葛西駅前を出発し、同日午後5時前に終点の秋葉原駅前の停留所に到着。50歳代の男性運転手はトイレに行くために施錠してバスをいったん離れたが、その際に内規で定められた車内点検を怠り、10歳前後の女児を置き去りにした。再び乗車するためバスに戻り、女児の置き去りに気づいたという。

JA解体論も出た「令和の米騒動」の”悪しき構図”

政権を揺るがすほどの大きなうねりを巻き起こした「令和の米騒動」が、ここに来て急転直下の勢いで一変している。
【画像4枚】何を話した? JAグループと大臣室で意見交換する進次郎氏
「コメを買ったことがない」発言で辞任した江藤拓農林水産大臣に代わり、新たに大臣に就任した小泉進次郎氏が「備蓄米5kg2000円」を掲げて、随意契約での売り渡しを進めたからだ。早いところではもう店頭に並んでいるだろう。
とどまるところを知らない米価高騰
米価高騰はとどまるところを知らない。農林水産省によると、全国のスーパーで5月12日~18日に販売されたコメの平均価格は5キロあたり4285円(税込み)で、前週から17円値上がりし、2週連続で過去最高を更新した。
米価高騰はただでさえ物価高にあえぐ家計を圧迫し、食生活に打撃を与えた。

3年ごとにおコメの消費状況を調べている民間調査では、「毎日2回以上食べる人」は5割弱と過去の調査と比べて減少傾向となり、おコメの摂取量が減少した理由を聞くと、「お米の価格が高くなり、購入量を減らした」が38.2%と最も多かった(お米の消費実態調査2025/2025年4月30日/マイボイスコム)。
今やコメの価格はパンを超え、パン食への移行すら促している。今年2月時点でごはん1膳分の価格は約57円となり、2年前のほぼ倍近くに上昇。
一方、6枚切り食パン1枚は約32円で、4枚切り食パン1枚は約48円となっている(「おコメが高いから、パンにしました」ってホント?食料安全保障と農業のキホンの「キ」(8)/2025年4月3日/三菱総合研究所)。
貧困層はもっと深刻だ。NGOの調べによれば、35%の世帯で子どもが十分な量のコメを食べられていない可能性が高いことがわかった。1年前に比べて3倍近くも増加しており、物価上昇によって子どもの健康な発育への影響が懸念されるという(日本/子どもの貧困問題解決/セーブ・ザ・チルドレン/2024年12月12日)。
急激に広まった“JA全農に対する批判”
3月下旬から始まった備蓄米放出でも事態は一向に好転せず、問題発言が原因で大臣の首が飛ぶというオチがついた。だが、1つだけはっきりとしたことがある。誰も真に国民のことを気にかけていないということであった。その事実がひたすら人々の神経を逆なでしている。
そして、JA全農に対する批判が急激に広まったのは、「一部の既得権益層が米の価格をつり上げている」という疑心暗鬼が強まり、犯人を特定したい欲求が高まっているからだ。

航空自衛隊・F15戦闘機 戦後80年、有事に備え“緊急発進”訓練 日本の防衛最前線は…『every.特集』

日本の重要防衛拠点である航空自衛隊・那覇基地で、領空を任されているのは数十人の戦闘機パイロットたち。成層圏に達する“極限の世界”で行われている、F15戦闘機の訓練フライトに記者が同乗しました。戦後80年、有事に備える日本の防衛最前線は…。
日本の領空で訓練を行う、F15戦闘機。
戦闘機パイロット
「これが今90度ダイブ」
上空から地面に向かって、まっさかさま。
“台湾有事”の可能性も指摘される厳しい安全保障環境の中、極限の世界でパイロットは日夜、日本の空を守っています。
指令所
「ターゲット、領空侵入、警告開始」
今回、実際行われている訓練に記者も同乗。空から見えた、日本の防衛最前線は――
航空自衛隊・那覇基地。出勤してくるのは、戦闘機パイロット・大久保俊政さんです。
那覇基地F15パイロット 大久保俊政 1等空尉(33)
「いつも通り安全にフライトができるように、何も考えないように淡々と出勤しています」
飛行歴12年、日本の「トップガン」と言われる、空中戦の専門課程も卒業したプロ中のプロです。
この日、行われるのは…
大久保さん
「2機で対領空侵犯措置の訓練を実施します」
領空に侵入するおそれのある国籍不明機に対して、戦闘機を緊急発進し、侵入させないよう対処する、パイロットが日々従事する任務。
大久保さん
「(国籍不明機は)どのような行動をするかわかりませんし、それに対する通信も制限されているということで毎回緊張します」
若手パイロット・山口航平さん(2等空尉)を大久保さんが指導します。
国籍不明機への緊急発進・スクランブルの回数は2024年度、航空自衛隊全体で704回。うち、7割近くが中国機で、特に那覇基地がカバーする南西地域は中国の軍事活動が活発化。
5月3日には、尖閣諸島周辺で領空侵犯をした中国海警局のヘリにも、この基地から緊急発進で対応。
那覇基地はまさに、緊急発進全体の約6割を担う、日本の重要防衛拠点なのです。拠点を任されるのは、わずか数十人の戦闘機パイロットたち。
今回、記者が特別に実際の訓練に同乗できることに。実は、同乗者も事前に訓練を受け、合格しなければなりません。
記者も、戦闘機が経験しうる、さまざまな低圧環境を再現する訓練装置に入り、低酸素状態や耳抜き等の対応を学んだ上で、この日を迎えていました。
日本テレビ政治部 細川恵里 記者
「圧迫感が」
体重の何倍もの重力加速度(G)がかかることがあるため、耐Gスーツと呼ばれる特殊な服を装着。
大久保さん
「行ってきます」
記者は、大久保さんの機体に乗り込み、いざ訓練へ。那覇から北西約100キロの東シナ海へ向かいます。
大久保さん
「じゃあ、あがりますね」
雲をかきわけ、進む機体。一気に上空3000メートルほどに。
大久保さん
「時速700キロくらい出ています」
記者
「全然わからないですね」
まずは、機体を旋回させ重力加速度=Gをかける、パイロットの基本訓練。
大久保さん
「Gかけます、軽めです。これが4Gくらいです」
体重の4倍の重力がかかっていることに。身体が座席に押しつけられるように感じます。
記者
「なかなか、おなかに力が…」
装着した耐Gスーツが自動的に太ももや下腹部を空気圧で締め上げ、脳への血流を維持して、失神を防ぎます。さらに…
大久保さん
「気合入れてください」
スロットルレバーを倒し、加速しながら急旋回させると…
さらにGをかけていきます。身体が機体にねじこまれるような圧力を受け、視界がぼやけます。
大久保さん
「8.4Gです」
記者
「これを当たり前にされているの本当にスゴいです」
大久保さん
「なのでGは結構キツいです」
「今から上、上がりますね」
さらに高い高度へ。空気の密度が低くなり、機体のバランスがとりづらくなるため、独特な操縦技術が必要だといいます。
記者
「高度計がスゴい勢いで上がっています」
大久保さん
「ここまでです。4万9000フィート」
通常の旅客機の飛行高度の1.5倍、高度約15キロ、成層圏に達します。
大久保さん
「空が、上を見れば黒いんですよ。地上で見る空の色と全然違うので」
記者
「地球は丸いみたいな感じ」
こんな特殊な環境で行われる、対領空侵犯措置の訓練。
領空に侵入しようとする1機の国籍不明機役に対し、編隊長役の若手・山口さんと2番機役の大久保さんが緊急発進。山口さんが直接、侵入を阻止します。
領空に近づく国籍不明機のもとへ向かう2機。
山口さんの“想定外”にも対応する力を鍛えるため、後ろを飛ぶ大久保さんが、山口さんを見失ったという設定を突如、加えます。
大久保さん
「ツー・ブラインド(2番機が見失った)」
すぐさま振り向き、機体を振って自分の場所を示す山口さん。
山口さん
「ビジュアル10(10時の方向に自分がいる)」
大久保さん
「リクエスト、ヘディング(方向を教えて)」
山口さん
「240(ツーフォーゼロ)だよ(240度の位置)400ノット(の速度)」
大久保さん
「ビジュアル(見えた)」
無事、見つけてもらうことができたものの…
大久保さん
「遅れるぞ」
山口さんは“想定外”への対応に手間取り、国籍不明機への接近が遅れてしまいました。
大久保さん
「戦闘機パイロットが直接目視をして、この飛行機はどこの飛行機ですと確認しないといけない。遅れがあることは許されない」
国籍不明機に近づく、山口さん。目視で機体を確認し、所属国名や航空機の機種などを地上の指令所に報告します。
山口さん
「ターゲット、黄国、官用機かける1(1機)」
指令所
「通告内容、ライト・ターン・トゥー・サウス(時計回りで南へ)、英語」
指令所は通告する内容や使用する言語を指示。
山口さんは、相手国機が領空に入らないよう横付けしながら通告を実施します。
山口さん
「注意注意/Attention attention.」
「こちらは航空自衛隊/This is Japan Air Self-Defense Force.」
「あと20マイルで日本の領空に侵入する/You will violating Japanese air space at 20 miles.」
「時計回りで南へ、時計回りで南へTurn right to South. Turn right to South.」
ところが、相手国機は従いません。
山口さん
「通告1回目を実施した。ターゲットの行動に変化はみられない」
さらに…
指令所
「ターゲット、領空侵入、信号射撃等によらない、音声による警告開始」
山口さんは領空に侵入した機体にさらに近づき…
山口さん
「警告警告/Warning warning.」
「日本の領空に侵入している/You’re now violating Japanese air space.」
「左回りで360度方向へ/Turn left to 360.」
相手国機に音声での警告とともに、機体を左右に振って警告します。
山口さん
「理解したなら、翼を振れ/If you understand, make rock wing.」
翼を振る相手国機。警告によって、相手国機は従いました。
山口さん
「領空侵入誘導開始」
大久保さん
「最終的に見つけて接敵しているので、しっかり対処の位置に行けて良かったです」
訓練はさらに続きます。次は、フレアを発射する訓練。
山口さんの機体から発光体が。フレアは本来、飛来するミサイルをかわすために、おとりとして発射する装備ですが、よく目立つため、警告としても使われ、2024年9月、領空侵犯したロシア軍機に対しても発射されました。
最後は、ミサイルなどで攻撃するため、互いに相手の後ろをとろうとする「ドッグファイト」と呼ばれる訓練。
大久保さん
「ターン・イン・ファイツ・オン(訓練開始)」
すれ違いざまに山口さんの後ろにつこうと、降下しながらまわりこむ大久保さん。その動きからわずかに目を離してしまった山口さんは、気づいてすぐに旋回を強めようとしますが、大久保さんに後ろをとられてしまいます。
大久保さん
「ノック・イット・オフ(訓練終了)」
「(山口さんの)旋回のタイミングが少し遅かった。判断するのは上空での(自分の)目なんです」
時速800キロを超える高速で、互いに動く戦闘機同士。わずかコンマ数秒の判断の遅れでも大きく結果が変わってしまうのです。
これで訓練は終了。約90分のフライトを終え基地に帰還。
大久保さん
「(訓練で)2回飛んだ後も(緊急発進の)待機とかもあるので、そういうときは疲れます。待機じゃなければ帰りたいです」
過酷な環境で任務に励む大久保さん。その原動力は――
大久保さん
「遊ぶ人~」
子どもたち
「遊ぶ!」
戦闘機を降りれば、3人の子どものパパ。
記者
「基地にいるときと表情が違いますね」
大久保さん
「基地でフライトしているときより忙しいです」
不規則な勤務が続く大久保さんにとって、家族と食卓を囲むのは、週に2回ほどの貴重な時間。
大久保さん
「家族を見ながら飲むお酒が一番おいしいです」
妻の真希さんは、どんなに朝早くても大久保さんの出勤を見送るようにしているといいます。
妻・真希さん
「なるべく行ってらっしゃいはできるようにしたくて、ちょっと危ない仕事なんだなと私自身も感じますし、本当に気をつけて頑張ってねという思いがいっぱいです」
有事のときには、最前線で敵に相対することとなる戦闘機パイロットという仕事。
大久保さん
「最前線で壁となれるように、かつ生きて帰ってこられるように日頃から訓練しています。最前線で国を防護できるということに誇りを持っています」
(5月27日「news every.」より)

「武力による抑止力は必要か」高校生が議論 被爆80年を機に平和学習スタート【NEVER AGAIN・つなぐヒロシマ】

被爆80年を機に広島桜が丘高校では1年生の授業のひとつに平和学習を取り入れました。世界で核の脅威が高まる中、生徒たちが「武力による抑止力は必要か」を議論しました。
広島市東区の広島桜が丘高校で、5月から平和について考える授業が始まりました。受けているのは、1年生です。
■生徒
「武力があって、人が傷つかないって言えるんですか?」
■生徒
「傷つかないっていう保証はないですけど、国民同士で不安がおこるんですよ。武器がないっていうので。」
班ごとにテーマが振り分けられ、ディベート形式で賛成と反対の立場に分かれて議論します。この班は、「武力による抑止力で、国際平和を守れるか」がテーマです。
■「武力は必要」の生徒は…
「武力が必要だと思う理由は、独立の維持。植民地になりづらいというのがあげられます。戦争が起きる前に圧力をかけて戦争を抑制して、あまり手をださないようにするというので防げると思います。」
「軍事力があることで、外交への優位性がとれることです。軍事力があると、ほかの国よりも強い立場をとれます。」
■「武力は不必要」の生徒は…
「武力を持っているから、戦争がなくならないんだと思います。」
「自国に武力がなかったら、無害とみなされやすいから、信用を得やすいのではないかと思います。」
授業には、平和について考えるだけでなく、もう一つの狙いがあります。それは、自らが考えてコミュニケーションをとり、主体性を育むことです。広島桜が丘高校はこれまで、楽しみながら学ぶ授業や、生徒同士が話し合う時間を増やしたほか、身だしなみの校則を撤廃するなど、生徒の自主性を高める改革をしてきました。
この教育方針に賛同し、授業内容などを計画するのをサポートするのが、叶松忍さんです。かつて、広島県の教育委員会や経済産業省で、新しい教育の在り方や、デジタル授業の導入などに貢献してきました。
■PLAY SPACE社長 叶松忍さん
「知識を教え込む、正解を教えるっていうよりかは、生徒たちにいろんな選択肢を提供して、自己決定させる場面を増やしていくっていう必要があるかなと思っています。その過程で、いろんな資質・能力が身に付いていくんじゃないかなと思っています。」
叶松さんに、平和学習を取り入れた理由を聞きました。
■PLAY SPACE社長 叶松忍さん
「広島の歴史文化であったり、今後どんな平和な社会をつくっていきたいのか、そこにどう貢献できるのか、そういったところを自分ごととして考えてもらえるような、そんなきっかけをつくっていきたいなと思ったからです。」
授業を終えた、生徒たちに話を聞きました。
■生徒たちは…
「核自体が複雑で、全人類とかで考えていかなきゃいけない問題だなと思いました。被害者がいっぱいいるので。」
「戦争の恐ろしさについて知って、戦争が起こらないように、平和についてもっと知っていきたいです。」
「暴力もなく、平和にみんなで楽しんでいきたいです。」
「思いやりを持って、行動していきたいと思います。」
被爆80年の節目に始まった平和学習。仲間たちと対話を重ねながら、自分たちの未来について考える夏です。

子どもの自殺はなぜ増えているのか~原因と動機は何か、私たちにできることは何か~【調査情報デジタル】

日本の自殺者数が減少している一方、子どもの自殺者数はここ数年増加している。特に女子の増加が著しい。スマホ・SNSの普及や、いじめ、不登校との関係はあるのか。防ぐためにすべきことは何か、筑波大学医学医療系教授の太刀川弘和氏による考察。
子どもの自殺は増え続けている
日本の自殺者数は、バブル経済崩壊以後14年連続で年間3万人を超えていたが、平成20年より減少に転じ、平成30年にはバブル崩壊前の2万人台に改善した。令和2年には新型コロナウイルス感染症の感染拡大により一旦増加に転じたが、昨年は2万320人まで減少している。
しかし、20歳未満の子ども・若者の自殺者数はむしろここ数年増加している。
特に、小中高生は前年比16人増の529人と過去最多となった。警察庁のデータをもとに厚生労働省自殺対策推進室が作成した資料「令和6年中における自殺の状況」をみると、小中高生の自殺者数は、平成10年頃よりじわじわと増えており、コロナ禍前の令和元年には400人台、令和2年には500人台に急上昇し、以後も伸び続けている(図1)。
その内訳は、小学生15人、中学生163人、高校生351人で、中学、高校生の伸びが著しい。男女別にみると、男子では、令和4年に293人まで増加したが、この2年間で239人まで減少した。一方女子は、令和2年から急増し、令和6年にはついに290人と男子の自殺者数を上回った(図2)。
他の世代の自殺者数は、男性が女性の倍以上あることと比べると、小中高生女子の自殺者数急増は驚異的である。
このように、子どもの自殺は、中高生、女子で増えており、彼らの自殺予防は喫緊の課題である。
子どもの自殺の動機は何か
では、どのような動機で子どもの自殺は生じているのだろうか。
小中高生別に自殺の原因・動機の比率を算出すると(図3)、小学生では、家庭問題(31.3%)、健康問題(25.0%)、学校問題(12.5%)の順に高いが、原因不詳も25.0%と多く、カウントできた全動機の数も16件と少ない。
中学生では、全動機225件中家庭問題(親子関係の不和、家族からのしつけ・叱責など)が23.1%、健康問題(うつ病、その他の精神疾患)が18.2%に対し、学校問題(学友との不和、学業不振、入試の悩みなど)の比率が36.0%と最も高かった。
高校生においては全動機482件のうち家庭問題の比率が10.6%まで低くなる一方、健康問題(うつ病、その他精神疾患)が24.7%に増加し、交際問題も7.7%とやや増加している。学校問題(学業不振、入試・進路の悩み、学友との不和)は39.2%と中学生同様に最も比率が高かった。
一方、中学、高校とも動機不詳の割合は10%程度みられた。いじめの問題は9件と全動機中の0.12%で自殺の動機として高くなかった。
男女別に動機の比率の特徴に違いがあるか検討すると、男子では総計に比して学校問題の比率が、小学生10.0.%、中学生31.8%、高校生42.4%と順次高くなることに対して、女子ではうつ病を主とする健康問題の比率が、小学生16.7%、中学生21.9%、高校生31.5%と順次高くなっていた。
これらをまとめると、小学生では家庭、中学、高校生では学校での適応上の問題が大きいことに加え、男子では学校適応の問題が、女子ではメンタルヘルスの問題が、成長するに従って、自殺の動機の比率として大きくなることがわかった。
子どもの自殺はなぜ増えたのか
しかし、動機の統計は、一人につき4つまで計上しており、個人の自殺の動機としてどれが強い影響といえるのか延べ数ではわからないことに加え、動機不明も一定数おり、経年的には各動機の比率に変化は少ないため、近年の子どもの自殺増加の関連要因を説明するには不十分である。
前項の子どもの自殺の原因・動機の分布は、病気はうつ病、児童期は家庭問題、思春期は学校、友人問題が関連するという、従来の研究の指摘とあまり大きくは変わらない。
一方、ある集団の自殺が急激に増加する場合は、動機に加え、新たな自殺の手段や自殺につながる行動が増えることが報告されている。
例えば、かつて東アジアの練炭自殺、東南アジアの農薬自殺、エストニアのウォッカ乱用などが、自殺者数増加の主な要因となり、これらの販売を制限して自殺が減少したことがわかっている。近年の子どもに関して言えば、過量服薬(オーバードーズ)や自傷行為(リストカット)の増加が指摘されている。
そこで、厚生労働省のデータに加え、警察庁集計による自殺の手段、経済産業省によるOTC医薬品(薬局や薬店で処方箋なしで購入できる医薬品)販売額、文部科学省の「児童生徒の問題行動に関する調査」における、いじめ重大事態発生件数、小中高校生の不登校件数、ならびに総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」におけるスマートフォン利用率について、平成26年から令和6年までの時系列データを収集し、10代の男女別自殺者数の推移と比較した。
結果は表1の通りである。この表では自殺との関連が疑われる指標を行ごとに示し、列に性別の自殺者数との相関係数、解釈を記載している。相関係数とは、ある数字が同じ時期の数字とどの程度関係しているかを示す指標で、片方の指標が増えればもう片方も増えるという関係を示し、係数が1に近づくほど相関が高い。
まず、OTC医薬品の年間販売額の増加は女性の自殺者数増加とのみ有意に相関していた。いじめ重大事態の年間件数の増加は、女性の自殺者数増加と強く相関していた。小中学生の不登校者数の増加は、男女の自殺者数と相関しており、特に女性の自殺者数増加と強い相関を認めた。高校生の不登校者数増加は男女とも自殺者数推移と有意な相関はなかった。
スマートフォンの利用率増加は男女とも自殺者数増加と有意に相関していた。自殺未遂歴増加は女性の自殺者数の増加と強く相関していた。
ただし、ここでいう相関とは、統計学的に同時に数が変化しているという意味で、必ずしも直接の原因を意味しているわけではないことに注意を要する。
子どもの自殺はなぜおこるか
自殺を予防するためには、自殺リスクを上げる危険因子を減らし、リスクを下げる保護因子を増やすことが重要とされる。
子どもの自殺の危険因子には、精神疾患、自殺企図歴、自傷歴、孤立、家族背景(家族の自殺歴、家族関係の不和、虐待体験)、ネガティブなライフイベント(学校不適応、いじめ、喪失体験)、メディアの影響(報道、SNS、アニメ)があげられている。また自殺の保護因子には、家族のつながりの強さ、学校での良好な対人関係があげられている。
さらに、アメリカのジョイナー博士が提唱している自殺の対人関係理論では、人は、「自分が周りに迷惑をかけている」という自己負担感の増大と「自分が孤立している」という自己所属感の減弱があれば自殺願望が高まり、これに自殺する能力や手段が加われば自殺行動が生じるという。
今回の分析結果にこれらの学説を適用すると、近年の子ども、特に女子は家族関係、学校の対人関係のストレスからうつになって自己負担感を生じやすく、また小中学校で不登校となり、孤立すれば孤独感、すなわち自己所属感の減弱も生じやすい。
このような中でスマートフォンの利用は、SNSなどを通して飛び降りやオーバードーズの情報を容易に入手し、具体的に模倣できる。いじめや自殺未遂の増加に周囲の大人たちが十分対応できなければ、不幸な結末が増える。こうして、子どもの自殺が増えているのではなかろうか。
子どもの自殺をどのように予防するか
ここまでの分析を手掛かりに、子どもの自殺をどのように予防すべきか、いくつかのアイデアがみえてくる。
絶対に子どもの自殺を止めたいのであれば、第一の方法として、子どものスマートフォンの所持、SNSの利用、OTCの販売を制限し、高層建物や駅には飛び降り・飛び込み防止の物理的対策を講じるべきである。しかし、今日の社会状況でこのような対策を徹底することは経済的・政策的に困難であろう。
第二の方法として、自殺手段に関するセンセーショナルなメディア報道は、可能な限り自制し、より前向きなメッセージを表現するべきだろう。
子どもは、無意識に他者の影響を受ける被暗示性が高く、共感する子どもの自殺がセンセーショナルに自殺手段とともに報じられれば、社会的学習によってその行動を容易に模倣する。オーバードーズの歌が巷に流行り、女子高生の自殺の案件が具体的にネットで報じられれば、情報は数千倍に拡散して、子どもの自殺を増やす。
現在学校で実施されているスマートフォン利用を含むインターネットリテラシー教育には、自殺に関連する有害情報への対応項目がない。欧米では、SNSを使う子どももメディア発信者であるとして、ネット上で利用者が死にたくなった時に行うこと、友人に死にたいといわれた時の対応など、自殺予防の手法を教える教育が始まっているという。
第三に、自殺未遂者の再企図防止や、子どものうつ病の早期発見・早期治療に本腰を入れる必要がある。
このためには、絶対数の少ない児童精神科医やカウンセラーの養成拡充、子どもの自殺予防の多職種チームの編成など、医療と行政に予算をつけて機動的な支援体制を整備していくこと、また家庭や学校で大人が子どもたちと積極的なコミュニケーションをとり、孤立・孤独にある子どもたちの声を聴くスキルを身につけることが必要である。
子ども向けにSOSの出し方教育や、タブレット型端末やSNSの相談窓口を支援する試みも盛んではあるが、精神科臨床で出会う死にたい子どもの多くは、親や教師など、そもそも身近な周囲の大人に気持ちを話す時間をもらえないことや、話しても理解してもらえないこと、関係をあきらめていることを訴える。
今や親の共働きが当然の家庭で、学校不適応から不登校となった子どもは、誰もいない家でゲームをし、適切な支援がなければ孤立するほかはない。これらの子どもに我々が実施することは、本人の話を真剣に聴き、大人と子どもの、あるいは子ども同士のつながりをほぐし、彼らの居場所を考えることだが、これには大変な時間と労力がかかる。一度傷ついた子どもの心を回復させるのは、専門家でも容易ではない。
現在、「自殺対策基本法の一部を改正する法律」案が厚生労働委員長から提出されており、子どもに関わる自殺対策に社会全体で取り組むこと、学校が責務として子どもの自殺に取り組むこと、心の健康教育と啓発の推進、自殺未遂者への医療支援体制整備、自治体での関連機関協議会設置、子ども家庭庁の所掌業務としての位置づけなどが提案されていると聞く。
しかし、子どもの自殺が増加しているという事実は、サン・テグジュペリの「星の王子様」に書かれているように、小手先の大人の対策が子どもの自殺予防には無効であること、子どもの目線からみた生きるための想像力が、自殺予防に必要なことを示している。
<執筆者略歴> 太刀川 弘和(たちかわ・ひろかず) 1967年生。1993年筑波大学医学専門学群卒業、博士(医学)。筑波大学附属病院、茨城県精神保健福祉センター、茨城県立友部病院、筑波大学保健管理センターを経て、2019年より筑波大学医学医療系臨床医学域災害・地域精神医学教授
青年期精神医学、災害精神医学、自殺予防学が専門。様々な時事問題に隠れるメンタルヘルスの諸相を、個人と社会の相互関係から考察する。茨城県災害・地域精神医学研究センター部長、日本自殺予防学会理事も務める。
著書に「つながりからみた自殺予防」(人文書院)など。
【調査情報デジタル】 1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。