《江戸川区》一家3人宅で悲劇…精神疾患のある兄を弟が刺殺、残された母が独占告白「赤の他人の方がマシ」

東京と千葉の県境を流れる江戸川の近く、東京都江戸川区の静かな住宅街にある、一家3人が暮らす団地。近所の公園には高齢の住人が集まり、世間話をするのが常という。
「ケンカになって刺したが、殺すつもりはなかった」
公園にいた高齢男性は、その日の出来事を振り返る。
「パトカーが2台と救急車、消防車も来ていました。急病人ではないなと考えていると、包帯のようなものを身体に巻かれた男性が担架で搬送されていきました」
団地の住人から「兄を刺した」と110番通報があったのは5月15日、午後6時過ぎのこと。警察が駆けつけると、室内で長男・山崎紘佑さん(27)が血を流して倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。
警視庁小松川署は、その場にいた次男・山崎大伍容疑者(25)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。
「包丁で、兄の肩を刺すなどして殺害しようとした疑いです。警察は容疑を殺人に切り替えて経緯や背景を詳しく調べる方針。“ケンカになって黙らせるために刺した。殺すつもりはなかった”などと殺意を否認しているといいます」(全国紙社会部記者)
同じ団地の住人らによると、兄弟は母親と3人家族。5~6年前に引っ越してきたという。事件現場となったのは、現在は次男と母親が2人で暮らす部屋だった。部屋が狭いことなどから、長男は団地内の別の部屋を借りて寝起きしていた。
一家の事情を知る50代の男性住人は言う。
「現場となった部屋近くの通路には、素足で歩き回ったとみられる血の足跡がありました。10や20では済まない数です。翌朝、母親は警察の現場検証を見守りながら落ち込んだ様子でした。息子さんと仲がよく、“気をつけてね”と見送るなどしていました」
親子で買い物に出かける姿も複数の住人が目撃している。
「母親が運転手で、息子さんは荷物持ち。両手いっぱいにスーパーの袋を抱えて自宅に運んでいました」(80代の女性住人)
なぜ、兄弟ゲンカになったのか。残された母親(61)に事情を尋ねた。
「ケンカではないんです」
最初は取材に対して逡巡していたが、「ケンカではないんです」と重い口を開いて、60分にわたって全容を語ってくれた。
「はっきりと覚えていませんが、お兄ちゃんが大伍(容疑者)に“食べ終えた空の弁当箱くらい、自分でシンクに出せよ”などと注意したんです。大伍は過剰反応して、包丁を手にしたみたいで。
普段の大伍は、言われなくても食べ終わった弁当箱はシンクに出しますし、食器洗いも手伝ってくれます。
お兄ちゃんは、私のことを思って、大伍に対して口調が強くなることがありました」
母親によると、大伍容疑者は自閉症で、紘佑さんも19歳のころに統合失調症を患った。母親自身も耳が悪いなどの障害があるという。
兄弟の父親は20年前にバイク事故で他界。長男は小学1年、次男は5歳と手のかかる時期で、母親は働きながら育児をした。
兄弟は母親の苦労を肌で感じたのか、紘佑さんは10代のころから“父親代わり”を務めるようになったという。
「大伍は小学校に通うようになるとパニックになって、履いている靴を公園内の水場に投げ込んでしまうことがありました。それをお兄ちゃんが水場に入って拾い、持ち帰ってきてくれるんです。
お父さんの代わりに大伍の面倒を見てくれました。成績は優秀でしたし、柔道に取り組み、高校で応援団に入ると頼りがいが増しました。声も大きくて。私の心の支えだったんです」
転機は紘佑さんが19歳のころ。コンビニで万引きをしたり、車を棒で叩いて傷をつけるなどの騒動を起こしたことで精神鑑定を受けた結果、統合失調症と診断された。
大手企業で働いていたが、2~3年前に裸で室外に出るといった問題行動を起こして入院。退院後は、別の会社で得意のパソコン業務に従事していたという。
一方、大伍容疑者は障害者雇用で大手通信会社の清掃・工務作業をする定職に就いて、毎朝早く出勤するようになった。
“大黒柱”として一家を支えてきた紘佑さんとの差が縮まったのかもしれない。兄弟の会話は減ったという。
「でも、大伍は職場の人間関係で追い詰められていたんです。私にLINEなどで“疲れた”“仕事を辞めたい”とグチるようになりました」
母親は、成人後も心配事の絶えない息子2人をできるだけ支えようと、毎日午前3時に起床して、2人分の弁当を作った。駅まで車で送ることも頻繁にあったという。
事件当日の朝、いつものように手作り弁当を持たせた母親は、夕刻に帰宅した息子たちに言った。
「ごめんね。今日、お母さん疲れちゃって、ごはん作れそうもないから外食にしない?」
外食から帰宅後、事件は唐突に起きた。
大伍容疑者は包丁を構え、紘佑さんは「やめろよ」と手でブロックしようとしたとみられる。
「目を開けなさい!」
それが災いしたのか、刃は動脈が走る肩付近のやわらかいところに刺さった。
「お兄ちゃんはバタンと床に倒れ、周囲は血だらけでした」
母親は倒れた長男のそばを離れなかった。
「大伍に“早く110番して”“枕持ってきて!”“もっとタオル持ってきて!”と指示して、“救急車が来たら部屋に呼び込んで”と言い、大伍は走って通路に飛び出しました。
思い出すのもつらいのですが、私はお兄ちゃんの頭の下に枕を入れ、次第に意識がなくなっていくなか“目を開けなさい!”“もうヤだよ!”と何度も呼びかけました。それでも瞼は、少しずつ、閉じていってしまって……。
大伍はパニックになっていましたが、救急車のサイレンが近づくと、通路で私と“ここです! ここです!”と、大きく手を振りました」
事件後、大伍容疑者とは面会できていないという。留置施設でパニックになってはいないか、と心配している。
「無理してでも夕ごはんを作ればよかったとか、包丁を目に入らない場所に保管しておけばよかったとか、自分を責めてしまいます。赤の他人に刺されたほうがマシだったと考えたり。
お兄ちゃんとは最近“うなぎ食べたいね。今度、食べに行こうね”と話していたので、出棺のときは、うなぎか、私の作ったお弁当を入れてあげたいです」
紘佑さんは「母ちゃん、母ちゃん」と母親を慕っていたという。事件4日前の『母の日』は「母ちゃん、いつもありがとう」と労ってくれた。「とてもいい子で、申し訳ないくらい母親思い」と話す。
兄弟の写真を見せてもらうと、いずれもガッチリ体形で精悍な顔立ちの青年だった。母親は“お兄ちゃんは、大伍のことを許してくれるんじゃないかと思いたい”という。

中国人女性2人死亡の踏切、狭い信号待ちスペース…立ち止まっていた路面に「多言語表記ピクトグラム」

神戸市垂水区の山陽電鉄の踏切で1月、観光で訪れた中国籍の女性2人が電車にはねられて亡くなった事故を受け、同社は歩行者に立ち止まらないよう促す多言語表記のピクトグラム(図記号)を、踏切内の路面に設置した。
事故は1月9日午後3時50分頃、山陽電鉄の西舞子―大蔵谷駅間の「山田川西踏切」で起きた。踏切南側の国道2号を横断するための信号待ちスペースは約1・3メートルと狭く、亡くなった20歳代の女性2人は、待機場所を誤った可能性があるという。
英語と中国語、韓国語、日本語で「踏切内で立ち止まらないで」と明記したピクトグラム(縦0・7メートル、横2メートル)で、亡くなった女性2人が事故当時に立ち止まっていた場所に28日に敷設された。
山陽電鉄は読売新聞の取材に、「関係機関と連携し、短期、中長期的な安全対策を継続して実施していく」とコメントした。

中国への「日本産水産物」輸出再開で合意、福島や茨城など10都県は含まれず

政府は30日午前、中国への日本産水産物の輸出再開に向けた手続きについて、中国側と合意したと発表した。対象は37道府県の水産物で、福島や茨城など10都県は含まれていない。輸出は業者の再登録作業などを経て、数か月程度で再開される見通しだ。
2023年8月に始まった東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、中国政府は日本産水産物の輸入を全面的に禁止していた。林官房長官は閣議後の記者会見で、「我が国にとって重要な輸出品目である水産物の中国向け輸出が再開されることは、大きな節目だ」と歓迎した。
ただ、処理水放出の前から中国が輸入を禁止してきた太平洋沿岸などの10都県の農林水産物は今回の措置の対象外で、林氏は「引き続き規制撤廃を中国側に求めていく」と強調した。
輸出再開の手続きは、28日に北京で開かれた日中両政府の局長級協議で合意した。具体的には、処理水放出以前に輸出を認められていた日本の製造・加工施設の再登録作業を今後進めるとともに、初回の輸出再開時に安全性を確認するため、放射性物質「トリチウム」の検査証明書の提出などが新たに求められることになった。
中国政府は処理水を「核汚染水」などと呼んで海洋放出に激しく反発したが、23年11月の日中首脳会談で、対話を通じた問題解決を目指す方針で一致。24年9月には、原発周辺の海水などのモニタリング(監視)を拡充した上で水産物輸入を再開することで両国が合意した。
国際原子力機関(IAEA)の立ち会いの下で中国側が海水などの試料採取や分析を進め、安全性に問題がないことを繰り返し確認してきた。
かつて中国に輸出していた食用水産品は、ホタテやナマコが主力だった。小泉農相は記者会見で、「ナマコなどは中華系市場の需要が高い。迅速かつ円滑な輸出の再開に向けて、官民一体となって取り組みたい」と語った。

長野でコメ窃盗3件相次ぐ、無施錠の倉庫から計570キロ…農家「まさか盗まれるとは」

長野県で今年に入り、コメを狙った窃盗事件が3件相次いでいることが長野県警への取材でわかった。いずれも無施錠の倉庫が狙われていた。コメの価格が高騰する中、県警は、売りさばく目的で盗んだ可能性もあるとみて管理の徹底を呼びかけている。
「まさか盗まれるとは思わなかった」。長野県栄村のコメ農家の男性(87)は肩を落とした。
今月上旬、自宅1階の保冷庫にあったコメ30キロ入り11袋(計330キロ)を何者かに盗まれたという。男性は自宅近くの水田でコメを作り、地元農協に出荷している。保冷庫には、離れて暮らす子どもらに分けるため、14袋を保管していた。しかし、今月上旬に保冷庫を開けると、3袋しか残っていなかったという。男性の親戚が飯山署に被害を届け出た。
数年前にも1度、水田近くの作業所に保管していたコメが盗まれる被害に遭い、防犯カメラを設置していた。男性は今後、自宅にも防犯カメラを設置することを検討するという。
県警捜査3課によると、男性のケースとは別に、2~4月頃には佐久市内の空き家で5袋(計150キロ)、4月には下伊那郡内の住宅の倉庫で3袋(計90キロ)が盗まれていた。同課によると、昨年は同様の窃盗事件はなかったという。
同課は「施錠できる設備がある場所で保管してほしい」と呼びかけるとともに、防犯カメラやセンサーライトといった防犯グッズの導入を検討することを求めている。

身障者から地獄の取り立て…渋谷・道玄坂ぼったくりバーの極悪非道ぶり

視覚障害のある男性は高額な伝票を確認できず、足に装具を付けた男性はスマホを取り上げられて翌朝までサウナ店で監禁され、実家まで新幹線で取り立てに押しかけられていた。
障害者向けのマッチングアプリで知り合った男性を店に誘導し、ぼったくり行為を繰り返していたとして、警視庁保安課は自称バー経営者の鈴木駿太(22)と、いずれも従業員の大野詩織(21)、鈴木拓磨(21)、劉佳稔(20)ら4容疑者を監禁と東京都ぼったくり防止条例違反の疑いで逮捕した。
グループのメンバーは障害者を装い、障害者向けアプリで男性とマッチング。待ち合わせ場所に現れたニセ客の女が男性を渋谷区道玄坂のバーに連れて行き、飲み放題プランを注文。「トランプゲームをしよう」と持ち掛け、ペナルティーとして大量の酒を飲ませ、女とグルの店員が「飲み放題ではない酒を飲んだ」と言いがかりをつけ、高額な金額を請求していた。
「男性は有り金を全部取り上げられたうえ、ATMで口座残金を引き出し、限度額いっぱいまでキャッシングをさせられた。クレジットカードでネックレスとブランドバッグを買わされ、消費者金融の審査を受けるために翌朝まで8時間、サウナ店で監禁された。男性は下半身に障害があり、店員に監視されていたため逃げ出したくても逃げられなかった。男性は店員から『ATMの手続きをしている間に他の予約客の対応ができなくなり、予約がキャンセルになった』と損害賠償まで要求され、総額240万円を支払った」(捜査事情通)
この店を巡っては、昨年9月ごろからぼったくり相談が相次いでいた。男性54人が総額8000万円以上の被害に遭ったとみられ、その中に障害者4人が含まれていた。4人は弱視や下肢障害の他、うつ病や発達障害を抱え、4人だけで被害額は410万円に上る。
■日替わりでチーム編成
事件の舞台となったバーには男女十数人のぼったくり要員が出入り。日替わりでチームが編成され、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で指示を受けていた。今回、逮捕された鈴木容疑者は「駿太グループ」のチームリーダーで、女性を装って男性をおびき出す「オトリ役」や男性を店に連れて来る「キャスト役」、客に高額料金の説明をする「ホール役」、逃走防止・警察の警戒に当たる「ハリ役」、消費者金融でローン契約を結ばせる「補償役」に分類されていた。
「メンバーたちは店のことを『クイーン』『キング』『ジョーカー』と呼んでいたが、バーの正式名称は『SNOW』で開店時間は夜11時です。グループ内には複数のチームがあり、開店までの時間帯を『ぼったくり専用バー』として使っていたようです。障害者用アプリで相手の警戒感を解き、若い女性との出会いの機会が少なく、経済的に余裕のある独身の障害者をだましていた」(前出の捜査事情通)
調べに対し、鈴木容疑者は「知人が歌舞伎町でぼったくりをやってたくさん稼いでいると聞き、ぼったくりグループに入った」と供述しているという。
健常者だけでなく、障害者までターゲットにするとは、極悪非道と言うしかない。

【速報】林官房長官「政府として昭恵夫人とやり取りしていない」ロシア・プーチン大統領と安倍昭恵氏が面会

ロシアのプーチン大統領と安倍晋三元総理の妻・昭恵さんが面会したことについて、林官房長官は30日、「政府として昭恵夫人とやり取りはしていない」と話しました。
ロシア大統領府は29日、プーチン大統領が安倍昭恵さんとクレムリンで面会したと発表しました。
ロシアによるウクライナ侵攻後、対ロ制裁を科す日本をロシアは「非友好国」に指定し、平和条約交渉を中断するなど日ロ関係は冷え込んでいますが、今回の面会について林官房長官は30日、政府と昭恵氏とのやり取りはないと説明しました。
林芳正官房長官 「政府として安倍昭恵元総理夫人とやり取りはしておらず、いずれにせよ、本件について政府としてコメントする立場にはないということでございます」
林官房長官はこのように話した上で、ロシア全土に渡航中止勧告以上の危険情報を出しているとして、「基本的にはロシアへの渡航はやめていただくよう国民に求めてきている」としています。

そこじゃないんだわ…妊娠・出産アドバイザーに9億かける「三原じゅん子大臣はご存じない」少子化の根本原因

三原じゅん子大臣が率いるこども家庭庁が今月発表した「プレコンセプションケア推進5か年計画」。9億5000万円という大きな予算額に「税金の無駄遣い」「現金給付のほうが効果的」といった批判・疑問がSNSやメディアで噴出している。
識者からも「性教育の“はどめ規制”をまず撤廃すべき」「性と生殖の健康・権利の教育を推進すべき」との厳しい指摘が上がっている。
同庁には少子化対策などとして7兆3000億円という巨額な予算が注ぎ込まれているにもかかわらず効果が乏しいとの声が多い状態だったが、そこに火に油をそそいだ形だ。
この5カ年計画は、将来の妊娠・出産に向けて若年層に正しい健康知識を普及させる取り組みだ。
プレコンセプションケアのプレコンセプション(Pre Conception)とは、受胎や妊娠の前という意味で、妊娠前から女性の心身のケア管理をすることを指す。5年間で「プレコンサポーター」と呼ばれる啓発人材を5万人養成し、企業や自治体、学校で講習や相談窓口を設置するという。
日本女性の産婦人科受診率が欧米と比べて低いのは事実だ。ロシュ・ダイアグノスティックス社の調査によると、日本の婦人科受診経験者は55%にとどまり、7割超のフランスやスウェーデンを大きく下回る。
筆者も、プレコン啓発の重要性を認識しており、その活動に大いに賛同する。だが、既存の医療従事者や教員を増員すれば済む話を、学校や企業などで助言するアドバイザーを新規に養成する立て付けになっていると見られ、裏に、新たな資格制度で誰かが儲ける「資格ビジネス」の臭いもしないではない。
しかし、より深刻な問題がある。それは、どれほど妊娠・出産の知識を普及させても、残念ながらそれだけで劇的な出生数改善は期待できない、ということ。その事実を三原大臣も同省官僚も理解していない。日本の少子化の最大の課題は、女性個人の「生殖能力」の問題ではない。以下に述べるように、社会全体が子どもを産み育てる生殖能力を失っているということだ。
データサイエンティストで人口動態研究者のスティーブン・J・ショー氏が制作したドキュメンタリー「Birthgap – Childless World(バースギャップ――子どものいない世界)未邦訳」は、世界の少子化問題に新たな視点を提供している。ショー氏は24カ国230人もの男女を取材し、これまで見過ごされてきた少子化の共通構造を明らかにした。
「バースギャップ」とは、単なる出生率低下ではない。2つの側面を持つ包括的概念だ。
第一に「人口ギャップ」――高齢者と若年層の人口数の深刻な格差。日本ではすでに現役世代2.03人で高齢者1人を支える構造となり、高齢化率29.3%は世界一、2070年には38.7%に達する見込みだ。一方、子どもの割合は11.5%と49年連続で低下している。
第二に「計画しなかった子なし」――子どもを望んでいたが持てなかった人々の「期待と現実」のギャップ。出産の時間的制約について正確な知識を持たないことで生じる悲劇である。
ショー氏の研究が導き出した数字は衝撃的だ。「30歳で子どもがいない場合、母親になる確率は最大50%」。つまり30歳時点で子どもがいない女性の半分は、その後一度も母親になれない。2人に1人という数字はあまりにもインパクトが大きい(ただし、これはショー氏の統計であって絶対値ではなく、妊娠は個人差が大きいことから、妊娠したい人は無闇に心配せず、まずは産婦人科医に相談することをお勧めする)。
すべての人には人生を選択する権利がある。だが、選択するには「出産リミット年齢」など正確な情報が不可欠だが、日本人男女の生殖に関する知識レベルは残念ながら低いと言わざるを得ない。
NPO法人「日本医療政策機構 女性の健康プロジェクトチーム」が1万人の男女を対象に行った調査で「カップルの自然な性交渉によって女性は何歳頃まで妊娠できるか」という質問に、「40歳」(32.2%)、「45歳」(10.1%)、「50歳」(4.1%)、「55歳」(0.4%)、「60歳以上」(1.5%)として、全体の約半数が「40歳以上」でも普通に妊娠できると考えていた(性別で分ければ、男性の54.6%、女性の41.9%)。
また、「不妊治療を受けたら、女性が何歳頃まで妊娠できるか」という質問には、「40歳」(43.1%)、「45歳」(23.9%)、「50歳」(8.9%)、「55歳」(1.0%)、「60歳以上」(1.9%)と回答し、全体の8割が「40歳以上」でも妊娠可能(男性80.3%、女性77.6%)、1割超が「50歳以上」でも可能と考えていた。
生物学的に出産適齢期は20代であり、男性の精子の質も30代以降低下するにもかかわらず、生殖に関するリテラシーはこれほど低い。
この結果の背景にあるのは、教育の問題だ。学習指導要領の「はどめ規定」(性行為や妊娠の詳細な過程を授業で扱わない)により、学校の性教育では生殖について十分に教えず、中学3年間の性教育はわずか9時間程度。欧米諸国の15~30時間と比べて圧倒的に短い。さらに欧米では、性や生殖の正しい知識を伝えるエンタメやニュース番組も豊富で、子どもたちは学校以外からも情報を得ている。
こうした知識不足が晩産化を招き、多くのカップルが身体的にも金銭的にも負担がある不妊治療を強いられているのではないか。女性だけでなく、男性の生殖能力も年齢とともに低下するという事実も十分に認識されていない。
この「知識不足による晩産化」という視点では、冒頭で触れた子ども家庭庁のプレコンセプションケアは理に適っているように見える。しかし、晩産化を招く要因は知識不足だけではない。より大きな社会的要因が存在する。実は、これは日本だけでなく世界共通の課題だ。
ショー氏のドキュメンタリーには、東アジアから北欧まで世界各国の男女が登場する。「いつかは子どもがほしいけど、キャリアで成果を出してから」「子どもをもちたいけど、今はまだ心の準備ができていない」――そう語る彼らの表情は、どこか焦燥感に満ちている。一方で、いざ妊娠しようとしてもできずに、「もっと早く子作りをすればよかった」と悔やむ男女の姿も映し出される。
筆者自身、まさにこの典型だった。26歳で結婚し、「36歳の高齢出産ギリギリまでに2人ぐらい産めるだろう」と楽観的に考えていた。34歳で1人目、36歳で2人目――そんな人生設計を描いていた。ところが実際に34歳で出産すると、当時、仕事をしていなかったにもかかわらず、想定外のことが次々と起こり、心身ともに参ってしまった。2人目など考える余裕もなかった。
なぜ私たちは、こうも子どもをもつのが遅くなるのか。
教育費の高騰や仕事と育児の両立の困難さといった現実的な問題もある。だが、より根深いのは「まずは自己実現してから子どもを」という価値観に縛られていることではないか。
日本では特に「よーいドン!」で一斉に人生が始まり、少しでもレールから外れると軌道修正が困難だ。この一発勝負社会が、韓国と並んで日本を少子化のフロントランナーにしている。
グローバル化により、世界中が過度な能力主義社会へと変貌している。成果や成功を自己実現と位置づけ、「それを達成してからでないと一人前ではない。そのような状態で子どもをもってはいけない」というバイアスが私たちに刷り込まれている。ショー氏が映画を通して浮き彫りにするのも、まさにこの点なのだ。女性個人の生殖能力ではなく、成果主義に支配された社会全体の生殖能力の欠如なのである。
ショー氏は現在、世界各国の議会や学会に招かれてこのバースギャップについて講演している。そんなショー氏に、「日本は何をすべきか」を聞いてみた。
「日本の親は1970年以降、文化や社会経済の大きな変化にもかかわらず、一貫して1人あたり約2人の子どもをもち続けてきました。しかし、劇的に変化したのは『子どもをもたない人』の割合です。これは10%未満から約30%に激増しました。問題の核心は親にならない人の数が増加していることです。親になりたい若者が早く親になれるよう支援することが急務です」
参考にすべき事例として、ショー氏は中欧の国・ハンガリーを挙げる。同国は2011年から2021年の10年間で婚姻数を2倍にし、出生率を1.23から1.61へと劇的に改善させた(Eurostat統計)。2022年以降は隣接するウクライナ戦争、出産可能女性の人口減少やインフレーションで出生率が失速中だが、EUの平均出生率を上回っている(Eurostat統計)。
「ハンガリーでは25歳未満の家族が近年増えており、母親に向けた所得税無償・学費無償、そして住宅助成金が影響していると思われます。これが長期的なシフトになるかはまだ分かりませんが、研究すべき政策を展開しています」(ショー氏)
ハンガリーの家族政策の柱のひとつには、25歳未満の若者の所得税無償、30歳未満の子持ち既婚者の学費無料など、若者が「仕事と家族」「学業と家族」を両立できる支援がある。
子ども家庭庁は9億5000万円かけて「プレコンサポーター」を5万人養成する遠回りの施策よりも、こうしたストレートな若者支援を少子化解消の近道として検討すべきではないか。
トロント大学の政治学者フィリップ・リプシー氏は、日本を「先駆者国家」と呼ぶ。日本で起きたことは世界各地に波及する、という意味だ。世界中が日本の少子化対策を注視している今こそ、私たちは次のような行動に転換すべきではないか。
● 企業は、若手社員の早期結婚・出産を阻害する長時間労働や転勤制度を見直す。
● 政治は、25歳未満への所得税減免、学費免除や若年世帯への住宅支援を本格検討する。
● 日本人は、「キャリアを積んでから子どもを」という固定観念を捨て、多様な人生設計を受け入れる社会への転換を支持する。
「先駆者国家」日本がいい手本を見せることができれば、同じ課題に直面する世界各国の希望となるにちがいないが、三原じゅん子こども大臣では難しいだろうか。
5月27日放送の日本テレビ系「DayDay.」(平日朝9時)に同大臣はVTR出演し、「自民党長期政権で少子化対策の成果が出ていない」「出生数が減ってきている」ことに対して検証しているのかとの質問に、「これから。これからしっかりそこ(検証)を始めていく」と回答。20年以上の懸案にもかかわらず、これから検証をすると堂々と答えた。
朝から「ダメだこりゃ」と多くの国民を落胆させた三原大臣にはきっと少子化対策の大仕事は荷が重すぎるのだろう。いっそのこと、トランプ大統領が「日本は少子化を改善しないと関税をかける」と脅してくれたら、政府が本気で取り組むかもしれない。
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(ジャーナリスト 池田 和加)

夫婦別姓、28年ぶり審議入り 3野党、個別に趣旨説明

選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正案が、30日の衆院法務委員会で審議入りした。別々に独自案を提出した立憲民主党と国民民主党、旧姓の通称使用を法的に位置付ける戸籍法改正案を提出した日本維新の会が、それぞれ趣旨説明。来週にも質疑を行うなどし、議論を本格化させる。衆院法務委で別姓法案を審議するのは1997年以来28年ぶりだが、今国会での成立は困難な見通し。
立民案は婚姻時に同姓か別姓を選べるとし、別姓夫婦の子どもの姓は婚姻時に決定する。国民案も別姓を導入する一方、婚姻時に戸籍の筆頭者を定めて子の姓を筆頭者と同じにするのが柱。維新案は「同一戸籍、同一氏」の原則を維持し、旧姓を通称として戸籍に追記できるようにする。
自民党は別姓導入に慎重派が多いなどの事情で、今国会での独自法案提出を見送る方向。公明党は導入には前向きだが、与党で合意形成を図った上で政府提出法案とするのが望ましいとの立場を示している。
現行は、婚姻時に改姓するのは大半が女性で、社会的不利益を負っているとの課題がある。

政府、シリア制裁を一部解除=欧米と足並み

日本政府は30日、シリアに対する経済制裁を一部解除した。同日の閣議で了解した。既に制裁緩和に踏み出している米国や欧州連合(EU)と足並みをそろえ、昨年12月のアサド政権崩壊後に誕生した暫定政権による国家再建を側面支援する狙いがある。
日本政府は旧民主党政権時代の2011年9月、反政府デモを弾圧しているとして、シリアのアサド前大統領らに対する資産凍結などを発動。制裁対象はこの間に59の個人と35の団体に拡大した。
今回解除したのは4団体。ロシアに亡命したアサド氏らへの制裁は継続される。 [時事通信社]

国民民主党ブームはジ・エンドか…玉木雄一郎代表「備蓄米は動物の餌」発言に批判殺到

人気はピークアウトしたのではないか。国民民主党の玉木代表が、ネット上で袋叩きにあっている。備蓄米を「1年たったら動物の餌」とさげすむ発言をしたことで猛批判を浴びている。
28日、衆院農水委で質問に立った玉木代表は、小泉進次郎農相が放出を進めている備蓄米について「あと1年たったら動物の餌になるようなもの」とくさし、「安く売りますって、そりゃ安く出ますよ」と発言した。
すると、ネット上では「備蓄米に対して『動物の餌』はさすがに農家に失礼」「国が命守るために備えている米を『餌』とか、どの口が言ってんだよマジで」「緊急時に国民が食べるお米だ。それを動物の餌などと言いのけるのは国民に対して失礼だ」などと批判が殺到。
これまでネット人気を頼りにしてきた玉木代表は、バッシングに大慌てし、「私が言いたかったのは……」「誤解があるので……」などと、長文の釈明文を自身のSNSに3回にわたって投稿したが、その釈明文が「だったら討論時にそう言えば済む話です。言い訳が見苦しいです」「再説明しても納得はいかない」と、さらに怒りの声を買う始末だ。
■進次郎人気への焦りの裏返し
それにしても、備蓄米を「動物の餌」などと発言すれば、批判されるのは分かるはずなのに、どうして玉木代表は墓穴を掘るようなことをしたのか。
「『動物の餌』発言は、国民民主党の支持率が下落しはじめた焦りの裏返しでしょう。朝日新聞の5月調査による支持率は、4月調査の12%から8%にダウン。参院選比例区の投票先も13%と立憲民主党に並ばれてしまった。風向きが変わるきっかけは、参院比例区の候補者に元衆院議員の山尾志桜里など、いわくつきの元議員4人を擁立したことです。SNS上では『支持をやめる』といった批判的な投稿が一気に増えた。そこへもってきて、世間の注目が進次郎農相に集まり、“主役の座”を奪われた玉木さんは、より一層、焦ったのでしょう。それで、進次郎農相が進める備蓄米放出にケチをつけた」(政界関係者)
■「玉木支持者」と「進次郎支持者」は層が重なる
玉木代表にとって痛いのは、「玉木支持者」と「進次郎支持者」は層が重なることだという。従来の玉木支持者が、ごっそり、コメの価格を下げた進次郎に流れる可能性があるという。
「103万円の壁を打ち出した玉木さんが支持されたのは、『国民の手取りを増やしたい』と訴えたからです。いま、進次郎さんを支持する声が大きくなっているのも、進次郎さんが『コメの価格を下げる』と動いたからでしょう。どちらも、国民が困っている、生活に密着する問題を解決しようとした。ただ、いつも口先だけで、一つも実現していない玉木さんは、とりあえずコメの価格を下げた進次郎さんと比べられたら、どうしても見劣りしてしまいます」(野党関係者)
完全に一時の勢いを失った国民民主党。6月の都議選で議席を大きく伸ばせなければ、もとの弱小政党に戻ることになるのではないか。玉木代表の「動物の餌」発言が、トドメになるかもしれない。
◇ ◇ ◇
国民民主党は、それ以外にも多くのゴタゴタを抱えている。それらを【関連記事】に網羅している。