野田佳彦「食料品の消費税率ゼロ」への想いを語る

7月の参議院選挙を控え、各政党間での政策論争が活発化している。立憲民主党党首の野田佳彦氏に、単独インタビューを行った(前編)。
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国民にもっとも訴えたいこと
塩田潮:昨年9月に立憲民主党代表に就任した後、10月の衆議院総選挙での勝利を経て、今年7月に参議院選挙を迎えます。この選挙で国民にもっとも訴えたい点は。
【写真】インタビューに答える立憲民主党党首の野田佳彦氏
野田佳彦:1月に再登場したアメリカのドナルド・トランプ大統領の関税政策で、世界経済が大きく後退すると見ていまして、仮に日米間の交渉がうまく行ったとしても、世界経済全体はかなり冷え込む可能性があると思います。そのとき、土砂降りの雨が降る場合の備えをどうするか。その点への対策が参院選の一番大きな公約になると思っています。
塩田:「土砂降りの雨だと傘をさす、雨がやんだら傘をたたむ」という比喩を使って、消費税問題について触れていますね。
野田:そうです。4月24日に党の各部門から参議院選挙用の公約が出てきました。その一つとして、消費税は特に大きなテーマなので、中身については私と政調会長に一任されるという状況でした。消費税の問題だけを特に取り出してやってきたわけではありません。
塩田:「トランプ関税」による世界経済の動きと、消費税の減税の問題は、どう結びついていると理解すればいいのですか。
野田:物価高対策という意味では、特にエネルギーと食料品が比重として大きい。エネルギーについては、ガソリン税、軽油取引税の暫定税率を廃止する。約1兆4900億円くらいの税収減になります。これはすでに法案を出しています。
もう一つの食料品のほうは、4月だけで4000品目以上の値上げがあり、エンゲル係数で28.3という43年ぶりの水準になっています。単身者、高齢者世帯、子育て世帯が直撃を受けている。これにどう対応するかが喫緊の課題なら、思い切って食料品の消費税の税率をゼロにする。実際は、税制で所得が低い人ほど税負担の割合が大きいという逆進性に関する対策としてもっとも有効なのは、給付付き税額控除だと思っていますが。
塩田:消費税は、所得にかかわらず同じ税率で、低所得者の税負担が相対的に重くなるという逆進性があります。それに対して、所得税の税金から一定額を控除し、控除額より課税額が少ないときにはその分を現金で給付するのが給付付き税額控除で、逆進性対策には有効といわれています。

〈コメ政局〉「進次郎メディアジャック」でほくそ笑む石破自民…国民民主・玉木代表は「エサ」発言で炎上、立憲は「江藤氏続投のほうがよかった」

小泉進次郎農相が誕生して1週間あまり。さっそく政府の備蓄米について、これまでの競争入札での売り渡しをやめ、決まった価格で小売業者に売り渡す「随意契約」を始め、注目を集めている。一方、この状況を複雑な思いで見ているのが立憲民主党などの野党だ。突如として始まった「進次郎のメディアジャック」は、参院選、石破政権の行方にどのような影響を与えるか。
【画像】「エサ」発言で炎上する玉木氏がXにポストした9年前の小泉氏との対談
「『買ったことない』発言は消え、久々の自民党の上げ潮ムード」
「率直にどれもおいしい」「そこまで(味の違いを)感じなかった」。
5月29日、農林水産省で備蓄米の試食会に出席した小泉進次郎農相は2021年産の「古古古米」などをほおばり、備蓄米のおいしさをアピールした。
小泉氏は農相就任後、これまでの競争入札での政府備蓄米の売り渡しをやめ、随意契約を開始した。再来週にも「中小のスーパーに1800円ぐらいの備蓄米が行き渡る」との見通しを明らかにしている。
連日、メディアでは小泉農相の会見や試食会が取り上げられ、さながら「メディアジャック」のような状況になっている。
この状況に喜んでいるのが、裏金問題以降、なかなか明るいニュースがなかった自民党だ。
「物価高の象徴ともなっているコメ問題が好転している。もはやみんな江藤拓前農相の『コメは買ったことがない』発言の記憶は消えているだろう。自民党にとっては久々の上げ潮ムードだ。なんとか参院選まで続いてほしい」(自民党関係者)
小泉農相のメディアジャックは、石破首相にとって「救世主」になるかもしれないというのだ。
「石破首相にとっては、衆院選での自公過半数割れ、10万円の商品券問題と、我慢の政権運営が続いていたが、『進次郎人気』の恩恵を受けて参院選で踏みとどまれれば、続投の可能性が高まる」(全国紙政治部記者)
参院選で与党が非改選議席と合わせて過半数割れとなれば「石破おろし」に直結するが、過半数を維持できれば、しばらく国政選挙がないこともあり、石破政権はなんとか延命できそうだというのだ。
立憲は苦虫、国民民主の玉木代表も「エサ米」発言でピンチ
一方、連日の「進次郎のメディアジャック」を複雑な思いで見ているのが、野党第一党の立憲民主党だ。
立憲は、江藤前農相の「コメは買ったことがない」発言に批判を強め、ほかの野党とともに農相の不信任決議案の提出をちらつかせた。その直後、江藤氏が辞任に追い込まれた経緯がある。
「江藤氏を辞任に追い込んだことが、結果として石破政権に好転のチャンスを与えることになった。コメ価格が下がるのは国民にとっていいことだが、江藤氏が続投してくれていたほうが、コメ発言がボディーブローのようにじわじわと政権にダメージを与えていたのでは」(立憲議員)
そして、国民民主党の玉木雄一郎代表は5月28日の衆院農林水産委員会で備蓄米について「1年たったら動物のエサになるようなもの」と発言。
小泉農相は「事実としてはそうだとしても、放出のあり方について取り組んでいるときに、私としてはちょっと残念だなという印象」と苦言を呈し、与野党問わずほかの国会議員からも玉木氏の発言に批判が広がった。
玉木氏は「小泉大臣も『エサ米』という言葉を使って同じ説明をしています」などと釈明したが、全国紙政治部記者は「国民民主党は今、過去に不倫報道があった山尾志桜里氏を擁立し、批判が高まっている正念場。事実関係は間違っていなくても、注目されている小泉農相との議論のなかではとくに、言葉遣いに慎重にならないといけない」と指摘する。
6月最大のヤマ場「内閣不信任決議案」の行方に影響も
小泉農相の登場によって、コメ価格同様、少し潮目が変わりつつある永田町。「進次郎のメディアジャック」は国会における6月最大のヤマ場・内閣不信任決議案の行方にも少なからず影響を与えそうだ。
立憲の野田佳彦代表は産経新聞のインタビューで、米国との関税交渉に触れ「国難と言われるテーマで国益をかけた交渉をしているときに『不信任案を出します』と言って足を引っ張っていいのか」と、不信任案提出に慎重な姿勢を見せた。
仮に不信任決議案が可決された場合、石破政権は総辞職か衆院解散を選ぶことになり、そうなった場合、「石破首相は自分の手で解散し、勝負するのでは」との見方が永田町では強い。
とある立憲議員は「参院選で小泉農相がコメ価格を下げた実績をもって全国を回ったら、立憲としては厳しい戦いになる。昨年、衆院選でなんとか当選したばかりだし、解散はしないでほしい」とこぼす。
野田代表としては、こうした党内の空気も踏まえ、不信任決議案の提出について最終判断を下すことになりそうだ。
昨年の3位に終わった総裁選では「決着」をキャッチコピーに掲げていた小泉農水相。コメ問題に「決着」をつけられるかどうかが、石破政権の命運を左右しそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

野田佳彦、国難に石破政権と「共闘」か「覚悟」か?

7月の参議院選挙を控え、各政党間での政策論争が活発化している。立憲民主党党首の野田佳彦氏に、単独インタビューを行った(後編)。
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石破政権をどう評価?
塩田:石破茂首相が登場して8カ月が過ぎました。就任直後の2024年10月の衆院選で少数与党政権となりましたが、2025年度予算も何とか成立にこぎつけました。石破首相の政権運営、政策への取り組みをどう受け止めていますか。
【写真】インタビューに答える立憲民主党党首の野田佳彦氏
野田:年齢は同じですが、議員歴は石破さんが先輩です。政治改革の論客で、先頭を切って論陣を張っていた人です。いつも筋論を言う。国益を考え、将来を考えた、本当に素晴らしい政治家だというリスペクトの念と、ある種のあこがれを持って見てきた。そういう意味で、党首討論があるたびに、かみ合う議論ができるのでは、と思っていたのですが。
半年余が過ぎて、何がやりたいのか、よく見えてこない。「一内閣一仕事」と昔から言われてきましたが、その「一仕事」は何をしたいのか、よくわからない。例えば企業・団体献金の問題も含めて、いろいろな意味で、ちょっと残念ですね。
私が首相のとき、野党だった自民党の予算委員会筆頭理事が石破さんで、よく国会で質問した。細かいことを言わず、大局に立って、かみ合う議論ができた。今度、与党と野党の立場が逆になりましたが、同じようにかみ合う議論ができるだろうと思っていました。ですが、現時点で、できていない。国難ともいうべきトランプ関税政策にぶつかり、与党も野党もなく、かみ合う議論をやって国難を突破するための仕事をしたいと思いますね。
私もよくわかりませんが、もうちょっと持ち味を活かしてほしい。もう覚悟の問題だと思いますよ。これが自分の仕事だと思ったとき、本当にやらなければ、とわれわれに訴えてくれれば、それはそうだと思って協力します。
塩田:立憲民主党が重要案件と位置づけて取り組んできた年金制度改革法案を、石破内閣は5月16日にやっと閣議決定して、国会に提出しました。
野田:年金法案は最も重要な議案です。5年に1回、年金財政の検証をやって、それを踏まえて制度改革するのが通例で、それは初めからわかっていることです。一度は3月の中旬に政府が国会に法案を出すことになっていたのに、3月に出さなかった。延期してくれと言うから待っていたが、4月になっても出してこなかった。
基礎年金の底上げ、在職老齢年金の問題など、重要テーマがいっぱいある。特に基礎年金の底上げは、「就職氷河期」世代も含めた現役世代や若者の問題に関わることで、絶対にやらなければいけない。与党も野党も一所懸命に国民に説得していく作業が必要です。
年金制度については政争の具にしない

マンションから女性が転落死、119番した男性「自殺サイトで知り合って集まったが怖くなって通報した」

31日午前2時頃、大阪府枚方市新町のマンション(9階建て)で、「女性が飛び降りました」と近くにいた男性から119番があった。救急隊員らが駆けつけると、マンション脇の駐車場に若い女性が心肺停止の状態で倒れており、病院に搬送されたが死亡が確認された。
枚方寝屋川消防組合などによると、女性は10代とみられる。現場にはほかに、いずれも10代とみられる男性2人がおり、このうち1人は「自殺サイトで知り合って集まった。(女性が転落して)怖くなって通報した」と話したという。
府警枚方署が詳しい状況を調べている。

電話相談は「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570・064・556)まで。18歳以下の子どもの相談は、NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京)が、電話(0120・99・7777)やインターネットのチャットで受け付けている。

差別を恐れ、半世紀言い出せなかった―医師と司法が新潟水俣病だと認めても、行政は患者と認めない 「公式確認」から60年、2度の「政治解決」経ても見えない被害全容

「弟たちは成人前、姉も嫁入り前だった。家族全員が路頭に迷うと考えると、水俣病だとは言い出せなかった」 新潟市で日本海に注ぎ込む阿賀野川。その上流域・新潟県阿賀町で生まれ育った皆川栄一さん(81)が、60年前を振り返る。水俣病患者の家族は就職や結婚でいわれなき差別を受けていた。そのため自身の症状を口に出せず、我慢して働いた。 その後、医師から新潟水俣病だと診断されても、行政からは患者認定を受けられなかった。今は原告団長として、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求める裁判を10年以上率いている。

熊本県の水俣からはるか離れた新潟も、終わりの見えない公害病が発生した土地だ。5月31日の新潟水俣病「公式確認」から60年。被害者や、長年地域に寄り添ってきた医師の話から、今を探った。(共同通信=神部咲希、井上慧、一部写真は金子卓渡)
▽慣れ親しんだ川、汚染された魚
阿賀野川沿いで当時の様子を語る皆川栄一さん=2025年4月、新潟県阿賀町
皆川さんは「阿賀野川に生かされてきた」としみじみ語る。家のすぐ近くを流れる川で、生活のための水をくみ、取れた魚を家族で食べた。川沿いを歩きながら「あそこの岩からよく川に飛び込んだ」「子どものころはもっと水が澄んでいた」と、思い出話があふれ出す。
しかし、身体をむしばんだのも同じ川だった。20歳になった1963年ごろ、手足のしびれや耳鳴りに悩まされ始めた。「頭の中でセミが鳴いているよう」と、つらさをたとえる。大工仕事をしていても頭がぼうっとし、道具をよく落とした。
1956年、熊本での水俣病公式確認に続き、新潟水俣病は1965年5月31日、新潟大学が「有機水銀中毒患者が阿賀野川下流域に散発している」と新潟県に報告したことをもって「公式確認」の日とされる。
新潟水俣病の原因となった旧昭和電工鹿瀬工場=1971年9月、新潟県鹿瀬町(現阿賀町)
水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくと並ぶ四大公害病の一つ、新潟水俣病。新潟県鹿瀬町(現阿賀町)にあった昭和電工鹿瀬工場の排水に含まれていたメチル水銀が、阿賀野川の魚を汚染し、その魚を食べた住民が手足の感覚障害や視野狭窄(きょうさく)を発症した。 水俣病と新潟水俣病は、汚染された魚を食べて発症した点や、症状が共通する。
▽「近寄るな」「金欲しさ」と聞こえた差別
新潟水俣病患者に送られた嫌がらせの手紙 (新潟県立環境と人間のふれあい館提供、撮影時期不明)
皆川さんは「自分も水俣病かもしれない」と考えた。しかし公式確認と同時期に、父が55歳で急死。5人きょうだいの長男として、家族を支える立場になった。「仕事をしなければ家族を養えない」。症状を口に出さず、働くほかなかった。
1968年ごろ、仕事で患者の家に行ったことがある。「近所では『伝染するから近寄るな』とか『大して魚も食べていないのに、金欲しさで申請した』という話を聞いた」。患者や患者の家族に対する差別をひしひしと感じ、自分にも同じ症状があると言い出すことはできなかった。
▽最初の「最終解決」
新潟水俣病の未認定患者救済に関する協定書に調印する村田一昭和電工社長(右)と新潟水俣病共闘会議の清野春彦議長(手前左から2人目)、南熊三郎新潟水俣病被害者の会会長(手前左)=1995年12月11日、新潟市の白山会館
国は1974年、公害健康被害補償法(公健法)に基づく患者認定制度を始めたが、1977年に認定基準を厳格化。原則として複数の症状の組み合わせを必要とした。こうして未認定患者問題が起きた。
1995年、当時の与党3党(自民党、社会党、新党さきがけ)が「最終解決」策を発表。これを受け、新潟水俣病の被害者団体と昭和電工が協定を締結し、昭電が病気特有の症状がある未認定患者に一時金や医療費を支払うことが決まった。 しかし、皆川さんが声を上げられるようになるまでは、まだ時間が必要だった。
▽2度目の「最終解決」が閉ざされる
新潟水俣病の早期救済などを巡り、国への働きかけを求める要望書を花角英世知事(右)に手渡す阿賀野患者会の皆川栄一副会長(左から2人目)ら=2024年7月12日、新潟県庁
転機は2009年。政府は再び「最終解決を図る」として、水俣病特別措置法(特措法)を施行した。1995年より対象を広げて一時金を支払うなどの内容で、新潟県では約2千人に被害者手帳が交付された。 ただ、国は被害者団体などの反対を押し切り、2010年から始めた申請受け付けを約2年で締め切った。
皆川さんは当時、子どもも既に独立していたことから申請を試みたが、2012年の申請期限には間に合わなかった。 翌2013年、医師から新潟水俣病と診断され、県に患者認定を申請。同じ年、国と昭和電工に損害賠償を求め提訴した。ようやく声を上げられたが、症状を自覚してから50年の月日が流れていた。
▽申請の6割、1600件以上が棄却
新潟市で始まった伊藤環境相(左手前から2人目)と新潟水俣病被害者団体との懇談=2024年7月17日
新潟水俣病の認定患者は、公健法に基づく補償が受けられる。しかし認定基準は厳格で、地域で長年患者を診てきた医師が「水俣病だ」と診断しても、自治体の審査会で申請が棄却されることが多い。皆川さんも2度棄却され、現在3度目の申請中だ。 患者認定には5月23日現在で2767件の申請があり、717人が認定、1649件が棄却された。残りは審査中か取り下げ。棄却は申請の約6割を占める。こうなると、被害者にとっては訴訟が頼みの綱となるが、裁判は長期化している。
▽一度も認められない「国の責任」
新潟水俣病訴訟の判決後、新潟地裁前で「国の責任を認めず」などと書かれた垂れ幕を掲げる弁護士ら=2024年4月18日
提訴から10年以上が経過した2024年4月、新潟地裁は皆川さんの水俣病罹患(りかん)を認め、レゾナックに損害賠償を命じた。一方、国の責任は認めなかった。皆川さんは憤る。 「熊本で水俣病が発生していながら、なぜ新潟で防げなかったのか。国の責任がうやむやになるのは許せない」
▽「政治で救済の道を」
新潟水俣病判決を受け、記者会見する原告団長の皆川栄一さん(中央)ら=2024年4月18日、新潟市
1982年に、新潟水俣病の被害を訴える住民が国と昭和電工に損害賠償を求めて提訴して以降、たくさんの訴訟が起こされた。しかし、国の責任を認めた司法判断はない。
新潟水俣病訴訟の控訴審第1回口頭弁論のため、東京高裁に向かう原告ら=2024年12月3日
皆川さんを水俣病だと認めた2024年の判決だが、原告の中には認められない人もいた。全員の認定を求める原告側と、レゾナックの双方が控訴し、現在も東京高裁で審理が続く。終わりの見えない裁判に皆川さんは声を落とす。「まさか10年も裁判を闘うなんてことは考えていなかった」 患者認定されず、特措法からも漏れた住民が国などを相手取った訴訟は2023~24年、皆川さんら複数の原告が水俣病と認められた。それでも行政は患者認定せず、制度見直しに向けた動きもない。
皆川さんは、約2年で申請が締め切られた2009年の特措法の復活を望んでいる。裁判の長期化や被害者の高齢化を踏まえ「政治の力で救済の道を作るしかない」と話す。
▽公式確認当時を知る94歳の医師
多くの新潟水俣病患者を診てきた斎藤恒医師=2025年3月、新潟市
60年前から、大勢の被害者が頼ってきた94歳の医師がいる。長年患者の診察を続け、患者認定を求める住民訴訟でも積極的に証言台に立ってきた。新潟市の木戸病院名誉院長の斎藤恒さんは訴える。「なぜ被害が発生し拡大したか、国はいま一度考え、解決に向かって動くべきだ」
新潟市の診療所長だった1964年の暮れ、阿賀野川流域に住む患者から「盆踊りするような猫がいる」と聞いた。その時は気に留めなかった。翌年、同僚から、新潟大学に有機水銀中毒患者が入院し、汚染源は阿賀野川の魚のようだと聞いた。気になって川を見にいくと、1メートルおきに並ぶ釣り人。「大丈夫なんだろうか」と驚いた。程なく5月31日、新潟水俣病が明らかになった。
▽肌で感じた患者家族の様子
その後は患者の診察に明け暮れた。中でも1965年ごろに診た胎児性水俣病の女児をよく覚えているという。来客から見えない台所奥の小さな部屋に、1人ぽつんといた。当時は国が病を公害認定しておらず、さまざまな臆測や差別が飛び交った。女児には、結婚適齢期のきょうだいがいたという。 「赤ん坊としてあやされもせず、寝かされたままだった」。元々小児科医だったこともあり、心が痛んだ。
こうした空気を肌で感じながら、地域に根差す医師として診察に当たってきた自負がある。それでも、斎藤さんが水俣病だと診断した住民が、直ちに患者と認定されるわけではない。公健法に基づき住民から申請を受け付け、自治体が設置する審査会で患者か否かを判断するからだ。結果が出るまでに数年かかることもある。
▽「自主規制」で被害拡大
斎藤恒医師
斎藤さんは、行政の初動対応に疑問を持っている。県は1965年7月、阿賀野川下流域の5漁協に、魚を捕らないよう行政指導し、協力見舞金として総額50万円を給付した。 ただ斎藤さんによると、法的根拠がない「自主規制」で生活もあるため、魚を捕り続けた漁師がいた。魚を売るため「川魚は食べなかったことに、症状はないことにしよう」とする動きも一部であり、被害が広がったと指摘する。
斎藤さんは「魚の流通を制限できる食品衛生法を国が適用しなかったことも問題だった」と考えている。新潟水俣病は魚に起因する集団食中毒だと捉えられなかった。 現行の食品衛生法は「有毒な、もしくは有害な物質が含まれ、もしくは付着し、またはこれらの疑いがあるもの」について流通を禁じている。一方で1965年当時の法は「疑いがあるもの」という文言がなかった。阿賀野川の全ての魚が汚染されているという確証がなく法は適用されなかった。
斎藤さんは語る。「いつの間にか水俣病は、患者の認定問題になってしまった」。病気だと認定されたのに「ニセ患者」だとレッテルを貼られた人、未認定のために訴訟で生活環境を事細かに説明しなければならなかった人…。そういった患者たちを、そばで診てきた。でも医師として言いたいのは「患者さんは、うそは言わない」ということだ。
▽新潟は健康調査の実施めど立たず
環境省は、熊本、鹿児島両県の住民健康調査を2026年度に始める方針だが、新潟での実施は未定。被害者の高齢化も進み、不満は高まっている。2回の「政治的最終解決」も中途半端に終わり、被害の全容解明も見通せない状況だ。

吹奏楽部の危機…少子化と教員の働き方改革で揺れる学校現場「部員数が減って部活が成立しない」「お金も場所も足りない」

少子化や教員の働き方改革に伴い、国が主導する形で公立中学校の部活動の地域展開が段階的に進められているなか、文化系部活の花形である「吹奏楽部」が今、存続の危機にあるという。現場では何が起きているのか。吹奏楽専門誌『バンドジャーナル』(音楽之友社)編集部に話を聞いた。
【画像】子どものモチベーションが下がる吹奏楽部の地域クラブ移行の問題点
中学校吹奏楽部は10年前をピークに減少が続く
――少子化の影響で、生徒数が少ない学校では吹奏楽部が存続の危機にあると聞きます。今、吹奏楽部はどういった状況にあるのでしょうか。
バンドジャーナル編集部(以下、同) 全日本吹奏楽連盟の加盟団体数の推移を見ると、中学校の場合は10年ほど前をピークに減少傾向が続いています。
現場の教員に取材すると、少子化の影響で、生徒数が少ない学校では部員数が1桁~10人台になり部活動が成り立たなくなっている、という話も聞きます。
そもそも部活動への加入が任意になっている学校が増え、どの部活にも所属しない子どもが増えているようなので、少子化だけが原因ではないかもしれません。
――そうした中、国は令和5~7年度を部活動の改革推進期間として、公立中学校の部活動を地域のクラブ活動へ移行する取り組みを段階的に進めています。具体的にどのように進められているのでしょうか?
誰が地域の受け皿となり運営を担うのか、活動の拠点や指導者をどうするのかといった具体的な部分は各自治体に委ねられています。自治体の方針によって担当部署は変わりますが、多くの場合、教育委員会と一緒に学校教員や有識者が関わって方針を決めていく協議会が置かれています。
その協議会では、教員の働き方を改善しながら「子どもたちのために何ができるか」ということを模索している状況も見られます。
――「地域展開」の背景には、教員の働き方改革があると言われています。
私たちの読者は吹奏楽が好きな方たちなので、その中にいる学校の先生たちに聞くと「部活をやりたいのにできない」という声もあります。しかし一方で、教員の中には「負担が大きいため、部活の顧問になりたくない」と言う人もいると聞きます。
今はまだ部として活動している学校が多いですが、休日だけ地域クラブ活動に移行したところでも、結局は学校の楽器や備品の管理、生徒への指導方法などの課題もあり、これまでの状況をよく理解している教員が運営に携わらないと成り立たない、という話も聞きます。
「『学校施設を使えるようにしてほしい』という声はよく聞きます」
――吹奏楽部が地域クラブ活動に移行する場合に、他にどのような課題がありますか。 吹奏楽はどうしてもお金がかかります。もし「地域クラブ活動」という形で新たに始めようとすると、楽器や楽譜などを購入する費用や、音が出せる練習場所も必要になります。すべて揃うと12種類ある楽器の指導を誰が行なうのかも課題です。
現状、地域クラブ活動に移行したところはまだそこまで多くはありませんが、移行したところでも、学校の楽器を使わせてもらったり、地域の施設を優先して使えるようにするなど、工夫しているところもあるようです。
そういった中、やはり学校の楽器を使い、移動せずに学校で活動できないかを模索している自治体も多いようです。実際、先生たちからは「学校施設を使えるようにしてほしい」という声をよく聞きます。
――そもそも、学校の音楽室は簡単に使用できないものなのでしょうか? 校庭や体育館、音楽室を地域の団体に開放している学校もありますが、音楽室には楽器や備品がたくさんありますし、校舎の中にあるため、職員室など他の教室も含めてセキュリティ対策をしなければなりません。
そうでなければ教員など信頼できる人が管理で立ち会うなど、何らかの対策をしなければ、外部の運営となる地域クラブは音楽室を使用できないでしょう。千葉県柏市は地域クラブのために市内の中学校のセキュリティ工事をしたそうです。
――学校の中に部活動として存在しなくなると、今後、子どもたちが吹奏楽や楽器に触れる機会が減ってしまうことが懸念されますが、いかがですか。 確かに、吹奏楽部が学校から減少すると、楽器を間近に見たり聴いたりする機会は減る可能性がありますね。
ただこれまでにも、中学校の吹奏楽部が小学校に出前演奏に行ったり、地域のお祭りで演奏したり、といった活動が行なわれているので、子どもが吹奏楽に触れるきっかけづくりができれば、中学入学後に「吹奏楽をやってみたい」というモチベーションにつながると思います。
プロの吹奏楽団も、学校に出張演奏に行ったり、講習会を行なったりするなど、さまざまなアプローチをしています。『ドラクエ』などのゲーム音楽を取り上げた演奏会も多く開催され、吹奏楽の裾野を広げてくれています。
あとはメディアの影響も大きいです。過去には映画『スウィングガールズ』が人気に火をつけてくれましたし、今もバラエティ番組『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』の「吹奏楽の旅」新シリーズが始まり、編集部のまわりでも注目している人が多いです。
「合同バンド」で全国大会に出場したケースも
――部員数が足りなくて部活として成立しない場合は、どのように活動を継続すればいいのでしょうか。 少人数のバンドでも、小編成用やフレキシブル編成用の楽譜がありますし、多様な組み合わせのアンサンブルで、工夫して素敵な演奏をしている団体がたくさん出てきています。
吹奏楽コンクールに出たい場合でも、規約が改定されているので地域バンドや合同バンドで出場できます。音楽を楽しむうえでは、あまり人数にこだわらなくてもよいのではないでしょうか。
でも時には、合同練習やジョイントコンサートを企画して、近所のバンドが集まって大編成のサウンドを味わうのも楽しいですよね。子どもも大人も、プロもアマも一緒になって音楽づくりができるのも吹奏楽の魅力なので、学校の外に出て地域で交流する機会をつくったら、少人数のバンドでも楽しみの幅が広がると思います。
ただ、楽器はある程度上達しないと、演奏する喜びが見いだしづらいようにも思うので、練習する場所や発表する場があって、できれば専門的に教えてくれる良い先生がいて…という状況を大人たちが作っていくことが大切になってくるのではないでしょうか。
――吹奏楽の新しいスタンダードになるのかもしれませんね。これからの吹奏楽は新しい時代に突入していくのでしょうか。 私たち大人が、吹奏楽を楽しみたい子どもたちのために、持続可能なバンドのあり方や、新しい価値観に対応する活動を柔軟に考えていければ、この部活動の地域展開がよい転換点になるのかもしれません。
私たち「バンドジャーナル」の編集部員も、吹奏楽部経験者です。もっともっと吹奏楽を盛り上げていきたいし、読者である中高生や先生たちのよりよい活動をサポートしたい。
ですので、新しい時代に対応するべく、吹奏楽の仲間たち同士で会話や議論をする場づくりをしたり、誌面だけでなく、プロ奏者のレッスン動画やバンド指導の取材動画をYouTubeで配信したり、これからも工夫を続けて、日々がんばっている吹奏楽の現場を応援していきたいと思います。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

「こんなに元気なのに…」要介護3の高齢者がデイサービスで週5のカラオケざんまい 介護保険不正のあきれた実態

年間11兆を超え、これからも年々増え続けることが見込まれている介護費用。その大部分は、40歳以上が負担する介護保険料と公費で賄われている。しかし、介護の現場では不正受給や虚偽申請がまかり通っているというが、その具体的な手口はどんなものなのだろうか。
【グラフ】こんなに多いとは……介護保険の財源構成と規模

甚野博則著『衝撃ルポ 介護大崩壊』から抜粋・再構成して解説する。
ウソをついて介護保険の不正受給をする高齢者も
11兆5139億円─。これは厚生労働省が2024年9月に公表した、2023年度の介護費用だ。介護費用は、介護保険からの給付や利用者の負担を含めた額で、2023年度は前年度と比べて2.9%増え、過去最高を更新した。この額がどれほど大きいかといえば、2023年度の日本の国家予算が約114兆4000億円であったことを考えると、その10%近くにもなるのだ。
また2024年度の防衛費の予算が約7.9兆円という規模であることからも、介護費用がいかに巨額かイメージできる。今後も介護費用は増加していくと見られており、もはや介護費といわれる公費が出ていくことに歯止めがかからない状況だ。
私の手元に2分弱の動画がある。動画には、ピンク色の介護服を着た女性介護職員と、初老の男性がカラオケをしている様子が録画されている。これはある介護施設で録画され、施設の関係者が私に提供してくれたものだ。
「この動画はうちの施設にあるカラオケルームで録画したものです。男性は、こんなにお元気なのに要介護3なんです。おかしいと思いませんか」
そう関係者が言うように、グレーのセーターを着た初老の男性は、小川知子と谷村新司のデュエット曲「忘れていいの」を熱唱していた。男性はリズムに合わせて身体を左右に揺らし、デュエット相手の女性職員と見つめ合う場面も。とにかく男性は気持ちよさそうだ。食事、排泄、入浴、移動などの日常生活の動作について、頻繁に介助を必要とする「要介護3」の状態にはとても見えないのである。
「この方は認知症もなくカラオケが大好きで、カラオケをしたいがために週5日、うちのデイサービスに通っていました。要介護3から介護度を下げられてしまうと、週5日通えなくなってしまうため、ケアマネから、『介護認定の調査では、歩けないと言いなさい』『送迎車の乗降は一人で歩いてできないと言いなさい』『トイレには行けず、ベッドの中で尿瓶を使っていると言いなさい』と指導されたと聞きました。嘘の申告をして、介護保険を不正受給してる疑いがあります。こんなことを放置していいのでしょうか」
関係者は怒りを込めて、こう続ける。
「重度の要介護の方が、実は健康で海外旅行に出かけたケースもあります。介助できる子どもがたくさんいるにもかかわらず、介護保険サービスを使って自宅にヘルパーを呼ぶ人など、介護保険が不正に使われている例はたくさんありますよ」
こうした人たちがどれほどいるか正確な数字は不明だが、約11兆5000億円もかかる介護費用のなかには、不正をしている人の費用も含まれている現状がある。
不正請求、虚偽答弁、虚偽申請、人員基準違反が横行
不正請求とは、実際には提供していない介護サービスを提供したと偽り、介護報酬を不正に請求する行為を指す。例えば、訪問介護の現場でヘルパーが実際には訪問していないにもかかわらず、サービスを提供したと虚偽の記録を作成して報酬を請求する事例が代表的である。また、提供されたサービスの時間や内容を誇張し、過剰に請求する「過剰請求」も広く行われている。
虚偽答弁は、監査や調査に対して事業者が意図的に虚偽の情報を提供する行為だ。これは不正を隠蔽するために行われ、介護サービスの適正な運営を妨げる。例えば、監査時に「すべてのサービスが適切に実施されている」と虚偽の説明をし、実際には基準に達していないサービスが提供されていたことが後から発覚するケースもある。
また虚偽申請とは、事業所が介護保険の認可や補助金を申請する際に、実際の状況と異なる内容を記載して申請を行うことである。これにより本来受け取るべきではない介護報酬や補助金を不正に取得する。例えば、介護施設が必要な人員基準を満たしていないにもかかわらず、基準を満たしていると虚偽の申請を行う事例が報告されている。
そして人員基準違反とは、介護サービスを提供する上で必要な最低限の人員を確保せずに運営を続ける行為である。介護施設では、看護師や介護職員が法令で定められた人数に達していないにもかかわらず、サービスを提供し続けることが少なくない。これは、サービスの質を著しく低下させ、高齢者の安全を脅かす重大な違反である。
厚労省の2022年度の報告によれば、1335件の監査が実施され、そのうち487件で改善報告が求められ、288件で改善勧告が行われた。しかし、これらの数字はあくまで監査が実施された事業所に限ったものであり、実際には監査すら行われていない事業所が多く存在する。とくに、全国の自治体のうち、約50.1%しか集団指導を実施していない現状を鑑みると、不正が行われている可能性がある施設はさらに多いのは言うまでもない。
デイサービスでも不正が
また、会計検査院が内閣に送付した「令和4年度決算検査報告」によると、介護保険に関する費用が本来よりも多く支払われていた事例が複数明らかになっている。全国各地の市区町村で、国から支払われる介護給付費や負担金の交付額が過大となっており、その総額は1億4844万円に達していた。この過剰な支出は、税金を使った国の支援制度の不備を浮き彫りにするもので、介護保険制度の問題点が改めて浮き彫りになった。
介護保険制度における費用は、利用者の保険料と税金で賄われる。具体的には、「介護給付費」として介護サービスの提供にかかる費用のうち、利用者の自己負担分を除いた部分を国と地方自治体が負担する。国の負担は25%、都道府県と市区町村がそれぞれ12.5%を負担し、残りの50%を介護保険料で賄う。
ところが、一部の市区町村では、介護給付費を計算する際に「施設介護」と「在宅介護」の区分を誤るケースがあった。これは本来、国の負担割合が低い施設介護サービスを、負担割合が高い在宅介護サービスとして計上したものであり、会計検査院の調査によってその実態が明らかになっている。
例えば、千葉県香取郡神崎町では、2016年度から19年度にかけて、施設介護の費用をすべて在宅介護として計上し、その結果、国からの負担金が483万円も過大に支払われていた。
また、通所介護(デイサービス)においても不正な加算が行われていたことが明らかになっている。18の事業者が基準を満たしていないにもかかわらず、理学療法士や看護職員が十分に配置されていない状態で加算を行い、その結果、75の市区町村で5722万円の過大支払いが発生した。このうち1653万円は国からの不正支出であった。
このような会計検査院の報告は、介護保険制度の運用において地方自治体や介護事業者が正確な処理を行っていないことを浮き彫りにしている。介護保険制度は、高齢者やその家族が安心して介護サービスを利用できるようにつくられたものであるが、運用に不備があればサービスの質が低下し、最も必要な支援が届かなくなる。また、税金の無駄遣いは国民全体に影響を及ぼすため、適切な運用が求められる。
文/甚野博則
『介護大崩壊』(宝島社新書)
「団塊の世代」必読! 知っておかないと「地獄」を見る、介護保険と介護現場のリアル。 絶望的な人手不足、高齢化する介護職員、虐待を放置する悪徳施設、介護保険と介護ビジネスを食い物にする輩――「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年は、「介護崩壊元年」とされるが、現場ではすでに崩壊は始まっている。介護する側も、される側も「地獄」状態なのが今の日本の介護システムである。大手メディアが報じないタブーな現場を徹底レポートする。

「金がなく葬儀できなかった」50代女が80代母親とみられる遺体を遺棄したか「母親は去年6月ごろ死亡」 不審に思った近隣住民には「元気」「今寝ています」と発見前に答える 大阪・松原市

30日、大阪府松原市にある府営住宅の一室に遺体を遺棄したとして、この部屋に住む50代の女が逮捕されました。遺体は女の80代の母親とみられていて、警察が身元の確認を進めています。
死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、松原市のアルバイトの女(50代)です。警察によりますと、30日午後7時半ごろ、府営住宅に住む男性から「台所で人が亡くなっている」と警察に通報があり、駆け付けた警察官が女の部屋の台所で、うつ伏せの状態で倒れている遺体を見つけたということです。
逮捕された女は、母親と同居していましたが、去年12月ごろから母親の姿がみえなくなり、不審に思った近隣住民がたびたび女の家を訪ねていたということです。
その際、女は「元気にしています」「いま寝ています」などと対応していましたが、30日、近隣住民が再び家を訪れ、女の部屋に入ったところ遺体をみつけ、警察に通報したということです。
警察の調べに対し、逮捕された女は「母親は去年6月ごろに体調を崩し死亡していた。金がなく仕事も忙しかったため葬儀もできなかった」などと容疑を認めているということです。
遺体は腐敗が進んでいて、警察は身元の確認を進めています。

「アルバイトをしている場合か」男子高校生の相談を受けた54歳男性教諭が足蹴り 戒告の懲戒処分に「和やかな雰囲気のなかでの行為だった」北海道

北海道教育委員会は29日、帯広市の道立高校に勤務する54歳の男性教諭が男性生徒に足蹴りをしたとして戒告処分としました。
戒告の懲戒処分を受けたのは、北海道帯広市の道立高校に勤務する54歳の男性教諭です。
北海道教育委員会によりますと、男性教諭は2024年10月ごろ、校内で「アルバイトがしたい」と相談しに来た5人の生徒のうち、1人の男子生徒のすねを靴を履いた状態で蹴りました。
男性教諭は「成績が心配なのに、アルバイトをしている場合か」と言いながら、男子生徒を蹴ったということです。
男子生徒にけがはありませんでした。
校内の別の生徒が相談で暴行行為が発覚し、道教委は29日付で男性教諭を戒告処分としました。
男性は道教委の聞き取りに対し、「和やかな雰囲気のなかでの行為だった」と話しているということです。

貸与の公用PCを私的利用、共産党の伊丹市議が辞職…7日前に「えらいことしてしまった」と申告

共産党阪神北地区委員会は30日、所属する兵庫県伊丹市の服部好広市議(73)が、議員控室で利用していた市貸与の公用パソコンを私的利用したとして、同日付で議員辞職したと発表した。私的利用の詳細については明らかにしていない。
同委員会によると、23日に服部市議から「えらいことをしてしまった」と自己申告があり、判明。同委員会が聞き取りを行い、市議会6月定例会前に責任を取って辞職することを決めたという。私的利用の詳細については、同委員会は「プライベートに関わるので、差し控えたい」としている。
市議会事務局によると、服部市議については、公用パソコンを使って、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の講読に関する勧誘メールを市職員約10人に送ったとして、5月14日付で議長が厳重注意を行ったという。庁舎内での物品販売などの禁止行為を定めた「市庁舎管理規則」に違反しており、市職員からの申し出で判明した。
服部市議からは30日、「一身上の都合」として議員辞職願が出されたが、勧誘メールと辞職の関連性は不明という。