高市早苗首相が、23日召集の通常国会で衆院を解散する意向を与党幹部に伝えた。
衆院選は27日公示、2月8日投開票の日程が有力視されているが、その通りになれば1990年以来36年ぶりの2月決戦となる。
だが、期間中は受験シーズンを直撃するため、選挙カーの音などが受験生に多大な影響を及ぼすのではないかと懸念されている。
教育行政に詳しい専門家は「たとえ選挙活動であっても、受験機会を妨害するのは受験生の権利侵害になる」と指摘し、各地の選挙管理委員会や候補者らに十分な対応を求めている。
受験生「努力を脅かす実害そのもの」
受験を控える高校生から毎日新聞に届いた投書には、悲痛な訴えがつづられていた。
<今は受験生にとって人生を左右する正念場。それなのに学習中、試験中に響き渡る選挙カーの騒音。試験会場への動線を塞ぐ街頭演説。人混みによる感染症への恐怖。それらは大きな政治の流れからすればさまつなことかもしれないが、受験生から見ると、今まで積み上げてきた努力を脅かす実害そのものだ>
受験シーズンに衆院選はやめてほしいとして、高校生はこうも続ける。
<18歳選挙権が導入されながら、投票が物理的にも精神的にも最も困難な時期に設定されるのは理解に苦しむ。若者の政治参加を呼びかけつつ、投票機会を奪う矛盾に憤りを覚える>
私立の高校、大学は本番のピーク
私立高校や私立大学の受験は、全国的に1月下旬から2月中旬にピークを迎える。
また、東京都や神奈川県の私立中学の入試は2月1日の日曜日から始まる。この日は、公示後初めて迎える日曜日に大規模な街頭演説などが行われる「ファーストサンデー」と重なることになりそうだ。
さらに、7~8日には医師国家試験も予定されている。
中学受験を控えた小学6年生の保護者は「感染症が気になるため、この時期は不特定多数が集まる人混みは少しでも避けたいもの。でも、駅前などで街頭活動されるとどうしても近づかざるをえず、心配ごとが増えそうです」と肩を落とす。
ごみ収集車の音でもクレーム
「受験会場近くでは、音声を流して営業活動する食品販売などの車の音だけでも集中が乱されたと学校にクレームが来る。それが大音量の選挙カーとなれば、受験生にとっても学校にとっても迷惑行為でしかありません」
そう指摘するのは、日本大文理学部の末冨芳教授(教育政策)だ。
末冨教授によると、大学の校舎で授業をしているときも、選挙カーの音が聞こえてくることがあるという。
公職選挙法は学校や病院などの近くではマイクの音量を落とすなど、授業や医療行為などに支障が出ないように「静音を保持」するよう求めているが、あくまで陣営側の努力義務にとどまる。
そのため、各地でこの時期に行われた選挙では「リスニングの試験の際に街頭演説の連呼が聞こえた」などの苦情が各選管に寄せられたケースは少なくない。
選管「受験生に影響出ないよう準備」
多くの有名私立中学が集まる東京都千代田区では昨年2月2日投開票の区長選の際、受験生に影響が出ないよう配慮を求める要望が学校側から寄せられたという。
これを受け、区選管事務局は学校の周辺などでは遊説を控えるよう求める文書を各陣営に配布した。
区選管の担当者は「衆院選が受験シーズンに重なる可能性が高いため、改めて受験生らに影響が出ないよう候補者に周知徹底する準備をしていきたい」と話す。
末冨教授は「この時期は受験生にとっては人生をかけた時間。特に中学受験生はまだ子どもで、特段の配慮が必要になる。保護者の方は不安の声を上げ、候補者の事務所や所属政党に配慮を求めるようにしてほしい」と呼びかける。
若者の声届きにくくなる可能性も
また、末冨教授は投票率への影響も懸念している。
総務省によると、2025年参院選で18歳の投票率は45・78%だった。
全体の投票率(58・51%)を下回ったものの、19歳(37・63%)より8ポイント以上高い結果となった。
選挙権を得たばかりの18歳は比較的関心が高いとされるためだが、大学受験を控えていれば選挙の情報収集などに時間を割きづらい上、感染症予防で投票所に足が向きにくくなることも考えられる。
末冨教授は「この時期は大学も休みなので、通常であれば投票を学生に呼びかける教員もいません。国政に若者の声が届きにくくなる可能性がある」と指摘する。【稲垣衆史】
食料品の消費税率“時限ゼロ”の検討を盛り込む案が浮上 自民党の衆院選公約で
衆議院の解散・総選挙をめぐり、自民党内で、飲食料品の消費税率を一時的にゼロにする検討を行う方針を、公約に盛り込む案が浮上していることがわかりました。
高市総理大臣が衆議院を解散することをうけ、自民党は公約の準備を進めています。
消費減税をめぐっては、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」が、公約の柱として消費減税を盛り込む方針です。
一方、自民党と日本維新の会の連立政権合意では、消費税について、「飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」とされています。
このため、複数の政府・与党関係者によると、自民党の公約に、政権合意と同じように、飲食料品の消費税率を一時的にゼロにする検討を行う方針を盛り込む案が浮上しているということです。
ただ、連立合意で一時的な消費減税は、「検討を行う」との表現にとどまっていることもあり、公約に消費減税の開始時期など、具体的な内容が盛り込まれるかどうかは不透明です。
また、金融市場では、高市政権の掲げる「責任ある積極財政」に対し、財政運営への懸念から円安と長期金利の上昇が続いています。飲食料品の消費税率をゼロにすれば、年5兆円規模の税収減になるとの試算もあり、自民党内には財政規律がさらに緩むことへの反対論が根強くあります。
消費減税を打ち出すことによる金融市場への影響も見極めながら、自民党としては、慎重に検討を進めるとみられます。
韓国・イタリアの両首脳手厚く迎えた「高市流」外交、衆院選見据え「成果」アピール…SNS積極活用
高市首相は相次いで来日した韓国、イタリアの両首脳を「高市流」で手厚く迎え入れ、外交ウィークを終えた。各国首脳と個人的関係を構築し、中国や米国への対応などで連携したい考えだ。衆院選を見据え、SNSを積極的に活用して、外交成果を幅広い層にアピールしている。(太田晶久、高田彬)
「日本国民と共に、ジョルジャの誕生日をお祝いします」
高市首相は16日、イタリアのメローニ首相と行った共同記者発表の冒頭、前日に誕生日を迎えたメローニ氏をファーストネームで呼び、こうお祝いの言葉と拍手を送った。
その後の昼食会では、高市首相はサプライズでケーキを出し、イタリア語でバースデーソングを歌った。メローニ氏は「イタリア語が完璧だ」と感激した様子を見せたという。メローニ氏は、13日の日韓首脳会談後に高市首相と韓国の李在明(イジェミョン)大統領がそろってドラムを演奏した動画を見たことも明かし、「素晴らしかった」とたたえた。
動画は首相官邸がSNSに投稿し、国内外のメディアで取り上げられた。インスタグラムの投稿には、77万超の「いいね」がついた。首相側近は「韓国側も好意的に受け止めてくれており、動画投稿は大成功だ」と手応えを語る。
高市外交は、課題も抱えている。台湾有事を巡る首相の国会答弁を機に日中関係は冷え込み、中国は、日本へのデュアルユース(軍民両用)製品の輸出禁止など経済的威圧を強めている。各国が米国のトランプ大統領が主導する外交に影響を受ける中、高市首相は、トランプ氏を含めた各国首脳と親密な関係を築き、日本の外交関係の安定につなげようとしている。
日韓、日伊の両首脳会談では、中国を念頭に、経済安全保障協力の強化に重点を置き、重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)の強化などを確認した。
日本政府関係者は「中国が日本の孤立化を狙う中で、対中を意識し、両国との連携を確認できたことは大きい」と振り返った。
天井から異音も 共通テスト、3会場33人が最大150分繰り下げ
大学入試センターは17日、大学入学共通テスト会場での異音発生や、係員の誘導誤りにより北海道、東京都、神奈川県の3会場で試験時間の繰り下げがあったと発表した。対象となったのは地理歴史、公民を2科目受験した計33人で、最大150分繰り下げた。
センターによると、札幌北高校で試験開始前の午前9時25分ごろ、天井から電子音のような音が断続的に発生。受験生から申し出はなかったが、音に気づいた監督者の判断で別室に変更。受験生29人の移動のため、試験を25分繰り下げて開始した。異音の原因は不明という。
東京芸術大(東京都台東区)では試験開始前に2科目受験予定の受験生3人から1科目に変更したい申し出があった。受験票に2科目受験と記載がある場合は当日に変更できないが、係員が受験票を確認せず控室に誘導したという。試験前に受験生らから申し出がありミスが発覚。3人は150分繰り下げて2科目を受験したという。
専修大(川崎市)では午前9時半すぎに到着した受験生1人が会場に入れないと判断し、試験室前にいた係員に2科目目からの受験を申し出た。試験開始後20分以内の遅刻であれば受験は認められているが、係員が誘導を誤り控室に案内。2科目目の開始前に受験生から申し出があり、130分繰り下げて対応したという。【木原真希】
「中道改革連合」候補者擁立を加速へ 野田代表「全員当選を目指す」 自民・鈴木幹事長「ずいぶん左寄りの中道」
16日、新党「中道改革連合」を立ち上げた立憲民主党の野田代表と公明党の斉藤代表は、候補者の擁立を加速化させる考えを強調しました。
「中道改革連合」を結党 立憲民主党・野田代表
「中道の塊をより大きくしていく。今回賛同して入ってくる人たちよりも、もっと新人も含めて多くの人が当選できるように、公認する人は全員当選を目指す」
「中道改革連合」を結党 公明党・斉藤代表
「多党化時代における中道の結集ということを我々は訴えて、選挙に勝つことが中道政治を実現することになると考えている」
一方、与党側は新党の動きを批判しています。
自民党・鈴木幹事長
「選挙目当ての選挙互助会といってもいいような組織でございます。立憲の皆さんが『我々は中道だ』と言っても、私から見れば随分左寄りの中道だ」
日本維新の会・藤田共同代表
「彼らの中道の定義がよくわかりませんけれども、急場の組み合わせになった政党がどのような政策をすっきりと出してこられるか、過去の政策との整合性をどう説明されるか、しっかりと見ていきたい」
また、他の野党も新党の動きなどについて批判しています。
国民民主党・玉木代表
「永田町政治というものは与野党から雰囲気が出てきていて、政策や選挙最優先の政治が長期にわたる日本の停滞の1つの原因かと思う」
日本共産党・小池書記局長
「集団的自衛権行使を容認した安保法制に対する姿勢」「公明党と立憲民主党がどういう共通の立場を持つのか、持ちうるのか注目していきたい」
首相との意思疎通できてなかった 自民幹事長、衆院解散巡り認める
自民党の鈴木俊一幹事長は17日、盛岡市で記者会見し、高市早苗首相との意思疎通が不足していたと認めた。首相が通常国会冒頭に衆院を解散する意向を固めたことを巡り「最初は新聞報道の情報でさすがに驚いた。過程では意思疎通ができていなかった」と述べた。交流サイト(SNS)上の「怒り狂って『幹事長を辞める』と言った」との書き込みを自ら紹介しつつ「温厚なので怒ったりしない」と否定した。
首相の衆院解散意向には「政治の安定を取り戻さなければ、やるべきこともできないのが現実だ。当然の決断だった」と理解を示した。
衆院解散判断を巡っては、首相が自民幹部に根回しせず、官邸の側近らとの間で検討を進めたとの見方がある。
自民党裏金議員、比例重複容認へ 非公認もなし、前衆院選から一転
自民党は次期衆院選対応に関し、派閥裏金事件に関係した議員の比例代表への重複立候補を認める方向で調整に入った。非公認も回避する。複数の党幹部が17日、明らかにした。石破政権下での前回2024年衆院選では、世論の批判を踏まえて裏金議員を非公認としたり、公認しても比例重複を認めなかったりしたが、一転させる。
党幹部は「前回の対応は党内で分断を生んだ。今回は平等に扱いたい」と説明した。別の幹部は「前回でみそぎが済んだ」と語った。
共同通信の17日時点の集計では、自民からは裏金事件に関係した議員ら36人の衆院選立候補が見込まれている。
鈴木俊一幹事長は17日、盛岡市で記者会見し、「政治とカネ」問題について「払拭されたとは全く思っていない。衆院選への影響は十分に分析できていないが、党の取り組みを誠実に説明していく」と述べた。
24年衆院選では、裏金事件に関係した旧安倍派や旧二階派所属だった46人が出馬し、28人が落選した。萩生田光一幹事長代行ら一部は非公認となり、厳しい戦いを強いられた。
試験終了後に問題の画像も 共通テスト、SNS投稿禁止の効果なし?
大学入試センターは今回の大学入学共通テストから、試験後も含めて問題の画像や内容を交流サイト(SNS)に投稿しないよう受験生らに求めている。ところが、試験後には例年通り感想に交じって画像や内容に関する投稿もあった。
センターが投稿しないよう呼びかけたのは、著作権侵害の恐れに加え、テストの公平性や受験生の心理状態に影響を及ぼす可能性があるためだ。交通トラブルなどで試験開始時間が繰り下げられた受験生が移動中にSNSで問題を知ってしまうことも懸念しているという。
「同じマーク続きすぎ」「自信ない」――。初日最初の教科「地理歴史、公民」が終了した午前11時40分過ぎ、X(ツイッター)上には手応えについての書き込みが相次いだ。
これらのほか「世界史探究でベルばら」「ベルサイユのばら見てたら時間消えた」などと「歴史総合、世界史探究」の内容に言及した投稿もあった。初日は一部の会場で試験開始が150分繰り下げられ、投稿時刻には試験前だった受験生もいたが、センターは「繰り下げ確定後に試験会場で外部とのやりとりをできないよう措置を講じた」とし、問題ないとの認識を示した。
一方、国語が終了した午後2時半過ぎには、出題された遠藤周作の小説「影に対して」が掲載された問題冊子の一部とみられる写真がXに投稿された。センターの担当者は「著作権の関係上望ましいものではない」とした上で、削除を依頼するかどうかは決まっていないとした。【斎藤文太郎、西本紗保美】
「扇山」山林火災 山梨県内戦後最大の被害に 焼失面積およそ376ヘクタールに拡大
山梨県の「扇山」の山林火災は17日も延焼が続き、焼失面積はおよそ376ヘクタールとなり山梨県内では戦後最大の被害となりました。
山梨県上野原市と大月市にまたがる「扇山」の山林火災は、発生から10日目を迎えた17日も西にある大月市側で延焼が続き、鎮圧の見通しは立っていません。
消防によりますと、焼失面積はおよそ376ヘクタールに拡大し、山梨県内では戦後最大の被害となりました。
大月市は16日午後、ふもとの宮谷地区の138世帯152人に避難指示を出し、避難所を設置しています。
消防によりますと、火は16日夜、最も近い民家まで150メートルほどに迫りましたが、消火活動により300メートルまで後退したということです。
柏崎原発6号機、試験中に不具合=再稼働日程に影響も―東電
東京電力は17日、柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の再稼働に向け進めている制御棒の引き抜き試験で、意図していない引き抜きを防止するための警報が出ない不具合を確認したと発表した。同社は原因を調査しているが、早期に復旧できない場合、20日に予定している再稼働に影響が出る可能性もある。
東電によると、原子炉の核分裂反応を抑える制御棒を1本引き抜いた状態で、さらに他の制御棒を引き抜こうとすると警報が出る仕組みになっている。17日の試験中、午後0時36分に警報が出ない不具合を確認。引き抜いた制御棒を元に戻して試験を中止した。 [時事通信社]